「Grand Theft Auto V」

昨日、「グランド・セフト・オート V」プレスイベントのハンズオフデモに関するディテールを一気にまとめてご紹介しましたが、第2弾のレポートとなる今回は、前回のディテールとこれまでにご紹介してきた事前情報の数々を踏まえ、デモ映像を実際に目で見て感じた“インプレッション”をまとめてお伝えします。

再掲:先日国内で公開された日本語ナレーション入りの公式ゲームプレイ映像
ここに描かれているシーンが今回行われたハンズオフデモにも多く登場していた

クオリティの高い遠景描画が印象的だった“フランクリン”パート

「Grand Theft Auto V」

前回のディテール編でご紹介した通り、ハンズオフデモのスタートを飾ったのは主人公の1人“フランクリン”のスカイダイビングシーンで、本作の主要な舞台の一部であるブレイン郡の上空1kmから着地までの景観を数分間に渡って1カットでたっぷりと魅せる技術的なショーケース、或いはハイライトとも言える内容でした。

このシーンでは、“Red Dead Redemption”の3.5倍と報じられた描画距離が誇張ではないことがはっきりと感じられただけでなく、パラシュートを開きゆっくりと降下する間の景観に目立ったオブジェクトのポップアップが見られず、かつ驚く程スムースなLOD(※ レベル・オブ・ディテール:描画距離に併せてオブジェクトのポリゴン数を調整したモデルに差し替える技術)も実装されており、率直なところ現世代機で動作しているとはにわかに信じがたい、最も驚きにに満ちたシーンの1つでした。

また、空中から見下ろす地上エリアのオブジェクト量も相当なものでしたが、視点が空中から見下ろす形となるため、視線から遮蔽されているオブジェクトの描画を軽減するオクルージョンカリングもこのシーンではさほど有効でなく、2006年の“Rockstar Games presents Table Tennis”以来、“Grand Theft Auto IV”や“Red Dead Redemption”での改善を経て、“Max Payne 3”でDX11対応を果たしたRAGEエンジンの最適化が相当な規模で進められている様子が窺えます。

今回上映されたハンズオフデモは、PS3版のゲームプレイをキャプチャーした映像だったことから、実機でのフレームレートやパフォーマンスを推し量ることはできませんが、デモ全体を通じて最も“重い”であろうこのシーンにおいても動作は非常に滑らかで、十分に良好なパフォーマンスを確保していると感じられました。

さらに、常にどこかほの暗さを漂わせるシーン毎の統一感が印象的だったGrand Theft Auto IVの色彩設計や、シーケンス毎に映画的なカラーグレーディングを施したMax Payne 3に対し、“グランド・セフト・オート V”の景観は非常にストレートな色調かつ色彩豊かに描かれており、東海岸特有のいわゆるバケーション的な明るさと、このシーンで次々と目に飛び込んでくる多彩な自然環境や都市、郊外の施設、動物達やハイキング中の観光客に釣り人といった夥しい量のインタラクションが重なり、これまでにない“活き活きとしたゲーム世界”がデモ全体を通じて広がっていました。

物理演算とシェーダーの大きな改善が感じられた“トレバー”パート

「Grand Theft Auto V」

“グランド・セフト・オート V”が到達したゲーム世界の表現を1シーケンスでシンプルかつ力強く提示したフランクリンのパートから一転、この“トレバー”パート以降は本作特有の新要素をそれぞれ具体的に紹介するシーケンスとなっており、ここでは新たなプレイエリアとなる海中の紹介が行われました。

このパートにおけるハイライトは、トレバーがボートで沖へと出る際に見られたジオメトリのダイナミックな変化を伴う波の表現と、それに応じた挙動を見せるボートのリアルな物理演算。そして、地上の自然環境や構造物、ビークルまで写り込む水面のリアルなリフレクション表現とシェーダーの改善で、Grand Theft Auto IVとRed Dead Redemption、Max Payne 3のボートレベルと比較して、著しい進化がありありと確認できる1シーンでした。

また、本作の大きな新要素として導入された海中エリアは、想像していたよりも高さが存在する複雑なレベルデザインが印象的で、具体的なオブジェクティブや巨大なサメ以外のインタラクションこそ確認できなかったものの、これが本編のゲームプレイやマルチプレイヤーにどう絡むのか、続報が待ち遠しい要素の1つだと言えます。

華やかな都市部の喧噪を描いた“マイケル”パート

「Grand Theft Auto V」

ランダムイベントでパパラッチに追われるセレブを助けた“マイケル”のパートは、夜の賑やかなロスサントス市内を描いたもので、キャラクター自身よりも周辺の環境や要素にフォーカスしたフランクリンとトレバーのパートに対し、繁華街をゆっくりと散策するマイケルの歩行シーンやカットシーン、NPCとのやりとり、スマートフォンの利用など、表情豊かなキャラクターのアニメーションを含む行動と、具体的なゲームメカニクスの数々が確認できるゲームプレイのショーケースと言える内容でした。

マイケルが歩く夜のVinewood通りは、チャイニーズシアターをモデルにしたCathay Theaterやハリウッドの通りを埋める殿堂入りの星型プレート、それぞれが固有のブランドや店舗であることを感じさせる看板や派手派手しいネオンに包まれ、濡れた路面に映り込む町の喧噪や、いわゆるビデオゲーム的な記号的表現と繰り返しが見られないNPC達の存在によって、これまで以上にリアルな都市の生活感が描かれていました。

映画“ヒート”へのオマージュを捧げた“Blitz Play”パート

「Grand Theft Auto V」

これまで個々に紹介が行われた個性豊かな3人の主人公マイケルとトレバー、フランクリンが協力し現金輸送車を強襲する“Blitz Play”パートは、本作のゲームプレイにおける大きな要素の1つである強盗ミッションの流れを判りやすく紹介したプレイスルーで、映画的な演出が光るカットシーンの挿入によるプレイヤーキャラクターの強制的な変更とミッションの進行、キャラクターが瞬時に切り替え可能な銃撃戦シーンなど、5年ぶりのナンバリング新作となる“グランド・セフト・オート V”の進化や新要素、改善をたっぷりと詰め込んだハンズオフデモのハイライトとも言えるシーケンスでした。

このパートのゲームプレイやシーン展開に絡む詳細については、先だってご紹介したディテール編をご確認頂くとして、大きな爆発を伴う銃撃戦や環境オブジェクトの破壊表現、ビークルを含むLSPD警官隊の登場など、非常に情報量が多い戦闘シーンにおいても、パフォーマンスは上々に見え、主人公3人それぞれに用意された異なるモーションやMax Payne 3からさらに改善されたように感じたキャラクターの戦闘アニメーションは、前3パート以上に魅力的な動きを見せていました。

また、満を持してフリーエイムが導入された銃撃戦は、まさにこれまでの集大成とも言えるMax Payne 3+αといった仕上がりで、優れた流動性を特色とするモーションやカバー時に顕著なポジションのスムースな遷移など、モダンなシューター作品としてなんら過不足なく、ここにそれぞれに固有の特性を持つ3人のキャラクターを使い分けながらプレイするタクティカルな要素も加わることで、いわゆる分隊シューターともどこか異なる“グランド・セフト・オート V”特有のシューター感が生まれていたと言えます。

しかし、このパートで最も印象的だったのは、マイケルが立案した犯罪計画とその手順に、はっきりとした言及こそ行われていないものの、1995年に公開されたマイケル・マン監督の映画“ヒート”の強い影響がはっきりと感じられたことでした。

当時の2大スターが共演を果たした映画“ヒート”は、ロバート・デ・ニーロ率いるプロの犯罪者チームと、彼らを執拗に追うアル・パチーノ扮する敏腕刑事の息詰まる攻防が繰り広げられる犯罪映画の傑作で、マイケルが立案した計画とその実行は、映画の序盤でデ・ニーロ達が現金輸送車を襲うシーンに酷似しており、マスクと作業服を着用した3人の出で立ちや、車を横付けして現金輸送車を足止めし、側面からレッカー車で激突する手順のみに留まらず、衝突から現金輸送車が横転するカットシーンの構成まで同じという徹底ぶりでした。(※ 参考映像、奇しくも映画とゲーム共にロサンゼルスが舞台となっている)

これまでも、映画やドラマ、音楽といったポップカルチャーに多くのオマージュを捧げてきたRockstar Gamesですが、筆者は今回のシーンが単なるオマージュではなく、本作の物語を牽引する“マイケル”という人物のキャラクター性を深く掘り下げた顕著な表出の1つだと見ています。

先日のディテール編や事前情報では、マイケルがかつてやり手の銀行強盗として名を馳せていたプロの犯罪者で、現在はFIBとの司法取引によって引退し、セレブな生活を送っているものの、家族との不和や退屈な日常に、ある種の焦りを感じている人物だと報じられています。

本作の開発を率いるRockstar GamesのボスDan Houser氏は、かつてインタビューでマイケルが抱える欠落について、「40代でするべき事を知らないまま中年を迎え、手に入れた巨額の富に対しても“それ”で何を行うべきか判らずにいる」と説明しており、“表面的には成功を得ながらも、手に入れたものが実際には彼が思い描いていたものではなかった”という事実が彼を再び犯罪稼業へと駆り立てる要因となっています。

ここで判る通り、マイケルは表面的な成功とは違う“何か”を求め行動しているものの、いつでも高飛びできるように些末な人間関係を持たない徹底したプロである“ヒート”のロバート・デ・ニーロとは異なり、家族やままならない事情にがんじがらめにされたGrand Theft Auto的に正しい愚かな人間であると同時に、自身の栄光をふり返るかのように90年代の犯罪映画に影響を受け、これを2010年も過ぎた現代的な都市で時代遅れの計画を実行する様は、彼が年相応でないある種のヒロイズムやセンチメンタルな感情を持ち合わせた人物であることを示しています。

こういったマイケルのキャラクター性を表す符丁はこれまでにも幾つか登場しており、彼のキャラクタートレーラーに使用されたクイーンの楽曲“Radio Ga Ga”(1984年)は、80年代への郷愁を誘うだけではなく、テレビが台頭する影で衰退するラジオに、かつてはそこに全てがあったけれど“一番良かった時代は過ぎてしまった”と歌う作品であり、冒頭から豪邸と家庭内の不和を描いた第2弾のトレーラーに用いられたスティーヴィー・ワンダーの“Skeletons”(1987年)は、積み重ねた虚飾が“誰かの嘘”から徐々に剥がれ落ち、最後には本性であるスケルトンが露呈するといった内容であることなど、マイケルの抱える事情やキャラクター性に驚くほどマッチした示唆的な選曲が行われていました。

その時々の時代性や社会が抱える問題を多く反映しながらも、常に決定的なテーマを提示しないGrand Theft Autoシリーズですが、犯罪さえも形を変えてしまった現代を舞台に、80~90年代のかつて良かった時代と自分への郷愁を抱えるマイケルのストーリーは、本作に数多く散りばめられた主題の1つであることに間違いはなく、彼の物語が夢見る中年男のワンスアゲインとなるか、それとも現代ノワール的にのっぴきならない方向へと転がり始めるのか、この辺りも本作の大きな見所の1つとなるのではないでしょうか。

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