Ken Levine氏が次回作の開発に向けたノンリニアな物語の具体的なアイデアに言及

2014年3月22日 13:34 by katakori
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「Ken Levine」

今年2月にIrrational Gamesを15人にまで縮小するレイオフを敢行し、今後は小規模なチームで高いリプレイ性を特色とするナラティブドリブンなデジタル配信タイトルのプロジェクトに取り組むことを明らかにしていたKen Levine氏ですが、本日氏がGDCのパネルに登壇し、予てからインタビュー等で言及していたレゴブロック的なナラティブ構築にも通じる次回作のノンリニアな物語に関する具体的な情報に加え、物語とビデオゲームの関係に絡む幾つかの興味深い見解を明らかにしました。

  • Ken Levine氏は、これまで19年に渡ってリニアな物語の製作に取り組み疲れ切ったと発言し、BioShock Infiniteのようなリニアな物語は、まずもって高価で、ゲームが持つ固有の力を十分に含まず、さらにプレイヤードリブンでも無いと説明。ストーリードリブンなゲームの多くが貧弱なリプレイ性を持つ傾向があるという問題以前に、そもそも“物語はシステムに適していない”と強調している。
  • さらに氏は、「物語が抱える問題は、物語がますます大きくなるだけでなく、より肥大化し続けなければならないことだ。これは時間を消費させ、より高価となる。そしてこの重要な1つの要素に数年に及ぶ生活を捧げているんだ」と発言。リニアな物語は開発者とオーディエンスの間に境界線を設けると語った氏は、初代BioShockの“would you kindly”(~して頂けませんか?)的なアイデアをストーリーに盛り込む場合、プレイヤーに“オープンアルファをやるぞ!”と言うわけにはいかないと述べ、ストーリーの鍵を守るために多くの秘密を持つ必要が生じ、より多くのドアを閉じる必要に迫られたと説明。これにより、極秘事項を保つことは出来たものの、氏は秘密を守る過程を楽しむことは全くできず、非常にストレスフルだったと振り返り、これはオーディエンスとの関係を構築するにあたって素晴らしいことだとは全く思わないと説明している。
  • こういった見解を踏まえ、氏は次期プロジェクトに向けたノンリニアな物語の実現に関するアイデアに言及。その要素としてプレイヤーアクションによって予測的かつ反応的に駆動する(スクリプト制御ではない)NPCに関するアイデアを以下のように挙げている。
  • RPGをプレイしていると想定し、とある村を散策し、オークの鍛冶屋と会話を始める。彼は3つの出来事(古い神への献身、別のNPCに対する恋心、エルフに対する強い嫌悪)に情熱を持っている。以降、この鍛冶屋は3種の情熱に基づいきプレイヤーの行動に相互作用を見せる。プレイヤーがエルフを虐殺すれば彼はプレイヤーに報償を与えてもよい。もしプレイヤーがエルフと結婚すれば、鍛冶屋はプレイヤーを殺そうとするかもしれない。
  • Ken Levine氏は、村に存在するオークが同様の相互作用を見せ、それぞれが彼/彼女自身の情熱をもち、かつ村人達が必ずしも協力しあうとは限らないと説明。氏はプレイヤーにエモーショナルな決定権が与えられる場合に、こういった要素がより面白くなると述べ、大きな冨を持つが最低なキャラクターと結婚するか、もしくは美しいが何もプレイヤーに与えないもう1人の求婚者を選ぶか、この選択はエモーショナルの成就と戦略的な志向の間に位置すると語り、もちろんプレイヤーはプレイセッションをやり直し違う選択を下すことも可能だとリプレイ性の担保に言及している。
  • さらに氏はこういった要素が友人とのCo-opプレイにも新たな側面をもたらすと説明。(プレイヤーがエルフを殺害し鍛冶屋と友好な関係を築いた状態で)エルフと友好関係にある友人とプレイする場合、友情を犠牲にするか、それともエルフの良き友人となるか、といった選択を例に挙げた。
  • プレイヤーの行動に多様な反応を見せるNPCについて語った氏は、この取り組みが(BioShock Infiniteにおけるエリザベスと同様に)本物の人間に似たAIを開発しようとしているわけではないと発言。それはあまりに野心的過ぎると語り、任意の状況に併せて行動し、冗談や勇ましい言葉を語るようなキャラクターの実現はまだかなり遠いと述べ、しかし今現在取り組むことが出来る大きな1歩が確かに存在し、私達はこのステップにフォーカスしなければならないと強調した。
  • なお、氏はこういった取り組みが物理演算ゲームにおける黎明期に似ていると比較している。
情報元:Eurogamer, Polygon

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