クトゥルフ世界における都市環境の構築にスポットを当てた「Sinking City」の興味深いアプローチがアナウンス

2016年3月27日 10:48 by katakori
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「Sinking City」

先日、Focus Home Interactiveの下で人気TPRG“クトゥルフの呼び声”のビデオゲーム化作品として開発を進めていた新作を(Focusとの提携終了に伴い)独自の新作「Sinking City」として発表したお馴染みFrogwaresですが、奇しくも同時期に登場することとなった仏Cyanide版の“Call of Cthulhu”と“Sinking City”の違いやディテールに注目が集まるなか、新たにFrogwaresが公式Blogを更新。1920年代のニューイングランドを舞台とするオープンワールドな都市環境の構築について、非常に興味深いアプローチとデザインコンセプトを提示しています。

なお、今回ご紹介する都市デザインに関するコンセプトは、“Sinking City”の開発に協力しているゲームデザイナー兼ライターで、都市計画と地理学者の博士号を持つKonstantinos Dimopoulos氏が、初期段階の都市設計について言及したもので、“Sinking City”がいわゆるシェアワールドやマクガフィン的な装置としてクトゥルフを扱わず、ラヴクラフト世界において都市機能と神話が実際に共存しうるオープンワールド環境の構築を実現すべく、歴史や都市デザイン、作品の膨大な背景から具体的なアプローチを模索する非常に興味深い取り組みが確認出来ます。

「Sinking City」
“Sinking City”の都市デザインに用意されたドキュメントの一部
画像は原寸大のイメージにリンクしてあります
  • 再掲:“Sinking City”はラヴクラフトの作品世界とクトゥルフをテーマに描くオープンワールドの探索/調査ゲームで、超自然的な現象により広範囲な洪水の被害に苦しむ1920年代ニューイングランドの都市を舞台に、主人公である私立探偵が狂気を越えてこの町の調査と超常現象の原因究明に臨む物語が描かれる。
  • Konstantinos Dimopoulos氏によると、Frogwaresは当初から、単に魅力的で実在するような1920年の都市環境を構築しようとは考えておらず、クトゥルフ神話世界におけるカルト信者やインスマスのような存在によって巧妙に形作られ、この世ならぬ巨大な存在の気配や支配をその大気から感じさせるような、真のラヴクラフト的都市環境の構築を目指していたとのこと。
  • ラヴクラフト/クトゥルフ世界に存在する都市を考慮する場合、ラヴクラフトが実際にアーカムのモデルとしたプロヴィデンスや、本人の出自に深く関わるボストンといったロケーションが挙げられるが、氏はここで“Sinking City”の舞台となる都市Oakmontのデザインに影響を与えた2つの作品として、ブルックリンを舞台とした“レッド・フックの恐怖”と、深きものどもが潜む港町を描いた“インスマウスの影”を挙げている。また、Konstantinos Dimopoulos氏は、インスマスが奇妙な風習を持つ人々が暮らす町、或いは深きものどもが隠れ寄り添うだけの町ではなく、(少なくとも表面上は)正常な都市生活を窺わせる人間的な外観を保持しつつ、双方の要求と要望を軸に構築されたハイブリッドで類の無い共存可能な環境だと説明している。
  • こういった背景を提示したKonstantinos Dimopoulos氏は、新作の舞台となる都市“Oakmont”が交通や商業、製造といった正常な都市機能を持つと同時に、神々の目論みに貢献する秘められた役割を担う必要があると説明している。
  • これらの要件を機能的かつ歴史的に満たし、闇の魂を支える都市として、氏は大恐慌前に十分な人口と都心としての機能を持ちあわせた1920年代のニューイングランドを挙げている。
  • また、本作の舞台となる“Oakmont”は、大規模な洪水により浸水の被害に遭い、それまで秘められていた超自然的な何かが表出しはじめており、言うなればインスマス的な状況からさらに古き神々の顕現が進んだ状況にあると言える。
  • 現在、Frogwaresはこういった背景に基づき、Oakmontの建築物がどう見えるべきか、都市デザイン的な側面から、建築物がその場所に存在する理由、神秘的なモノリスはいつ作られたものか、町の不気味な恐怖から逃げずに暮らす市民達がどんな日常生活を送っているのか、そういった要素を都市の総体と個々の両面、そして自然に生じたものと制度化されたものの両方からオープンワールドな都市環境のデザインを進めているとのこと。
  • Konstantinos Dimopoulos氏は、Sinking Cityの環境が単なる建築物のコレクションではないと語り、都市機能を基盤に人々や公共の空間、気候、空、匂い、色彩、祝祭、工場施設、古い入り江、まだ活気に満ちていた20年代のニューイングランド地方特有の密売酒や禁酒法、町を呑み込んだ洪水、といった要素が共存する非常に複雑な複合体であることを挙げ、まるで実際に存在するようなラヴクラフト的都市環境を実現できるのは、インタラクティブなメディアであるビデオゲームのみだと強調している。
  • こういったアプローチに基づき、Konstantinos Dimopoulos氏は舞台となる都市構築のために、90ページもの資料“Urban Manifestations of Lovecraftian Horror”(ラヴクラフト的ホラーにおける都市環境の現れ)を作成しFrogwaresに提供している。
情報元及びイメージ:Frogwares

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