2016年のCoD新作を手掛けるであろう新生「Infinity Ward」の現状は?来年に向けてこれまでの情報を再整理

2015年12月29日 10:06 by katakori
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「Infinity Ward」

今年も残すところ僅か数日となり、多くのデベロッパが年内の業務を終え、海外メディアのデイリーなニュースもすっかり影を潜める状況となっています。という事で、当サイトでは本日から通常更新の記事に加え、2016年に新たな動きを見せるであろう注目の新作やプロジェクトの中から、水面下で大きな変化を遂げているプロジェクトやスタジオの現状、錯綜している一部作品のディテールといった情報を年末の特集企画として、幾つか再整理してご紹介したいと思います。

第1弾の特集は、順当に行けば2016年の“Call of Duty”タイトルを手掛けるであろう新生「Infinity Ward」の現状をご紹介。周知の通り、フランチャイズを象徴する傑作“Modern Warfare”シリーズを生んだ旧“Infinity Ward”と、Respawn組の離反に伴う大変な混乱からMW3とGhostsを送り出した中期“Infinity Ward”は名前こそ同じではあるものの、全く別のスタジオと言っても差し支えない状態となっていましたが、現在はさらに大きな再編と統合を経て、文字通りの新生“Infinity Ward”として新しい何かに取り組んでいることが知られています。

“Black Ops II”を以てビジネス的な成功のピークに達し、その後やや影響力を落としたものの、今年の“Black Ops III”で再び勢いを取り戻した感のある“Call of Duty”フランチャイズですが、“Ghosts”以降のInfinity Wardがどういった体制でこれに続く新作に望むのか、気になる方は来る新作のお披露目に向けてスタジオの現状を今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

Modern Warfareシリーズを生んだオリジナル“Infinity Ward”の崩壊

“Infinity Ward”の現状を説明するにあたって、避けて通れない大きな転機にスタジオの共同設立者であるVince Zampella氏とJason West氏がActivisionによって解雇された2010年3月に端を発するオリジナル“Infinity Ward”の崩壊が挙げられます。

これについては、その後2年以上に渡ってActivisionとEA、Respawnによる泥仕合が続いた数億ドル規模の訴訟問題や非常に複雑な経緯が絡むことから、詳細は割愛しますが、この大きな離反により50名を超える中心人物達が立て続けにスタジオを退社し、うち20名以上がRespawn Entertainment入りを果たすなど、当時非常に大きな話題として報じられました。

(当時としては)およそビデオゲーム的とは言えないある種の思想や時代性、コンセプトを生んだ野心的な中心人物達を失うこの大きな空洞化が、その後混迷するキメラ化から最新の再編にまで至る数奇な変遷の直接的な要因だったと言えます。

キメラ化した中期“Infinity Ward”の動向

前述した初期“Infinity Ward”の崩壊を経て、シリーズの製作総指揮を務めたMark Rubin氏を新たな中心に据えた“Call of Duty: Modern Warfare 3”と“Call of Duty: Ghosts”の開発時期をここでは便宜上、中期“Infinity Ward”とします。

“Call of Duty: Modern Warfare 3”の開発時におけるInfinity Wardは、単なる人的リソースに留まらない空洞化を補塡すべく、Sledgehammer Gamesの協力を得て共同開発に臨みますが、同時にCoD Eliteを含む包括的なバックエンドの全てを2011年に新設されたBeachhead studioが担当し、UI開発やエンジニアリングサポートをRavenが、Wii版開発をお馴染みTreyarchが手掛けることで、当時はまだ2年サイクルだった中でスケジュール通りのMW3ローンチを果たしました。

その後、CoDシリーズ最大のヒットとなったBO2の成功を挟んで臨んだ新機軸“Call of Duty: Ghosts”は、Sledgehammer Gamesが水面下で始動していた現行の3年サイクルにメジャースタジオとして参入したことから、“Infinity Ward”のキメラ化がさらに進行。Infinity Wardはシングルプレイヤーキャンペーンと全体の統括を担当し、マップ開発を含むマルチプレイヤーパートをRaven SoftwareとCertain Affinityが、Infinity Ward版Zombiesとも言える新モード“Extinction”を旧Neversoftが手掛け、MW3と同様にバックエンド全般を担当するBeachheadに加え、ここにお馴染み“High Moon Studios”やDJ Heroシリーズで知られる英“FreeStyleGames”といったスタジオが参加し、“Call of Duty: Ghosts”を完成させたことが知られています。

また、この時期におけるもう1つの大きな変化に“Modern Warfare”シリーズの成功を支えたコミュニティストラテジストRobert Bowling氏がInfinity WardとActivisionを退社(2012年3月27日)したことに加え、2012年5月12日にIGNと1UPのコミュニティマネジャーを務めていた“Tina”ことChristina Palacios女史が新たなコミュニティマネジャーとしてInfinity Ward入りを果たし、今もフロントマンとして活躍していることが挙げられます。(※ 現在のポジションはマルチプレイヤープロダクションコーディネーター)

巨大スタジオとして生まれ変わった新生“Infinity Ward”の現状

前提となる経緯のご紹介が長くなってしまいましたが、結果的に言えばこういった変遷を経て2013年11月にローンチを果たした“Call of Duty: Ghosts”以後のInfinity Wardがまさに現在の新生“Infinity Ward”だと言えます。

まずCall of Dutyシリーズ全体の大きな転機とも言える1つの変化として、2014年2月に発表された3つのメジャースタジオを軸とする新しい3年サイクル化が正式にアナウンスされ、現在のInfinity WardとTreyarch、Sledgehammer Gamesによる3年スパンの開発体制がここで初めて誕生しました。

さらに、僅か3ヶ月後の2014年5月上旬には前述したキメラ化を収束する取り組みの一環として、Tony HawkやGuitar Heroシリーズ、Gunといった作品を手掛け20年の歴史を持つ“Neversoft Entertainment”と“Infinity Ward”の統合が報じられ、7月の大規模な再編を経てActivisionがスーパースタジオと呼ぶ新生“Infinity Ward”が誕生。この大きな統合を経て、ActivisionのVPを務めていたDave Stohl氏とSteve Ackrich氏が現在のCEOとスタジオヘッドを務める新体制に移行し、旧Neversoftの経営陣がActivisionを退社したことが判明しています。

スタジオを支えたMark Rubin氏の退社

一方シリーズの製作総指揮を務め、中期の混乱を支えたフロントマンMark Rubin氏はこの間、表舞台に立つことはなく、水面下でリタイアに向けた準備を進めており、2015年3月中旬に退社を報告。ビデオゲーム産業そのものに距離を置いたことが明らかになりました。

さらに、この同時期2015年3月には、2015, Inc.時代からVince Zampella氏やJason West氏らと共に初期Infinity Wardの誕生と成功を支え“Call of Duty 4: Modern Warfare”と“Modern Warfare 2”のリードデザイナーを務めたものの、その後Respawnへと移籍していたベテランTodd Alderman氏が古巣であるInfinity Wardへと一時的に復帰。現状のInfinity Wardがクールなコンセプトを持つスタジオへと生まれ変わっていると語り、新たなコアメンバーの参加に注目が集まる状況となっていましたが、その後4ヶ月でInfinity Wardを退社し、その後再びRespawn入りしたことが報じられています。

元Naughty Dogのベテラン達が“Infinity Ward”の要職に就任

また、Neversoft統合後の“Infinity Ward”は、意欲的な雇用も平行して進めており、新作の中心的な役割を果たすであろう新たな才能として、“Uncharted 2: Among Thieves”の著名な列車シーケンスを生んだことで知られるNaughty DogのリードゲームデザイナーJacob Minkoff氏に加え、12年に渡って同じくNaughty Dogのナラティブデザインリードを務めたベテランTaylor Kurosaki氏を雇用。Jacob Minkoff氏がInfinity Wardの新たなデザインディレクターに、Taylor Kurosaki氏がナラティブディレクターに就任したことが判明していました。

さらに、2015年10月には同じくNaughty Dogで“Uncharted”シリーズや“The Last of Us”のフロントマンとして活躍したコミュニティストラテジストEric Monacelli氏がInfinity Ward入りを果たしており、スタジオのブランド戦略やマネジメント、コミュニケーションを統括する新しいコミュニケーションディレクターに就任しています。

こういった統合・再編と人材の強化を経て、全く新しいスタジオに生まれ変わった新生“Infinity Ward”ですが、1つ大きな不在として、初期のVince Zampella氏とJason West氏、そして初期から中期の成功を支えたRobert Bowling氏、混乱期を維持したMark Rubin氏といったポジションを担う、スタジオの精神的支柱が挙げられます。

順当に行けば、2016年5月前後には新作の存在と共に初の本格的なお披露目が果たされるであろう“Infinity Ward”の新体制ですが、来る新作のコンセプトを果たして誰が率いることになるのか、フランチャイズを象徴する名門の確固たる復活と長きに渡って続いた混迷の払拭に大きな期待が掛かるところです。

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