今年の4月、海外のゲーム情報サイトに送られた郵便物から始まった「Call of Duty: Black Ops」のARG(代替現実ゲーム)的なバイラルサイト”gknova6.com“(※ 現在はゾンビモード紹介のティザー)の謎。これまでdoope!では、そこから始まった暗号の解読と明らかになった情報を段階的にお知らせしてきました。
先日遂に巨大なローンチの記録と共にCall of Duty: Black Opsがリリース、所謂”ハリウッド大作映画的”でド派手な展開を盛り込んだ新時代のAAAタイトルに相応しいキャンペーンが我々の前に姿を現しました。
しかし、ハリウッド的でテンションの上がる表面的な展開の裏には、これまで以上の暗号や多くの謎が含まれる物となっており、トレーラーなどで語られた”嘘は嘘だ”の言葉や、歴史の表舞台には決して登場しない”Black Ops”(黒い任務)のタイトルに相応しい複雑怪奇な物になっている事が明らかになりました。
前回の記事ではいよいよ本編にまつわる暗号解読を開始、今回はその続きをお知らせしていく訳ですが、解読の内容は前回も強くお知らせした通りキャンペーンを一度終えた方を対象にした物で、エンディングの内容や隠された要素など強いネタバレ要素を含む内容になっています。未プレイの方やプレイ途中の方に対しては本作の楽しみを決定的に奪ってしまう内容になっていますので、一度キャンペーンを終えて閲覧する事をお勧めします。
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さて、ここから暗号の解読を進めていく事になりますが、まず前回新たに明らかになった内容を含め、現在色々と調べている状況で判明している事や不明点などの量から鑑みると、どうもこれまでお知らせしてきた以上のボリュームになりそうな状況にあり、かなり長く続ける連載記事になりそうな雰囲気ですので、一度要素の整理を行った上で今回の暗号解読に進みたいと思います。
前回の記事ではミッション開始時に表示される概要に暗号が含まれており、そこからは本編で語られたレズノフの死が実際には確認が取れておらず、どうやら生きているらしい事が明らかになりました。
また、同様に各ミッション概要に記された時系列の整理を行い、詳細は省きましたがゲーム内でケネディ大統領が史実通りに暗殺されている事を差し込むと、エンディングで描かれたメイソンによるケネディ大統領暗殺の示唆自体が一種の差し替えトリックである事が判りました。これ以外にキャンペーン本編には存在が感じられなかったイルミナティやMJ-12、Area 51といった、陰謀論や様々なゲームでお馴染みの秘密結社などの関連も見受けられる事を予告して記事を締めました。
先に今回の記事での結果をお知らせしておくと、暗号は多数登場するものの解決には一切至っていません。むしろその糸口を捜すだけで要素が多方面に展開してしまい、収拾が付きかねない状況に陥っています。
ここで一旦、今後の暗号解読における進行を整理する為にBlack Opsの謎について大きな要素を書き出し、大量の情報をある程度カテゴライズしながら進めていきたいと思います。現在の所、大分類は以下の様になると考えています。
- ゲームのオープニングやエンディングを含め、数列や文字列で直接”暗号”として登場する暗号の解読
- ケネディ大統領の暗殺に関連する謎
- レズノフの生死、またその素性に関連する謎
- GK NOVAに関連する謎
- メイソンの出生や行動に関する謎
- メイソンに対する洗脳の内容と、それに絡む人物と目的
- CIA内部の軋轢やスパイ、二重スパイの存在
- ハドソンやシュタイナー博士等、各登場人物に纏わる謎
- 各登場人物の相関関係や利害関係
- 時系列の整理
- キャンペーンモードに絡む内容とゾンビモードに関連する情報の線引き
- CIA以外に登場する組織や団体に関連する謎
今後進めていく解読が大枠でこれらの何れかに分類される物とご理解頂くと、1つの謎が生む巨大な関連性により事態がさらに複雑化する事がある程度緩和されるのではないかと思います。
という事で、まずは本作をプレイするに当たって最も表だって描かれる暗号として、本作の初回起動オープニング時とキャンペーンのエンディングに登場する正体不明の女性が読み上げる数字の暗号に目を向けてみます。その内容をテキストに起こすと以下の様になっています。
■ オープニング
ASCENSION
7 15 1 2 19 7 25 6 13 6 7 15 14 0
■ エンディング
・メモ用紙に記された内容
ASCENSION
7 15 14 12 22 1
5 15 1 2 19 7 25 6
13 6 7 15 14
・読み上げられる数列
0 11 24 11 1 7
19 20 10 14
2 3 19 0 8 11 22 21 5 17
・シーン変更後に読み上げられる数列
17 0 10 2 23 1 8 11 25 22 9 4 12 9 23 1 12 0 12 16 6 12 8 4 1 6 2 10 2 1
数列を見る限りその内容は判りませんが、数字全体を見る限り0から25の間で構成されており、前回同様これが恐らくアルファベットに置き換えられるのでは無いかと予想されます。という事で、0をaに、1をbにと置き換えていくと以下の様なテキストに置き換える事が出来ます。
■ オープニング
ASCENSION
7 15 1 2 19 7 25 6 13 6 7 15 14 0
H P B C T H Z G N G H P O A■ エンディング
・メモ用紙に記された内容
ASCENSION
7 15 14 12 22 1
H P O M W B5 15 1 2 19 7 25 6
F P B C T H Z G13 6 7 15 14
N G H P O・読み上げられる数列
0 11 24 11 1 7
A L Y L B H19 20 10 14
T U K O2 3 19 0 8 11 22 21 5 17
C D T A I L W V F R・シーン変更後に読み上げられる数列
17 0 10 2 23 1 8 11 25 22 9 4 12 9 23 1 12 0 12 16 6 12 8 4 1 6 2 10 2 1
R A K B X B I L Z W J E M J X B M A M Q G M I E B G C K C B
アルファベットへの置き換えを行ってみたわけですが、どうにも意味を持つ文字列には見えず、恐らく別のアプローチが必要だと考えられます。
まず、この放送が一体何であるのか?本編から推察出来る事は、これがドラゴヴィッチを始めとした敵勢力が放送している内容である事、そしてその放送の存在はCIAも認識しているが、発信場所の所在が判らない事、そしてこの放送がアメリカ本土でのNOVA6ガス広域散布の引き金になると考えられている事、そして唯一手がかりになりそうな要素として、前回イメージで紹介した暗号を発信する女性の手元に意味ありげに置かれたケネディ大統領の著書”Profiles in Courage”の存在が挙げられるかと思います。
そこで、一旦視点を変え、関連する情報が無いか本編の中に目を向けてみます。まずは多くの情報が集中して掲載されているINTELから調べてみると14ミッション目のINTEL”Revelations”に女性の暗号放送に関する以下の様な記載が発見できます。
これらINTELに掲載されている多くの資料はCIAの機密文書で、該当書類は1962年10月7日にAPLAA(※ CIAの内部組織”The Office of Asian Pacific, Latin American, and African Analysis”の略名)のチーフアナリストRyan Jacksonが報告したキューバから発信される暗号の解読を試みた件について記された物。
書類の該当部には女性の声で暗号が読み上げられている事、この暗号がKGB(※ ソ連国家保安委員会:ソ連時代の情報機関/秘密警察)が使用するone-time pad(ワンタイムパッド)暗号である事が記されています。さらにCIAではAcca博士による解析チームがこの暗号の解読に取り組んでいる事も併記されています。
このワンタイムパッド暗号について調べてみると(参考リンク:Wikipedia)、この暗号方式は乱数鍵を使用して解読する暗号で、どうやら女性が読み上げる暗号の解読には鍵として機能する文字列を得る必要がある事が判ります。
という事で、この暗号を解くための”鍵”を見つける必要が出てきた訳ですが、残念ながら手がかりは皆無に等しく、INTELを始めとしたゲーム内から得られる情報をつぶさに調べていく必要がありそうです。ここで、一旦ゲーム内に山積する大量の情報に目を向けてみる事にします。
まず整理する必要がある情報源としてゲーム内のミッション中にINTELを集める事で閲覧可能になるINTEL(機密情報)の存在が筆頭に挙げられますが、実はCall of Duty: Black Opsにはもう一つ今後の解析の鍵を握る重要な情報源としてプレイヤーがアクセス可能なコンピューター端末の存在があります。
既にご存じの方も多いかと思われますが、Black Opsはメイソンが拘束されたメインメニュー時、Xbox360はLTボタンとRTボタン、PS3はR2ボタンとL2ボタン、PC版はスペースキーと右クリックを長押しする事で拘束具を外し部屋の中を移動可能になります。
この部屋の中には一台のコンピューターが用意されており、このコンピューターでDead Ops Arcadeというアーケードライクな見下ろし型シューターゲームや懐かしいテキストアドベンチャー”Zork”がプレイ出来る事が知られています。
前述の通り、既にこのPCの存在と基本的な使用方法については多くの方がご存じだと思いますが、一先ず今後の流れと物語的な背景、そして暗号解析の過程を楽しんで頂く為にもさらっと一通りの説明を行った上で勧めていきたいと思います。
近年のWindowsやMac OS、Linuxを始めとしたコンピューター用OSの多くはGUI(グラフィカルユーザインタフェース)による直感的な使用(アイコン等のグラフィック要素が操作結果を想起させるなど)が可能ですが、かつてのコンピューターはコマンドライン(キャラクタユーザインターフェースとも)式のオペレーションが必要で、コマンドを知らないと動かせない敷居の高い物でした。
蛇足ですが、近年のOSやアプリケーションの操作で利用される事が増えてきたインクリメンタルサーチやモダンなエディタなどで見られる入力支援といったインターフェースは、コマンドを知っていればGUIよりもスピーディなオペレーションが可能になるコマンドラインの利点を進化させた物だとも言えます。
という事で早速アクセスしてみると、このコンピューターはCentral Intelligence Agency Data systemと呼ばれる物で、その名称からCIAのデータシステムである事と、かつてのDOSやUNIXライクなOSである事、USERとPASSWORDと記されている事から利用者にはユーザーアカウントが必要である事、そしてデフォルトの状態でメイソンがユーザーとしてログイン済みである事が判ります。
まずは利用可能なコマンドを調べる為に”help”を実行してみると、以下の様なコマンドリストが表示され、ディレクトリを移動する為の”cd”(change directoryの略)コマンドや、ディレクトリの中身を閲覧する”dir”コマンドなどかつてのdosを思わせるコマンドが用意されている事が判ります。
さらにユーザーリストを閲覧する”who”コマンド、別アカウントでログインする為の”login”コマンド、メール閲覧用の”mail”コマンド、いかにも暗号に関連しそうな”decode”と”encode”コマンドなどが用意されている事も確認出来ます。
どうやら別アカウントにログイン出来そうな雰囲気なので、whoコマンドでどんなユーザーが存在するのか確認すると、以下の様な20名分のユーザーアカウントが表示されます。
これらのアカウント名からは聞き覚えのない多くのユーザーが見受けられるものの、ハドソンやウッズ、ニクソン大統領やケネディ大統領など、本編の登場人物に違いないであろうユーザー名がいくつか確認できます。しかし現段階では別アカウントでログインしようとしてもパスワードが判らない事から、今度は新たにそれぞれのパスワードを捜す事も必要になってくる事となります。
という事で、まずはメイソンのアカウント権限内で調べられる内容を当たる事になるわけですが、これをつぶさに記載していくと記事の量がとんでもないサイズになってしまい、記事の冒頭部分でも述べた様に際限なく謎が拡がってしまうので、今回は直近で必要になりそうな情報の提示に留めて先へ進めます。
まずやれる事はdirコマンドでフォルダやファイルの構造を掴む事、そしてメールの確認となる訳ですが、先にディレクトリの構造を確認してみると奇妙な事が発見できます。
上に掲載したイメージはメイソンに用意されたディレクトリからhomeディレクトリに移動した状態で内部ディレクトリを確認した物で、そのディレクトリ名からは前述のwhoコマンドで表示したユーザーアカウントと一致しており、アカウント毎のディレクトリが用意されている事が判ります。
しかしその数を数えてみるとディレクトリの数は23、ユーザーアカウントの数は20、この差は何を表しているのか、今後新たに登場する謎の布石となる要素かもしれません。さらに今回の謎には直接関係しないので詳しい言及は避けますが、rootまで移動するとbinディレクトリも用意されており、そこからはヘルプで表示されない全てのコマンド群が確認出来ますので興味のある方は覗いてみては如何でしょうか。
コンピューターを調べているだけでも怪しげな事が次々と噴出しキリがありません。という事でさっくりメイソンのメールの中身を確認してみると、リスト表示の段階で衝撃的な内容が表示されます。上に掲載したイメージがメイソンのメールボックスに届いているメールのリストな訳ですが、時系列順に並べられたメールの最下部には1978年7月4日にハドソンから送られたメールが表示されています。
前回の記事ではケネディ暗殺の検証を行う為に時系列の整理を行いましたが、本編の中でメイソンが尋問を行われていたのは1968年の2月25日まで、25日の23時にハドソンがこの尋問室に入室し、最後の2ミッションに進む事となります。しかしここで1978年のメールが届いているという事はメニュー時の時系列が既に本編の時系列と一致していない事を意味します。
いい加減地味な内容が続いているので、この不可思議な時系列の問題を含め、メール本文については次回以降の調査に回したいと思います。
メールの件は一先ず後回しに、メイソン用アカウントのディレクトリに存在するファイル一覧をdirコマンドで調べてみると、上に掲載した様なファイルが存在している事が判ります。ここには幾つかのイメージと共にテキストファイルが存在しており、前回の記事で名前を挙げたシェークスピアの最も残酷な作品”タイタス・アンドロニカス”の脚本やイギリス浪漫派の詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの14行詩”オジマンディアス”の文面も並んでいます。
これらの詳しい分析も今回は後回しにして、一先ず嬉しい内容が記されているテキストファイル”notex2.txt”の中身についてお知らせしておきます。
このテキストは“X”と名乗る人物からメイソンに送られた物で、日付はまたも1978年7月4日、なんとクラフチェンコを道連れに爆死したと思われたウッズが生きており、ベトナムのハノイにある捕虜収容所”ハノイ・ヒルトン”に唯一残されたアメリカ人として生存している事が記され、Xはメイソンがこの事を知っているべきだと考え知らせた旨が明かされています。
なお、このハノイ・ヒルトン収容所は2008年のアメリカ大統領選挙でオバマ現大統領と争った共和党のジョン・マケイン上院議員が5年半に渡って捕らわれていた事でも知られています。
前回時系列の整理を行った際にケネディ大統領が史実通りの日時に暗殺されており、キャンペーンのエンディングの実際の日時はミッション4の僅か5日後である事をお知らせしました。この事がBlack Opsにおいて意味する事や、その後のメイソンの行動、そしてケネディ暗殺の犯人は本当にメイソンなのか、これらの要素は今後の謎の大きな要素の1つとなる事に間違いありません。
ここでは一先ずキャンペーンの内容から実際にケネディ暗殺が史実通りに起こった事が確認できるイメージを次回以降の準備として紹介しておきたいと思います。ここに掲載した一連のイメージはバイコヌール宇宙基地が舞台となったミッション4″Executive Order”を終え、ミッション5のロード時に流れるムービーに一瞬だけ映るイメージのスクリーンショットです。
このロード映像では1963年にケネディ大統領が暗殺された事がキャプションで記され、リー・ハーヴェイ・オズワルドが11月22日の暗殺当日にダラス警察によって逮捕されている事がはっきりと描かれています。
さらにキャンペーンで何度も目にする事になる尋問室のモニターや、メイソンがペンタゴンでケネディ大統領に謁見する際に軽いフラッシュバックと共に突然不吉な映像に切り替わる壁面のモニター群には左記の人物の映像が差し込まれます。
この映像に映る人物は左が前述のケネディ大統領暗殺犯とされるリー・ハーヴェイ・オズワルド、そして右の人物がオズワルドが逮捕された2日後、1963年11月24日にダラス警察署の地下でオズワルドを射殺したジャック・ルビーの写真であり、暗殺事件に纏わる出来事がゲーム内でもほぼ史実通りに進行している事が判ります。
なお、彼ら2人の背景も今後の解析に深く関わる事になりそうですが、逮捕後の彼らは”洗脳されていた”との発言や”自分は身代わりだった”など不可解な証言を行っている事が知られています。
今回の解読記事では”鍵”を発見する為の解決に至らず、謎がいたずらに拡散するだけで終わってしまいましたが、実は次回以降もしばらく同様の状況が続く事になります……。拡がる謎の回収を始められるのはまだ先になりそうですが、次回はさらにこのカオスな拡がりを楽しむ為の準備とも言える番外編をお届けします。
次回の番外編ではCall of Duty: Black Opsのリリース以前にファンサイトに届けられながらも、あまりの難解さと関係の見えなさで解析が遅々として進まなかった暗号資料の考察をお届け。Black Ops本編と直接的な関わりは描かれない第二次世界大戦中のドイツ・ナチス関連の情報を中心に、これに絡むソ連とアメリカの関係など、Black Opsのまるで深い闇の様な世界背景に迫る”大きな物語”の一旦とそれぞれの深い関係性が垣間見える興味深い内容となりますのでお楽しみに!
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