先日Rockstar Gamesの公式サイトにて「L.A. Noire」の開発における1940年代のロサンゼルスをゲーム内に構築するためのプロダクションデザインにスポットを当てた記事が掲載、古き良きノワール作品が持つテイストの再現に注力する非常に興味深い内容となっています。なお、今回の記事はプロダクションデザイン紹介のパート1となっており、今後幾つかのパートに分けて解説が進められる事が明言されています。
Team BondiはL.A. Noireの開発にあたって、深く暗い1940年代のロサンゼルスを非常に正確な状態で再構築する事で、プレイヤーをゲームに没頭させようとしており、以前にはこの為に大学や図書館から当時の資料を多く入手しただけで無く、eBayやSears、House and Gardenと言った販売サイトなどから古い雑誌を多く購入している事も報じられていました。
1回目となる今回はロケーションとセットに言及した内容で、Team BondiのプロダクションデザイナーSimon Wood氏が手掛けたロサンゼルスのホテルでのロケーションとキャラクターを含むシーン構築が例として紹介されています。
写真左:ゲームのカラーパレット決定に使用された1940年代に発行された本物の布見本。
写真中央:Team Bondiがロサンゼルスで広範囲に行ったロケーション撮影の中から選ばれた歴史的なバークレーホテルの廊下
写真右:これらのマテリアルを直接参照し出来上がった、L.A. Noire内の暗く危険なロケーション
これらのデザインにあたってTeam Bondiのリードアーティストを務めるBen Brudenell氏とSimon Wood氏はロサンゼルスに赴き、グラマラスなレストランから薄汚いどや街のホテルを始め、主人公Phelpsが訪れる多くのロケーションで数え切れない程の資料写真を撮影し、ゲームに申し分の無いリファレンスとなるロケーションを発見したとのこと。
特に前述のバークレーホテルはレプリカと呼べる程のインゲームでの再現が行われており、Ben Brudenell氏はホテルの全てを採寸可能な様に写真を撮影した事が記載されています。
こういったプロセスを経て仕上げられたゲーム内のロケーションはインテリアと外観ともに、注意深くリサーチされたリファレンスのマテリアルと巧妙なインスピレーションを混ぜ合わせ作られたもので、実際に存在していた建築物とTeam Bondiが手掛けたロケーションの差が全く判らない様に構築されているとのこと。
なお、撮影から漏れた付加的なマテリアルは前述のヴィンテージ雑誌などが参考にされており、Simon Wood氏は1940年代の建築学資料や、シアーズカタログ(※ 1886年から続くアメリカの代表的な老舗カタログ販売業者シアーズ・ローバック社の通販雑誌と思われる)、インテリアの装飾ガイドなどを利用した事を明かしています。
さらにWood氏はゲームの中に登場する全ロケーションのスタイルガイドとなるプロダクション・バイブルを作成した事を明かし、このバイブルには各ロケーションの間取り図、マテリアル、ドレッシング、グラフィックス、サイネージ(看板の意)、ライティングのディテール、撮影したリファレンス用イメージがそれぞれ掲載され、140以上のロケーション全てをこのプロダクション・バイブルに則って作成した事を伝えています。
Team Bondiはこれらを元に、ゲーム内に登場する全てのロケーションをゲーム内で只1つのユニークな物として存在させるという気が遠くなる様なチャレンジに取り組んでいる事が記されています。
さらに、これらを実現した上で、ロケーションの建築様式とカラーパレットがTeam BondiのボスであるBrendan McNamara氏が書いたキャラクター設定にしっかりマッチしているかを調べるチェックリストが存在しており、キャラクター達のペルソナが周囲のデザインにも反映される様に配慮されているとのことが明かされています。
以上、あらゆる意味で尋常でない夥しい手間が費やされている事がありありと感じられるL.A. Noireですが、やはりこれら執拗な作業の積み重ねこそが、目に見えないテイストの演出を十分に補足している事は間違い無く、続くパート2の登場にますます期待が高まります。Rockstar Games恐るべし……!
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