今年2月にIrrational Gamesを15人にまで縮小するレイオフを敢行し、小規模なチームで高いリプレイ性を持つナラティブドリブンなデジタル配信タイトルの開発に取り組んでいるお馴染みKen Levine氏が、今年9月にローンチを果たし非常に高い評価を獲得したMonolith Productionsの新作「Middle-earth: Shadow of Mordor」を賞賛するレビューをMediumにて公開。ダイナミックな“Shadow of Mordor”のネメシスシステムが、予てからKen Levine氏が掲げてきたプロシージャル、もしくはレゴブロックのような構成のナラティブが幕を開けた革新的な作品だと述べ、現在開発を進めている新作やスタジオについても興味深い言及を見せています。
“Shadow of Mordor”のネメシスシステムは、プロシージャル生成された固有名と外観、個性を持つオークと、オーク達の社会的なヒエラルキー構造をベースに、プレイヤーがとった行動を“記憶”したオークがそれぞれに動的な反応や行動を取るダイナミックなシステムで、“Shadow of Mordor”に類を見ないバリエーション豊かな展開と体験をもたらしていました。
“Shadow of Mordor”がまるで“トルーキンとArkham City、ハムレットが1度に相見えたようだ”と語ったKen Levine氏は、根本から新しいナラティブのフォームをこういった形で見ることになるとは思わなかったと述べ、ビデオゲームにおけるストーリーはせいぜいが“選択”の幻を持つに留まり、ひいては“選択”が全くない場合も見られると説明し、BioShockにおける重要なワード“Would you kindly”を挙げ、プレイヤーが本質的な“選択”を手にしていなかったことを改めて強調しています。
前提として、CivilizationやXCOM、Minecraftといった作品がゲームプレイに“選択”の要素をはっきりと持っていることを挙げたKen Levine氏は、“Shadow of Mordor”や自身が提唱するプロシージャル/レゴナラティブな要素が、あくまで小説や映画、TVドラマ等に相当する伝統的なストーリーの構築を目的にしたもので、大量の分岐と複雑なダイアログツリーを持ち、Ken Levine氏自身も深く愛するDragon Ageでさえ、この観点においては真にプレイヤーが駆動するナラティブは提示していないと説明。
一方、Ken Levine氏は重要なキャラクターの死やミッションの失敗に対して、キャラクターのプロシージャル生成とシステムによる動的なストーリーパスの修正で対応し、物語を破壊しない“Shadow of Mordor”はまるでチェスとハムレットの邂逅のようだと語り、ハムレットは言い過ぎたとしても、これが真にダイナミックなナラティブの始まりであることに違いはないと強調しました。
ビデオゲームの歴史において、“Super Mario 64”と“Grand Theft Auto III”が所謂現代的な“オープンワールド”ゲームの扉を開き、プレイヤーをリニアなプログレッションの枷から開放したと語った氏は、“Shadow of Mordor”が初の“オープンナラティブ”ゲームだと明言。1ゲーマーとしてだけでなく、デザイナー、ライターとしても“Shadow of Mordor”の登場に感謝すると語り、ゲームのみが提示しうる新たなストーリーの実現に向けた一歩だと作品の重要性をアピールしています。
なお、Ken Levine氏は現在自身がプロトタイプ開発を進めている作品のナラティブにまつわる動的なシステムが、まさに“Shadow of Mordor”的なリプレイ性や強力な適応性を持つ柔軟なストーリーを作ることを目的としていることを改めて強調しているほか、2Kを含め予てからはっきりとした説明が避けられていたIrrational Gamesと自身の動向について言及しており、現在新作の開発を進めているスタジオがIrrational Gamesではなく、Ken Levine氏と数名の同僚によって構成される“まだ名前を持たない新スタジオ”であることを明言しています。
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