いよいよスタートした今年の”D.I.C.E. Summit”ですが、以前にお知らせした5名の殿堂入り(Hall of Fame)開発者が集う基調講演が予定通り行われ、近年のゲーム業界に見られる変化や気になるゲーム、そして驚きの失敗談まで、多岐に渡るディスカッションが繰り広げられました。今回はそのキーノートの内容をダイジェストでご紹介します。
まず、会場に登場した5人は過去4年間の殿堂入り開発者で、BlizzardのCEOを務めるMike Morhaime氏、RTSジャンルの革新を成し遂げたBruce Shelley氏、マーブルマッドネスの開発で知られるMark Cerny氏、お馴染みBioWareのボスRay Muzyka氏とGreg Zeschuk氏の5人。さらにNYタイムズのゲームジャーナリストSeth Schiesel氏が司会を務めています。
- Mike Morhaime氏:Blizzard Entertainment設立者の1人で現CEO、World of Warcraftの開発にも貢献し、DiabloとStarcraftの開発に直接関与した事でも知られ、10年間に渡ってBlizzardのグローバル化を実現した人物でもあります
- Bruce Shelley氏:Age of Empiresシリーズの成功に大きく貢献した人物で、1999年にはPC Gamerから”25人のゲームゴッド”の1人に選ばれ、2002年にはGameSpyが選ぶゲーム産業で最も影響力のある開発者の1人に選出、現在はZyngaのコンサルタントや、UbisoftのSettlers 8への関与でも知られています
- Mark Cerny氏:30年間に渡ってゲーム開発に携わるCerny Gamesの社長で、マーブルマッドネスを始め、Sonic the Hedgehog 2、Ratchet and ClankやUncharted: Drake’s Fortuneにまで取り組む人物
- Ray Muzyka氏とGreg Zeschuk氏:お馴染みBioWareの創設者である2人、海外ではドクターの名で知られ、プロデュースを手掛けたタイトルはBaldur’s Gateシリーズ、Neverwinter Nights、MDK2、Star Wars: Knights of the Old Republic、Jade Empire、Mass Effectシリーズ、Sonic Chronicles: The Dark Brotherhood、Dragon Age: Originsなどお馴染みのタイトルばかり
5人のパネリスト達は今後のゲーム産業の展望について、ソーシャルゲーミングとプレイヤー間の新しいインタラクションがゲーム産業に大きな変化をもたらすとの見解で合意しています。
そして現在の閉塞的な状況と景気の後退にも関わらず、5人は今がスタジオを開始する事に大きく適したタイミングだと発言、近年顕著な小さなチームによる完全なゲーム体験を提供するタイトルが登場している潮流は、良いゲームの開発が既に大手開発だけが実現できる特別な物では無いと語りました。
■ Mark Cerny氏のケース
Cerny氏は初代”クラッシュ・バンディクー”の開発当時を振り返り「我々は頭がおかしくなっていた」と発言。
12時間程度のボリュームに対してプレイヤーに5つのライフしか与えなかった事が失敗だったと明かし「それは実にオールドスクールだった。1996年にもなってなんでそんな事をやってしまったんだろう……自分でもよく判らないんだ」と語りました。
■ RTSの父Bruce Shelley氏の場合
Bruce Shelley氏が挙げたのはやはりシリーズにトドメを刺してしまったAge of Empires 3でした。氏はチームがあまりにも多くの新要素を盛り込みすぎたと振り返り、タイトルは脱線してしまったと発言。
子供がテレビの番組をせわしなく変える様子に例え、Age of Empires 3は「Ageゲームでは無かった」と評価しました。しかし、それが例え違ったゲーム体験だったとしてもプロダクトをリネームしたくは無かったと当時を振り返っています。
■ RPGマエストロGreg Zeschuk氏は……
Greg Zeschuk氏は今から12年ほど前に、なんと映画「Five Fingers of Death」とBaldur’s Gateを組み合わせたアドベンチャータイトルを作ろうと考えて居た事を明かし、そのプロモーション映像を作成したと発言、予算が無かった事からFive Fingers of Deathのシーンを編集し数週間に渡って自らアフレコを行ったと打ち明けました。
それをInterplayに提出した際、彼らがこれを一笑に付しビルから追い出された事を今でも思い出すとのこと。黒歴史すぎる……。
ちなみに上に掲載した”Five Fingers of Death”(1972年)のトレーラーはZeschuk氏が携わった映像ではありませんが、”キル・ビル Vol.1″の元ネタの1つであり(※ 青葉屋での死闘!)、ブライドの必殺拳”Five Finger Death Punch”もこれに由来する物です。
■ Mike Morhaime氏の場合
Mike Morhaime氏は初代StarCraftのリリースを控えた、開発が終了に近い段階で大きなディレクションミスを犯した事を打ち明けました。
1998年3月31日にリリースされた初代StarCraftの開発が大詰めを迎える頃、先にリリースされていたWestwoodの初代Command & Conquerはシングルクリックを用いたスマートでセンシティブなインターフェースを実装済みでした。この洗練されたインターフェースについてBlizzardのデザイナーがStarCraftにもこれを導入する必要があると提言、しかし開発を率いていたMorhaime氏はこれに「ノー」と答え実装を認めませんでした。
しかしデザイナーがMorhaime氏にばれないようプログラマに根回しし、プログラマはMorhaime氏から隠れまわり2~3日でシングル右クリックによるコントロールの実装を完了、今も引き続き利用されている現在の操作体系が出来上がる運びとなりました。Morhaime氏はこれがかなりリスキーな出来事だったと述べながらも、自分が間違っていて本当に良かったと振り返っています。
Greg Zeschuk氏:CityvilleとFrontierville、プレイする事が容易する為に何が必要か確かめる為に良い方法だと語りました。
Ray Muzyka氏:Red Dead Redemption、小規模スタジオのゲームが流行の波を作っても、Rockstar Gamesはよりビッグなチームとよりビッグなプロジェクトの為の場所がまだ存在する事をはっきりと示したと述べ、全てのタイプのゲームをプレイする事は、開発者がより革新的なプロダクトを開発する事を助けると発言しています。
Mark Cerny氏:Flower、アイデアに対する大胆なコミットメント、そして美しい。ThatGameCompanyの次期プロジェクト”Journey”を楽しみにしていると発言しました。
Bruce Shelley氏:Frontiervilleと現実世界の生活、賢明かつ従事させること、ソーシャルゲーミングはこれまでにゲームをプレイした事が無い新しいオーディエンスにリーチする素晴らしい方法で、別のゲーム経験へのゲートウェイとしても機能すると評価しています。
Mike Morhaime氏:Blizzardタイトルのほとんど、氏はモバイルプラットフォーム全体を通じた友人との会話に多くの時間を費やしていると述べ、携帯電話は遂にゲーミングデバイスと考えられる様になったと発言。楽しいゲームは友人との相互作用において素晴らしいとモバイルプラットフォームの成長を示唆しました。
会場では様々な噂も飛び交うBioWareの新作MMO「Star Wars: The Old Republic」についても言及、これにGreg Zeschuk氏とRay Muzyka氏、そしてBlizzardのMike Morhaime氏が以下の様に語っています。
Greg Zeschuk氏:World of Warcraftは競合としてタフで、それはMMOゲームの標準を確立しました。スター・ウォーズは巨大なライセンスで、これまでに”Knights of the Old Republic”の様な素晴らしい体験が得られる良質なゲームタイトルが生まれています。
“Star Wars: The Old Republic”をプレイする人は誰でも強大なヒーローの様に感じられるストーリーと表現を以て、これがBioWareゲームであると確かめるでしょう。既存のタイトルを打ち負かそうとはせずに、単純にこの宇宙の舞台を楽しんでください。
開発を通じてチームはサービスを運用する事の複雑な性質について学習しました。彼らは高い質を確実な物にしたいと考えています。
Greg Zeschuk氏:チームは過去の作品でマルチプレイヤーとサーバの経験を持っており、ベストで優秀な物を組み立てました。多くのローンチ前テストを行い、これまでに多くのポジティブなフィードバックを得ています。
Mike Morhaime氏:BioWareは素晴らしい、そしてスター・ウォーズは強いライセンスです。プレイが楽しい新たなMMOタイトルが市場に登場する事はジャンルにとって常に良い出来事です。
MMOタイトルがリリースされ、それが良くない場合に、MMOジャンルに不慣れなままで去る新しいプレイヤー達はもうMMOに戻ってこない可能性があり、それはMMOジャンル全体にとって役に立ちません。
Mike Morhaime氏がWorld of Warcraftチームの現状について発言、現在チームがWorld of Warcraft続編ではないソーシャルプロジェクトに取り組んでいる事を明らかにしました。
詳細は明かされていないながら、この新しい計画とWorld of Warcraftは共存可能なゲームだと発言、ギルドに所属する事で得られる社会的な経験は素晴らしいと述べ、他のプレイヤー達とこれを経験する時、ゲームはより楽しいと新プロジェクトの方向性を示唆しています。
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