小規模タイトルの強化や“World of Warcraft”チームの増員など、“Titan”をキャンセルした「Blizzard」が今後の展望に言及

2014年10月4日 19:18 by katakori
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「HearthStone: Heroes of Warcraft」

先日、7年に及んだ新作MMO“Titan”の開発に終止符を打ち、正式に計画の中止を発表した「Blizzard Entertainment」ですが、新たにPolygonがスタジオを率いるMike Morhaime氏やChris Metzen氏がスタジオの歴史や今後の展望について包括的に語るインタビューを公開。“World of Warcraft”以前と以降に大きく分けられたスタジオの歴史を経て、Blizzardが新しいアプローチを以て3番目の大きな時代に至る準備を進めていることが明らかになりました。

Blizzardの歴史における大きな時代の区分について語ったMetzen氏は、Silicon & Synapse/Chaos Studios時代の作品を経た、WarcraftとDiabloの誕生、続くStarCraftの爆発的な成功を経て生まれた“Warcraft III: Reign of Chaos”が非常に素晴らしい仕上がりだったと同時に、一連の流れを経てある種の頂上に登り詰めたと感じたことを明かし、同じ取り組みをさらに押し進めるビジョンを抱くことが出来なかったことを振り返っています。

これを機に、Blizzardは“World of Warcraft”を軸とする2つ目の時代に突入するわけですが、当時最もポピュラーだったEverQuestのサブスクリプションが50万を超えない状況下で、Blizzardは初年度の終わりまでに100万人のユーザーを獲得すると豪語。当初はクレイジーだとされたものの、2004年にローンチを果たした“World of Warcraft”は2005年の終わりに500万を超えるサブスクライバー獲得し、その後2010年の1,200万越えのピークに至るまで驚くような純増を続けました。

Metzen氏は、この新しい成長にあたって“Blizzard”が“World of Warcraftの成功におけるハイクラスの問題”と呼ぶ、プロダクトが想定以上の巨大な何かへと変容した状況下で生じるスタジオ文化や成長にまつわる複雑な問題に直面したことを挙げ、プロダクトのライフタイムやエントロピーに関する見解を提示。2つ目の時代における困難さが“World of Warcraft”以前と大きく変容していることを示唆しています。

こういった歴史を踏まえたMetzen氏は、Blizzardの開発チームが2000年代中盤のTitan始動以降、以下のような構成となっていたことを挙げ、現在のHearthstone誕生と新たな成功、今後の展望について興味深い見解を示しました。

  • チーム1:StarCraftシリーズに取り組む開発チーム、現在は“Legacy of the Void”を開発中。
  • チーム2:日々継続するWorld of Warcraftのコンテンツパッチや拡張パック開発に取り組む。
  • チーム3:Diabloフランチャイズのハンドリングを行うチーム。
  • チーム4:2000年代中頃に1998年以降初となる新IPの開発を担当した新チーム。後に“Titan”として知られる次世代MMOに取り組んだ。

ここまでが従来の所謂“World of Warcraft”を軸とするBlizzard第2の時代だと言えそうですが、今回のインタビューでは新たな時代の先触れとして、“HearthStone: Heroes of Warcraft”を生んだ小規模チームの存在が挙げられており、新入社員のプロダクションディレクターJason Chayes氏が率いる15名のチーム5(現在は30名規模に増加)が、かつてBlizzardに存在したどのチームよりも小さく、且つスタジオがこれまでに手掛けたことがないゲームを生み出すために結成されたベテランと新人の混成グループだったことが明かされています。

“HearthStone”の誕生を振り返ったMorhaime氏は、当時Blizzardの内部でさえ、誰もがこれを素晴らしいとは思っていなかったようだと語り、一部には“なぜこんなものを作っているのか、正気の沙汰とは思えない”といった声が実際にスタジオ内部で聞かれたことを明かしており、当のJason Chayes氏もHearthstoneをBlizzard内部に売り込むことがチーム5において最も大きな困難の1つだったと説明。

さらに、正式アナウンス後は多くのWarcraftプレイヤーが作品に疑問を呈しただけでなく、一部のメディアはBlizzardが時間を浪費していると批判。さらにはマイクロトランザクションに基づくF2Pモデルを“貪欲なまがい物”と呼ぶ評価にまで晒される事態となったものの、2013年6月に開始されたクローズドベータ入りを経て、疑い深いプレイヤーを説き伏せる状況が見られるようになり、9ヶ月間に渡って拡大されたベータは遂にTwitchとYoutube上で爆発的な視聴数を獲得。この事態を経て、ビデオゲーム分野の批評家達も“HearthStone”を受け入れる姿勢を見せ始めたことが挙げられています。

初心者から熟達したベテランプレイヤーまで、世界中のゲーマーを巻き込み、今年9月中旬には遂にプレイヤー規模が2,000万人を突破したことが報じられた“Hearthstone”ですが、Metzen氏は“Hearthstone”がこれほどまでの成功を収めるとは予想していなかったと語り、この作品が従来の巨大なリソースを投じた大作ではなく、ゲームに対する愛情で作られた小品だと改めて強調し、タブレットの台頭や“Hearthstone”のiOS対応が新時代の到来を象徴する変化だと説明。世界がその形を変えた場合には、スタジオがその変化にある種の理解や受け入れを示す必要があると語り、従来のモデルを肥大化させた“Titan”の終焉と“Hearthstone”の成功が新時代の幕開けを告げる兆しであることを示唆しました。

Blizzardの今後について触れたMetzen氏とMorhaime氏は、重要な要素として20年に渡るコミュニティとスタジオの関係を挙げ、Blizzard固有のファンコミュニティには、例え自身が興味を持たないゲームのジャンルであっても、Blizzardの作品であればプレイに至る傾向が確かに存在すると説明。普段トランプゲームをプレイしない人達が“Hearthstone”にチャレンジし、今後同様のケースとして、MOBAジャンルに敷居の高さを感じ距離を置く人々が“Heroes of the Storm”をプレイする機会が生じるだろうと語り、今後はBlizzardランチャーがさらなる訴求の鍵となることを明らかにしています。

こういった背景を踏まえ、両氏は今後Blizzardが“Hearthstone”や“Heroes of the Storm”のような小規模で実験的な取り組みに目を向けるだろうと説明する一方で、長年のファン達が愛するコアプロジェクトはこれまでと同様にサポートされ続けると強調。現在BlizzardがStarCraft IIの新拡張“Legacy of the Void”の開発を熱心に進めているほか、シーズンを開始した“Diablo III”も絶え間ない新コンテンツの導入が控えていることを明言。さらに、サブスクライバーが700万規模まで減少した“World of Warcraft”については、開発規模をさらに拡大させ、“Mists of Pandaria”のローンチ時に比べて50%増となった開発チームが既に次の拡張パックに取り組んでいるだけでなく、その後の展開に対するアイデアまで存在することを挙げ、従来の路線と新時代の到来に向けた両方の取り組みに注力することをアピールしました。

情報元及びイメージ:Polygon

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