無料ゲームの配布や独占契約に費やされた費用、Fortniteの収益を含む「Epic Games」の興味深い財務情報が裁判資料から浮上

2021年5月4日 23:05 by katakori
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「Epic Games」

昨年8月にモバイル版“Fortnite”の独自決済システムを巡る配信停止に端を発し、Epic GamesがAppleの反トラスト法違反を訴えた“Epic Games対アップル訴訟”ですが、数回の審理と反訴を経て、昨晩遂に本件の裁判がカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所にて開始され、世界中で大きな注目を集める状況となっています。

今回の裁判は、訴訟に対する関心が非常に高いことから、裁判所が特設ページを用意し、多数の裁判資料を開示しているほか、Zoomを利用した公聴会の配信や電話による一般参加者向けの傍聴も行われ、裁判の開始から20分近く電話会議参加者の音声がミュートできず、モバイル版Fortniteの解放を訴えるファンの叫びや雑談、Youtubeチャンネルの宣伝、生演奏まで飛び交う混沌とした状況となっていました。

そんな中、前述の特設ページに一時誤って2018と2019年におけるEpic Games及び2019年のEpic Gamesストアの財務情報が掲載され(現在は削除済み)、Epic Gamesストアの無料ゲーム配布や注目作の時限独占に費やされた費用、Fortniteの収益など、非常に興味深いデータが大きな話題となっています。

という訳で、今回はこの資料から明らかになった情報のハイライトをまとめてご紹介します。

■ Fortniteの収益

  • 2018年と2019年に計90億ドル(約9,820億円)を超える収益を記録。Fortnite自体の純利益は不明ながら、この2年間におけるEpic Games全体の利益は55億ドルを上回っている。
  • 2018年と2019年におけるFortnite以外のタイトルの収益は合計で1億800万ドルに留まっており、Fotniteの収益がいかに大きいかを示している。
  • 同期間におけるEpicのエンジンによる収益は2億2,100万ドル。
  • 2018年末にオープンしたEpic Gamesストアの同期間における収益は、累計2億3,500万ドル。
  • 資料における2020年の全体的な収益予測は36億ドルとなっているが、本日の裁判に出廷し証言を行ったEpicのCEO Tim Sweeney氏によると、現在のEpicには3,200名を超える従業員が所属し、2020年の売り上げは51億ドルに達しているとのこと。

■ Epic Gamesストアの無料ゲーム配布に費やされた費用

  • 今回の資料には、2018年12月14日に配布された「Subnautica」から、2019年9月26日に配布された「Everything」まで、Epic Gamesストアで配布された計38作品について、個別の買い付け価格やダウンロードしたアカウント総数、獲得アカウント数、ユニークアカウント1人当たりの獲得コスト、新規ユーザー獲得率など、詳細な情報がまとめられている。
  • Epicの報告によると、この38作品を買い付けに費やされた費用の総額は1,165万8,000ドル(およそ12億7,200万円)。
  • 最も高価なタイトルは、2019年9月19日に配布された「Batman: Arkham Collection」の150万ドル。1UAの獲得コストは2.44ドル。2位は最初に配布された「Subnautica」の140万ドル。
  • 最も安価なタイトルは、2019年9月26日に配布された「Metro 2033 Redux」の0ドル。次点は「RiME」の4万5,000ドルで、RiMEの1UA獲得コストは0.47ドル。
  • タイトルの買い付け価格には、それぞれに大きな違いがあり、その基準は不明ながら、以下のようなタイトルの価格(およびその差)が印象的だと言える。
    • Edmund McMillen氏の「The End is Nigh」:20万ドル
    • Annapurnaの「What Remains of Edith Finch」:12万5,000ドル
    • PlayDeadの「Limbo」:35万ドル
    • PlayDeadの「Inside」:80万ドル
    • Remedy Entertainmentの「Alan Wake」:15万ドル
  • 全体を見ると、インディー作品は概ね買い付け価格が安価で、UAコストも非常に低い。一方で大作は買い付けとUAコストの何れも高額となるが、獲得アカウント数の規模が大きくなる。
  • 無料ゲームを入手するためにアカウントを作成したユーザーのうち、実際にストアで何かを購入したユーザーは7%。このコンバージョン率が低いかどうかはさておき、新規ユーザー獲得の観点からのみ見た場合、時間と共にその費用対効果が逓減することは間違いない。(ただし、Tim Sweeney氏は現段階でEpic Gamesストアが利益を出していないことを認めており、収益が出始めるのは2027年頃だろうと予告している)

■ 「ボーダーランズ3」を含む独占契約について

  • PC版「ボーダーランズ3」の時限独占(2019年9月13日から2020年3月13日までの6ヶ月間)に掛かった費用は前金で1億4,600万ドル(約159億4,000万円)。この中には8,000万ドルの売上最低保障に加え、1,500万ドルのマーケティング費用、その他手数料、無料タイトルとして配布した“Borderlands Handsome Collection”と“Civilization 6”の購入費用が含まれる。
  • その後、「ボーダーランズ3」の発売から2週間で7,700万ドルを回収。156万人に達したプレイヤーのうち、53%がEpic Gamesストアの新規ユーザーだったとのこと。
  • また、今回の資料にはEpic Gamesストアの独占タイトルが多数掲載されており、今後“Dead Island 2”と“Saints Row 5”が独占販売作品になるのではないかと見られている。
情報元及びイメージ:PC Gamer, The Verge, The Verge

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