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先日、ビデオゲーム開発の舞台裏とそこに携わる人々に焦点を当てるドキュメンタリーやインタビューを専門に手がける“People Make Games”が、傑作“風ノ旅ビト”のプロデューサーを務めたカリスマ的なクリエイターRobin Hunicke氏率いるインディースタジオ「Funomena」のハラスメント問題を報告し注目を集めていましたが、新たに高橋慶太氏が開発を率いた“Wattam”でお馴染み「Funomena」の公式Twitterがスタジオ閉鎖の危機に瀕している状況を明かし話題となっています。

“Funomena”の公式Twitterは、GDCの直前まで投資ラウンドの完了に向けて取り組み、現在も積極的に動いているものの、資金調達がうまくいかない場合、スタジオを閉鎖せざるを得ない状況にあると説明しており、これからも愛するゲーム開発を続けていきたいと心から願っていると強調。何か機会があれば連絡が欲しいと伝えています。

一方、匿名の従業員から得た複数の告発を紹介したPeople Make GamesのChris Bratt氏は、“Funomena”が先週水曜の時点で全ての契約社員をレイオフし、今月末の閉鎖を決定したと説明。金曜に最後の給与が支払われ、多くの従業員が他の仕事を探していると伝えており、FunomenaやRobin Hunicke氏の確認が待たれる状況となっています。

余談ながら、Funomenaの問題は、“People Make Games”が既に広く知られている2つのハラスメント事例、Florenceを生んだMountainsのKen Wong氏（Monument Valleyのリードデザイナー兼アーティストとして活躍したカリスマ的人気開発者）及びGone HomeやTacomaで知られるFullbrightのボスSteve Gaynor氏（参考：過去記事）にまつわる問題を調査する経緯で、8人の元Funomena従業員から情報が寄せられ浮上したもの。

内容は何れもRobin Hunicke氏が従業員のセクシャリティや交友関係、トラブル、外見、健康状態を含む個人情報を他の従業員に明かしながら精神的なハラスメントを日常的に行っていたというものですが、ご存じの通りRobin Hunicke氏はビデオゲーム業界において多様性や包括性、男女平等を推し進める象徴的なリーダーであり、自身が偏見を持っていないという考えそのものが自身の偏見に目を向けず、自己検証をしない状況を作り出し、無意識に近い差別的行動としてハラスメントを繰り返していた背景や、人事部を持たない閉鎖的な環境の中で様々な軋轢や圧力が高まっていった経緯がまとめられています。

また、Ken Wong氏とSteve Gaynor氏、Robin Hunicke氏を巡る問題は、何れもパブリッシャーAnnapurna Interactiveのアプローチや対応、企業文化に対する疑念を生む事態となっており、ひいては「強い個性こそが優れたゲームを生む」という作家主義（がしばしば暴力や虐待を内包し、ある種の孤独や葛藤がまるでクリエイティブや大きな物語の一部であるかのように受け止められること）の根源的な問題、クリエイター自身がマネジメントを行うケースのトラブルなど、1スタジオの閉鎖に留まらない根深い問題を改めて広く提示する状況となっています。

Funomena was in the process of closing an investment round just before GDC, & we are still actively working to do so. Last week we let everyone know that if we do not successfully finish the fundraise, we will be forced to close the studio.

— funomena (@funomena) March 29, 2022

I'm absolutely gutted to report that Funomena is set to be closed by the end of this month, with all contractors already having been laid off as of last Wednesday.

This is an extremely sad end to the studio's story and I hope everyone affected is able to land on their feet.

— Chris Bratt (@chrisbratt) March 29, 2022

Leadership is a journey, and often a difficult one.

It saddens me to know people are hurting from mistakes I’ve made. I am truly sorry. Right now I’m taking time to talk to people, focus on the feedback everyone is sharing, and figure out next steps.

— Robin Hunicke (@hunicke) March 22, 2022