先ほど、5月中旬にロサンゼルスで開催された「バトルボーン」のプレE3イベントに参加し、ライブデモを含むプレゼンテーションやキャンペーンCo-opのハンズオンから明らかになった完全新作のディテールとインプレッションをご紹介しましたが、今回のプレビューイベントでは、“バトルボーン”のアイデアを生んだその人であるクリエイティブディレクターRandy Varnell氏と“Gearbox”のVPを務めるSteve Gibson氏から多くの興味深い話を聞くことができました。
という事で、今回は“バトルボーン”の第2弾レポートとして、作品の野心的なコンセプトや、Gearboxならではの特色とも言える大胆なハイブリッドデザイン、多彩な要素を盛り込んだ“バトルボーン”誕生の背景、予てからトピックとして挙げられる“MOBA”要素に対する見解、プログレッションに大きな変化をもたらした新作ならでは特徴など、気になる話題が多く飛び出した開発者インタビューをまとめてご紹介します。
Randy Varnell氏:
どうも!私はRandy Varnell、「バトルボーン」のクリエイティブ・ディレクターです。“ボーダーランズ 2”ではデザイン・プロデューサーを担当しました。
Q:本作が掲げる“ヒーローシューター”とはどういうものでしょう。他とどう大きく異なるのか、まずはその意味について聞かせてもらえますか?
Randy Varnell氏:
もちろんです。まず“バトルボーン”はFPSタイトルですね。そして、“ヒーロー”の部分については、作品に登場するすべての(プレイアブル)キャラクター達が皆“ヒーロー”という位置づけになります。
もちろん、それぞれのヒーローに強い思いを込めて開発を進めていますよ。本作の発売時には25人の”ヒーローキャラクター”を用意する予定です。
ただ、最初にFPSとは言いましたが、いわゆる典型的なFPSとは違いますね。銃を持っているヒーローもいれば、剣を振るうヒーロー、弓を射るヒーロー、斧を使うヒーローなど、彼らのスタイルは様々で、それぞれが違った固有のスキルを持っています。“バトルボーン”には、シューター以外にもアクションゲームや格闘ゲームの要素も盛り込んでいて、例えば、ヒーローの選択画面を見てもらえれば分かりますが、まるで「ストリートファイター」のキャラクター選択画面のような作りになっています。
Q:本作はMOBAゲームの影響を強く受けている印象があります。FPSとMOBAのハイブリット作品、という見方もできますか?
Randy Varnell氏:
そうですね。MOBAも1つの要素であると言えます。例えばGearboxの“ボーダーランズ 2”を例に挙げると、あの作品はFPSとDiablo的なアクション要素を組み合わせたタイトルでした。
私たちGearboxは、多彩なゲーム要素のミックスを楽しんでいるんです。“バトルボーン”のMOBA要素については、レベル1から始まり成長していく部分であったり、キャラクターの数が多いこと、5vs5のチームベースで戦う部分がこれに相当しますね。
ただ、MOBA要素だけじゃなく、ゲーム中にはボスを倒しながら大きな目的に向かって進行するといったストーリー要素も含まれますし、マルチプレイヤーには3種類の異なるモードを用意していますよ。
■ 参考:マルチプレイヤーに導入される3つのゲームモード
- インカーション:チームのヒーロー達は、AIがコントロールする敵の波状攻撃からチームの拠点を防衛しつつ、自身の軍勢と共に敵チームの拠点破壊を目指す。
- デバステーション:チームのヒーロー達がハイペースなデスマッチで直接対峙し、勝利を得るべくマップ上に複数存在する目標地点の占領とその維持を争う。
- メルトダウン:チームのヒーロー達は、マップの中央エリアに存在する焼却炉に向かって死の行進を開始するチームの軍勢を先導し護衛しなければならない。焼却炉に身を投じた軍勢は全てポイントに換算され、最も多くポイントを獲得したチームが勝利を得る。
Q:“バトルボーン”の背景やストーリーについて聞かせてもらえますか?
Randy Varnell氏:
ヴァレルシと呼ばれる勢力が宇宙の星という星を崩壊させた世界で、最後に残された惑星“ソーラス”を守るために戦うヒーローの活躍を描いています。
主要な敵の1人にはかつて、ジェネリット帝国の一員としてヴァレルシに立ち向かったレンデインが居ますが、彼は今やヴァレルシ側に付き、ヒーロー達と敵対しています。(※ イベントのハンズオンデモには、レンデインの配下も登場していた)
■ 参考:“バトルボーン”に登場する5つの勢力
- ピースキーパー:ソーラスの存続に誓いを立てた守護者
- エルドリッド:宇宙における自然の秩序を重んじる保護者
- ローグ:自身の存続のみを目指す傭兵部隊
- ラスト・ライト・コンソーティアム(LLC):戦争を利用し他の勢力から莫大な利益を得ようとする巨大企業
- ジェネリット帝国:何よりも力を重んじ、軍事力によって他勢力の支配を目論む帝国
Q:敵となるヴァレルシの目的とは一体なんでしょう
Randy Varnell氏:
それは、最後に残った惑星“ソーラス”を消し去ることです。
Q:登場する5つの勢力がポイントを競うとか、”勢力”に分かれている事がゲームプレイの何かに関係しますか?
Randy Varnell氏:
すべての勢力には、それぞれの背景や戦う理由があり、端的に言うと全ての勢力が力を合わせ、ヴァレルシやレンデインと戦う、というストーリーになっています。
ゲーム性における勢力の分かりやすい違いとして、(ソーンやボールダー、マイコーが所属する)「エルドリッド」という勢力にはシールドがありませんが、彼らは体力回復の能力を持っています。一方で、「ジェネリット帝国」に所属する“ラース”や“カルダリアス”には、相手を攻撃してダメージを与えることで、自分の体力を回復する能力が用意されています。このようにそれぞれの勢力によって使える能力に大きな違いがあるわけですね。
Q:例えばヒーローに「アサルト」のようなクラス分けはありますか?
Randy Varnell氏:
現時点で、アサルトのような特定の言葉を使ったクラス分けはしていません。ただ、“オフェンス”や“ディフェンス”、“スペシャリスト”、“サポート”といった、各ヒーローの能力に応じた役割というのはやはり必然的に発生します。
例えば、マイコーは全てのヒーローの中でも最も優秀な“ヒーラー”で、ミニガンを使うモンタナは、大きな体で敵からのダメージを吸収することができるキャラクターです。この2人を上手く組み合わせて、モンタナが前面で盾となり、その陰でマイコーが仲間のダメージを回復させるといった戦い方も可能です。
このように、我々がキャラクターを開発する際には、それぞれの能力や役割に気を配っています。それぞれの特長や役割をどうやってプレイヤーの皆さんに分かりやすく伝えるか、という部分については、これからの作業ですね。
Q:ストーリーモードの仕組みを教えて下さい。物語は好きな所から始められますか?
Randy Varnell氏:
製品版のミッションは、E3前のハンズオンでプレイしてもらったデモがレベル4からスタートしていたので、デモよりも少々長いでしょう。
ストーリーモードには、それぞれ冒頭とエンディングのストーリーが用意されていて、それぞれのミッションはテレビドラマのエピソードのように、好きなものを選択してプレイできるでしょう。あと、ミッションを1度クリアしたとしても、改めてプレイすることも可能です。これは、ヒーローが25人も居て、別のキャラクターを使って同じストーリーミッションを違う側面から体験してほしいからです。
Q:(ハンズオンに実装されていた)エスコートミッションをプレイした印象としては、冒頭は攻撃メインで、最後は防衛が必要となるなど、ひとつのミッションに色々なゲーム性を盛り込んでいるように感じられました。この辺りは意図して作られたものですか?
Randy Varnell氏:
そうですね。ストーリーモードでは、それぞれのミッションがどのようなタイプのミッションなのか、分かりやすいように提示したい考えています。
例えば、今回プレイしてもらったエスコートミッションは、取材のハンズオン用に少し簡単な設定にしていましたが、本来は“Sentry”が破壊された時点でゲームオーバー、といったようにシビアな調整を加えているので、実際にプレイする時には“Sentry”が破壊されないようシールドを張ったり、より“Sentry”の守りを固めるポジションでミッションをプレイする必要があります。
先ほど挙げた、ミッションのタイプを分かりやすく提示する理由としては、ミッションの内容に応じてプレイヤーが選択するヒーローが変わってくるためです。
今回のエスコートミッションであれば、よりディフェンシブで回復を得意とするヒーローを選んだ方がミッションを有利に進めることができます。逆にボスを連続して倒さなければいけないようなミッションでは、それに応じて攻撃力の高いキヒーローを選択するといったように、ミッションに適したヒーローを見つけることも“バトルボーン”の楽しみのひとつだと言えますね。
Q:“バトルボーン”に関わってどれくらいですか?開発はいつ頃はじまったんでしょう
Steve Gibson氏:
プリプロダクションも併せておよそ3年ほどです。“いつ始まった”というのは、どの時点で開発が始まったとするのか、はっきりとしづらいので正確にいつ始まったと言うのは難しいですね。
Q:本作に限らず、日頃“Gearbox”ではどうやってゲーム開発が始まるのですか?
Steve Gibson氏:
例えば、「Brothers in Arms」は“Gearbox”のデザイナー数人がリアルタイムストラテジーとシューターを組み合わせたタイトルを作りたいと言い始めたのがきっかけで、そこからアイデアが広がりました。
“ボーダーランズ”は、Matthew ArmstrongやRandy Pitchfordの間で“Diablo”的なLootゲームとシューティングを組み合わせたゲームを作ろうといった話し合いがあって、今回の“バトルボーン”についてはクリエイティブディレクターのRandy VarnellとRandy Pitchfordから最初のアイデアが生まれました。
“Gearbox”はこれまで、違ったジャンルを組み合わせた新しいゲームを作ることを念頭において実績を重ねてきていて、“バトルボーン”もやはり同じような考えで開発を進めています。
Q:では、“バトルボーン”はシューティングとMOBAを組み合わせたゲーム、と言えるでしょうか
Steve Gibson氏:
いいえ。正確に言うと、MOBAはあくまでマルチプレイヤーという括りのなかにある要素の1つです。“バトルボーン”には格闘ゲームの要素もありますし、“ボーダーランズ”の要素、“Brothers in Arms”の成分も混じっているといえます。こと“MOBA”はといえば、本作のマルチプレイヤーには幾つかのゲームモードがあって、その中の“インカーション Mode”はもちろんMOBAの要素を強く含んでいます。
Q:“バトルボーン”の発売日やプラットフォーム、特定の小売りに向けた予約特典なんかはどうでしょう、発売後のDLCは?“ボーダーランズ”のDLC展開はかなり計算されていたように思えました
Steve Gibson氏:
発売日は今のところ今冬で、プラットフォームはPS4、XB ONE、PCです。予約特典や発売後のDLCについても今のところは未定です。25人目以降のヒーローについても同じですね。
Q:ボーダーランズの”Bazillion”のようなキャッチーな造語を“バトルボーン”に用意する予定はありますか?
Steve Gibson氏:
“Bazillion”はGearboxの担当者が作った造語でした。“バトルボーン”については、大量のキャラクターに大量のスキル、大量のコンテンツ、色々な要素がありますが、まだ具体的な話は出ていませんね。
Q:Beta版のリリースやEarly Accessなんかを含めて、発売前にプレイする機会を作る予定は?
Steve Gibson氏:
これも今のところは何も決まっていません。
Q:“バトルボーン”の開発に使っているエンジンはどんなものでしょう
Steve Gibson氏:
“Unreal Engine 4”と“Unreal Engine 3”を組み合わせたエンジンを使っています。同じエンジンを“ボーダーランズ”でも使いました。
Q:“ボーダーランズ”に比べてグラフィック的な進化はどうですか?
Steve Gibson氏:
もちろん“バトルボーン”は次世代機向けのゲームなので、ポリゴン数やシェーダーの規模、アニメーションの表現力も向上して、あらゆる点で進化しています。
さらに、“ボーダーランズ”に比べて各キャラクターが喋るダイアログのボリュームが7倍近くになっています。25人のヒーローがいて、1人のヒーローが他の24人と会話を交わすので、相当な会話量になるだろうと予想しています。
Q:“バトルボーン”ではヒーロー同士が会話を交わしていますね、膨大な量の会話と言えば、それぞれに設定や関係性が違うキャラクターが多く登場する“Dragon Age”が思い浮かびます
Steve Gibson氏:
そうですね。“Dragon Age”は素晴らしいタイトルだし、私たちも影響を受けました。
(同席したPR担当者)会話のやり取りを“Dragon Age”的な方向性で開発を進めているというわけではありませんよ。もちろん25人のヒーローに加えて、それぞれが5つの勢力に所属しているので、当然キャラクター同士のやり取りはかなり幅広いものになります。
Q:3Dエフェクトが今まで以上にリッチになっている一方で、マズルフラッシュや爆発といったエフェクトがすべてカートゥン的な2D処理になってますね、この意図はどんなものでしょうか?
Steve Gibson氏:
意図としては、“バトルボーン”には多くのヒーローが様々な場面に登場するので、3Dだけでなく2Dスタイルの表現も使うことで他のシューター作品よりもユーザーが簡単にキャラクターや状況をより理解、視認、コミュニケーションしてもらいやすくするためです。例えば、この煙は“Oscar Mike”が誰かと戦っているなといった感じです。
Q:“バトルボーン”の楽曲について教えて下さい。
Steve Gibson氏:
ゲームで使われている楽曲は“バトルボーン”のオリジナルです。作曲担当チームは“ボーダーランズ”と同じですね。
Q:“バトルボーン”は“ボーダーランズ”のスタイルに似ていると言われていますが
Steve Gibson氏:
まさしくその通りですね。楽曲にしてもそうだし、ヒーロー同士の話し方にしても似ていると思います。
違う点として、“ボーダーランズ”は例えば映画のトップガンにオマージュを捧げるような内容であったり、現実の世界と繋がりをもつようなコンテンツを含んでいました。今回の“バトルボーン”については、“バトルボーン”の世界の中だけで完結していて、現実世界に関連するようなコンテンツは用意していません。
Q:3つのマルチプレイヤーモードとストーリーモードは、それぞれに内容が大きく異なる印象を受けました、開発もそれぞれに別のチームが取り組んでいますか?
Steve Gibson氏:
いや、まずこれだけ多くのヒーローがいて、ヒーロー達が全てのモードに関係するので、チームを分けて開発を進めているわけではないです。
“ボーダーランズ”と大きく違う点として、マルチプレイヤーモードをはじめ、どのモードでプレイしても自分のプロファイルレベルが引き継がれるので、0からではなくレベルアップした自分のプロファイルレベルに応じたヒーローを使うことができます。
Q:お気に入りのヒーローは?
Steve Gibson氏:
“オレンディ”です。あの4本の腕がいいですね。
Q:それぞれのヒーローによってインターフェイスが違うのもいいですね
Steve Gibson氏:
そうですね。実際、各ヒーローのプレイ画面のインターフェイスは、かなり力をいれて開発を進めています。
Q:5つの勢力が存在するのは何故でしょうか
Steve Gibson氏:
最後の残された惑星が自然に消えようとしているのではなく、“ヴァレルシ”という悪の力が背後にいることが明らかになり、5つの勢力が力を合わせて立ち向かう、というのが本作のストーリーの始まりです。今回ヴァレルシ側についた人物として登場する“レンデイン”は元々はジェネリット帝国所属のキャラクターでした。
Q:“ボーダーランズ”の素晴らしさは優れたNPCにあったと思います、“バトルボーン”も期待してもいいですか?
Steve Gibson氏:
ありがとう。もちろん私たちも“ボーダーランズ”のキャラクターの個性やNPCの優秀さは大きな成果だと認識していて、その成功があったからこそ、“バトルボーン”では25人という多くのヒーローキャラクターを開発し、“ボーダーランズ”を越えるクオリティに仕上げたいと考えています。
Q:ユーザーがこのゲームをプレイしたくなる理由、このゲームの売りとは何でしょう?
Steve Gibson氏:
シューティングゲームが好きな方、マルチプレイヤー好き、重厚なストーリー性のあるゲームを好むゲーマーなど、幅広いユーザーに遊んでもらいたいですね。
そして“バトルボーン”は、過去のタイトルがそうだったように“Gearbox”が再び新しいジャンルを生み出したタイトルだという点も注目して欲しいです。
Q:本作は“ボーダーランズ”があったからこそ開発できたのか、“ボーダーランズ”で達成したこと、“バトルボーン”が目指すところを教えてください
Steve Gibson氏:
ストーリーテリングとキャラクターについてはやはり“ボーダーランズ”に大きな影響を受けています。
ストーリーの構成で“ボーダーランズ”と大きく違うところは、“バトルボーン”では冒頭とエンディングミッションは全員共通となる一方で、その途中は好きなように進められることにあります。
使用するヒーローを好きなように変えることもできるし、プレイするミッションの順番もユーザーが好きな順番でプレイできる。これは“ボーダーランズ”では出来なかったことです。途中まで使っていたヒーローとは別なヒーローを使って最後までプレイすることが可能なので、楽しめるゲームの幅が“ボーダーランズ”よりも広がったことが特長的ですね。プレイヤーのプログレッションについては、“ボーダーランズ”のBad Ass Rankをさらに進化させてますよ。
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