先日の劇的なお披露目を経て、早くもRustやDayZに近いオンラインサバイバルRPGになるのではないかといった未確認情報が飛び交っているBethesda Game Studiosの人気シリーズ最新作「Fallout 76」ですが、先日公開された本作のティザートレーラーには、僅か1分半の映像ながら多数の情報が詰め込まれており、過去作に登場した“Vault 76”に関する言及と併せて、最新作の内容を伺わせる幾つかの興味深いディテールが浮上しています。
Falloutシリーズにおける“Vault”とは、Vault-Tec社が世界的な核戦争やパンデミックを生き延びるために(という体で)アメリカ全土に建設した100を超える地下シェルターを指すもので、今回登場する“Vault 76”は、過去タイトルに何度かその名称が登場しているものの、今もその建設場所が明らかでない謎の多いVaultとして知られていました。
過去タイトルにおける“Vault 76”に関する言及は、以下の3箇所で確認できます。
- Fallout 3:BoSの要塞、“Citadel”内部のターミナル。“Vault 76”はDC地区のVault一覧に含まれており(つまり東海岸のワシントンD.C.周辺に存在すると思われる)、主に以下のような情報が掲載されている。
- 着工:2065年2月
- 竣工(完成):2069年10月
- 居住人数:500名
- 存続期間:240ヶ月
- “Vault 76”は、(多くのVaultとは異なり)Vault-Tec社が直接管理する17のVaultの1つで、Vault-Tec社がマーケティング資料で掲げた理想的な、つまり居住者が期待する生活を寸分違わず正確に再現するよう運営される。このVaultは運用開始から20年後に自動でゲートを開き、他のVaultにおける実験の比較対象とするために居住者を外界へと追いやる。
- Fallout 3:“Mothership Zeta”DLCにて入手可能なエイリアンの捕虜記録ログ13。“Vault 76”の建設現場の視察していた際、エイリアンに誘拐されたVault-Tec社のAssistant CEO Giles Wolstencroft(ガイル・ウォルステンクロフ)の音声を収録している。千載一遇のビジネスチャンスだと感じたウォルステンクロフはエイリアンとの交渉に臨むが……。
- Fallout 4:本編プロローグ(2077年10月23日午前)において、Vault-Tec社の販売員が尋ねてきた際にテレビのニュースキャスターが言及。内容はVaultの入居予約が史上最多を記録したというもので、“Vault 76”がアメリカ建国300周年を祝い建設されたものであることが伝えられている。
前述の通り、“Vault 76”の正確な位置は未だ不明ですが、トレーラーで象徴的に用いられたジョン・デンバーの“故郷に帰りたい”(Take Me Home, Country Roads)は、ウェストバージニア州を繰り返し歌っており、同州がワシントンD.C.からそう遠くない場所であることを考慮すれば、次回作の舞台となるであろう“Vault 76”の建設地周辺がウェストバージニア州である可能性は十分有り得ると言えそうです。
余談ながら、ワシントンD.C.から車で4時間ほど離れたウェストバージニア州ホワイト・サルファー・スプリングスの著名なホテル“グリーンブライア”(The Greenbrier)の地下には、1992年まで“Greek Island”計画と呼ばれる国家機密だった(従業員ですらその存在を知らない)米連邦議会の巨大な核シェルターが存在しており、重量25トンの扉や除染施設、医療施設、食堂、会議室等を備え、およそ30万リットルの水や16万リットルのディーゼル燃料を備蓄し、1,100名の議員やスタッフが暮らせる宿泊施設を30年近く運用していたことが知られています。
(※ 施設の建設は1959年から1962年まで。1995年には政府との契約を終え、現在は一般客向けのガイドツアーが行われている。ちなみに料金は大人39ドル、18歳未満は20ドルで要予約。)
こういった歴史的な背景から見ても、ウェストバージニア州という場所はなかなか面白いロケーションと言えるのではないでしょうか。
これらの画像に見られる通り、ティザートレーラーに登場した“Pip-Boy Model 2000 Mk VI”には、作品世界における時間と日時を指すと思われる数値が刻まれており、映像内で実際に時間が進行していることから、“Fallout 76”の舞台は2102年の未来である可能性が高いと考えられます。
Fallout世界において、この日時がどういった意味を持つか、これまでのシリーズタイトルと主な出来事を時系列順に並べて整理してみましょう。
- 2065年2月:“Vault 76”着工
- 2069年10月:“Vault 76”竣工
- 2077年10月23日:“Fallout 4”のプロローグ。核で世界を崩壊させたGreat Warの勃発が描かれた。
- 2080年:Great Warを生き延びた動物や人間に放射能の影響による突然変異が生じはじめる。
- 2083年:突然変異によって生まれたVault 12のグール(※ Vault 12は実験の一環として意図的に扉が適切に閉じられていなかった)とGreat Warを生き延びた地元住人によってカリフォルニアに都市ネクロポリスが建設される。
- 2097年:“Vault 15”を脱出した200人のグループが“バイパー”と呼ばれるレイダー勢力を結成。
- 2097年10月:前述の設定通りであれば、77年10月23日のGreat Warの勃発、つまりVaultの運用開始から20年後となるこの時期に、“Vault 76”の扉が強制的に開かれ、Vault居住者達がウェイストランドへと追いやられる。
- 2102年7月~11月:当時Greyと名乗っていたドクターRichard Moreauがカリフォルニアの軍地基地に存在した“F.E.V.”ウイルスの研究施設で“マスター”となった。マスターは自身の変異に基づき“F.E.V.”を利用したスーパーミュータントの研究を開始する。
- 2102年10月27日午前6時34分:“Fallout 76”のトレーラーに主人公のPip-Boy Model 2000 Mk VIが映り込む。
- 2102年10月27日午前6時41分:“Fallout 76”の主人公がPip-Boyを装着する。
- 2103年1月:マスターが初のスーパーミュータントを完成させ、軍隊の構築に向けた計画を開始する。
- 2161年12月5日午前:初代“Fallout”スタート。Vault 13の監督官Jacorenが故障したウォーターチップを交換するため、主人公を含むVaultの住人達をウェイストランドに送り込む。
- 2197年1月1日午前:“Fallout Tactics: Brotherhood of Steel”スタート。主人公Warrior率いるBoS部隊がBrahmin Woodをレイダーから解放する任務を開始。なお、本作はアメリカ中西部で事故により本部から孤立したBoS勢力の活動を描いた。
- 2208年1月16日午前:“Fallout: Brotherhood of Steel”スタート。行方不明となったBoSのパラディンRhombusを捜索するためにBoSの新人達がテキサス州の町カーボンに派遣される。
- 2241年7月25日午前:“Fallout 2”スタート。主人公Chosen Oneが“G.E.C.K.”を探す旅にでる。
- 2258年7月13日:“Fallout 3”のプロローグ。主人公Lone WandererがVault 101で誕生。
- 2277年8月17日午前:“Fallout 3”の本編スタート。父ジェームズがVault 101から姿を消し、当時19歳の“Lone Wanderer”が父を探すためにウェイストランドへ旅立つ。
- 2281年10月11日:“Fallout: New Vegas”のイントロ。墓場に埋められた運び屋がベニーに撃たれる。
- 2281年10月19日午前:“Fallout: New Vegas”の本編スタート。
- 2287年10月23日:“Fallout 4”の本編スタート。主人公が“Vault 111”で210年の冷凍睡眠から目覚める。
“Fallout 76”のティザートレーラーに記された2102年10月27日がゲーム内の日付を指していると仮定すれば、本作は数ある“Fallout”シリーズタイトルの中でも、(FO4の冒頭を除けば)最も古い時代を描く作品となります。
そして、“Vault 76”がワシントンD.C.周辺に存在すると仮定した上で、上掲の年表をまとめると、2102年の東海岸は、既にグールやレイダー、一部のミュータント生物が存在する一方で、スーパーミュータント達はまだ誕生していない環境だと言えます。
マスターの誕生と“Fallout 76”のスタート時期が非常に近いものの、マスターの研究施設とVault 76はそれぞれ西海岸と東海岸で遠く離れているため、例えスーパーミュータントの誕生が重なったとしても、東海岸で彼らを目にする機会はなさそうです。
一方、“Vault 76”そのものの時系列に注視すると、同Vaultの扉は、Great Warの勃発から20年が経過した2097年10月頃に開いているはずで、ティザートレーラーに描かれた“Vault 76”の内部は扉の強制的な開放からおよそ5年の歳月が経過していると考えられます。(2102年10月27日がGreat Warの勃発からちょうど25年と4日であることも興味深い。以下に紹介するReclamation Dayと関係か)
この5年間にどういった出来事が生じ、“Vault 76”に何が起こったのか、映像に登場した主人公以外に生存者は存在するのか、尽きない疑問の答えは今のところ不明ですが、ティザートレーラーに映り込んだ幾つかのシーンにそのヒントとなるようなディテールが確認できます。
こちらは、“Vault 76”内部でパーティが行われたような形跡が見られるシーンに映り込んでいた大きな横断幕。ここには“Celebrate – Reclamation Day!”というメッセージと共に、小さく“SURVIVE”と“THRIVE”の文言、さらにVault-Tec社のコピーライトが記されています。
つまり、これはVault-Tec社が「生き延びて、繁栄し、開拓日を祝おう!」と掲げたキャンペーンのタグラインのようなもので、“Vault 76”の特殊な出自を鑑みれば、このVaultの居住者達は、Vault-Tec社がさも目出度げに演出するお祝いムードの中で、競うようにウェイストランドの開拓とアメリカの再建に乗りだしたのではないかと考えられます。(そういった状況が5年近く続いているのか、Vault 76そのものが開拓の拠点なのか、詳細は不明ですが……)
また、直前までお祝いが行われていたようなVault 76内部の様子と扉が強制的に開いたであろう日時を踏まえ、“Reclamation Day”が年に一度訪れるお祝いの日だと考えると、この“開拓日”は毎年10月23日~25日辺りの1日を指しているようにも感じられます。
こちらは、主人公の部屋らしき場所に貼られた“Vault 76”のポスターで、ここに記された“1776~2076”(1776年のアメリカ独立宣言から建国300周年を祝う2076年のVault 76開設)やアンクル・サム風のVault Boy、ポスターの下部に記されたメッセージから、“Vault 76”が(Fallout 4の冒頭で語られた通り)アメリカ建国300周年を祝う公式Vaultであることが確認できます。
このシーンでは、主人公の部屋と思しき場所に飾られた6つのトロフィーが飾られています。今回のティザートレーラーは4K解像度に対応しているため、主人公がどんな活動をもってトロフィーを獲得したのか実際に確認できます。
- Best Looking Hair:ベスト髪型賞。
- Cleanest Toilet Award:最も綺麗なトイレ賞。
- Performance Award: Vault Hall Monitor:Vault風紀委員としての優秀賞。Vault 76のコミュニティ内における忠実さや安全性の維持に関する取り組みを表彰したもの。
- Outstanding Achievement Award:殊勲賞。(恐らくVault-Tec社の)隔離プログラムと居住者の生存に対する献身的な取り組みと貢献を表彰したもの。
- Excellence in Bravery:勇気があるで賞。缶詰の奇妙な肉を食べる実験において、誰もこれを志願しないなか、自ら奇妙な肉を食し、無事生き残ったことを表彰したもの。
- Annual Vault Halloween Costume Contest: 1st Place:毎年開催されるハロウィン仮装コンテストの1位。
これらのトロフィーは、ティザートレーラーにて描かれた“Vault 76”の内部が(主人公を除いて)無人だった一方で、FO3のターミナルに記された通り、ここには居住者達がVault-Tec社のきらびやかなマーケティングから思い描くであろう人間らしい理想的な“生活”やコミュニティが存在したことを示しています。
一部の表彰については主人公がVault-Tec社のスタッフであるような印象を与える内容で、非常に特殊なVaultの住人である主人公の出自が気になるところ。
また、ヘアスタイルやハロウィンコンテストについては(従来通り)バリエーション豊富なキャラクターカスタマイズを想起させる賞と言えそうです。
こちらは、小ネタ山盛りのテレビ台。最新作の内容を直接的に示す何かは見当たらないものの、以下のようなアイテムが確認できます。
- ヌカワールドのキャッピーとボトル
- Mr.ハンディとVault Boy、Eyebotのフィギュア
- 非常に珍しいカラーテレビ
- Fallout 4と同じモデルの宇宙船の玩具
- 未見のジープとバイクの玩具
- (マクレディが大事にしていたものと同じ)木製の兵士のおもちゃ
- Backwoodsman誌
- Scouts’ Life誌(2冊)
Bethesda E3 2018 Showcaseでの本格的なお披露目に先駆けて、E3会場近くのホテルフィゲロアに“複数”のVault Boyを描く巨大広告が登場した“Fallout 76”ですが、先日のアナウンス後に報じられたRust的なオンラインサンドボックスサバイバルの噂を鑑みると、今回ご紹介した内容やE3の巨大広告には、確かにオンライン要素を示唆するような符丁が多数見受けられことも事実だと言え、来る最新作のお披露目に改めて大きな注目が集まるところです。
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