最近ではやはりDante’s Infernoの存在がまず一番に浮かぶ罰当たりでサタニック(で愉快)なビデオゲームの存在ですが、これらにヒステリックに拒絶反応を示し排除を真剣に求める方達が世の中には存在します。近年のオーストラリアでもこれに似た状況が発生していますが、ひとまず今回はサタニックと性・暴力の表現とは切り離してご紹介させていただく事を先に明記しておきます。
フィラデルフィアの新聞メディアThe Bulletinにおいて、Lance Christian氏というライターが子供を持つ親達に対してサタニックなゲームが如何に反宗教的かを書き並べ、これらのビデオゲームはサタンがこの時代の技術に合わせて用意した悪魔達の新しい道具だと記しています。Christian氏がThe Bulletinで並べたタイトルの例を挙げると以下の様になっています。
■ 蒼魔灯
プレイヤーはサタンに魂を売り、力を手に入れる。その力でサタンを復活させるゲーム。■ 真・女神転生III-NOCTURNE
悪魔の主人公が大天使ミカエル、ガブリエル、ラファエルを倒し、最後に神を倒すゲーム。■ シャドウハーツ
主人公が宿す力で神を倒し、世界を救うゲーム。■ Dragon Age: Origins
このゲームは、狂って世界を呪う様になった神を中心に進みます。魔女は信仰者を攻撃し、プレイヤーは神を産むためにblood magicと呼ばれる異端の魔法を用い魔女と性行為をする事が可能です。また、別のシナリオではプレイヤーが少年の魂と引き替えに悪魔と性行為を行う事が可能です。
さらにChristian氏の対象はDante’s Inferno、Guitar Hero、Darksiders、デビルサマナー、クーデルカ、ベヨネッタにも及びんでいます。まずChristian氏は本当にゲーム遊んだんかい!と思わずツッコミを入れざるを得ない頭の痛い内容になっていますが、Dragon Ageが妙に詳しく掛かれてある所を見ると、プレイをした上でこの様に感じているのかも……と余計に空恐ろしい感覚を覚えます。
もちろん信仰の是非について考えれば、これは非常にデリケートな問題である事に違いはないのですが、悪魔は実在しないこと、そしてそもそもサタンという悪魔はキリスト教の世界観に内包されたキャラクターである上に、現在よくキャラクターとして扱われるサタンは17世紀にジョン・ミルトンによって書かれた失楽園の物語に依拠する所が大きい事を鑑み、率直に個人的な感想を述べると彼はアンパンマンを見てバイキンマンの存在の是非について拒絶を示している事と同じ様に感じます。
バイキンマンが存在しないアンパンマンが物語として存在し得ないのと同じで、人が書いた旧約聖書に登場する人が作った神や悪魔、彼らがどちらかを欠いた状態、コントラストが無い状態で正しい事や教えを説く事は果たして出来るでしょうか。オーストラリアの問題にも宗教が絡んできそうな動きが見られますが、国内でも見られるハードに絡む論争など、対岸の火事とは思えない側面もあります。そもそもなぜ暴力的なゲームやこういったワイドショー的な諍い毎が楽しいと感じるのか、根本の部分に目を向けてみるよい機会かもしれません。
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