本日、GTやVGXのホストとしてお馴染みGeoff Keighley氏のドキュメンタリーシリーズ最新作「The Final Hours of Titanfall」が発売を迎え、興味深いコンセプトアートやプロトタイプのフッテージが登場した「Titanfall」ですが、今回のドキュメンタリーには“Titanfall”という素晴らしい作品の誕生にまつわるトピックだけでなく、複雑な事情で誕生したRespawn Entertainmentの出自や、避けては通れないActivisionとEA、旧Infinity Wardスタッフを巻き込んだ複雑な訴訟の影響、さらには家庭の問題で退社した体となっていたJason West氏とVince Zampella氏の重い確執など、2010年3月にActivisionが強行した両氏の解雇から、2013年6月11日の“Titanfall”アナウンスに至るまでにスタジオを襲った生々しい出来事の数々が記録されています。
今回はこの訴訟に絡む情報の一部と、“Titanfall”の開発初期にRatchet & Clankの“Luna”エンジンが使われ、その後Source Engine採用に至るまでの興味深い経緯をまとめてご紹介します。
“The Final Hours of Titanfall”の4章Theory Craftingによると、“Titanfall”の基礎を築いたプロトタイプはInsomniacの“Ratchet & Clank: A Crack In Time”に用いられた“Luna”エンジンを利用し、1年に渡って開発が行われたものの、その間、EAはかつてPandemic Studiosが“The Lord of the Rings: Conquest”と“The Saboteur”に利用した内製エンジンの利用を薦めた一方で、Respawn EntertainmentはUnreal Engineの採用を考慮しており、最終的にRespawnが60fps動作の達成を懸念したことから、ValveのSource Engine採用に至ったとのこと。
なお、Geoff Keighley氏によると、プロトタイプの“Luna”エンジン採用はInsomniacのボスTed Price氏の好意によるもので、2010年7月にTed Price氏が友人でもあるVince Zampella氏をInsomniacに呼び、新作の開発に“Luna”エンジンを無料で使っていいと提示した素敵なエピソードが掲載されています。
さらに、Respawn Entertainmentが“Titanfall”のPlayStation 4版開発を検討していたことも記されており、Xbox Oneのスペックを習得した当初のRespawnがPlayStation 4対応の可能性を見極めるべくSonyにアプローチしたものの、SonyはPS4のスペックをRespawnに明かすことを避け、代わりにPS Vitaの開発を提案したとのこと。
2010年3月2日、当時Infinity WardのボスだったVince Zampella氏とJason West氏がActivisionに出かけたままスタジオに戻らなかったことが報じられ、その日の内に両氏がActivisionに対する契約違反により解雇されたばかりか、Activisionが両氏を相手取った訴訟の準備を進めていることが判明。
その後、同年4月12日に両氏がEAの支援を得てRespawn Entertainmentを設立したことに端を発するEAとActivision、Respawn Entertainmentの3者を巻き込んだ前代未聞の泥沼裁判ですが、本日発売を迎えた“The Final Hours of Titanfall”には、Respawn設立後にスタジオや開発者を襲った訴訟問題の影響が事細かに掲載されており、混乱を極めた当時の状況に留まらず、Jason West氏が退社に至るまでの経緯まで克明に描写されています。
Geoff Keighley氏によると、Respawnの設立から2年に渡って、スタジオは新作の研究開発と並行して絶えず裁判の証言やミーティング、複雑な法的な問題に振り回されており、Geoff Keighley氏は、当時のRespawnが1つのスタジオに2つの企業が同時に存在するような状態だったと振り返り、訴訟に関連したスタッフと関与しなかった新しいスタッフにより分断されていたと説明。ある1日を例に挙げ、およそ半数のスタッフが弁護士との法的なミーティングに午前中の時間を費やし、その後内部のディスカッションで午後の時間が費やされることもしばしばだったことに加え、ゲームの開発に集中しようと取り組む場合にも予期しない訴訟関連の話題で1日を混乱のままに終えるといったシチュエーションも珍しくなかったとのこと。
こういった状況は2015, Inc.時代から二人三脚で共に歩んできたJason West氏とVince Zampella氏の軋轢を生み、訴訟がようやく落ち着いた後も2人の仲は修復に至らず、緊張関係が続いていたことや、Jason West氏がこの状況に距離を置き困惑していたと語るRespawn社員の発言が掲載されています。
その後、2012年7月1日にはVince Zampella氏が、当時のスタジオを包む事態を徹底的に討論して状況を打破するために決定的な決断を下す“Come to Jesus.”と題した内部ミーティングを実施。Jason West氏もこれに同席し、建設的な議論を望んだものの、痛ましいミーティングはほどなくスタッフの鬱積した感情が爆発する完全なリンチへと発展し、大多数が訴訟問題の早急な解決を望んだJason West氏を直接攻撃し、ゲーム開発と訴訟問題への対応に関するバランスを崩していると不満をぶつけ、これを経てVince Zampella氏が最終的にスタジオを率いたJason West氏とVince Zampella氏のどちらかがRespawnを去るしかないという結論に至ったことが明かされています。
その後、Jason West氏は2013年3月5日に“Titanfall”の正式アナウンスを待つことなくRespawnを退社。Vince Zampella氏はJason West氏が“家族の問題を解決するためにスタジオを去った”と述べ、Segasoft時代から共に歩みビデオゲーム文化に大きな足跡を残した盟友を失った悲しみとJason West氏並びに家族の幸せを願うメッセージを添えていました。
余談ながら、Jason West氏の退社が発表された直後に内部情報が流出し、前述した問題の背景としてVince Zampella氏がJason West氏の訴訟に対するアプローチをRespawnに対するサボタージュだと考えていたことが浮上していたほか、実際には件の“Come to Jesus.”ミーティングが行われる2012年5月頃から退社に至るまで、ほとんど不在だったことが報じられていました。
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