ビデオゲームをテーマに扱った映画に隠れた名作が多く存在する一方、ビデオゲームの映画化に限っては、“スーパーマリオ 魔界帝国の女神”からルパート・フレンド主演の“Hitman: Agent 47”に至るまで、(愛すべき作品は数あれど)未だ一般的に成功と呼べる作品はほぼ1本も存在しないと言って過言ではない状況が続いています。
現在もラビッツやJust Cause、Borderlands、Minecraft、The Last of Us、Uncharted、テトリス、Splinter Cell、Watch Dogs、Deus Exなど、数多くの映画化が進行するなか、映画“Assassin’s Creed”と“Warcraft”が、かつてマイク・ニューエルとブラッカイマーの“Prince of Persia: The Sands of Time”が越えかけた壁を遂に打ち破るのではないかと大きな期待を集めています。
そんな中、昨日開幕を迎えたDICE Summitにて、ディパーテッドやLEGO ムービーで知られるロイ・リーとHitmanのエイドリアン・アスカーリ監督がビデオゲームの映画化を巡るパネルディスカッションに登壇し、ビデオゲームの映画化が失敗する理由と、ビデオゲーム映画が秘める可能性について、興味深い見解を明らかにしました。
ゲームをプレイしない多くの聴衆に訴求するためにはバランスが必要だと語ったロイ・リーは、映画を作ることそれ自体にオリジナルのIP所有者、つまりパブリッシャーやデベロッパを参加させる必要があると説明しており、同様に(自身が直近でその問題をまさに体現したと言える)エイドリアン・アスカーリ監督は、ビデオゲームの映画化における最大の問題点がその作品を生んだ当のクリエイターと深い関係を持たないことにあると明言。
さらにアスカーリ監督は、近年台頭著しいマーベル映画を例に挙げ、マーベル自身が映画を手掛けはじめたことによって、マーベルは文字通り素晴らしい成功を収めたと説明。ビデオゲーム映画を成功させる最も重要な鍵はここにあると語り、映画製作者には熱烈なビデオゲームファンが存在しており、ここにデベロッパやパブリッシャーが深く関与するべきだと強調しています。
なお、現在共にDeus Exの映画化に取り組んでいるロイ・リーとアスカーリ監督は、この映画化にデベロッパが最初から最後まで非常に深く関与していると語っており、未だ証明はされていないものの、ビデオゲーム映画は次のコミック映画になるだろうとの見解を提示。情熱的なプロデューサーと監督、作家を得たビデオゲーム業界の人々が共に取り組めばこれが実現できるはずだとアピールしました。
さらに、アスカーリ監督は前述した映画版“Assassin’s Creed”が広い聴衆に受け入れられると同時に、シリーズを熟知したファンにも訴求しうる初めてのビデオゲーム映画となる可能性を持っていると語り、自身もそれに期待していると伝えています。
思えば、長い間コミックの映画化についても、ビデオゲームに似た長い冬の時代が続いていましたが、やはり近年の目覚ましい台頭や過去の成功作を鑑みるに、クリエイターの深い関与はこの状況を打破する要因の1つだったと言えます。
同じく、アニメやコミックのビデオゲーム化においても同様の闇が長年に渡って広がっていたことは周知の通りですが、やはりこの壁を打ち破ったのはDCが全面的に協力し、ポール・ディニやジェフ・ジョーンズといった重鎮まで開発に直接参加した“Batman Arkham”シリーズでした。
こういった素晴らしい前例に続いて、いよいよビデオゲームの映画化が本当の成功を収める時代がこの10年で到来するか、まずは試金石となる映画“Assassin’s Creed”の仕上がりに大きな期待が掛かるところです。
余談ながら、映画“Assassin’s Creed”は、Ubisoftが自ら設立したUbisoft Motion Picturesが製作を手掛けるいわゆるインディペンデント(※ ハリウッドメジャー6社に属さない)作品で、主演のお馴染みマイケル・ファスベンダーが自らプロデュースを務めるほか、マイケル・ファスベンダーが設立したプロダクションDMC Filmも製作に参加するなど、文字通りオリジナルのクリエイターとパブリッシャー、映画製作者、超豪華キャストががっぷり四つに組むかつてない体制が話題となっていました。
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