お馴染みの悪者達が世界を守るために立ち上がる「レゴ DC スーパーヴィランズ」はレゴDCシリーズの集大成となる隠れた大作、発売直前のプレイレポートをお届け

2018年10月19日 12:40 by katakori
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「LEGO DC Super-Villains」

10月16日の北米ローンチと日本語版の10月25日発売(その他地域は10月19日)がいよいよ目前に迫るTT Gamesの人気シリーズ最新作「レゴ DC スーパーヴィランズ」ですが、来る日本語版の発売に先駆けて、ワーナー・ブラザース テレビジョン & ホームエンターテイメントよりPS4版の提供を受け、一足先に本作をプレイすることができました。

PS4とNintendo Switch向けの新作“レゴ DC スーパーヴィランズ”は、2008年の“レゴ バットマン THE VIDEO GAME”と2012年の“レゴ バットマン2 DCスーパーヒーロー”、2014年の“LEGO バットマン 3 ザ・ゲーム ゴッサムから宇宙へ”に続くLEGO DCシリーズの最新作です。

これまでの3作品は、何れもバットマンの名を冠していますが、実際のところはシリーズを重ねる毎にジャスティス・リーグの要素が色濃くなっており、前作の“LEGO バットマン 3”に至っては、(グリーン以外の)ランタン達まで包括する夢のDCヒーロー大集合作品となっていました。

最新作の“レゴ DC スーパーヴィランズ”は、バットマンやスーパーマン、フラッシュ、ワンダーウーマン達を含むジャスティスリーグ達が突如姿を消し、見るからに怪しいヒーロー集団“ジャスティス・シンジケート”が出現した世界で、ジョーカーやハーレイ・クイン、レックス・ルーサーといったお馴染みのヴィラン達が力を合わせて、世界を守っ……ちゃう?!という、一見(DC映画におけるスーサイド・スクワッド的な立ち位置の)スピンオフ的な作品かと思われがちな新作ですが、そんな第一印象とは裏腹に、実際はこれまでのナンバリングを遙かに超える、レゴDCシリーズの集大成とはっきり断言できる超大作に仕上がっています。

今回は、一先ずメインストーリーをクリアしたプレイに基づき、ゲームプレイとストーリーの両方から本作の超大作ぶりを紐解いていきますが、その前にLEGOシリーズやDC作品に不慣れな方向けに、導入のハードルを段階的にまとめておきたいと思います。

参考:8月末に公開された日本語版の吹き替えトレーラー
参考:先日公開された海外版(PS4/Xbox One/Nintendo Switch/PC)“LEGO DC Super-Villains”のローンチトレーラー

“レゴ DC スーパーヴィランズ”は、見た目のカジュアルさ通り、子供でも楽しめるとてもプレイしやすい作品で、シリーズは初めてという方でも全く問題なくプレイできる親しみやすさを備えていますが、本作は同時に、2005年以来いくつかの傑作を生み出しながら独自すぎる進化を遂げてきたLEGOシリーズの最新作でもあり、シリーズに不慣れなゲーマーほど、圧倒的なコンテンツの充実ぶりと徹底したエンターテインメントに舌を巻くはずです。

一方、ストーリーについては、従来のLEGOバットマンシリーズから完全に独立しており、全くDC作品を知らない人でもプレイを進められる最低限の説明や背景が用意されてはいるものの、コミックやドラマ、映画の文脈や設定に基づく描写はかなり多く、全くDC作品を知らない場合、目の前で起こっている出来事を表面的に追えたとしても、突然現れた人物やその行動、激アツ展開の意味が分からないといった現象がたびたび生じると思われます。

ただし、近年のドラマや映画におけるDC作品の充実ぶりに興味があれば、ヒーローからヴィランまで、幅広い主要キャラクターを網羅する本作は、その顔ぶれと関係性、人物像を知る優れた入り口になると言えるでしょう。

また、既存の映画やドラマ(フラッシュやスーパーガール、アロー、レジェンド・オブ・トゥモロー)シリーズを幾つか楽しんだ方であれば、冒頭から最後までクライマックスとサプライズが続く、既存の映画とドラマの規模を遙かに上回る、コミックシリーズの大規模クロスオーバーを思わせるような(ただし、DCならではの悲壮さやシリアスを伴わない、楽しさとお祭り感を純粋に抽出した)壮大なストーリーを思う存分楽しむことができるはずです。

もう1つ、熱心なDCファン向けにお知らせしておくべき非常に重要な点として、日本語版“レゴ DC スーパーヴィランズ”の音声が日本語と英語で任意に変更可能であること、そして超豪華な英語版のボイスキャストが挙げられます。

従来のレゴDCシリーズは、主にトロイ・ベイカー(バットマン)やクリストファー・コーリー・スミス(ジョーカー)、ローラ・ベイリー(ワンダーウーマン/ハーレイクイン)など、新しい世代のキャストを起用していました。

ただし、今回の“レゴ DC スーパーヴィランズ”は、これを一新し、遂にケヴィン・コンロイ(バットマン)やマーク・ハミル(ジョーカー)、タラ・ストロング(ハーレイ・クイン)、スーザン・アイゼンバーグ(ワンダーウーマン)、マイケル・ローゼンバウム(フラッシュ)など、代表的なアニメシリーズに即したお馴染みのボイスアクター達を起用(※ レックスは従来通り多くのアニメシリーズでレックス役を演じたクランシー・ブラウン)。さらに、ダークサイドをあのマイケル・アイアンサイドが演じるなど、もうこれ以上はない超豪華キャストが集結しており、DCファンが卒倒するような空前絶後のキャッキャウフフがこれでもかと繰り広げられます。(可愛いマイケル・アイアンサイドを想像してください)

なお、日本語ボイスの仕上がりも素晴らしく、お馴染み山寺宏一氏がバットマン役を担当。本作のアンロック要素をやりこむ場合、ストーリーミッションを数回クリアする必要があることから、設定の変更によって英語と日本語ボイスで2度プレイが楽しめるのも本作の嬉しいところです。

参考:ダークサイドやパラデーモンが登場する海外版のストーリートレーラー

「レゴ DC スーパーヴィランズ」のゲームプレイについて

思わず興奮して、前置きが長くなってしまいましたが、まずゲームプレイの基本的なメカニクスや新要素、特徴から見ていきましょう。

本作は、レゴシリーズ特有の親しみやすさと長い歴史もあって、革新性や大胆な新要素を前面に打ち出す類いの作品ではありませんが、大きな新要素として、オープンワールド環境の復活、さらにシリーズ初となる主人公のキャラクターメイキングが導入されました。

シリーズ最大規模のオープンワールド環境

「LEGO DC Super-Villains」
オープンワールドマップのごく一部、幾つかのアイコンはアクティビティを示している

かつて“レゴ バットマン2 DCスーパーヒーロー”がシリーズで初めて導入し、“LEGO バットマン 3 ザ・ゲーム ゴッサムから宇宙へ”では廃止されたオープンワールド環境が遂に復活を果たしました。

“レゴ DC スーパーヴィランズ”のオープンワールド環境は、2作目を遙かに上回る巨大なもので、ゲーム全体は大きく分けて、2つの巨大なオープンワールド環境(地球とアポコリプス)、オープンワールド環境から進入可能な幾つかの屋内環境(シームレスな小規模エリアとローディングを挟む独立したエリア)、さらにストーリーミッションの舞台となる個別のレベル環境から構成されます。

さらにオープンワールド環境は、多彩なテーマに基づく複数のバイオームから構成され、各テーマに即したサイドクエストやアクティビティが無数に用意されています。(例:地球のバイオームは、ゴッサム・シティ、ジョーカーのアミューズメント・マイル、アーカム・アサイラム、メトロポリス、ウェイン邸、エース・ケミカルの工場地帯、ベル・リーブ刑務所とホール・オブ・ドゥームが存在する湿地帯、ケント家の農場を含むスモールビルからなる)

また、各エリアにはデイリー・プラネット社やレックス・コープといった有名どころから、ヤング・スーパーマンに登場したスモールビルの小さな店舗に至るまで、多数の名所が点在しており、高さのあるワールドデザインを含め、ぶらりと散策するだけでも楽しめる品質となっています。

アポコリプスのオープンワールド環境については、ネタバレを避けるためここでは言及を避けますが、こちらもやはり複数のエリアで構成され、いずれ(上手くいけば)映画シリーズにも登場するであろうあれこれにまつわる興味深い要素が用意されています。

なお、本作のオープンワールド環境には、無数のアクティビティや収集物、固有のストーリーを持つサイドクエスト、パズル、イースターエッグに加え、複数の隠しボスまで用意されており、それぞれの達成度を数値で提示してくれます。なお、筆者が20時間程度掛けてメインストーリーをクリアした際の達成率は、全体でなんと30%を下回り、計196人登場するヒーローとヴィランのうち、アンロックしたのは僅か38体でした。ここからも、“レゴ DC スーパーヴィランズ”がいかに巨大な作品であるか、分かっていただけるのではないでしょうか。(なお、近年のレゴシリーズは何れも過剰な量のコンテンツで知られています)

「LEGO DC Super-Villains」
プレイ中のキャラクターリスト、まだ大量のヒーローとヴィラン達がアンロックを待っている

新要素となるキャラクターメイキングについて

「LEGO DC Super-Villains」
筆者の主人公はティーン・タイタンズと戦ったロックスターなヴィラン“Goth”ちゃん

また、新たな取り組みとして、プレイヤーが自由にヴィランを作成できるキャラクターメイキング機能が実装されました。これは、本作の壮大な物語の鍵を握る主人公をプレイヤーが自ら作り上げるもので、外観だけに留まらない膨大な量のカスタマイズとアンロックが用意されており、文字通り自分だけのヴィランやヒーローを作り上げることができます。

また、主人公とは別に、自由に作成できるカスタムキャラクター枠が複数用意されており、計12体のキャラクターを自由に作成し、メインミッション以外であれば、いつでも自由に以下のような細部が変更可能です。

■ キャラクターのカスタマイズ可能な要素

  • 外見:頭、首、装備、髪、腕、ヘルメット、手、ボディ、腰、足、マント、エフェクト(左手の発光、右手の発光、攻撃時のエフェクト2種)。プリセットを含む形状選択だけでなく、個別に色変更も可能。
  • パーソナリティ:ヘルスアイコンの見た目、音声(30種)、スピード演出/タイプ、照準、アニメーションスタイル
  • アビリティ:無数に存在するアビリティから、任意のフェースボタンに割り当て可能
  • 武器:剣、シールド、杖タイプ、銃、弓、ハンマーと斧、クロー、パワーリング(全9色、各コァのロゴ入り)、その他。こちらも各カテゴリに複数の装備が用意され、個別に色変更可能。
  • 基本情報:キャラクター名、所属、ステータス(ヒーロー、ヴィラン、中立)

これらの各カテゴリには、全体の進行に併せて使用可能となるアンロック分が含まれており、外観だけでなく、プレイスタイルについても徐々に幅が拡がる、アップデート可能な仕様となっています。

「LEGO DC Super-Villains」
主人公を含む12人のカスタムキャラクターが作成可能、彼らはいつでも好きなときにカスタマイズ/プレイ可能
「LEGO DC Super-Villains」
本作に登場する196人のヒーロー/ヴィラン全てに分かりやすいプロフィールが用意されている

「レゴ DC スーパーヴィランズ」のストーリーについて

「LEGO DC Super-Villains」
ウルトラマン率いる謎のヒーロー集団“ジャスティス・シンジケート”

“レゴ DC スーパーヴィランズ”の物語は、前述した通り、ジャスティスリーグ達が突如姿を消し、新たなヒーロー集団“ジャスティス・シンジケート”が出現した世界で、お馴染みのヴィラン達が力を合わせて世界を守る?という内容ですが、こちらも前述の通り、本作のストーリーは現行の映画やドラマのスケールをはるかに超え、規模だけで言えば、コミックのクロスオーバーに迫る大きなアークを描く作品となっています。

冒頭からエンディング、さらにはそれ以降もクライマックスとサプライズが続く本作の具体的な内容については、あらゆる事がネタバレとなってしまうため、詳細は控えますが(※ 全体的なテイストは、CWのドラマシリーズを見ている方であれば、お祭り的なクロスオーバー回がレジェンド・オブ・トゥモロー側に近いテンションでずっと続いているような内容だと想像いただければ分かりやすいかと思います)、レゴシリーズの性質上、物語を極力難解にせず、ハッピーで分かりやすいコミカルな世界観を徹底的に維持した上で、膨大な数のキャラクターや勢力を最大限に活かした本作のストーリーテリングは、変幻自在な語り口と切り口で全く飽きることなく全体の熱量を維持し続ける脅威的な内容でした。(※ この感じ方については、DCファンとそうでない方で、必然的にベースの文脈が大きく異なるため、明確に違いが生じると思われます)

冒頭数分の展開や公式トレーラーからすぐに判明する要素のみを利用して、本作のストーリーテリングにおける興味深い点を紹介するならば、一つに複数の語り口とスタイル、視点から平行して語られる大きなストーリー構成が挙げられます。

まず、ネタバレとならない一部の語り口と視点として、以下のような複数の支流が存在し、それぞれが複雑に絡み合い最終的に一つの壮大なアークへと帰結します。

  • 突如失踪したジャスティスリーグの行方と、新たに出現したジャスティス・シンジケートの正体を追うロイス・レインとジミー・オルセン。そして、謎の新人記者ケント・クラークソン。
  • ヒーローとヴィラン、どちらにも組みしないレックス・ルーサーが便宜的にリーダー役を担う(一枚岩ではない)ヴィラン陣営。
  • ある秘密を知ってしまったものの、誰からもその話を信じてもらえないハーレイ・クイン。
  • もの言わぬ正体不明の主人公と、彼/彼女だけが持つ謎の力。
  • ジャスティスリーグの失踪直後に出現し、ヒーロー活動を行うジャスティス・シンジケート(クライムシンジケート・オブ・アメリカ)の目論み。
  • ダークサイドとアポカリプスの出現。
  • 行方不明となったジャスティスリーグ達がほんにゃらはんにゃら。
  • ジャスティスリーグの失踪を調査するバットガールやナイトホーク、ロビン、ティーン・タイタンズ、ランタン達。
「LEGO DC Super-Villains」
ジャスティスリーグの行方を追うロイス

これだけの要素をほぼ破綻させず、しかもレゴシリーズ特有の優しい世界の中で軽やかに描きるメインストーリーと数々のサプライズは一見の価値ありですが、同時に全く屈託のないキャラクター達が心から冒険を楽しんでいる細部も同じく見どころの一つで、前述の豪華なキャスト陣によるバットマンやジョーカー、ハーレイ・クイン達がいちゃこらしているだけで、ある種のファンは悶絶して息絶えるのではないでしょうか。

また、本作はサイドクエストも充実しており、多彩なキャラクター達が本編とは直接関係無い動機や計画をもって登場します。(例:近ごろ悪役としてぱっとしないアレス。かつての威光を取り戻すために、最近の流行を抑えてデジタル世代の心を掴みたい)

具体的な言及は避けますが、ダークサイドとアポコリプスの登場も本作の大きな要素の一つだと言えます。ダークサイドを中心とするアポコリプス側の主要キャラクター達の相関関係や背景は、今後の映画シリーズにも深く関与する可能性が高く(ステッペンウルフはその尖兵でした)、コミックを追っていないようであれば、本作で知るダークサイド周りのあれこれは、いつか別の形でDC作品の理解を助けてくれるかもしれません。

余談ながら、ダークサイドはDC界最強ヴィランの1人で、そのいかつい見た目を含め、マーベルにおけるサノスのような存在と言えば分かりやすいかと思いますが、多くの類似点は単なる偶然ではなく、元々はサノスがダークサイドにインスパイアされ誕生したヴィランであることが広く知られています。

ということで、駆け足で“レゴ DC スーパーヴィランズ”の魅力をご紹介してきましたが、このほかにも本作には様々な趣向を凝らした熱いボス戦をはじめ、多彩な陸海空のビークル、あの手この手でプレイヤーを悩ませるバリエーション豊かな環境パズル、本当に可愛くて仕方がないレゴヒーロー/ヴィラン達と彼らのやりとり(筆者はレイブンで陥落)、DCファンをうならせる膨大な量のイースターエッグ、収集要素を通じてアンロックできるチートやエフェクトといった愉快なエクストラ機能、自撮り機能を含む本格的なフォトモードなど、夥しい規模のコンテンツとやりこみ要素が用意されています。

“Batman: Arkham”シリーズが終了し、新たな傑作となった“Injustice 2”の盛り上がりも落ち着いたことで、やや寂しい状況が続いているDCテーマのビデオゲームですが、“レゴ DC スーパーヴィランズ”はこの空白と渇望をしっかりと埋めてくれる隠れた大作の一つに違いありません。近頃DCゲーム成分が不足気味な方は、レゴシリーズにも手を出してみてはいかがでしょうか。

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