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昨年7月に極めて悪質なハラスメント問題が表面化し、様々な訴訟や内部の再編といった動きが進むなかで、Raven Softwareの非正規QAテスターを中心に劣悪な労働環境の改善を目指す組合結成の動きが本格化し、長期的なストライキに発展していた「Activision Blizzard」ですが、本日“Activision Blizzard”が労働環境の改善に関する新たな取り組みを発表。Activision PublishingとBlizzard Entertainmentに所属するアメリカ在住の全非正規（派遣/契約）QA従業員をフルタイムの正社員として雇用したことが明らかになりました。

これにより、1,100人に及ぶActivision BlizzardのQA従業員の時給が最低20ドルまで引き上げられるだけでなく、全ての福利厚生が利用可能となり、他の正規雇用従業員と同じくボーナスプログラムへの参加も可能になるとのこと。（※ 昨年の段階で約500人が正社員となったことから、一連の問題発覚以降に正社員となった非正規従業員の数は1,600人以上にのぼる）

また、この待遇改善に伴い、Activision Publishingの正社員数が25％増加するほか、作業量が急増しチームのキャパシティを超えた場合には引き続き外部パートナーのQAワーカーを利用することが判明しています。

ビデオゲーム業界におけるQA部門の問題は、構造的な搾取やハラスメントの温床となる長年の課題であり、今回の抜本的な変革は待遇の改善を求めてきた労働者にとって大きな勝利といえますが、驚くべきことに労働組合の結成に乗り出すことで先頭に立ち、この勝利を勝ち取ったRaven SoftwareのQA従業員については、正社員化や時給の引き上げを含む今回の変更が適用されていません。

Bloombergの確認に応じたActivision Blizzardの広報は、これが米全国労働関係法における法的義務に則った対応（※ 労働組合の結成中に従業員が組合の活動に反目するよう、従業員に利益を与え誘導することが禁じられている）だとして、Ravenの状況はRavenに限定されると説明していますが、アメリカ通信労働組合（米最大のメディア/通信系労働組合）の書記長Sara Steffens氏は、今回の動きが改善を訴えてきた労働者達の大きな功績だと評価する一方で、全国労働関係法に基づきRavenの労働者を含むことができないとするActivision Blizzardの主張は、労働者を分断し、労働組合結成の流れを弱める不誠実な対応だと強く非難しており、Activision Blizzardにこの状況を是正した上で、労働者が団結する権利を尊重するよう求めています。

なお、Activision BlizzardはRaven SoftwareのQA従業員による労働組合の結成を自主的に承認しない旨を表明していますが、組合そのものは米国全国労働関係委員会経由で正式に承認される可能性があり、Activision Blizzardの買収を発表したMicrosoftは、承認が得られた場合、組合を邪魔するつもりはないと明言していました。（※ 労働組合が承認された場合、Activision Blizzardは組合との交渉を行わない給与の変更が禁じられる）