待望のリリースが迫る「ディアブロ イモータル」開発者インタビュー

2022年5月29日 15:34 by katakori
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「Diablo」

先日、解禁日時の前倒しを含むローンチに向けた最新のロードマップが公開された「ディアブロ イモータル」ですが、遂に迎える待望のリリースに先駆けて、先日国内メディアによる合同インタビューが行われ、シニアゲームデザイナーのスコット・バージェス氏とアートディレクターのハンター・シュルツ氏に直接本作の魅力や開発時のエピソード、今後のスケジュール等について、非常に興味深い話を伺うことができました。

“ディアブロ”シリーズ初のモバイルタイトルとして登場する「ディアブロ イモータル」が気になっている方は、リリースに向けて今一度作品のコンセプトや他のシリーズタイトルとの違い、ゲームプレイの概要やコスメティック、今後の取り組みについてチェックしておいてはいかがでしょうか。

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「ディアブロ イモータル」のシニア・コンテンツデザイナー、スコット・バージェス(Scott Burgess)はナラティブチームと協力して、ゾーンやダンジョン、クエスト、ヘリクアリなどのゲーム内コンテンツについて「ディアブロ」シリーズを通しての整合性を確認し、本作のストーリーの鍵となる部分に携わっている。「シーズンイベント」のデザインやプランニングにも深くかかわっており、一年を通して魅力的なゲームイベントを用意するよう図っている。

「ディアブロ イモータル」のチームに参加する前にゲーム業界で11年間働いており、PCの大規模MMOやモバイルRPGにおいてライティングとデザインを担当。Red 5 Studiosではライターおよびナラティブデザイナー、Netmarbleではエディティング/LQAチームリードとして働いてきた。

カリフォルニア州立大学フラトン校でラジオ/テレビ/映画の学士号を取得している。

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「ディアブロ イモータル」のアートディレクター、ハンター・シュルツ(Hunter Schulz)は「ディアブロ」シリーズならではのアートデザインや雰囲気を維持しながら、本作に独自の魅力を持たせるために監督にあたっている。アートチームを指揮する責任を担を負うとともに、彼はアートも一部作成している。

2020年にリードアーティストとしてBlizzard Entertainmentに入社し、その後アーティディレクターの役割を担うようになった。Blizzard入社以前から、多くのゲームに携わってきた経歴の持ち主。特に、「Mortal Kombat 9」と「Mortal Kombat X」ではシニア・コンセプトアーティストを務め、キャラクターアートやエンバイロメントアート、イラストレーションなど、その貢献は多岐に渡る。

余暇にはゲームやアート、音楽、エクササイズ、妻と過ごす時間を大切にしている。

参考:先日公開された「ディアブロ イモータル」の解説映像

―― 長い開発が一段落して、まもなくリリースを迎えるわけですが、現在の率直な心境をお聞かせください。

ハンター氏:リリースで開発が終わるわけではなく、むしろここからがスタートだと感じています。新しい機能やアップデートを含むロードマップがあるので、これに着手していくことが今後の目標になります。とはいえ正式リリースを迎えることについては、正直ほっとしています。

スコット氏:皆さんにベータから追加されたエリアや幾つかの新要素にも早く触ってもらいたいです。「ディアブロ イモータル」は私たちの情熱を注いだプロジェクトで、1週間後に迫るリリースをとても楽しみにしています。

―― ハック&スラッシュは、主にコアゲーマー向けのジャンルだと思いますが、ディアブロのモバイルゲーム化にあたって、遊びやすくするために力を入れた部分はありますか?

スコット氏:モバイル向けゲームの開発にあたって、まずプレイヤーがすぐにゲームを理解できるよう、直感的な操作性に重点を置きました。スキルを目立たせるために大きなボタンを用意し、プレイヤーが望む場所に攻撃を当てられるため、非常に簡単に操作をマスターすることができます。

コンテンツの面でもモバイル向けの構築を意識し、モバイルゲーマーにとってより親しみやすい、短いプレイ時間を実現しています。

また、近年モバイルゲームは様々な進化を遂げていて、今ではRPGや対戦シューターといったゲームの成功も見られるようになりました。同時にモバイルゲームのオーディエンス自体も進化していることから、「ディアブロ イモータル」のように本格的なゲームの準備が十分に整っていると考えています。

ハンター氏:少し付け加えると、このゲームを手に取って最初に感じたことは、すごくしっくりくるということでした。

今や、携帯電話はゲームデザインを表現するためのツールかつ従来とは異なる手段でもあり、PCやコンソールの操作デバイスでは実現できないような方法でゲームを表現するための優れた手法としても活用されています。

「ディアブロ イモータル」を手にしたプレイヤーは、自然な進化を果たしたRPGとして本作がどれほど多くのを意味を持つか、すぐに理解できると思いますよ。

―― 「ディアブロ イモータル」はモバイル向けの新作ということで、初めて“ディアブロ”に触れるプレイヤーも多くいるかと思います。新規プレイヤーにはどのように遊んで欲しいと考えていますか?

スコット氏:「ディアブロ イモータル」は古参のプレイヤーを楽しませると当時に、新規プレイヤーにとっても非常に親しみやすく、すぐにプレイ方法が理解できる素晴らしい作品です。

チュートリアルが充実していて、操作も基本に忠実で、序盤のストーリーも素晴らしいのですが、それ以上にプレイヤーがすぐに膨大な情報にさらされないよう、システムを有機的に拡げていくことに注力しました。

また、どのクラスを選んでも、楽しくて取っつきやすく、理解しやすいように作ってあるので、好きなクラスを選んでもらえば、十分に楽しくプレイできると思いますよ。

―― スマートフォン向けのタイトルとして、特にこだわった箇所や開発で力を入れた点があれば教えてください。

スコット氏:ゲーム開発の現場では、プラットフォームの制限を念頭におく必要があります。私自身は技術の専門家ではありませんが、本作のエンジニアが実現した驚異的なグラフィックスには本当に驚かされました。まるでPCゲームのようであり、その上プレイしていても他の3Dゲームほど手が熱くならないんです。

ハンター氏:確かにバッテリーの持ちは凄いですね。自分はコンテンツの量に驚きました。スマートフォンに詰まっていることが信じられないほどです。

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―― 「ディアブロ イモータル」は、シリーズ2作目と3作目の架け橋となる空白の数十年を描くそうですが、デッカード・ケインを始めとするお馴染みのキャラクターや、これまでに語られなかった物語なども描かれるのでしょうか。

スコット氏:「ディアブロ イモータル」の物語は、前作“ディアブロ II”において、ティラエルがワールドストーンを破壊し、バールの力で穢された無数の石の欠片がサンクチュアリに散らばったことが発端となっています。

驚異的な力を持つこの欠片を悪が手にすれば、極めて危険な存在となり、サンクチュアリに甚大な被害をもたらす可能性があるのです。

一方で、破滅の王スカーンが三大悪の不在を突いて、地獄の王座を狙っており、地獄の支配だけでなく、ワールドストーンを利用しサンクチュアリで暮らす人間の心から“悪意”を引き出し、永遠に続く戦いの流れまで変えようと画策しています。

―― ディアブロ世界の人間は定命の存在ですが、「ディアブロ イモータル」のタイトルにある“イモータル”(不死)にはどんな意味が込められているのでしょうか?

スコット氏:「ディアブロ イモータル」の興味深い点は、“闘争の円環”と呼ばれるPvPシステムを搭載していることです。これは、人間界の精鋭達が集まり悪魔から世界を防衛するための仕組みで、2つの異なる勢力によって構成されます。

一方の勢力がイモータル(Immortals)であり、そのリーダーこそがイモータル(定冠詞付きのThe Immortal)の称号を持つのです。

もう一方の勢力はシャドウと呼ばれ、イモータルが腐敗し正義が成されなければ、彼らが立ち上がりイモータルを追放します。

つまり、「ディアブロ イモータル」の“イモータル”とは、ゲームプレイの中核を担う勢力システムに関係しているんです。

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悪魔の軍団と戦う人間界の精鋭達が集まる“イモータル”
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“イモータル”達を監視するもう一つの勢力“シャドウ”

―― 「ディアブロ II リザレクテッド」のラダーも始まり、「Diablo III」のシーズンもまだ楽しめます。まもなく「ディアブロ イモータル」がリリースされ、この先「ディアブロ IV」も登場すれば、D2から20年以上の歴史があるなかで、シリーズの4作品が現行タイトルという、他に類のない状況が生まれます。それぞれのタイトルにコンセプトや方向性などに違いはあるのでしょうか。

スコット氏:基本的に、それぞれが全て違う作品で、異なる感覚を持ち、固有の優れた特徴を持っていると思います。

「ディアブロ イモータル」について言えば、本作はMMOARPGであることが大きな特徴です。友人と一緒に楽しめるレイド“ヘリクアリ”やPvP、大規模なクランやその対立など、数多くのソーシャル要素があります。

「ディアブロ イモータル」はモバイルゲームとして、いつでもどこでも遊べるだけでなく、非常にソーシャルなゲームだとも言えるわけです。

ハンター氏:全ての作品が違うという部分では、ストーリーが凄く重要だと考えています。全ての作品の物語は繋がっていますが、個別にプレイしてもとても楽しいです。プレイしていない人にも、とりあえずストーリーが面白いからやってみてと薦めることができます。

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―― 「ディアブロ」シリーズには、多種多様な武器や防具が存在しています。これまで、ビジュアルが好みでも性能面で使いづらい装備がありましたが、「ディアブロ イモータル」は外観の変更を可能にするコスメティック機能で見た目にもこだわれるようになるかと思います。このシステムの導入について苦労した点はありますか?

ハンター氏:コスメティックについて、重要なことは「ロールプレイが楽しめる」という点です。普通にプレイしていれば、新しい装備を手に入れたり強化したりできるわけですが、同じ装備を別のプレイヤーがつけていたとしても、意味や見た目は同じで、そこに物語は生じません。

コスメティックは、ここにロールプレイや物語が生まれる余地を与えるのです。

例えば、見た目が従来とは大きく異なる幽霊のようなものもあったり、全く違う外観を楽しむことができるので、自分だけのキャラクターをプレイしていると感じることができます。

「ディアブロ イモータル」では、ゲームのシステムに縛られることなく、かなり自由で面白いデザインを実現することができたと自負しています。

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今回言及のあった幽霊のようなコスメティック“Ghosts of Ashwold”
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ローンチ時に実装されるレジェンダリー装備の外観
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“Ghosts of Ashwold”コスメティックのコンセプトアート

―― 先ほどの質問で「ディアブロ イモータル」はPvPにフォーカスしている印象を受けたのですが、対人戦ではコスメティックに制限が設けられたりするでしょうか。装備の外観で相手のビルドをある程度判断できると思うのですが。

スコット氏:「ディアブロ イモータル」のPvPは1対1の対人戦ではなく、グループで戦うことから、敵の装備を詳細に確認する時間的な余裕もないので、コスメティックが大きな影響を与えることはないでしょう。

確かに特定のアイテムに紐付くレジェンダリー能力はありますが、PvPではクラスや相手の編成を判断することがより重要になると思います。

―― 先日、キャラクターのクラスを自由に変更できるシステムが発表されましたが、この機能を採用した理由を教えてください。また、どの程度自由にクラス変更ができるのかお聞かせいただけますか。

スコット氏:クラス変更については、現在も開発中で全てが決まっているわけではないのですが、確実に言えることは、クラス変更で何かが失われることはなく、いつでも以前のクラスに戻れるということです。

まだ開発中ですが、リリースされれば本当に楽しいものになると思います。

―― βテストからコントローラーでの操作に対応しましたが、こちらの評判はいかがでしたか?今後さらに拡張される予定などはあるでしょうか。

スコット氏:概ね良好で、かなり良いフィードバックが得られました。自分もコントローラーで試してみたところ、余りに快適で驚いてしまって、結局新しいコントローラーを買ってしまいました。今後もサポートは継続されますし、アップデートを通じて新しい機能が追加されるかもしれません。

―― クロスプレイを伴うPC対応が決定した経緯についてお聞かせください。

スコット氏:まず、ファンの要望が多く寄せられたことが主な理由で、PC対応を念頭に置いた上でゲームの開発を進めてきました。

また、多くのモバイルゲーマーがエミュレーターでゲームをプレイしていることも把握しています。エミューレーターを使用すると、どうしてもプレイ自体の品質が落ちてしまいますから、むしろこちらからPC版を用意することで、より洗練された体験を提供することが得策だと考えたのです。

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―― リリース後には、新しいゾーンやコンテンツが導入されるそうですが、大まかなスケジュールについて教えてください。

スコット氏:「ディアブロ イモータル」は今後ずっとサポートを継続するタイトルになるので、定期的にアップデートが行われます。

まず、毎月新しいバトルパスが追加され、追加のコスメティックとこれに関連するクエストが導入されます。また、8人で古代の悪魔に立ち向かうレイドモード“ヘリクアリ”にも毎月新しいボスが追加される予定です。

さらに、仮のスケジュールですが3ヶ月毎に新たなダンジョンかストーリーのどちらかが導入されます。こういった展開によって長期間にわたるストーリー展開を継続することができるわけです。

ハンター氏:アート側から言わせてもらうと、仕事は全然楽になっていません。引き続きどんどん追加される新しいコンテンツに期待してください!

―― お二人が「ディアブロ イモータル」の開発やデザインにあたって、特に力を入れた点を教えてください。

ハンター氏:やはりコスメティックのデザインがイチオシですね。デザインを通じて、ロールプレイの新しいアイデアや個々の装備にしっかりと考えを盛り込むことができたので、とても楽しい仕事でした。

もう一つ、アート面ではゾーンのデザインにかなり力を入れました。様々なエリアやゾーンが存在していて、ゾーンに入ると雰囲気が全く違うと感じられるように、デザインとビジュアルの両方からアプローチできたので、とても自信があります。

スコット氏:一番の売りは、モバイルゲームであっても「ディアブロ」だとしっかり感じられるタイトルが出来上がったことで、とても誇らしく思います。「ディアブロ」がそのままモバイルで楽しめる、何一つ妥協のない完璧な移植ではないかと感じています。

PCでプレイすると、PC向けのゲームだと思えるほどよく出来ているんです。

―― 日本のファンに向けてお二人からメッセージをお願いします

ハンター氏:本作は何度も言うようですが、かなり力を入れて作ったタイトルで、皆さんに届けられることをとても楽しみにしています。言いたいことはたくさんあって日本語で直接伝えたいのですが、日本語が話せません(笑)。とにかく早く皆さんにゲームに触れてもらって、感想を聞かせて欲しいです。

スコット氏:日本のプレイヤーは情熱的で、コミュニティを熱心に支えてくれるとよく聞きます。そんな皆さんに早く「ディアブロ イモータル」をプレイして頂いて、日本のコミュニティを作り上げて欲しいと思っています。

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