「The Elder Scrolls」世界に存在する膨大な数のゲーム内小説や詩歌・歴史書において、ひときわ異彩を放つ官能小説として知られる「アルゴニアンの侍女」ですが、槍を磨いたり、パンをこねたり、忙しい侍女リフト・ハー・テイルの日常を叙情的に描いた本書の作者Mark Nelson氏が、傑作「The Elder Scrolls III: Morrowind」にこの奇妙な官能小説が実装された経緯について言及し話題となっています。
これは、ウォーハンマーを含むミニチュアゲームやクラシックなPCゲームに関連するインタビューを専門に扱うFilmdeg Miniaturesが、週末に公開した8時間弱の特大インタビュー映像「The Elder Scrolls III: Morrowind – An Oral History from the Game Developers」に出演したMark Nelson氏が明らかにしたもの。(※ Mark Nelson氏は各種拡張を含む“Morrowind”や“Oblivion”、“Fallout 3”の開発を率いたベテランで、一部ギルドやデイドラ関連のライティングを多く手がけ、Morrowindの序盤を象徴する墜落魔法使いTarhielを生んだ人物として知られる)
Mark Nelson氏は、「Morrowind」のゲーム内に存在する数々の文書・本を手がけたのが(何れも初期TES世界の確立に重要な役割を果たした)2人の狂気じみた天才Ted Peterson氏とMichael Kirkbride氏であることを前置きした上で、なぜ自分があんな本を書いたのか、実は何も覚えていないと説明。
仕事終わりに同僚たちと飲んでいた時か、何かに着想を得たような気もするが、とりあえず長時間労働の疲れから生まれた、気晴らしや休憩代わりの掌編だったことは間違いないと語った氏は、一つ明確に覚えている事実として、「アルゴニアンの侍女」が“Morrowind”に実装された原因は、お馴染みTodd Howard氏に発見されなかったことだと明言しています。
当時のTodd Howard氏は、ルールとして“ゲームにユーモアは不要”と掲げていたことから、本来であればゲームに「アルゴニアンの侍女」を実装するような余地はなかったものの、Mark Nelson氏はこのルールが必然的に“トッドに見つからなければ、ユーモアも問題ない”に変化したと振り返り、当時は誰も見ていなかったから、何でも好きなものをゲームに入れることができたと伝えています。
余談ながら、Filmdeg Miniaturesの力作「The Elder Scrolls III: Morrowind – An Oral History from the Game Developers」は、口述による“Morrowind”開発の歴史をまとめた貴重なインタビュー集で、Mark Nelson氏はこの他にも、Bethesda Game Studiosに入社した経緯をはじめ、“Fargoth”クエストや“Tarhiel”の実装にまつわる逸話、現在では考えられない開発チームの労働環境や奇跡的な完成についてたっぷりと語っています。
また、今回の映像には、お馴染みKen Rolston御大も出演しており、今も健在なアイロニカルな語りと元気な姿で「The Elder Scrolls」の誕生やBethesda Game Studiosにおける自身の役割、シリーズ特有の膨大なテキストとロアの背景にある(ハイパーテキスト小説に近い)デザイン的なコンセプト等について、1時間近く語り倒しています。中には、“The Elder Scrolls”はダンジョンズ&ドラゴンズから誕生したものではなく、(TRPGの古典である)“ルーンクエスト”とその舞台“グローランサ”に強い影響を受けた作品であり、ロアとゲームプレイがどうあるべきか、その関係のモデルとなったのが“ルーンクエスト”だった等々、極めて貴重な証言がばんばん出てきますので、気になる方はMichael Kirkbride氏やDouglas Goodall氏といった伝説的な要人が次々と出演する8時間の視聴に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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