開催が迫る東京ゲームショウにてプレイアブル出展されることが明らかになったBethesdaのTESシリーズ最新作「The Elder Scrolls V: Skyrim」、doope!ではこれまでに大量のプレイディテールをお知らせしてきましたが、比較的シリーズタイトルをプレイ済みの方に向けた断片的な内容が多かったので、遂に国内で手に触れられる機会が設けられたこのタイミングで、あまりシリーズに馴染みがない方にもある程度の理解が得られるよう新要素や前作からの改善点を改めてご紹介しておきたいと思います。
なお、今回ご紹介する内容には先頃報じられた新しいプレビュー記事などから判明した新情報も混じっていますので、これまで当サイトで情報を追いかけてきた方も今一度The Elder Scrolls V: Skyrimの概要を振り返ってみてはいかがでしょうか。
1994年にリリースされたBethesdaのTESシリーズ1作目“The Elder Scrolls: Arena”以降、コンスタントにタイトルがリリースされてきたThe Elder Scrollsシリーズは、Bethesdaが17年に渡って積み上げてきた膨大な設定と1万年近い歴史に基づいた“Tamriel”と呼ばれる世界を舞台にしたオープンワールドのRPGゲームで、広い世界を思うがままのプレイスタイルで楽しめる高い自由度を実現したタイトルとして知られています。
The Elder Scrolls V: Skyrimではこの特徴と自由度がさらなる進化を遂げており、プレイヤーは約26平方kmの広さで構築されたSkyrim地方を舞台にメインストーリーである世界を救う旅に出ても良し、周辺をのんびり散策しても良し、或いは新たに搭載された結婚システムを利用して理想のパートナーを探すも良しと山の様な遊び方が用意されています。
なお、自由度の高さで知られるTESシリーズですが、幾つかの選択肢は用意されているもののメインストーリーに大きな分岐は用意されておらず、今作の主要なストーリーラインもこれまで通り比較的リニアな内容となっていることがこれまでに判明しています。
前作“The Elder Scrolls IV: Oblivion”ではEmergent Game Technologies社のGamebryoエンジンを利用していましたが、“The Elder Scrolls V: Skyrim”では新たにBethesda内製の新エンジン“Creation Engine”が利用されており、さらに臨場感溢れるリアルなゲーム世界が構築されています。
この“Creation Engine”により、前作よりも遙かに遠くを見渡せる遠景描写やライティングシステムの強化、こちらもBethesda内製の新しい樹木生成システム、そして北方の地である“Skyrim”地方の気候を再現する為に用意された積雪システムも新たに搭載。さらにNPCやクリーチャー、プレイヤーの挙動が新たに採用されたHavok社のキャラクターモーションミドルウェア“Havok Behavior”の採用によってよりリアルに改善されています。
また、AIにも新しいシステム“Radiant AI”が搭載され、NPCが日々の仕事に従事し、決まった時間に食事を摂ったり、Skyrim地方に住む動物やクリーチャー達の間に見られる食物連鎖や共生関係など、生物たちが世界で本当に生活しているかの様な振る舞いを見せることも大きな進化と言えそうです。
“The Elder Scrolls V: Skyrim”は前述した世界Tamrielの北方に位置し、険しい山脈とツンドラが拡がる過酷なSkyrim地方を舞台となっており、ゲームに再現されたSkyrim地方は前作Oblivionと同じ程度の広さ(約約26平方km)で、5つの大都市、多数の町や村、130を超えるダンジョンや洞窟がプレイヤーを待ち構えています。
また、Skyrim地方はTESシリーズに登場するNord種族の出身地でもあり、フロストスパイダー、マンモス、フロストトロール、アイスレイス、マウンテンジャイアント、そしてシリーズ初登場となるドラゴンといったクリーチャー達が闊歩しています。
The Elder Scrolls V: Skyrimの物語は前作The Elder Scrolls IV Oblivionから200年後、帝国の覇権が崩壊した後の世界を描いたもので、Skyrim地方の王が暗殺されたことによって混乱する内部情勢に加え、古から伝わる伝承に“世界を喰らう竜”と伝えられる神“Alduin”がドラゴン達を率い現世へと復活した状況が重なっています。
なお、今作の主人公はこれまでのシリーズを通じて帝国を支配してきたSeptim王朝の血統達が持ちあわせていたドラゴンに対峙する力を持つ最後の1人(※ “Dovahkiin”或いは“Dragonborn”)とされており、出生がSeptim直系かどうかなのか現在のところ不明ですが、ドラゴンの魂を吸収し、ドラゴンシャウトと呼ばれる“咆吼”による特別な能力を使用することが可能となっています。
前作をプレイした方向けへの余談ですが、OblivionのエンディングからSkyrim開始の200年間に起こった出来事は、Oblivionのエンディングから45年がたった帝国の物語を描いた小説“The Infernal City”と“Lord of Souls”に記されており、帝国の支配力と世界のバランスを摂っていた神の力が弱まり、これまでの勢力図が大きく入れ替った様子が明らかになっています。以下、以前に小説版のご紹介をした際にまとめた勢力図の概要を改めてご紹介しておきます。
前作では非常にバタくさいいわゆる“洋ゲー”臭を具現化したかの様な濃いキャラクターデザインが採用されていたOblivionですが、今作では非常に垢抜けたモダンなキャラクターモデリングが実現されただけでなく、フェースペイントや傷跡、タトゥー、皺、より多くの髪型、バリエーション豊かな髭の数々など、Skyrimの巨大な物語をプレイヤーに訪れるそれぞれの物語として描くに十分なカスタマイズ性を実現しています。なお、男女の性別差はゲーム上の能力や効果に差をもたらしません。
また、今作のキャラクター成長はプレイヤーの各種行動によって成長の方向性が決定づけられるシステムになっており、魔法を集中的に使用し戦闘をこなしていけば熟練した魔法使いに成長し、剣と盾で敵に対峙し続ければ優秀な戦士へと成長するといったシステムとなっています。また、実質的なレベルキャップは70(※ 現在のところ70レベル以降は成長が極端に鈍化するとされている)ですが、レベルアップ時にはHealth(体力)とStamina(スタミナ)、Magicka(魔力)が増加し、前作に登場したSTRやINTといったアトリビュートは3種のマスタースキルツリー“Warrior”と“Thief”、“Mage”の状態に直接リンクしていることが明らかになっています。
さらに、今作のキャラクター成長に大きく影響を与える要素として、新たに280種の“Perk”(※ Falloutにも似たプレイヤーの能力)が用意されており、特定武器の利用を強化したり、新しい攻撃要素の追加など、思い思いのキャラクタービルドを構築可能となっています。
The Elder Scrolls V: Skyrimでは戦闘システムがより柔軟に進化し、両手それぞれに違う片手武器を装備したり、片手にダガーを装備しもう片方の手で魔法を使用するなど、両手を自由に利用可能なシステムへと生まれ変わっています。前述のPerkや戦闘行動による成長要素と共に、様々な装備と魔法の組み合わせによってプレイヤーは各自のスタイルに併せた最良の戦闘を実現する組み合わせを創造することができます。
また、前作よりも防御の重要性と意義を増すため、今作では後退する移動スピードが減少されただけでなく、新たに敵の攻撃を反らせるためのタイミングベースによる防御システムが導入されており、盾がよりその役割を十分に発揮出来るシステムへと改善されています。
今作では5つのスクール(AlterationとConjuration、Destruction、Illusion、Restoration)に属する85種類の魔法が用意されていますが、それぞれの魔法には片手での使用や両手で同じ魔法を使用するなど、異なる利用方法や効果が用意されています。
また、ボタンの押し下げ時間による違いも新要素として用意されており、Fireballの魔法をボタンを単に押すだけで使用すれば火の弾が投じられますが、押し下げ状態で一定時間溜めてから放出すれば火炎放射器の様な攻撃が可能。さらに、両手に同じ魔法を装備して使用すれば消費Magickaと威力が倍になる強力な攻撃も用意されています。
なお、Bethesdaは片手にそれぞれ違う魔法を組み合わせることで発動する強力な魔法のコンビネーションも用意されていることをこれまでに示唆しています。
前作のバニラでは強力とは言えず印象的ではなかった弓と矢による戦闘ですが、今作の弓は暗殺に適した強力な武器として活躍できるよう改善が施されており、Aim状態で弓を十分長く引き溜めてから放つことでより強力なショットを放つことが可能になりました。
これらの改善によって弓攻撃は、スキルを十分に鍛え装備をしっかりと用意し、ローグのステルス性を強化することで、1hitキルも可能な強力な攻撃手段へと進化しましたが、Bethesdaは“矢”を高価にし、ゲーム内での登場をレアにすることでバランスをとっている模様です。
The Elder Scrolls V: Skyrimには完全に新しいプレイ要素として、主人公の咆吼によって天から雷撃を落としたり、ファイアーブレスを放つといった攻撃を可能にする20種類の“ドラゴンシャウト”が用意されています。
主人公は前述したドラゴンに唯一対峙可能な存在“Dovahkiin”として、倒したドラゴンの魂を吸収した後、その魂が持つ力を解き放つ為にドラゴンが石版を爪でひっかき言葉を記した石版を3つ発見し、その3つのドラゴン言語を叫ぶことでドラゴンシャウトを使用することが可能となっています。
Bethesdaはこのドラゴンシャウトの導入にあたって、ドラゴンが爪で実際に記述可能な34種類のアルファベットやフォントのみならず、8世紀頃の古英語を元にしたドラゴン語の文法(※ 時制や同士の変化まで存在)を作成しており、男声合唱による印象的なテーマ曲の歌詞にもこのドラゴン語が利用されています。ちなみに、主人公を指す“Dovahkiin”はドラゴンを指す“Dova”と子供を指す“Kiin”を組み合わせたドラゴンの子供という意味を持つドラゴン語の1つとして知られています。
なお、ドラゴン語とドラゴンシャウトに関する背景は過去記事で詳しく紹介していますので、興味が有る方はそちらでご確認下さい。
以前に公開されたトレーラーでは、主人公がドラゴンにトドメを刺す際にジャンプし頭部に攻撃を打ち付けるトドメのモーションが描かれ、戦闘をよりエモーショナルに演出していましたが、今作では新たにフィニッシュムーブが用意され、雑魚戦闘などでも発動が見られるようになりました。細かな新要素ですが戦闘により臨場感を与える素晴らしい改善だと言えそうです。
とかく複雑になりがちなRPGのUIやメニューですが、BethesdaはThe Elder Scrolls V: Skyrimのメニューデザインにあたり、AppleのiTunesにインスパイアされた直感的でシンプルかつアクセシブルなメニューを実現しました。
これによってプレイヤーは地図や魔法、武器、装備品、キャラクター情報によりアクセスしやすくなっただけでなく、Dパッドから簡単にアクセス出来る“お気に入り”メニューにアイテムや装備、魔法といったあらゆる要素が登録が可能になったことによって、通常戦闘時における攻撃手段の変更といった即時性も大きく改善され、プレイをより快適なものに進化させています。
さらに、インベントリ画面では武器や食べ物、薬草といった何千ものアイテムが全て3Dで表示され、回転/拡大縮小など自由に観察できるように改善されただけでなく、本も実際にページをめくることが可能な3Dオブジェクトとして用意され、メニュー画面から中身を確認することが可能になりました。
また、これまで2Dベースだった世界地図は3D表示に変更されており、拡大縮小も自由に行える扱いやすいゴージャスなマップUIへと進化しています。
前作では装備品に耐久力が用意されており、これを度々修理する必要があり非常に煩わしい要素としてプレイヤーを悩ませていましたが、今作では時間による装備の品質が下がることが無くなり、プレイヤーはあの煩わしさから遂に解放されました。
さらに、今作ではスキルによる装備品の性能を改善や、新たな装備品の作成が可能となっており、各種生産スキルがより楽しいものへと生まれ変わっています。
前作のバランスやゲーム性を悪い物にしていた(※ 雑魚敵が高級な装備に身を固めるなど)大きな要素として、プレイヤーの成長に併せて敵が自動的に強くなっていくレベルスケーリングの要素が存在しており、Bethesda自身もこれに満足していなかったことを公言していました。
The Elder Scrolls V: Skyrimではレベルスケーリングのシステム自体は残っているものの、同スタジオが以前に手掛けたFallout 3で実現されたより自然なバランスのスケーリングに改善されたことが明らかになっています。
オープンワールドRPGにおける生活の側面を強化する今作の大きな新要素として、新たに任意のNPCと結婚し共に生活することが可能になりました。このシステムは種族を超え、同性とも可能で、配偶者となったNPCはプレイヤーと行動を共にし、一日に一度特別な効果が付与された食事を用意してくれたり、生産スキル用の素材の採取といった“タスク”を頼むことが可能となっています。
元より自由度が高いTESシリーズですが、今作のキャラクターデザインの改善も相まって、生活面の更なる充実を提供する素晴らしい要素と言えるのではないでしょうか。なお、現在のところBethesdaからは全種族と結婚が可能という情報と、種族に制限があるとの情報の両方が報じられており、詳細な続報の発表が待たれる状況となっています。
Skyrim地方には各所に石で作られ星座が彫り込まれたオベリスク“ガーディアンストーン”が用意されています。これは“Warrior”と“Thief”、“Mage”の3つが1箇所に用意されており、プレイヤーはこれを選択することで、プレイスタイルに併せたスキル増加といった効果が得られます。
このガーディアンストーンによる効果は永続的なものですが、保持できる効果は常に1種類に制限されており、再度オベリスクにアクセスすることによって簡単に変更が可能となっています。
ということで、ざっくりとご紹介しただけでも山の様な改善と進化が用意されたThe Elder Scrolls V: Skyrim、初の国内プレイアブル展示を迎えた本作を幸運にもTGS会場でプレイ出来る方は、こういった改善を頭に置いておけば短い至福の時間をより有用に楽しむことが出来るのではないでしょうか。
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