「Max Payne 3」は現代のフィルム・ノワール、Max Payneに一体何があったのか?

2009年10月12日 21:38 by katakori
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Max Payne 3

先日はティザー映像らしき物も発見された「Max Payne 3」、Remedy Entertainmentによって開発された懐かしの名作Max Payneシリーズが新たにRockstar Gamesの手により再生され登場する事になった訳ですが、数年ぶりに私たちの前に姿を現した主役のMax Payne(以下マックス)は、かつてのイケメンぶりはどこへやら、トレードマークだったレザージャケットも脱ぎ去り、頭は禿げ上がり、無精髭を生やして中年太りのだらしない姿となっていました。ファン達には予想外の大きな変化だったと言えます。

先日Game InformerにMax Payne 3のプレビューが掲載され、リリース日が来年の3月1日である事が判明、同タイトルのこれまでのいきさつや舞台背景、新しいストーリーについて、そしてゲームシステムに盛り込まれた多くの新要素など、気になる情報が多く見られます。本日はこのプレビューをダイジェストでご紹介します。

■ 「過去を逃れて」

Max Payne 3

主人公であるマックスは一作目で愛する妻と子供を殺され全てを失った男で、本当の愛も失い、復讐により正気も失い、そして生きていく意味も無くしてしまっており、Max Payneシリーズは主人公であるマックスの復讐劇を描いた物であると言えます。Max Payne 3では前作の終わりから12年の月日が流れており、マックスは古巣のニューヨーク市警からも関係を絶たれ、アルコール中毒と鎮痛剤(シリーズを通して使われる体力回復剤)の大量服薬によってぼろぼろの体となり、どん底の生活を送っています。Rockstar Gamesはこの12年をマックスの”失われた年月”と呼んでいます。

Max Payne

このマックスの様相の変化の衝撃は大きかったものの、本来あるべき姿のマックスを描くには最適な変化かもしれません。過去の2作はバレットタイムや技術的な先進性で注目を集めたものの、シナリオは正直なところ設定以上に魅力的な物ではありませんでした。復讐劇である事はプレイの中の煩雑なストーリーにより目的が薄められてしまい、さらに1でのマックスは全てを無くして復讐を誓う男でありながら、その顔はミッキーロークを少しにやけさせた様なシニカルな顔で口元にうっすら笑みを浮かべた顔でした。その2年後を描いた2作目ではモデリングやグラフィックノベルのクオリティも大幅に良くなったものの、前作で死んだかと思われたMona Saxとのラブロマンス物になり、秘密結社であるInner Circleとの戦いにスポットが移ってしまい、本来マックスが持ち合わせていた狂気や復讐、そして絶望と言った物は残念ながら影を潜めています。

■ 「スラムダンス」

Max Payne 3

Rockstar Gamesは他のデベロッパーに比べて土地と文化に対する重要性を高く持っています。Bullyのスクールキャンパスしかり、来るRed Dead Redemptionでの赤く乾燥した砂漠、そして馴染み深いLiberty Cityなど、没入型で複雑なオープンワールドを構築する事には定評があります。過去2作のMax Payneはジョン・ヒューストンの1941年の作品「マルタの鷹」やオーソン・ウェルズの「黒い罠」といったフィルム・ノワール(虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称)をモチーフに典型的な暗く湿ったニューヨークを描いてきました。しかし今作でRockstar Gamesはお約束の舞台設定を翻し、なんと南国ブラジルのサンパウロを舞台に持ってきています。これは近年の「City of God」や、去年のベルリンで金熊賞を獲得した「Elite Squad」などに見られるブラジル映画の影響である事をRockstar GamesのJeronimo Barrera氏は明かしています。

サンパウロのゲットーは世界で最も危険な地域の一つで、麻薬密売と犯罪組織のPrimeiro Comanda da Capital(PCC)による強盗や誘拐、大規模な暴動などが多発し、市民の75人に1人が銃器を携行し、若者の死因の一位が殺人という大変に暗い状況にあります。サンパウロの都市部にあるビルが屋上に擁するヘリポートの割合は世界でも1,2を争う率で、さらに多くのプライベートな治安部隊が存在します。

今作の開発ではRockstar Gamesから10人以上のスタッフがサンパウロに実際に赴き、情報を集め、都市の空気を吸収しました。そして彼らはキャスティングエージェントを雇い、サンパウロのスラム街に住む何百人もの人々の3Dスキャンを行いました。Jeronimo Barrera氏はこういった事がリアルなテーマであると述べ、こういった活動が他の競合タイトルとの差であるとも続けています。同氏は「Max Payneはノワール・ゲームです。ノワールはモノクロームでなければならず、ニューヨークであるべきです」と踏まえた上で「しかしノワールはスタイルです。もはや土地と色彩設計が重要ではなく、必ずしもサックスの音色に大きな暗い影が必要なわけではありません」と述べ、Max Payne 3が同時代的な新しいフィルム・ノワールである事を強調しています。

映画「Elite Squad」のトレーラー
映画「City of God」のトレーラー

■ 「現金に体を張れ」

Max Payne 3

今作でマックスは12歳も年を取ったこともあり、これまでマックスの声を演じてきたJames McCaffrey氏は起用されない事になりました。近年のRockstar Gamesらしく値が張るハリウッド俳優は採用しない模様です。これについてJeronimo Barrera氏は「私たちはキャスティングが上手です」と述べています。

そしてMax PayneにはMax Payneたる象徴的なトレードマークや要素はパーフェクトに盛り込まれている事を強く主張しています。策略や裏切り、夜間や雨の中のレベルがちゃんとあり、これらをサンパウロの密度の高い地形がより魅力的な物にしていると同氏は続けています。スラム街は小さな迷路のようであり、ゲームプレイを単純に楽しい物にする機能も果たしているようです。

■ 「殺しの分け前」

Max Payne 3

ゲームのバックグラウンドも重要ですが、やはりMax Payneシリーズの一番の特徴と言えば、アドレナリンの大量分泌による集中力の上昇によるスローモーションをゲームに組み込んだバレットタイムに他ありません。シリーズだけに限った話ではなくバレットタイムはこれまでのゲームの歴史の中でも間違いなくイノベーティブな一つの要素であると言えます。今や色々なタイトルで見られるスローモーション効果ですが、当然Max Payne 3もMax Payneであるが故にバレットタイムを採用しています。但し1作目のリリースから8年が経った今、ただバレットタイムを蘇らせるだけでは無く、今のバレットタイムを再デザインする事で「多く存在するクローン達の中、マックスを王座に帰す」とJeronimo Barrera氏は述べています。

参考:Max Payne 2でのバレットタイム

Max Payne 3ではRockstar Games内製のRAGE engineと共に、プロシージャルなアニメーション生成を行い自然な動きを生み出すEuphoriaテクノロジーが採用されており、これにモーションキャプチャーも併用する事で著しく現実的に感じられるアニメーションが作成されているようです。これまでのバレットタイムやドッジのモーションが自然な物に生まれ変わるだけでも、かなりの爽快感が得られるのではないでしょうか。

さらに今作ではカバーシステムも新たに採用されています。人間を盾にカバーを行う事なども出来るようですが、カバーはゲームプレイ的に必須なテクニックではなく、プレイヤーがカバーする事も可能な程度のオプションとして用意されている様で、こういった行動の要素のバリエーションを豊かに用意する事でマックスのガンプレイがまるでバレエやカンフーの様に感じられるレベルまで引き上げたいと考えているとの事です。

Max Payne 3

さらにこれまでのバレットタイムに加えて、まだ詳細は明かされていませんがQTEにも似た”Environmental Bullet Time”と呼ばれる環境や地形用のバレットタイムが登場する事になります。さらに新要素として“Bullet Cam”(弾丸カメラ)モードが用意されています。こちらもまだ具体的にどういった効果があるものか明らかになっていませんが、危機的な状況での生存率を上げる効果が期待できる様です。

Rockstar Gamesはマックスのコミュニケーションは武器によって行われるべきだと考えており、実際の人間の動きに見える正気とは思えないようなリアクションを盛り込もうとしているようです。例えばマックスから逃げる男の足を撃てば、現実の様に倒れ反応し、またマシンガンで敵を撃てば弾丸とその衝撃で穴だらけになって欲しいと述べられています。こういった超バイオレンス表現と闇、そして現実世界のテーマなどを組み合わせてカルトフィルムの様なタイトルとしてゲームを完成させる事をRockstar Gamesは望んでいます。

Max Payne 3

Rockstar Gamesの同シリーズに対する並々ならぬ愛情や意気込みが感じられ、本当に渋い作品に仕上がりそうなMax Payne 3、対応プラットフォームはPCとXbox 360、そしてPS3となっており、来年2010年の3月1日にリリースされる予定です。いったいマックスにどのような運命が待ち構えているのか、そして前作のDead on Arrival難度でのエンディングがどう扱われるのか、今から楽しみでなりません。

情報元及びイメージ:GameInformer

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