「Epic Mickey」ウォーレン・スペクター氏へのロングインタビューがGIに掲載、ミッキーの次はわんぱくダック夢冒険?!

2009年10月26日 12:29 by katakori
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Epic Mickey

GameInformerによる「Epic Mickey」の特集として、新しくウォーレン・スペクター氏へのロングインタビューが掲載されました。インタビューではデザインやストーリーラインの詳細や全体の計画などについて深く語られています。さらにWii専用タイトルとなった理由や今後の展望などについても言及されており非常に興味深い内容になっています。本日はダイジェストでインタビューの内容をお届けいたします。

GameInformer(以下GI):ミッキーマウスが映画とアニメーションの歴史における重要度についてどうお考えですか?

Warren Spector(以下WS):ミッキーはアニメーションの歴史と映画史の両方において重要なキャラクターです。彼は1930年代の3~4年間明らかに最も人気のある映画スターでした。そして彼の興行収入は巨大な物でした。それは不景気を生きる全ての世代の人々に希望を与えたと言っても誇張ではなく、彼は小さな太陽の様な存在でした。

彼は少し甘く、そして無垢で、アナーキーでクレージーで近年の映画に適さない物かもしれませんが、当時は国や世界が彼を必要としました。そして彼はそのニーズを提供するためにそこに居ました。そしてアニメーション映画として最初のトーキー映画となった蒸気船ウィリーもアル・ジョルスンの世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」と同様非常に重要にです。

この後、ミッキーマウスの映画史における重要性やその他の重要な映画の出来事に絡めて大学で映画を専攻していた氏らしい分析と共に年代と共に変化するミッキーマウスのキャラクター像について語っています。

GI:あなたはミッキーマウスが現代の聴衆と対話するためにどういう事が必要だと思いますか?そして2009年と2010年の聴衆にミッキーは何を議題に持ってくるでしょうか。

WS:アイロニー(皮肉っぽい事)はそれがゲームでも映画でもミッキーを若返らせるか再生する為の最良の方法だと私は考えています。或いは他のどんなスタンスからでも彼を元居た場所に返す方法です。落ち着いた50年代でもなく、少し冒険的だった40年代でもなく、リーダーとしての存在だった30年代でもなく、ミッキーがいたずら好きだった20年代後半から30年代前半が最適です。

ミッキーは行儀の悪いネズミで、トラブルメーカーで、良くない行動をしていました。そしてその上でミッキーはとても正直でした。

私は今の子供達が早く成長しすぎていると考えています。彼らは控えめなユーモアは受け入れないでしょうし、それを見に出かける事はないでしょう。子供達は”何か”がエネルギッシュである事を望みます。私は今回のミッキーをかつてのエネルギッシュなキャラクターに出来たと感じています。

さらに古典的なハリウッド映画の1シーンの平均時間は約30秒でしたが、今それは約6秒まで短くなっています。私はミッキーを愛すべき子供や若年層にはこのペースを取り戻す必要があると考えています。したがって、ルーツに戻る事、ペースを取り戻す事、行儀が良くないこと、これらが選択すべき物だと思います。

Epic Mickeyさらに話題はEpic Mickeyプロジェクトのスタートに関する話題に及び、ウォーレンスペクター氏がIon Stormを去ってから本作の制作に至るまでの過程について触れられています。元々スペクター氏はJunction Point Studiosが買収される事を希望していなかったようで、ディズニーによるJ同スタジオの買収は困難な物だったようです。スペクター氏がサインをするまでには実に1年半の期間が費やされたとの事。ちなみに同氏はIon Stormを去った後、Deux Ex的なエピックなファンタジーRPGを作っていたそうです。

さらに同氏はディズニーとの協力の中でミッキーの再生に留まらず、なんとスクルージ叔父さんとヒューイ・デューイ・ルーイの三つ子が主役のダックテイルズ(わんぱくダック夢冒険)をかなり強くリメイクしたいと希望しているそうです。ディズニーから「ミッキーのゲームにだけ興味を集中してくれませんか」との要望にスペクター氏は「No!」と答えています。

GI:多くの人々があなたが以前生み出した様々なゲームについて言及した事があり、精通していると思います。あなたはEpic Mickeyにそれらと比べたゲームプレイの価値について着目していますか?

WS:はい、Epic Mickeyはファニーなタイトルです。私はUltimaシリーズの制作でリチャード・ギャリオット氏と仕事をし、自分自身でその一つを独力で開発しました。さらにDeus Exにはトレンチコートに身を包んだ男、2丁拳銃、サングラス、夜の闇、リアルな世界を構築するためのあれこれがあります。

私はコンテキスト(フィクション)の重要性は2番目であることを理解しました。私はストーリーを”話す”事を愛していますが、最も私にとって重要なのはプレイヤーと同調する事と物語を”伝える”事です。

また、コアゲームのプレイ価値の全てはフィクションの中で表現する事ができます。ファニーなゲーム、悲しいゲーム、そして恐ろしいゲーム、或いは現実的なSFゲーム、ハードコアなファンタジーゲーム、カートゥーンゲームのいずれでも表現する事が可能です。しかし、それはあくまでフィクションをベースにした物で、ゲームではプレイヤーによる選択と結果の提示、そしてプレイヤーによる解決が重要だと考えています。

私がゲームデザインにおいて重要だと考えている全てがこのEpic Mickeyで表現されます

GI:そういった行動の選択についての考えは、やはりあなたの作品の真にコアな要素ですか?

WS:はい、まさしくそうです。

Epic Mickeyこの後いよいよEpic Mickeyのゲーム性について話題は移り、本作の中心となるギミックはペイントとシンナーである事が語られています。また世界感の創造に注力したことも語られており、その事はリチャード・ギャリオットから受け継いだ物であるとウォーレン・スペクター氏は明かしています。

Epic Mickeyの舞台はWastelandと呼ばれており、そこは人々から忘れ去れ、棄てられたディズニーの創造力の世界です。バックストーリーには「ウォルト・ディズニーは何も棄てられなかった」という事がベースになっています。消費されて失われていくキャラクター達が多く居る中、ウォルトはそれらが失われていく事を我慢できず、彼のアイデアとパワーが忘れ去られていくキャラクター達が冒険を失わないように代替えで用意した世界がWastelandなのだそうです。そういった事からWastelandはlimbo(キリスト教で言う天国と地獄の間にある世界)的な世界として構築されているようです。

このWastelandに居る物はキャラクターだけではなく、テーマパークの乗り物や、映画で使われたシーン、作られた物の世に出なかったシーン、背景美術、時代遅れになったキャラクターの衣装達、そういったありとあらゆるウォルトの手による物が”棄てられず”アーカイブされているのだそうです。そしてここに1928年にビジネスのトラブルから権利を放棄せざるを得ず、その事によってミッキーマウスが生まれ、そして2006年に80年もの長い期間を経てユニバーサルから権利を取り戻したオズワルドが現れる事になります。

GI:なぜWiiを選択したのですか?

WS:そうですね、それは逆にHaloやGrand Theft Autoのプレイヤー達がミッキーマウスのゲームを遊びたいと考えると思いますか?Epic Mickeyをプレイしたいと感じるであろう似た性質のユーザー層を見つけるなら、マリオとリンク、そしてソニックが居るプラットフォームが良いでしょう。正直なところハードウェアの売り上げ台数も幸運な要素の一つです。

カートゥーン的なグラフィックを見る事にもWiiのユーザーは慣れているので、近年のノーマルマップやリッチなシェーダー表現も必要がなく、Wiiはこのプロジェクトに最適なプラットフォームです。

さらにEpic Mickeyのコアなシステムとされるペイントとシンナー以外にどんな要素があるかとの質問に、ウォーレン・スペクター氏はかつてのUltima VIやDeus Exでの大きなゲームとしての魅力にプレイヤーへの選択肢が豊かに用意されており、開発者が思いも及ばなかったクリア方法がプレイヤー達により発見されるような自由度の高さを上げています。これはウォーレン・スペクター氏のタイトルのファンは一番望んでいる事ではないでしょうか。System Shockしかり、Thiefしかり、本当になんど遊んでも遊びきれないような無限の可能性がそこにはありました。

やはりウォーレン・スペクター氏もそこは重々承知しているようで、今作ではそれらの魅力を存分に盛り込まれている事をアピールしています。

GI:オズワルドを知らないプレイヤー達にオズワルドの事を教えて貰ってもよいですか?

WS:しあわせうさぎのオズワルドはウォルト・ディズニーの最初の大きな人気キャラクターでした。ウォルト・ディズニーと彼のパートナーであったアブ・アイワークスにとってオズワルドは最初のチャレンジでした。アブ・アイワークスは20年代の非常に著名なアニメーターで彼らは1926年から27年にこのうさぎのキャラクターを作成しました。

オズワルドはこの18ヶ月の間、世界で最も成功したキャラクターで、彼の作品はユニバーサルによって配給されました。しかし1928年2月にユニバーサルと所有権をめぐり交渉が決裂し、オズワルドはユニバーサルに所有権が移り、さらに従業員の引き抜き工作もありウォルトとアブは解雇されました。

オズワルドを失った結果、彼らはミッキーを創り出しました。彼らはオズワルドと共に居た18ヶ月間に26の作品を創り、それらのうち13作品はまだ存在しています。それらは権利を取り戻して2008年にリリースされたDVDで見る事ができます。オズワルドの作品群は驚くべき物です。それらはサイレントアニメの最もピークな時代の物で、ミッキーの初期作品よりも素晴らしい物があります。

それらはファニーで本当にアナーキーです。オズワルドはクレイジーで猫を好きになったり他のうさぎと恋に落ちたりと色鮮やかなキャラクターでした。さらに彼は自分の体を真っ二つに割ることができました。彼はボウリングの球の様に自分の頭を投げます。そして彼はかれの耳を手のように自由に扱う事ができます。

作品を見ればかれがなぜ大きな成功を得たか判るでしょう。彼は現代においてもクレイジーで笑いのトップにいて、ファニーなキャラクターです。そして、彼は生き返ります。

GI:オズワルドはゲームの中ではかつての彼と同じキャラクターですか?

WS:いや、オズワルドは大きく変更されます。私たちの世界の中では“しあわせうさぎのオズワルド”はもはや幸せなうさぎではありません。彼は長年痛みの世界に住んでいます。自分の変わりに生まれた人気者のミッキーに悔しがる事、そして彼はたとえウォルト・ディズニーが誰だか判らなくとも、ウォルトによって愛されたいと考えています。

オズワルドはウォルト・ディズニー、お父さんから愛されたい、怒っていて、悔しい。そして彼は私たちの世界から隠れてしまいました。ミッキーはオズワルドを再び現実の世界に呼び戻さなくてはなりません。そしてオズワルドがミッキーを嫌う事をとめてあげなければなりません。それによりWastelandの問題を解決する事ができます。彼らファミリーの仲を元に戻して、オズワルドを居るべき場所に帰す事、これがゲームの最も大きな要素です。

話はこの後インク怪人についても及び、さらにEpic Mickeyの魅力について、そして今後の予定について語られています。Epic Mickeyはウォーレン・スペクター氏の20作目のゲームタイトルにあたる作品で、さらにこの後も様々な創作意欲がわき上がってるとの事。映画やらゲームやらテーマパークのアトラクション等々、やりたい事だらけの様です。

さらにインタビューの最後にまた念押しのようにダックテイルズ(わんぱくダック夢冒険)をゲーム化したいと強くアピールしています。ウォーレン・スペクター氏はダックたちを描き出したカール・バークスに非常に傾倒しているようで、アメリカの漫画家とアーティストの中で常に最も偉大な人物だと評しています。

彼の作品が子供向けでは無い事を引き合いに、ウォーレン・スペクター氏は「私は子供のためにゲームを作りたくはありません、そしてゲーマーのためにゲームを作りたくありません、私は皆のためのゲームを作りたい」と述べています。あのいたずら3つ子が本当にゲームになるかと思うと、早くも楽しみでしようがありません。

しかし今回のインタビューを読むかぎり本当にウォーレン・スペクター氏の頭の中は一体どうなっているのかと、まるで小宇宙の様なアイデアの渦に感嘆するばかりです。ストーリーだけでも呆れる程に魅力的な上に、これまでのハードコアな氏の作品の魅力的なゲーム性がこのEpic Mickeyに昇華されるのかと考えると本当に楽しみです。いよいよお披露目イベントも近づいてきて、ますますEpic Mickeyから目が離せなさそうです。

情報元及びイメージ:GameInformer

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