PS3版「TESV: Skyrim」の不具合にBethesdaが公式発表を行い問題の改善を約束、これまでの経緯を改めて整理

2011年12月7日 11:45 by katakori
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「The Elder Scrolls V: Skyrim」 エルダースクロールズ スカイリム

ローンチ以降、長時間のゲームプレイに伴うフレームレートの極端な低下などが問題視されていたPS3版「The Elder Scrolls V: Skyrim」ですが、先日リリースされた1.2パッチで若干の改善は見られたものの、残念ながら解決には至っておらず内外で大きな議論を呼んでいました。

そんな中、遂にBethesdaがPS3版に関するコメントを公式サイトにて発表し、今後問題の解決に向けて取り組むことを約束しました。今回はこのPS3版のパフォーマンスに絡み、憶測や間違った情報が錯綜する現状を整理をする為に事態の経緯と状況、発言を行った人物の背景説明や見解、新エンジンに関する説明を踏まえた上で、Bethesdaのコメントと今後の対応についてご紹介します。

「Digital Foundry」による計測とObsidianのJosh Sawyer氏による不具合に対するコメント

参考:Digital Foundryによる計測/比較(左が新セーブデータ、右が65時間プレイを行ったデータ)

フレームレート低下の問題については各種の技術的な検証でお馴染みDigital Foundryがバージョンやセーブデータのサイズ、プレイ時間の差に見られるFPS計測と比較を行い、状況によっては多くの解析を行ってきたDigital Foundryで初の“0”fpsが登場するシーンも確認されました。

また、Digital Foundryの検証では問題箇所の特定には至っていないものの、65時間のセーブデータをロードし30分プレイした後に、プレイを重ねていないキャラクターの真新しいセーブデータをロードしたところfps低下やシャッタリングが持ち越されていることから、ガベージコレクタ(※ 使用済みのメモリ解放などを行う機能指す)が上手く動作していないとの指摘などが行われています。

さらに先日には“Fallout: New Vegas”の開発を率いたObsidianのJosh Sawyer氏(※ かつてFallout 2を開発したBlack Isle Studioに所属し、Fallout 3としてリリースされる予定だったVan Burenのリードデザイナーを努めた)がFormspring Q&AにてPS3版の問題に言及。

今回の問題が“Fallout: New Vegas”のPS3版にも起こったメモリ管理に絡む問題と酷似しているとの見解を明らかにし、main.esmやDLC用esmに含まれるインスタンスと比較し差分データを保存するセーブデータに纏わるエンジンレベルの問題で、シンプルな解決は難しいだろうとコメント。このシステムの再構築には大きな時間が必要ではないかと示唆しています。

この後、PS3のメモリ周りに絡んだ発言の一部が海外サイトを中心に広がり、国内の一部でも出自がはっきりしない状態でぼんやりした議論を呼んでいますが、発言が単なる1ユーザーの想像では無く、今回の問題にBethesdaの外部で最も近い場所にいると言えるJosh Sawyer氏の見解であることはビジネス的な側面からも大きな意味を持つことだと言えそうです。

また、公式フォーラムではユーザーがPC版のインスタンス移動間に見られるメモリリークらしい挙動を発見し報告、こちらもコンソール版のパフォーマンスに影響を与えているのではないかと注目を集めています。

「The Elder Scrolls V: Skyrim」の新エンジン“Creation Engine”はフルスクラッチの新エンジンではない

The Elder Scrolls V: Skyrimでは前作OblivionやBethesdaのFalloutシリーズで使用されたGamebryoエンジンではなく、Bethesdaの内製エンジンである“Creation Engine”が使用されていることが報じられています。

前述した問題は、これまでのシリーズをプレイしたことのあるユーザーには同様の問題を体験した方も多く存在すると思われますが、Gamebryoでも似た状況が見られた問題が、新エンジンである筈の“Creation Engine”でも発生していることが一部のユーザーに更なる混乱を招く状況となっています。

この件については、当サイトで今年6月にご紹介した通り、“Creation Engine”はフルスクラッチの新エンジンでは無く、Gamebryoをベースに徹底的な改良が加えられたことでBethesdaが権利を所有するに至ったエンジンとなっており、シリーズを率いるTodd Howard氏がインタビューでもはっきりとこれを明言しています。

BethesdaはPS3版パフォーマンス改善への取り組みを約束

こういった経緯を経て本日発表されたBethesdaの公式発表ですが、BethesdaはPS3版の長期プレイに絡むパフォーマンスの問題が最新の1.2パッチで解決を見ていないことを認め、一部のユーザーに限られた問題ではないことを認識していると明らかにしています。

また、この問題について多くのユーザーからセーブデータを収集し問題を実際に確認していると説明し、パフォーマンスの低下が小さな問題が重なって発生しているとの見解を提示。なお、Bethesdaは現在調査中であることを踏まえた上で、この原因の一部としてバックグラウンドで行われるオートセーブ(※ オプションから解除可能)や、SPU AIのアップデート、動的なメモリ割り当てを行うシステムを挙げています。

さらに今後の修正対応については次期パッチである1.3アップデートには改善が含まれないことを明言、プレイヤーのフィードバックと忍耐に感謝の言葉を述べ、今回の問題に真摯に向き合い問題が解決されるまで取り組み続けると約束しました。

という事で、大きな事態へと発展してしまったPS3版The Elder Scrolls V: Skyrimのパフォーマンス問題ですが、当サイトではしつこく愉快ネタを中心にご紹介している通り、今作の面白さとゲームプレイの異様なクオリティ、そして著しい世界観の構築がもたらす体験の質は近年類を見ない水準に達しています。この素晴らしい世界を全てのユーザーがたっぷりと堪能出来るよう、Bethesdaには一刻も早い問題の解決と改善に期待したいところです。

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