先日、2度目の開催を迎えたスタジオ内プロトタイプ開発イベント“Amnesia Fortnight”から登場した新プロトタイプ5本のHumble Bundle販売を開始した人気デベロッパDouble Fineですが、先日PolygonがDouble Fineを率いるお馴染みティム・シェーファーと、現在のDouble Fineが辿り着いた希有なポジションの実現に大きな役割を果たした投資家Steven Dengler氏の長大なインタビューを掲載し、次世代機やモダンなゲームパブリッシングビジネス、ゲーム開発文化にまで及ぶティム・シェーファーらしい言及が注目を集めています。
今回はそんなインタビューの中から、かつてVivendiとシエラを買収したActivisionとDouble Fineの間に発生したBrutal Legendに絡む裁判争いに加え、Bobby Kotick氏と名指しの舌戦を繰り広げた経緯も広く知られるティム・シェーファーのパブリッシングビジネスに関する見解を抜粋してご紹介します。
Activisionとの裁判沙汰(※ Activisionによって開発中止となったBrutal Legendが、EAとのパブリッシング契約を結び大規模なプロモーションを開始した後に、Activisionが販売権を放棄していないと訴えたもので、その後Double Fineが反訴していた)を踏まえパブリッシングビジネスの側面に言及したティムは、「つまり、(大手パブリッシャーとのビジネスは)僅かな人達だけが上手くやれるもので、彼らは実際スイートな契約を結び、パブリッシャーと家族になるんだ」と語り、こう続けています。
まさしくここにパブリッシャーとの“良い関係”にまつわる危険がある、開発者にはパブリッシャーが自分の親であるという勘違いが存在するんだ。
彼らはこう考える、「彼らは私のことを世話し、給料を払ってくれる。彼らは私を愛している。彼らは私を決して死なせたりしない、彼らは守ってくれる、なぜかってそれは彼らが私の両親だからさ」
しかしパブリッシャーはそうではない、彼らはビジネスそのものだ。君が金を儲けているならばビジネスは続くが、君がパブリッシャーの収益にとって重要でない場合、彼らは自由に君の首を切り死なせることが出来る。
これは企業として必要のあることであり、彼らは感情のためではなく、金を儲けるためにそこにいる。だから、パブリッシャーとの間に親と子の関係があるなどという幻想に陥らない限り、君は賢明にやれるだろう。
こう言い放ったティムはDouble Fineのゴールが常にセルフパブリッシングを実現することだと明言。損得無しか或いは程よく売れるモデラートなゲームを持っていればパブリッシャーから金銭を得る必要は無いと語った上で、こういったビジネスが同時に持ち合わせる問題点である“巨大な予算でメガヒットを叩き出すための場が存在しない”ことを認め、この問題について次世代機がCall of DutyやHaloのためだけの市場とならないよう、プラットフォームホルダーと認可やパッチ、技術的な認可所要等に関するコスト面での話し合いを持っていると説明しました。
インタビューでは自身がビデオゲーム文化における“最も幸福な開発者”であることを自ら認めた上で現状を語ったティム・シェーファーですが、Double Fineは今後まさに前述した思想を体現するAmnesia Fortnightタイトルの販売や、セガと提携したロン・ギルバートの新作“The Cave”、そしてKickstarterプロモーションの成功によりゲーム開発文化における新しい資金調達の手段を切り開いた“Double Fine Adventure”の開発/販売、フランチャイズの販売権を獲得した“Psychonauts”絡みの新作も控えています。
所謂“好きな”タイトルを作るタイプのデベロッパにおけるロールモデルとして希有なポジションを担うこととなったDouble Fineですが、彼らが意欲的にアウトプットする取り組みが近年台頭するインディペンデントなゲームビジネスにどういった影響を与えるのか、静かな足音が聞こえ来る次世代機への移行と併せて改めて注目が集まるところです。
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