昨年8月の正式アナウンスを経て、先日放送された“State of Play”特集を皮切りに続々と面白そうな新情報の解禁が続いている人気シリーズ最新作『ボーダーランズ4』ですが、遂にプレオーダーの受付も解禁された2025年9月12日の発売に大きな期待が掛かるなか、先日国内でメディア向けのハンズオンプレビューが開催され、未だ謎の多い最新作がいかなる進化を果たし、どんな作品になるのか、具体的なディテールとゲームプレイを実際にこの目で確認することができました。
シューティングRPGジャンルを確立し、世に知らしめた最初期の代表作として知られる“ボーダーランズ”フランチャイズを長年追いかけてきた筆者は、非常に優れた仕上がりだったナンバリング前作“ボーダーランズ3”の洗練を以て、シリーズが1つの完成形に到達したと考えています。
“ボーダーランズ3”がとんでもないクリフハンガーで終わったこともあり、当然のように『ボーダーランズ4』の登場を待ち望む気持ちが高まる一方で、アナウンストレーラーや年末のファーストルックを見る分には、少々“ボーダーランズ3.5”的な印象がぬぐえないというのが嘘偽りのない感想でした。
今回は、2時間近い先行プレイに基づく最新作のインプレッションや幾つかのディテールをご紹介しますが、まず先に簡単な結論を述べておくと、『ボーダーランズ4』の著しい進化は前述の印象や懸念をいとも簡単に吹っ飛ばす衝撃的なものでした。
詳細は追々ご紹介するとして、この進化というのは、何か全く新しい、革新的なメカニクス等によるものではなく(もちろん多種多様な新要素も山盛りですが)、主にこれまでに慣れ親しんできた要素のさらなる洗練や拡張によってもたらされているもので、見栄えの良いトレーラーだけでは決して掴みきれない、実際にプレイしてみないと分からないようなタイプの驚きだったと言えます。
なお、最新作『ボーダーランズ4』は、シリーズを象徴する場所だった惑星パンドラ(とその周辺)を遠く離れ、全く新しい惑星カイロスへと舞台を移す作品で、これまでのナンバリング3作品が描いてきたパンドラとエルピスを巡る壮大なアークが一旦落ち着いたこともあって、シリーズの新たな冒険がここから始まる、これまで“ボーダーランズ”に触れてこなかった新規プレイヤーにも最適なナンバリング最新作となっています。
今回行われた国内向けのハンズオンイベントは、オープンワールド環境が探索できる序盤のゲームプレイと、後日ご紹介する別のコンテンツ、さらにGearboxの顔であるお馴染みランディ・ピッチフォード氏とスタジオのグローバル・クリエイティブ・エグゼクティブオフィサーに就任したアンドリュー・ライナー氏(そう!Game Informerで長年活躍した“あの”アンドリュー・ライナー氏です)が様々な質問に答えてくれるインタビューで構成される超豪華なもの。
筆者がGearbox作品のプレビューやインタビューを含むやりとりをはじめて、もう10年以上になりますが、ランディ・ピッチフォード氏のインタビューは今回が初めて。テーブルも挟まず、文字通り肩を付き合わせるような距離でどんな質問にも応じてくれる氏の受け答えは、『ボーダーランズ4』の仕上りにかなりの自信と確信があることを窺わせる、非常に力強いものでした。
会場に用意されたプレビュービルドは、PCの英語版で、プレイアブルなヴォルト・ハンターは新たなセイレーンとなる“ヴェックス”と強化外骨格に身を包んだ元兵士“ラファ”の2人。デモの前半はレベル5のヴェックスとラファがプレイ可能でした。
ということで、まずは序盤の探索やミッションの内容をまとめ、ゲームプレイの具体的な新要素や進化、新たなヴォルト・ハンターのインプレッションについて掘り下げていきたいと思います。
前述の通り、イベント前半のデモは、レベル5のキャラクターで惑星カイロスのオープンワールド環境を探索しながら、序盤あたりのミッションを進めるもの。
オープニングを含む導入部分は提示されていないため、詳細なストーリー展開は今も不明ですが、舞台となる惑星カイロスには、とある事情でリリスの行方を探しているクリムゾン・レジスタンスが上陸しており、プレイヤーはクラップトラップから地元の勢力に協力を求める任務を受けることになります。
惑星カイロスは、タイムキーパーと呼ばれる冷酷な独裁者が数千年に渡って支配していましたが、惑星そのものを隠していた巨大な防護ベールがパンドラの月によって引き裂かれたことにより、初めて住民たちが外の世界を知り、独裁者に立ち向かい自由を求める機運が高まっているという状況。
このミッションは、タイムキーパーの勢力“オーダー”に襲撃されている地元住民の抵抗・解放グループ“アウトバウンダーズ”を守るために戦い、陽気なリーダー“ラッシュ”や副官“コンウェイ”とのやりとりを通じて、ビークルを手に入れ、驚異となる秘密兵器の情報を探るというもの。
『ボーダーランズ4』を実際にプレイしてまず最初に驚いたのは、非常に高品質なビジュアルでした。本作はシリーズのスタイルを決定付けたオブジェクトの輪郭を強調する、象徴的なエッジシェーディングを踏襲しつつ、Unreal Engine 5の採用に伴う動的ライティングや高品質な遠景描写、圧倒的な品質のLoDを導入していて、従来のアートスタイルを維持したまま、ネクストレベルだと感じられる見事な進化を果たしています。
筆者は今回のハンズオンに向けて、直前まで前作“ボーダーランズ3”を再度プレイしていたのですが、トレーラー等を通じて一見それほど変化していないようにも思えたビジュアルは、実際にプレイしてみると印象が全く違っていて、スタティックな映像では十分に把握できない、動的なライティング(とりわけダイナミックなGIとアンビエントオクルージョンが生む臨場感が素晴らしく、自然な明/暗順応も印象的でした)や仮想化ジオメトリによるものと思われる極めて自然なLoD、控えめながら効果的に用いられるオブジェクトブラー、飛躍的に進化した遠景描画が生み出すプレイ“体験”は、心から感服するようなレベルに達していたことを明言しておきます。
また、直近のスピンオフ“ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界”で大きな進化を果たしていた高密度なレベルデザインがさらに飛躍的な進化を遂げ、圧倒的な密度と情報量を備えた高さのある広大なオープンワールド環境が出来上がっていたのも非常に印象的で、前述のビジュアル進化と相まって、探索そのものが快楽と感じられるような、これもまた映像だけでは分からない“実感”を伴う、堅固な進化と経験の底上げを実現していました。
■ ゲームプレイ面の進化について
筆者は冒頭で“ボーダーランズ3”がシリーズの完成形に到達したと考えていた旨をお伝えしましたが、前述したビジュアル面だけでなく、ゲームプレイについても予想を超える進化を果たしていて、前作で完全に磨き上げられたと感じていたフォーミュラに、まだこれほどの余白があったのかと驚かされました。
銃撃戦やアクションそのものは、従来のプレイ感をしっかり維持しているのですが、新たに追加された回避用のダッシュやダブルジャンプ、グライド、グラップリングといったアクションを組み込む戦闘の流動性やフローの拡張が、全く新しいプレイ感を生みだしていて、文字通り流れるようにスムースでど派手な戦闘は、これまでのシリーズとは似て非なるものに仕上がっています。
また、この進化に大きく貢献している特筆すべき新要素に、グラップリングフックが挙げられます。発表当初は移動用のアクションとして描かれていたグラップリングですが、実際は非常に使用頻度の高いアクションで、レベル環境のあちこちにグラップリング可能なポイントが配置されていて、戦闘を有利に進めることができるだけでなく、ロケーションに転がっている爆発物を引き寄せ敵に投げつける攻撃や、ボス戦のギミックにも用いられるなど、最新作のアクションの鍵を握る新メカニクスとして、非常に重要な役割をになっていました。
■ ミニマップの廃止とコンパスの採用はどうか
ゲームプレイ面で言えば、本作のお披露目後に、従来のミニマップを廃止するコンパス型HUDの採用が話題となったことを覚えていらっしゃるでしょうか。
実際にプレイしてみた感想としては、やはり新しい(非常に複雑で高密度、かつかなりの高低差がある)オープンワールド環境にはミニマップが機能的にそぐわず、コンパス型のほうが合理的だと感じました。
最新作のコンパスUIは、方角や付近のPoI、目標地点、プレイヤーが設置したピンなど、様々な情報をアイコンで表示し、対象までの距離を含む情報を分かりやすく提示するほか、敵の位置はロケーションの情報を邪魔しないようコンパスの下部に赤い点で描画し、点の大きさで敵との距離を提示するなど、必要十分な情報が過不足なく確認できます。
また、コンパス型の利点として、(周囲の地形や敵の位置が一目で分かる見にマップに比べ)手探りの探索の楽しさが増していることも印象的でした。
加えて、道に迷ったとしても、新たに登場する可愛いDAHL社製お手伝いコンパニオン“ECHO-4”がいつでも道案内をしてくれるので、心配ありません。
それでは、今回のデモビルドでプレイ可能だった新セイレーン“ヴェックス”と強化外骨格スーツを着用した元ティーディオール兵“ラファ”の概要とインプレッションをご紹介していきましょう。
“ヴェックス”は本作で初めて登場する新セイレーン(※ ボーダーランズ世界の宇宙に“6人”存在するとされる、極めて強力な魔女のような謎だらけの存在。セイレーンが亡くなる場合、後継者を指名するか、指名しない場合は宇宙のどこかで継承者が誕生する)、具体的な出自や能力の継承元に関する詳細は不明ですが、“ヴェックス”は劣悪な環境で育った最もダークなセイレーンと呼ばれており、その片鱗は(天使のような美しい羽が印象深いリリスやエンジェルに比べ、トロイのそれに近い)悪魔的な外観の翼からも窺えます。
“ヴェックス”のフェーズ能力は、シリーズ初となるフェーズエネルギーの物質化を利用するもので、これにより使い魔や自身のクローンを実体として召喚し、戦わせることが可能です。
“ヴェックス”には、セイレーンの能力を利用する3種類のアクション・スキルが用意されているのですが、各スキルの概要をご紹介する前に、一旦最新作のヴォルト・ハンターとスキルツリーの基本的な構成や概要をまとめておきましょう。
それぞれのヴォルト・ハンターには、任意に発動できる3種の強力なアクション・スキルと、各アクション・スキルに紐付けられた固有のスキルツリーが用意されており、レベルアップ時に取得できるスキルポイントを割り振り、様々なスキルを取得/アップグレードしていくことで、独自のプレイスタイルを構築し、キャラクターを強化するわけです。
本作のスキルツリーは、最上部の行から最下行に向かって進行し、上方の行で5スキルポイントを消費する毎に、一段下の行へのアクセスが解禁される仕組み。なお、上層3行から広くなる下層3行は、3つの異なるグループに分化し、各最下行に向かうには、同一グループ内でスキルポイントを割り振る必要があります。
また、ツリー部分を拡大した以下の画像を見ると、多数存在するスキルが、3種の形状(■と◆、▲)で分類されていることが分かります。
数多く存在する■の形状は取得するだけで恒久的な強化が得られる“パッシブ”、詳細は後述しますが、◆は“オーグメント”、▲は“キャップストーン”と呼ばれ、選択したアクション・スキルと組み合わせることで様々なシナジーや強化が得られるというもの。
本作のアクション・スキルには、ツリー上で解除したオーグメントとキャップストーン用のスロットが1つずつ用意されていて、ここにセットすることで個々の能力を有効化できる仕組みとなっています。
オーグメントとキャップストーンは、何れも対応するアクション・スキルを強化あるいはカスタマイズするもの。とりあえず、“オーグメント”はアクション・スキルに新たな能力や特性を付与するようなもの、(レベル26で到達できる最下行に3つ用意されている)“キャップストーン”はアクション・スキルそのものを大きく変化させ、より強力な能力へと昇華させる、いわゆるアルティメット的な位置づけのスキルだと考えれば分かりやすいかと思います。
ということで、“ヴェックス”が選択できる3種類のアクション・スキルを見ていきましょう。
■ 頼もしい使い魔を召喚する「Phase Phamiliar」(フェーズ・ファミリア)
トラブルと呼ばれるネコのような可愛い使い魔を召喚。トラブルはプレイヤーに追従し、近くの敵を自動で攻撃してくれます。
アクション・スキルボタンを押すと、トラブルが目標地点にテレポートし、周囲に範囲ダメージを与えた後、バッドアスに変身。体力を完全に回復し、一定時間与ダメージが増加します。なお、トラブルが死亡した場合は、アクション・スキルボタンを押すことでトラブルがリスポーンします。
■ ヴェックス本人の攻撃能力を強化する「Incarnate」(化身)
ヴェックスがフェーズ爆発を発生させ、付近の敵にダメージを与え、自身の体力を完全に回復。“化身”の発動中は、エルドリッチ・ブラストが使用可能となり、移動速度が増加します。なお、エルドリッチ・ブラストはエネルギー状の球を射出する遠距離攻撃(クールダウン有)で、着弾時に範囲ダメージを与えます。
また、敵に銃ダメージを与えると、エルドリッチ・ブラストのクールダウンが短縮されるほか、アクション・スキルボタンを長押しすると、“化身”を早期に終了し、クールダウンの一部が短縮されます。
■ 自身のクローンを作り出す「Dead Ringer」(デッド・リンガー)
大きな鎌を持つリーパー、もしくは銃を持つスペクターのどちらかを選択できるクローン召喚スキル。チャージ回数が3となっているため、最大3体のクローンを同時に召喚できます。
リーパーは浮遊し移動しながら、敵を挑発し近接攻撃を与えるタンク型。スペクターは銃で攻撃しますが、移動はできません。召喚したクローンたちは徐々に体力が減り、0になると消失するほか、狙った場所に召喚できるため、配置が重要になります。
今回のプレビューでは、前半のデモをレベル5のヴェックスでプレイし、デッド・リンガーの使い勝手と同スキルツリーの全体的な概要を確かめることができました。
一般的なステータス強化やキルスキルが大部分を占めるパッシブは数が多すぎるので割愛しますが、5種類のオーグメントと3種存在するキャップストーンは、以下のような効果を特色としています。
■ デッド・リンガー用オーグメント
- ガストブラスター:スペクターが着弾地点に範囲ダメージを与える遠隔攻撃系の使い魔用スキルを得る。スペクターは出現時とリロード後にガストブラスターを使用する。
- 魔女団:リーパーを召喚すると、ヴェックスと使い魔たちに一定時間のヘルス再生能力とクリティカルヒット率増を付与する。効果は最大3回までスタック可。
- ウィザー:スペクターが敵に状態異常の継続ダメージを与える使い魔用スキル。状態異常が付与された敵は、一定時間被ダメージが増加する。状態異常の敵を倒すと、スペクターが再度ウィザーを使用する。
- ヘル・ハーベスト:リーパーが周囲に広範囲な近接ダメージを与え、ヒットした敵の数に応じてヘルスの自動再生を得る使い魔用スキル。リーパーは出現時と3回目の近接攻撃ヒット時にこの効果を発動する。
- バンシーの嘆き:リーパーが定期的に付近の敵にダメージを与え、付近の仲間にオーバーシールドを付与する使い魔用スキル。このダメージを受けた敵は与ダメージが一定時間減少する。
■ デッド・リンガー用キャップストーン
- いわくつき:スペクターが一定時間ヴェックスが装備している銃のコピーを獲得する。コピーされた銃を持てるスペクターは1体のみで、新しいスペクターを召喚すると、前のスペクターが所持しているコピー銃は除去される。コピーされた銃のダメージ倍率は-25%。
- グリム・リーパー:アクション・スキルボタンを長押しすると、グリム・リーパーが召喚可能となる。グリム・リーパーは周囲の敵のヘルスを吸収するほか、状態異常の継続ダメージを与える。ドレイン中の敵が死亡すると、一定確率でリーパーが召喚される。
- ダーク・パクト:ヴェックスが2つのオーグメントを装備可能になる。さらに、アクション・スキルボタン長押しで、召喚中のクローン全員を完全回復し、一定時間移動速度と攻撃速度に+30%のバフを付与する。
デッド・リンガーのオーグメントは、5種類のうち4種が使い魔向けの新スキル付与。キャップストーンは、前述した通り、デッド・リンガーの性質そのものを拡張するような強化となっていることが分かります。
個々のキャップストーンについては、プレイスタイルの方向性をより明確にする効果が並んでいて、ざっと見ただけでも“いわくつき”が瞬発力の高いダメージ特化型(コピー銃分を含む与ダメが単純計算で175%に強化、バフを山盛りにして高DMG武器と組み合わせたい)、“グリム・リーパー”が生存性の大幅な強化、“ダーク・パクト”が汎用性と継戦力強化に秀でていることがお分かり頂けるかと思います。
“デッド・リンガー”ツリーのパッシブには、基本的なステータス向上や属性系の強化だけでなく、アクション・スキルの回転率向上や特定条件下でのクローン自動召喚、召喚最大数増、ヴェックスの一時透明化、投げナイフ強化といった効果が含まれていて、アクション・スキル/スキルツリー単位辺りのビルド幅が前作に比べて著しく増加していることは間違いありません。ここに各種武器や装備品、レジェンダリー・ユニーク、他ツリーとのシナジーなども加われば、ビルドのバリエーションは文字通り天文学的な規模になり、一体どんなビルドが組めるか、今から発売が待ち遠しいところです。
今回プレイアブルだったもう1人のヴォルト・ハンターは、ティーディオール社製の試作型エクソスーツを着用した元兵士“ラファ”。彼は極度の低重力環境で育ったことから、一般的な重力下での行動が極めて難しく、この強化外骨格によって命を長らえているという人物。一方で、この苦境をものともしない、極度の“いいヤツ”であること、敵でさえ思わず彼の魅力を口にしてしまうようなナイスガイであることが報じられていました。
先ほどのヴェックスは、シリーズ史上最もダークなセイレーンと呼ばれていますが、翻ってこれまでのヴォルト・ハンターたちを振り返ると、どうかしてる人の方が圧倒的に多く、純然たる“いい人”となると、指折り数えられる程度であり、ラファが一体どれほどのナイスガイなのか、気になって仕方がありません。
そんなラファのアクション・スキルは、何れもティーディオール社エクソスーツに備え付けられた最新鋭の武装を活かしたもので、以下の3種から選択できます。
■ 両手に強力なナイフを装備する「Arc-Knives」(アークナイフ)
ラファが銃を収め、2本のアークナイフを両手に装備。この刃で近接ダメージを与えた敵にはマークが付与され、マークが増加する毎に与ダメージが増加します。
アークナイフの発動中は、通常の近接攻撃と前方にダッシュしショックダメージを与える攻撃に加え、マークを付与した全ての敵にショックダメージを与えてスキルを終えるブレードフューリーを放つことができます。
スキルツリーの細かなチェックはできませんでしたが、変わったところで“ほぼ”常時アークナイフ発動状態になるオーグメントやダッシュ攻撃とグレネードの併用オーグメント、被ダメージを蓄積し与ダメージに変換する超ハイリスクハイリターンなキャップストーンなど、非常に楽しそうなスキルが確認できました。
■ 左手をアーム・キャノンに変える「APOPHIS Lance」(アポフィス・ランス)
ラファが左手にアーム・キャノン“アポフィス・ランス”を装備。アーム・キャノンを装備すると、銃のハンドリングが低下しますが、代わりに貫通する特大ダメージのショックブラストを放つことができます。(チャージ数は3)
さらに、長押しでチャージ数を多く消費する強力な貯め攻撃を放つこともできます。
こちらもスキルツリーの詳細は十分に確認できませんでしたが、ほぼ全てのオーグメントとキャップストーンが清々しいほどアグレッシブな大ダメージ出力に特化していて、かなり極端なビルドが組めそうな印象を受けました。
■ 両肩に自律型のキャノンを装備する「Peacebreaker Cannons」(ピースブレイカー・キャノン)
照準内の敵を自動で攻撃するピースブレイカー・キャノンを両肩に装備し、キネティック銃ダメージを与えるアクション・スキル。発動中は、標的が死亡するか、アクション・スキルボタンを押すことで次の標的を見つけてくれます。
イベントでは、“ピースブレイカー・キャノン”を選択したラファもプレイしたのですが、肩の自律型キャノンが自動で敵を攻撃してくれるため、前述の2つに比べて明らかに扱いやすく、シリーズの初心者やアクションの苦手な方にオススメできそうなスキルだと言えるでしょう。
ピースブレイカー・キャノンについては、パッシブを含むスキルツリーの全体像も確認することができました。
■ ピースブレイカー・キャノン用オーグメント
- インスティント:キャノンのクリティカルヒット率が25%増加。キャノンの使用中にアクション・スキルボタンを押すと、クリティカルヒット率がさらに2倍になり、クリティカルヒットダメージも増加するが、アクション・スキルの持続時間減少が早まる。キル毎に持続時間が僅かに回復する。
- バレット・バディ・デラックス:キャノンの起動中にラファと味方に弾薬の自動再生能力が付与される。また、キャノンに銃の残弾数に応じたファイアダメージが付与され、マガジンが満タンの間、キャノンが爆発弾を射出する。キャノンの使用中にアクション・スキルボタンを押すと、ラファの銃攻撃が弾薬を消費しなくなるが、アクション・スキルの持続時間がより早く減少する。
- ヘル・イン・シェル:キャノンの使用中にアクション・スキルボタンを押すと、広範囲にファイアダメージを与える大型の爆弾を2つ射出する。敵を倒すと、スキルのクールダウンが短縮される。
- 即席要塞戦闘システム:キャノンにオーディナンスダメージが付与される。キャノンの使用中にアクション・スキルボタンを押すと、キャノンがラファの肩から分離し、その場で敵に発砲するタレット・コンパニオンに変化する。また、このタレットはときおりグレネードを射出し、ラファがグレネードを装備している場合は、装備中のグレネードをコピーする。再度アクション・スキルボタンを押すと、タレットはラファの肩に戻る。
- 必中ミサイル:キャノンの使用中にアクション・スキルボタンを押すと、視界内の敵に追尾式ロケット6発を一斉射撃する。ロケットを射出するとアクション・スキルの持続時間を消費する。
■ ピースブレイカー・キャノン用キャップストーン
- ダブルオー・オートショット:キャノンを散弾数の多いショットガンに置き換え、ダメージが増加する。さらに、跳弾確率が付与されるほか(跳弾のダメージ減衰有り)、クリティカルヒット時は必ず跳弾が発生する。
- ビーム・チーム:キャノンがショックビームとコロッシブビームに置き換えられる。各ビームは視界内の敵を自動でロックオンし、状態異常を付与するたびにアクション・スキルのダメージが増加する。
- ブリットル・ホローポイント:キャノンをスプラッシュダメージを与えるロケットに置き換える。
本ツリーのオーグメントも、概ねキャノンに追加の能力を付与するものであり、キャップストーンはキャノンそのものを別の兵器に置き換える内容となっています。
パッシブには、一般的なステータス強化に加え、アクション・スキルの持続時間増や多彩なシールド強化、オーバードライブと呼ばれる状態とこれを活用する数々のバフ、跳弾強化などが存在しており、(シールド満タンからさらに追加のシールドを得るオーバーシールドの状態を指すと思われる、シナジーを見るにD4のOPビルドに似た印象の)シールド山盛りオーバードライブ特化型やヘル・イン・シェルを主軸とする間接攻撃特化、ビーム・チームと即席要塞戦闘システムを組み合わせる状態異常ばらまき型など、ざっと眺めただけでも様々なシナジーと楽しそうな組み合わせが思い浮かぶ、非常に充実したスキルツリーでした。
■ 最新作のヴォルト・ハンターとビルドに関する雑観
現時点で、残る2人のヴォルト・ハンターを見ていないため、はっきりと確認できたわけではありませんが、スキルツリー辺りのスキル数が前作“ボーダーランズ3”から倍近く増えているため、『ボーダーランズ4』におけるビルド構築のバリエーションが拡がることは間違いありません。
“間違いない”というのは、単に数学的な組み合わせによるもので、意義のあるバリエーションが用意されるかどうかは、Gearboxの腕に掛かっていますが、今回確認できたアクション・スキルやスキルツリーからは、最新作のヴォルト・ハンターが前作以上に汎用的で、幅広いプレイスタイルを提供するキャラクターに進化している様子が窺えました。
“ボーダーランズ3”のビルド多様性もなかなかのものでしたが、ヴォルト・ハンター毎にキルスキルの数やアクション・スキル用強化スロットの構成が大きく異なることから、それぞれのプレイスタイルにある程度の方向付けが行われていました。参考までに、バニラのアマーラとゼインを例に振り返ってみましょう。
スキルツリーの内訳も見てみましょう。
パッシブ | アクション・スキル | オーグメント | エレメント | |
アマーラ | 40 (内、キル・スキル1) | 11 | 5 | 2 |
ゼイン | 39 (内、キル・スキル11) | 3 | 15 | 0 |
これを見ると、アマーラは強力なアクション・スキルを主体に運用する構成で、アクション・スキル自体のカスタマイズ性はやや低め。ゼインはアクション・スキルの数こそ少ないですが、オーグメントのカスタマイズが充実していて、なによりキルスキルが非常に多いのが特徴であることが分かります。つまり、キャラクターを選択した時点で、自ずとプレイスタイルや成長の方向性に“ある程度”の指標が用意されているわけです。
一方、『ボーダーランズ4』におけるアクション・スキル用スロットの基本構成は、ヴェックスとラファで共通していて(アクション・スキルスロット1、オーグメント1、キャップストーン1)、オーグメントとキャップストーンの数にも大きな差がないことから、スタート時における方向付けは前作よりも抑えめな印象。
一方で、スキルツリーの中身が前作以上に拡充されていることに加え、今回確認できた一部オーグメントやキャップストーンの組み合わせを鑑みるに、『ボーダーランズ4』のビルド構築は、バリエーションの増加もさることながら、それぞれのヴォルト・ハンターが利用できるビルドの“幅”そのものが大きく拡がっているような印象を受けました。
これはつまり、前作以上に“格好いい”、“クール”なやつを選んでおけば問題ない!アプローチをさらに底上げするデザインであり、プレイしやすさをさらに高める非常に優れた進化の1つだと強く感じました。
『ボーダーランズ4』には、まだまだ紹介が足りていない新要素や見どころが多数あるのですが、キリがないので新たな機会がある時に改めてご紹介するとして、筆者が実際にプレイして感じた手応えは、Gearboxが当初から掲げている通り、本作がこれまでに存在した全ての要素を余すことなく進化させた、スタジオ史上最も野心的な“ボーダーランズ”に相違ないということです。
全く新しい舞台と物語を用意し、カジュアルなプレイしやすさをさらに向上させた最新作『ボーダーランズ4』は、これからシリーズに触れる新規プレイヤーにもぴったりで、長年のファンにとっても驚くような進化を見せつける新時代の“ボーダーランズ”を提示する作品になるでしょう。
こと本作の見事な進化ぶりについては、プレイ前と後で驚くほど印象が違うので、是非プレイして、その真価を確かめていただきたいところ。
ということで、一先ず全体的なインプレッションはここまでとして、ここからは長年の“ボーダーランズ”ファンとして、今回のプレビューでは把握しきれなかった要素や同好の方向けに幾つか気になるストーリー要素を取り上げつつ、筆者が最新作に対して個人的に期待している点をまとめて終わりたいと思います。
念のため、ネタバレは極力回避しますが、以下にご紹介する後半の話題にはシリーズ全体の大きな物語に関する言及が幾つか含まれますので、気になる方はご注意ください。
なお、次回はランディ・ピッチフォード氏とアンドリュー・ライナー氏に気になるあれこれを聞いた最新の開発者インタビューをお届けしますので、こちらもお楽しみに!
■ 全てのゲーマーを歓迎するクィアな作品世界
今回のプレビューは、ゲーム全体の雰囲気や広大なオープンワールド環境、ゲームプレイ面の進化、多数の新メカニクスが確認できる、典型的なバーティカルスライスで、キャラクターの人物像やメインストーリーに関するディテールはそれほど深く掘り下げられてはいませんでした。
馴染み深い既存のキャラクターたちも(セリフで僅かに言及はありましたが)姿を見せなかったため、作品のトーンや“ボーダーランズ”ならではのユーモア、どうかしている人たちの描写については十分に確認できませんでした。(もちろん、製品版のお楽しみということでしょう)
ご存じの通り、「ボーダーランズ」シリーズの魅力は多岐に渡りますが、最も象徴的と言えるのが、人種や性別、性的指向に関わらず、あらゆる人を歓迎する、圧倒的な懐の深さでしょう。
登場人物たちがことごとくどうかしている、愛すべきはみ出し者たちであることが1つの大きな要因だと言えますが、翻ってシリーズのオープンさや描写を振り返ってみると、(ハマーロックを筆頭に、膨大なクィアキャラクターや、ティナちゃんの過去と極めて複雑な内面、クリーグの感動的な物語など、“美”を巡るトピックなど、挙げればキリがありませんが)このシリーズがただ野放図に混沌としているわけではなく、かなり周到にインクルーシビティやダイバーシティをデザインしてきた結果として出来上がった、暖かな世界であることが分かります。
最新作『ボーダーランズ4』に関するこの辺りの取り組みは、まだ全く手がかりがなく、驚くような進化を果たしたゲームプレイやビジュアルと同じく、素晴らしい飛躍を遂げることになるか、来る製品版の発売が待ちきれません。
■ 「ボーダーランズ」シリーズの大きな物語について
「ボーダーランズ」シリーズというのは、実に奇妙な作品で、表面的にはタグラインとしてしばしば利用される“ヒャッハー”の文言が体現する通り、カジュアルなシューティングRPGとして、誰もがど派手なゲームプレイとハチャメチャな体験が楽しめるオモシロ作品として不動のポジションを確立しています。
これだけでAAA規模の大作として十分なバリューがあるわけですが、少し作品世界やストーリーを掘り下げていくと、カオスで滅茶苦茶な、オモシロとバカバカしさに満ちた表層とは全く違う表情の、綿密に構築されたロアや宇宙規模の壮大な物語がまるで巨大な怪物のように潜んでいます。
シリーズのストーリーテリングもぱっと見の印象とは大きく違っていて、信頼できない語り手がいたり、物語の構成が数段階のレイヤー構造を取っていたり、非常に油断ならないデザインが施されています。
メインシリーズの壮大な物語は、目の前の出来事を扱う表層と主要人物たちのストーリーアーク、その背景でエリジウムの技術や覇権を巡る争いが続くメガコープ間の抗争、そしてヴォルトの秘密を巡る宇宙規模の数千年に渡って続いているストーリーからなる、大まかな三層構造となっていますが、この手法を限界まで突き詰め、もはや前衛的とも言えるようなレベルに到達していたのが前作“ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界”でした。
筆者としては、この壮大さにいささかの不安と不満、懸念もあり、“ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界”の発売前、2022年2月末にご紹介したプレイレポートには、こんなことを書いていました。
「ボーダーランズ」シリーズには、壮大な歴史や設定、現在進行形のストーリー、多くの謎が存在していて、実のところ新しい作品が出るごとに風呂敷がどんどん広がる状況が続いています。
前作「ボーダーランズ3」における収集要素“エリディアン文字”を通じて、色々な背景が明らかになったものの、アテナはどうしているのか、ウォッチャーや予言者は何に備えていたのか、フィオナはどこへ行ってしまったのか、来る“戦”とは何を指しているのか、サーガの本質的な部分はほとんど進展しないまま、シリーズは語るべきことだけがどんどん肥大化していて、実のところGearboxは何も考えていないんじゃないか、或いは忘れてしまっているのではないかとさえ思う一方で、これらの要素を決して忘れてはいないことを示す符丁がそこかしこに点在していることもまた事実であり、Gearboxは本当に油断ならないと思うわけです。
“ボーダーランズ3”の発売以降、数年はこのジレンマを強く感じていて、“ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界”でさらに重症化したのですが、近年になってこの状況が幾分か変わりつつあり、筆者は個人的に来る『ボーダーランズ4』でいよいよシリーズの大きな物語が音を立てて動きだすのではないかと、淡い期待を抱いています。
この状況の変化に関する具体的な言及は避けますが、最近になってアテナの新たな役割もはっきりしましたし、“Tales from the Borderlands”後のフィオナについても、昨年6月に発売された小説“Borderlands: Debt or Alive”を通じてAnthony Burch氏が最高の回収と答え合わせ、オチを見せていて、長年の謎がようやく解決しています。
最新作における“New Tales from the Borderlands”による仕込みもなかなかスパイスが効いていて、これをプレイしておけば、新ヴォルト・ハンターの“ラファ”が如何に危険な状態に置かれたまま人生を謳歌しようとしているのか、思い入れも爆上がりで、Gearboxが『ボーダーランズ4』に向けて様々な下準備を進めてきた(つまり、あれやこれやは忘れられていなかった)ことが今では明確になりつつあります。
極めつけは、『ボーダーランズ4』に登場し、シリーズ最凶の敵と謳われる“タイムキーパー”の存在でしょう。タイムキーパーの登場は本作が初めてですが、実は過去作において、とある存在と並んでその名前が記されていたことが知られています。
この記述と最新作のタイムキーパーが同一の存在であるかどうか、まだその詳細は不明ですが、誰と共にその名が記されていたか、そしてトレーラーで見せた姿と動作、“数千年に渡って”カイロスを支配していたという情報は、過去の言及と完全に合致していて、タイムキーパーが只の独裁者ではないことを如実に表しています。(同一の存在であれば、その名が示す役割と予言者が語った因果律の関係にも焦点が当たるかも知れません)
ということで、気になる方は一先ず前作“ボーダーランズ3”でナイリアドの碑文全36種類を見直して、今一度エリディアンとセイレーン、ガーディアン、デストロイヤー、ウォッチャー等の関係と共に、ナイリアドが何を伝えようとしていたのかをおさらいしておけば、予習は完璧!と言えるでしょう。
遂に『ボーダーランズ4』の予約もスタートし、発売まで残すところ僅か3ヶ月!共に万全の準備で最新作をお迎えしようではありませんか。
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