ティナちゃんの新たなファンタジー世界で冒険する期待作「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」先行プレイレポート

2022年2月28日 23:01 by katakori
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「Borderlands」

ボーダーランズシリーズの最新スピンオフとして、昨年6月にアナウンスされ、お馴染み銀河最凶の13歳ティナちゃんをフィーチャーし話題となった「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」が、いよいよ2022年3月25日に世界的なローンチを迎えます。

今回、来る発売に先駆けて、2Kより一部のコンテンツを実装した限定的なデモの提供を受け、一足先にティナちゃんがゲームマスター、もといバンカーマスターを務める魔法の国“ワンダーランズ”に足を踏み入れてきました。

という事で、今回は期待作「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」の先行プレイレポートと暫定的なインプレッションをご紹介します。

「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」の概要

参考:公式ストーリートレーラー

シリーズのファンであれば、“ティナちゃんがまたテーブルトークRPGのマスターをやる”の一言でどういう作品なのか容易に想像がつく「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」ですが、一応ご存じない方に本作の概要を簡単にご紹介しておくと、本作は“ボーダーランズ”シリーズのキャラクター達がゲーム世界で楽しんでいる架空のテーブルトークRPGのセッションをビデオゲーム化する、という少々込み入った設定のスピンオフ作品で、既に同様の設定で描かれた前身となるボーダーランズ2用DLC(後にスタンドアロン作品となった)「タイニー・ティナとドラゴンの城塞 ~ワンダーランズで一発限りの大冒険!」がリリース済みです。

対応プラットフォームはPS4とPS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(発売時はEpic Gamesストア限定発売、追って2022年後半には他のPCストアでも販売予定)。世界的な発売日は2022年3月25日で、予てから通常版やシーズンパス同梱版を含むエディション3種の予約が行われています。

余談ながら、TRPGセッションの作品化という点では“ロードス島戦記”に似ているとも言えますが、TRPGをプレイしているキャラクター達がいわゆる“ご存じ”のメンツで、そこにある種のおかしみや焦点があるメタ的な要素を考慮すると、構造的にはアシュレー・ジョンソンやローラ・ベイリー、マリシャ・レイ、マシュー・マーサーといった著名なボイスアクター達がプレイしたD&Dの超人気セッション“Vox Machina”キャンペーンを、オリジナルメンバーでアニメ化した“The Legend of Vox Machina”(ヴォクス・マキナの伝説、Amazon Primeにて配信中)が近いかもしれません。

TRPGセッションをテーマにしたビデオゲームとはいえ、ジャンルは従来のシリーズと同じく一人称視点のルーターシューターで、魔法や近接武器、マルチクラスの採用など、ゲームシステムやメカニクスの多くにテーブルトークRPG的なアレンジや要素をふんだんに盛り込んでいるのが大きな特徴です。

参考:多数の新要素が確認できる公式ゲームプレイトレーラー

ハンズオンの内容とインプレッションをご紹介するまえに、本作には大量の新要素が広範囲に導入されているため、まずは代表的な項目を簡単にまとめておきましょう。

作品世界の構成について

「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」の舞台となる架空のファンタジー世界は、従来のシリーズタイトルと同じくバリエーション豊かな複数の大規模マップによって構成されていますが、大きな新要素として、より広域な全体マップを探索可能な3D環境として作り上げた“オーバーワールド”を導入しています。

個々のマップを接続する“オーバーワールド”は、ティナちゃんがTRPGセッション用にわざわざ自作した(マップ上に空き缶や食べかけのスナックが転がっていたりと、仕上がりがだいぶ投げやりな)ミニチュアのジオラマをベースにしたもので、従来の通常マップとは異なり、2頭身にデフォルメされたプレイヤーキャラクターが俯瞰的な三人称視点で描かれ、本格的な探索要素が楽しめるほか、これまでにはなかった多彩なギミックを用意していることが報じられていました。

「Borderlands」

戦闘システムについて

銃撃戦を含む本作の戦闘は、概ね前作「ボーダーランズ3」のシステムやメカニクスを踏襲しており、良い意味で安定した完成度の高い戦闘をベースにしていることから、目新しさこそ薄いものの、馴染み深いプレイ感を維持したまま、多数の新要素や従来と大きく異なるプログレッションが存分に楽しめる品質に達しています。

銃の基本的な仕組みも従来と同様で、ファンタジー世界用にアレンジされた各種メーカーやパーツの違いによって、引き続き膨大な組み合わせの武器が登場します。

戦闘における最も大きな新要素は近接武器/戦闘の拡張と、魔法の導入の2点。

“近接戦闘”については、近接武器専用のスロットが新たに設けられ、銃と同じくメーカーやパーツの組み合わせによる無数の近接武器が登場します。

また、近接関連のスキルや(ノックバックやよろめきといった)固有の補助効果等も多数導入され、従来よりも格段に強力かつ重要な攻撃手段に進化しています。また、攻撃モーション等も抜本的に刷新されており、使い勝手そのものが大きく向上しているのも印象的でした。

一方、“魔法”は端的に言えばグレネードの置き換えですが、ど派手な演出や多種多様な能力、その他要素との組み合わせによるシナジーは、むしろアクションスキルに近く、巨大な隕石の召喚や追尾型のマジックミサイル、モンスターの召喚、行動制限系のデバフ、様々な属性攻撃など、文字通り多彩な“魔法”によってプレイスタイルに大きな影響を与える、本作の目玉とも言える新要素の一つです。

なお、本作では従来のシールドが(よりTPRG風の名称である)“結界”に置き換えられており、装備スロットは銃が4種、近接武器、指輪2個、結界、鎧、アミュレット、魔法の本からなる計11スロットに増加しています。

「Borderlands」

プレイアブルキャラクターのクラス構成について

本作には、6種のプレイアブルクラスが登場し、基本的な構成やプログレッションが大きく変化しています。

選択可能なクラスは、近接特化型戦士の「バー・ザーカー」とペットを従えるハンマー系戦士「クロウブリンガー」、黒魔術系ペット職「グレイヴボーン」、魔法特化型の「スペルショット」、遠隔攻撃に秀でる「スポア・ウォーデン」、与ダメージと殲滅力の高さを特色とする暗殺者「スタボマンサー」の6種。

各クラスには、異なる2つのアクションスキルが用意されており、どちらか一方を選択できるほか、ある時点で解禁される“サブクラス”も存在しています。

また、大きな新要素の一つとして、TPRG的なマルチクラスが導入されており、D&Dにおけるファイター/ローグ、クレリック/ウィザードのように異なる2つのクラスを組み合わせることが可能になります。

これにより、プレイヤーは最大で(サブクラスを含む)2つのクラスと4種のアクションスキルをベースに、多彩なビルド構築が楽しめるわけですが、同時にレベルとスキルポイント、後述する勇者ポイントは有限であることから、マルチクラスの選択は諸刃の剣でもあり、純クラスにも大きな価値が生まれることも本作の大きな特徴と言えるでしょう。

さらに、本作のプレイアブルキャラクターには、TPRG風の能力値も導入され、レベルアップ時に得られる勇者ポイントを消費することで、各能力値を強化することができます。

■ 勇者ステータスの種類と能力値の効果

  • 腕力:クリティカル・ダメージ上昇
  • 敏捷力:クリティカル発生率上昇
  • 知力:魔法クールダウン速度上昇
  • 判断力:ステータス効果ダメージ上昇
  • 体力:HP/結界最大値上昇
  • 調和力:スキル・クールダウン速度上昇

各能力値と効果をご覧いただければ明らかな通り、この割り振りが特化型を含む各種ビルドに深く影響することは間違いなく、本作がTRPG的なキャラクターの成長やプログレッション自体に大きな焦点を当てている様子が窺えます。

加えて、従来のマップチャレンジに似た幾つかの収集要素やアクティビティには、各種能力値に永続的なバフをもたらすものが用意されており、探索そのものに報酬が得られる点も嬉しいところ。

また、シリーズ初の試みとして、プレイアブルキャラクター(※ ボーダーランズ世界のプレイヤーがバンカー&バッドアスのセッションでプレイするTRPG内の主人公)の本格的なキャラクターメイキングが導入され、外見が自由自在にカスタマイズできるだけでなく、TRPG風のバックグラウンド/出自(ゲーム内ではアーキタイプと呼ばれる)によって能力値が変化するといった要素も盛り込まれていることから、「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」におけるビルドのバリエーションは、前作“ボーダーランズ3”を上回る可能性を秘めていると言えそうです。

デモビルドの内容について

今回、提供をうけた「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」のデモビルドは、ゴブリン達が支配する“マウント・クロウ”と呼ばれる序盤のゾーンに加え、2つのプレイアブルクラスを実装したもので、一続きの本格的なメインクエストと2つのサイドクエスト、幾つかのアクティビティ、大規模なマップの探索が楽しめる本格的なバーティカルスライスです。

「Borderlands」

プレイ可能なクラスは“グレイヴボーン”と“スタボマンサー”の2種で、何れもレベル9のキャラクターですが、“グレイヴボーン”はプレイ開始の段階でスキルと勇者ステータスが割り当て済みとなっており、すぐにプレイが楽しめる一方、“スタボマンサー”は9レベル分のポイントが未使用のまま残されており、低レベルながら複数のプレイスタイルを試すことができました。

なお、前述した新要素“オーバーワールド”やシリーズ初のキャラクターメイキング、セーブ機能については未実装だったことを明記しておきます。

黒魔術に秀でる召喚系クラス“グレイヴボーン”

参考:スポア・ウォーデンとグレイヴボーンの公式プレイ映像

“グレイヴボーン”は、死にまつわるスキルや魔法を扱う黒魔術師で、小さなデミ・リッチを相棒として従える召喚系クラスです。

アクションスキルは、ライフの一部を消費し周辺の敵全員にダークマジックダメージとステータス効果を与える“ダイア・サクリファイス”と、発動後の強化と引き替えにライフを徐々に失い、ライフが尽きた段階で短時間無敵化し、ライフの一部が回復する“ボーン・リーパー”の2種。

6階層のスキルツリーには、敵キル後に一定確率で一定時間召喚できるコンパニオンやコンパニオンの数に応じて増加するダメージ強化バフ、プレイヤーのライフが少ないほど与ダメージ増と被ダメージ減が大きくなるバフ、ペット強化、防御/回復強化等の能力が用意されており、初心者でもプレイしやすいペット職として活躍できる一方で、自分のライフを削りながら戦うピーキーな上級者向けビルドも構築可能です。

高い与ダメージを誇る暗殺者系クラス“スタボマンサー”

<画像>

“スタボマンサー”は、与ダメージの高さとステルスに特化した典型的なアサシン系クラスで、様々なアクションをトリガーに強化を繋いでいくような殲滅力の高いスタイルを特色としています。

アクションスキルは、着地点で回転しながら付近の敵に近接武器ベースのダメージを継続的に与え、発動後は任意の位置にテレポートさせることもできる巨大な刃“ゴーストブレード”と、プレイヤーがステルス状態で姿を消し、その後のダメージがクリティカルヒットとなる“フロム・シャドウ”の2種。

スキルには、移動速度増や移動速度に応じた与ダメ増バフ、クリティカルヒット・ダメージ増、射撃ダメージを与えると近接ダメージが増加するバフ、近接攻撃がトリガーとなる連射速度増/魔法ダメージ増など、ダメージを増加させる数々の能力が用意されており、クリティカル特化型やステルス起点のステータス付与型など、アグレッシブなビルド構築が可能で、ある程度のクラウドコントロール能力も備えています。

「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」のインプレッション

これまでにご紹介した通り、本作は多数の新要素を導入していますが、これらは所謂ゲームチェンジャーではなく、概ねTPRGセッションの没入感やらしさを高めるための要素であり、今のところ全体的なプレイ感そのものは、既にフォーミュラとして十分に確立されている安定感に満ちた“ボーダーランズ3”を踏襲したものだといえます。

これが大いなるマンネリとなるか、それとも完成度の高い基礎の上に築かれる新たな良作となるか、今のところは全くの未知数ですが、ティナちゃんを前面に打ち出していることを考えれば、やはり鍵を握るのは純粋に作品が“面白いかどうか”にあると言えるでしょう。

今回のデモにおいて、その一端も確認できた訳ですが、まず率直な感想を言えば、一先ず予想通り“面白かった”と言わせてください。

これは、やや括弧付きの“面白かった”という評価ですが、どういうことかと言えば、ティナちゃんが案内役を務める時点で、もう“面白おかしい”作品であることは最初から宣言済みであり、予想外の“面白い”ことが起こることは決定的に分かっているわけです。

「はい、今から面白いことが起きますよ~」という宣言の下で繰り広げられる“面白い”ことは、もちろん楽しく、くすっともするのですが、これはお化け屋敷のお化けみたいなもので、既にある程度プレイする側の構えができているという意味では、“面白さ”のハードルが最初から上がり気味の状態だと言えます。

一筋縄では行かないTRPGセッションの参加者や性格に難のある癖だらけのNPCたち、ゲームプレイ中に話の腰をどんどん折ってくるティナちゃん、あいかわらず見事に役立たずのクラップトラップまで、もちろん楽しいんです(※ 吹き替えは今回さらに輪を掛けて最高です)。ただ、SNSなんかで「めっちゃおもしろいww」とかテキストで打っているのに顔はいたって真顔という時、ないですか?そういう瞬間に近いと言えば分かってもらえるでしょうか。

プレビューやレビューを行う際は、特に自分のプレイ内容を冷静に振り返る必要があるため、割と前述のような俯瞰的視点になりがちで、今回も分析的に“面白いな”とやや冷ややかにプレイしていたのですが、この“面白いんでしょ”という姿勢は逆の意味で油断を生む側面もあり、今回のデモにおいて、この不意を突くかのごとく周到かつ見事な段取りで、思わず声にでるほど笑わされた箇所がありました。

まさにGearbox恐るべし、そして油断ならないという感想で、今回のデモにはまだミスター・トーグが出てきていないことを考えると、この先構えていても(抗えない勢いや声で)無理矢理笑わされるんだろうなと思うと、製品版の発売が楽しみでなりません。

“油断ならない”と言えば、来る製品版の発売に向けて、事前に少々書き留めておきたいことがあります。これは、「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」が未だどういった作品なのか、実は何も分からないこと(よくよく考えてみると、いつ頃の話なのか、“誰”が現実世界側の主人公なのかもはっきりしていません)。もう一つ、Gearboxが「ボーダーランズ」という壮大なサーガをどうしたいのか、今ひとつ全体像が見えないという点です。

「ボーダーランズ」シリーズには、壮大な歴史や設定、現在進行形のストーリー、多くの謎が存在していて、実のところ新しい作品が出るごとに風呂敷がどんどん広がる状況が続いています。

前作「ボーダーランズ3」における収集要素“エリディアン文字”を通じて、色々な背景が明らかになったものの、アテナはどうしているのか、ウォッチャーや予言者は何に備えていたのか、フィオナはどこへ行ってしまったのか、来る“戦”とは何を指しているのか(もしくは指していたのか)、サーガの本質的な部分はほとんど進展しないまま、シリーズは語るべきことだけがどんどん肥大化していて、実のところGearboxは何も考えていないんじゃないか、或いは忘れてしまっているのではないかとさえ思う一方で、これらの要素を決して忘れてはいないことを示す符丁がそこかしこに点在していることもまた事実であり、Gearboxは本当に油断ならないと思うわけです。

「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」が、シリーズにおいてどういった位置づけの作品になるのか、今のところファンサービス色の強いお祭りゲームのように見えていますが、本作の前身である「タイニー・ティナとドラゴンの城塞 ~ワンダーランズで一発限りの大冒険!」の本質が、所謂カオスな“面白さ”とは全く異なる部分にあったことは明白であり、“面白さ”はこの本質をより際立たせるために必要不可欠なエッセンスの1つに過ぎませんでした。

余談ながら、今回のデモビルドには開発クレジットが用意されていて、確認したことろ、“Borderlands 2”以降のGearbox作品で通例となっている“Gearbox is…”で開発者の名前のみを羅列する形式ではなく、珍しくポジションと名前を併記する一般的なスタッフロールが用意されていました。

主要なリード陣をチェックしてみると、本作はままあるスピンオフ用のセカンドチームや新チーム等ではなく、本編シリーズのチームがほぼそのまま「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」の開発に当たっていることが分かりました。(※ 目立った違いと言えば、これまでクリエイティブディレクターを務めてきたPaul Sage氏が昨年7月にスタジオを退社したことから、氏と共にシリーズタイトルの開発を率いてきたMatt Cox氏がクリエイティブディレクターを務めていることぐらいでしょうか)

“ボーダーランズ”のメインチームによる新作「ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界」がどんなカオスを描くか、これまでのシリーズタイトルにおいては、スピンオフの方が割と大きな出来事を直接的に描いてきた経緯もあり、3月25日の発売に改めて大きな期待が掛かるところです。

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