Bethesda内製の新エンジンをひっさげて登場する事が明らかになっていた「The Elder Scrolls V: Skyrim」、これまで登場した幾つかのイメージからは、そのパワーの一部が垣間見られる物が登場していましたが、遂に新エンジンに関する内容がGame Informerの特集記事にて明らかにされました。
なお前作”The Elder Scrolls IV: Oblivion”ではメインのエンジンであるGamebryoに加え、物理演算にHavokを採用、樹木生成にSpeedTreeを利用し、シリーズで初めてコンソールに対応、HDRライティングと印象的なオープンワールドと共に、人工知能をベースにしたNPCがあたかも意志決定能力を持ったかの様に感じられる革新的なRadiant AI技術を実装し、まさに生きたTamrielをゲームの中に再現する偉業を成し遂げました。
その後、これらの技術がFalloutシリーズでさらなる開花を迎える事はゲームファンの記憶に新しい事と思いますが、The Elder Scrolls V: Skyrimではこれら過去の技術をはるかに超える表現を可能にする技術的なツールを新エンジンに集約させた様です。
まず、The Elder Scrolls V: Skyrimで新たに利用されるエンジンの名は”Creation Engine”と呼ばれる物で、今作の舞台となる北方の国家であるSkyrim地方に溢れる険しい山道、密林、さらさらと流れる小川に激しい滝、氷河の海岸線、そして雪に包まれるツンドラなどを過不足なく再現する為に、全てのシステムを作り直し、その結果生まれたのが”Creation Engine”とそのキットです。
お馴染みBethesdaのTodd Howard氏はCreation Engineについて「Bethesdaが実現すべき最も重要な事に”より多くの物の描写”する事があった」と述べ、より現実的に洗練されたlevel of detailを実現したと発言。
加えて氏は、描画可能距離の増加はポストカードの様なランドスケープの描写には向いているが、プレイヤーの目は常に地平線に固定されているとは限らないと語り、より存在感を信用できるルック&フィールを得る為に、Bethesdaは光と影をより強調させ、全世界をダイナミックなライティングで構成する事を目指している事を示唆しています。
前作ではSpeedTreeによる樹木生成を採用していたBethesdaですが、今作では舞台の多くが前作よりも多くの野生の荒野で満たされており、それらを十分に表現する為にBethesdaの内製による新しい樹木生成システムが利用されている事が明らかにされています。
この新しい樹木生成ツールはアーティストが直接構築する事が可能なツールとして作製されており、彼らが望む木の種類を生やし、望む通りのアニメーションを可能にする物になっているとの事で、アーティストは木が風でどの程度動くか等を設定する為に木の枝部のウェイトを調整可能で、それにより、うなる様な風が吹きすさぶ険しい山道に生える木が激しく風に揺れる様子などが表現可能になっている事が記されています。
今作の舞台であるSlyrimはこれまでもお伝えしてきた通り北方のエリアでNord達が暮らす極寒の土地である事から、Cyrodiilの天候に比べ、やはり積雪の傾向が多くなります。Bethesdaでは当初積雪表現の為にシェーダーの不透明度とリムライトの調整による積雪シェーダーの作成を計画していた様ですが、このシステムによりアーティストがモデルを生成し雪を降らせた時、いささか雪が平等に降りすぎる様に見えた事が明かされています。
この為Bethesdaでは新しい積雪システムを構築、地理データをスキャンした上で、木や岩、草むら等にどのように適切に雪が積もるべきかを演算し、不自然な積雪に見えない表現が可能になっているとの事。
前作The Elder Scrolls IV: OblivionのNPCは昼夜サイクルの中で、朝食を摂り、仕事に出かけ、仕事を終え帰宅途中にパブに寄り道する等、生活感に溢れる動きが実現されていました。しかし実際の所Radiant AIの技術はさほど精巧な物では無く、1人の市民に5つから6つのタスクを設定する事で実現されており、その行動に微妙なニュアンスを持たせる事は困難でした。
Skyrimではキャラクターに対し、前作を超える人間的な個性を定義しており、もはや市民が町の広場の中で漫然とぶらついている様子を見かける事はありません。彼らはそれぞれの環境の中で意味を持つタスクをこなす様になっており、Bethesdaは彼ら市民が生活し仕事をするための農場や工場、鉱山などを用意しています。
Game Informerがデモの中で訪れた森林の小さな村では、NPC市民の多くは森にでて材木を切り、丸太を工場に運び、町を通って出来上がった品物を運ぶ作業を熱心にこなしていたとの事。
さらに改善されたRadiant AIでは市民がプレイヤーに対してどのような反応をするべきか知っており、プレイヤーに対する感情の内容により、反応が大きく変化、例えばあるNPCと良い友人であれば、彼の家に泊まり、食事をごちそうになるかもしれないが、彼から何かを盗もうとしたり、彼の近くで武器を振り回すような事があれば、それに相応しい敵意を示す事になる事が挙げられています。
前作やFallout新シリーズでも採用されていた物理演算のHavokでは、時におかしな挙動やリアルではない表現がしばしば見受けられました。
Skyrimの物理演算では再び”Havok”技術を採用する事になりますが、今回はキャラクターや生き物に適切な挙動を実現する為にHavokの新しいBehavior技術を採用しており、Todd Howard氏によるとSkyrimがこの新技術を最初に利用するビッグタイトルになるとの事。
この新技術の採用により、キャラクターの歩行状態とジョギング程度の速度、走る動作の間に現実的で自然な移行モーションが設けられ、微妙な表現が可能になったアニメーションにより、1人称視点と3人称視点それぞれの戦闘における打撃や防御がより良いバランスで描かれる事になる様です。
また、Todd Howard氏はこのモーション補完的な効果により、3人称視点での移動からジャンプに移行する描写が改善される事を明言しています。
また、このアニメーションの改善によりSkyrimの会話シーンでは前作で見られた視点を排除し、会話中でもプレイヤーが自由に視点を移動させる事が可能になり、会話中にも現実の様な行動を見せてくれる事になります。
その一例としてバーテンは会話中にもコップを磨き、カウンターからシートに移動する事や、材木工場で働く労働者は彼の仕事から離れないまま会話を続け、会話の間にプレイヤーをちらりと見る様な動作をする事などが挙げられています。
また、このビヘイビア技術が最も印象的に利用されているシチュエーションに、ドラゴンのアニメーション作成が上げられており、Bethesdaはドラゴンがパワフルで脅威的な存在に見える様に、動作の再現には細心の注意を払ったとの事で、翼で翻る動作や、傾く動作、不幸な犠牲者に対し無慈悲に吐く炎のブレスなど、スクリプト動作ではなく、機械的に見えない動作が実現されているとの事。
もちろんBethesdaはこのドラゴンの動作がマンモス等の動物達にも適用可能である事を明かしていますが、騎乗生物についてはまだこれから話し合いが持たれるとの事。
Todd Howard氏と開発チームはSkyrimの計画にあたり、彼らがこれまで愛してきた過去のプロジェクトを振り返った事を明かし、Fallout 3とDaggerfallで見られたランダムエンカウントを挙げ、これらをベースにした”Radiant Story”と呼ばれる新しいストーリーマネジメントシステムが登場する事を明かしました。
Skyrimの多くのクエストが今回もBethesdaの手によって管理されていますが、新しく登場するRadiant Storyシステムは動的なクエストの生成などに利用される物で、プレイヤーが過去に何を行ったか、プレイヤーがどこにいるか、現在何を行っているか等、プレイヤーの状況に応じたミッションを調整して生成する事になります。
Howard氏は例として暗殺クエストを挙げ、誰が誰を暗殺したいと望んでいるか、プレイヤーが誰と遭遇するか等のテンプレートに必要な役割が全て条件的な物として作成可能な事を挙げ、ターゲットがかつてプレイヤーと長い時間を共にした人物などがターゲットにされる事さえある事を明かしています。
また、Radiant StoryシステムはNPCの”不死問題”についても解決を見ており、以前にお伝えしたクエストを持った店の店主が死ぬと、その妹が店とクエストの保持を継承するような構造によって問題の改善を行っている事が挙げられていますが、ここには前述のRadiant AIによるプレイヤーへの感情なども加わっており、NPC達はより複雑で現実的な反応を見せてくれる事になります。
また、動的なクエストの目的地なども条件により設定する事が可能で、開発チームはプレイヤーが未探索の場所や調査して欲しい場所へと自然に案内できる様なプレイを実現し、動的なミッションなどに見られる所謂”単調なクエストの繰り返し”になってしまう現象を防ぐ事も考慮している事が示唆されています。
さらに、前回もお知らせした”町でプレイヤーが武器を落とした場合”のNPC達の様々な反応もRadiant Storyにより構築されているとの事で、あるNPCは落とした武器をプレイヤーに返し、あるNPC達はそれを巡って喧嘩を始める事などが明らかにされています。
また、クエストの生成ではプレイヤーのスキルチェックも行われており、特定のスキルに長けている場合にはNPCがトレーニングを求めたり、或いは決闘を申し込まれるケースなどが発生するとの事。また、Radiant Storyシステムはクエストの生成にあたり、プレイヤーの親交関係と他者からの悪感情もトレースしており、とある農民に対して行った小さな好意が最終的に大きなクエストに繋がる可能性なども挙げられています。
また、幾人かのNPCは特定の状況でプレイヤーを援助する為に仲間になる事や、Radiant Storyが町中に制限されたシステムではない事が明言、ダンジョンに捕らえられたプリーストや狼に困っているマンモスなど、様々な出会いが体験出来る事も語られています。
しかし、Bethesdaはこういった主な物語から距離を置くサイドストーリーはメインストーリーの推進力を損なう可能性がある事を認識しており、Radiant Storyシステムにより生成されるミッションにプレイヤーが圧倒される様な事が無いように調整を行っている事を明言しています。
という事で、ざーっと挙げただけでも大変な事になっている事が明らかなThe Elder Scrolls V: Skyrim、一体今度はどんな化け物タイトルに仕上がる事になるのか、オープンワールドRPGの新たな金字塔とリファレンスになるポテンシャルをこれでもかと見せつける本作の続報がますます楽しみ!です。
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