昨晩、初代の“Sympathy for the Devil”(悪魔を憐れむ歌)に続いてローリング・ストーンズの“Paint It Black”(黒くぬれ!)をフィーチャーし、ディストピア感溢れる暗く不穏な未来の戦場を描いた映像で待望のデビューを果たしたシリーズ最新作「Call of Duty: Black Ops III」ですが、今年は初の3年体制による新作の登場と久しぶりの試みとなるベータテストの実施もあってか、リリースに向けたプロモーションのスケジュールやプレビューの内容にも大きな変化が生じており、初回の情報解禁を以てマルチプレイヤーとキャンペーンの概要が同時に披露される例年にない状況となっています。
という事で、今回は昨晩ご紹介したマルチプレイヤーの情報に続いて、4人Co-opと画面分割を利用したローカルの2人Co-opを導入するキャンペーンにスポットをあて、主要な新要素と共に、多くのプレビューから見えてきた新作の大きな対立構造やプレイヤーを取り巻く世界情勢といったプロットの背景に関する話題をまとめてご紹介します。
“Call of Duty: Black Ops III”に搭載される新たなキャンペーンモードは、先日もご紹介した通り前作“Black Ops II”のヴィランRaul Menendezが2025年にロサンゼルスで引き起こした大規模なドローンのハイジャック事件により大きな転機となった世界のその後を描く直接的な続編で、2065年の未来にふさわしい多数のSF的な目新しい要素を導入しています。
そんなキャンペーン最大の新要素は4人プレイに対応するフルCo-opキャンペーンであり、この大きな構造の変化に伴い、これまで固有のキャラクターだった主人公は性別まで自由にカスタマイズ可能なプレイヤー本人となり、従来のライドかつリニアな展開はよりオープンな戦闘が楽しめる大規模なものに置き換えられ、新たな立体機動とガジェットの数々を存分に活用できる大規模なレベル環境を導入することが提示されました。
この抜本的な変化をベースに、義肢やインプラントを含む機械的なオーグメンテーション、脳を直接をコントロールする技術に基づく視覚情報を含む兵士間の情報共有など、ゲームプレイに直接絡む多数の新要素が判明しています。
- 数々のSF的な新要素やアビリティのベースとなる技術として、兵士の脳と脊髄、網膜を含む神経系に直接接続し、ロボット的な拡張技術や生体オーグメンテーション機能を統合的に管理する“Direct Neural Interface”(DNI)が導入され、戦場に偏在する兵士の意識/認識情報が互いに共有可能となっている。この共有化はCo-opパートナー間に適用され、“Tactical Mode”(T-Mode)と呼ばれる視界を通じて仲間が戦場で目にしている視覚情報が投影される。
- 個別にアップグレード可能な40種を超える多彩なアビリティが導入される。このアビリティは大きく以下の2つにカテゴライズされ、レベル間に用意されたセーフハウスで能力の入れ替えが可能となる。
- Cyber Core:映像にも登場していた近くのドローンをハイジャックする能力や“Firefly”と呼ばれる虫サイズのドローンを放つ能力など、プレイヤーが任意に使用可能なアクティブスキルを含む。
- Cyber Rigs:高度な移動手段や防御力の増強といったパッシブアビリティが含まれる。
- 高さのある戦場の大規模化や立体機動な移動アクション、4人のプレイヤーが参加する戦闘の導入に伴い、敵のAIが刷新された。これは独自の武器バリエーションを持つ20種のアーキタイプをベースにしたもので、互いにフォーメーションを組み協力する。また、新たに登場するロボット兵士は、その特性を生かし自身の身を犠牲にすることでプレイヤーを無力化する行動を見せる。キャンペーンディレクターのJason Blundell氏によると、AIの刷新がCo-opキャンペーンに新たなリプレイ性をもたらしているとのこと。
- 前作が導入した分岐するマルチパス展開は廃止され、代わりに“Black Ops”ユニバースに基づく“複数のレイヤーを持つストーリー構造”が導入される。
- ミッション間のプレイヤー拠点として“セーフハウス”と呼ばれるソーシャルエリアが導入される。セーフハウスではロードアウトを含むプレイヤーのカスタマイズやアップグレード、ミッションのバックストーリーや多くの情報を含むゲーム内Wikiへのアクセス、ゲーム内で得た機密情報やメダル、実績の飾り立てが可能となっている。
- Mark Lamia氏によると、“Call of Duty: Black Ops III”のキャンペーンはBOシリーズ上最大のボリュームを誇るとのこと。
プレビューの解禁を経て、2065年における“Call of Duty: Black Ops III”の戦いが“Winslow Accord”と“Common Defense Pact”(CDP)と呼ばれる2大勢力間の緊張と争いを描く物語であることが明らかになりました。
“Winslow Accord”は、2025年のロサンゼルス事件を機にドローンを利用したテロから重要な建築物や施設、都市を防衛する巨大な傘のようなエネルギー防衛システム“D.E.A.D.”を次々と構築したアメリカを中心とする西側勢力で、一方の“Common Defense Pact”はロシアが主導する東側の防衛協定であり、2065年の“Black Ops III”に至る世界の戦争は、サイバネティックなオーグメンテーションをはじめとする未来的な技術が飛躍的な進化を遂げる一方で、鉄壁とも言える防空システムの誕生により、再び地上の兵士を戦いの主軸とする旧態依然とした構造に立ち返ったことが判明しています。
この作品が“Black Ops”シリーズであることを鑑みれば、Winslow AccordとCDPの対立構造はかつての“北大西洋条約機構”と“ワルシャワ条約機構”による東西冷戦構造の再来そのものであり、米中の新たな冷戦構造を描いた前作に続いて、最新作もやはり“冷戦”を大きなテーマの1つとして描いている様子が窺えます。
ただし、現時点で“Black Ops III”最大のツイストは、この一見安易とも取れる東西の新たな冷戦構造そのものにあると言えます。
2065年の未来を描く“Call of Duty: Black Ops III”のプロットは、大きなテーマとしてエネルギー資源の枯渇や大規模な自然災害といったカタストロフ後の世界情勢を扱っており、“Common Defense Pact”を主導するロシアはポーランドを負債ごと買い、EUの参加(この時点でドイツとフランスはユーロを捨てEUを脱退している)を経て肥大化し、参加国同士の相互防衛協定を結んでいます。
一方で、Winslow AccordとCDP共に大災害を経て環境/エネルギー問題の影響下にある先進国のGDPは底を打ち、そのほとんどを輸入に頼る状況となっており、かつてアメリカとソ連が軍拡競争と宇宙開発で競い合った爆発的な拡大の抑止として機能した冷戦ではなく、多くの国が互いに致命的な影響をもたらす競合とリスクを忌避する、言うなれば“消極的な冷戦”、もしくは受動的な休戦という名の平和に座す状態が続いていました。
なお、“Black Ops III”の物語はこの緩慢とした暗い冷戦のただ中にあるわけではなく、千日手を破るような突破の機に緊張が大きく振幅するその瞬間そのものを描いており、この(リスクを避けCDP側に大きな利をもたらす)ブレイクスルーが2013年に起こったエドワード・スノーデン氏によるアメリカ国家安全保障局の個人情報収集に関するリークに着想を得た、“史上最大の軍事機密リーク”を起点とすることが既に報じられています。
という事で、非常にフレッシュな対立と情勢を背景に持つことが明らかになった“Black Ops III”ですが、これまで驚くほど緻密に積み上げた楼閣を自ら爆発四散させるような遊びを提示してきたTreyarchがこの新しいオモチャと世界をどういじり倒すのか、ベータの実施やE3のプレイアブル出展など、予想を超えるペースで展開するプロモーションと火曜発売の慣例を破り臨む11月6日(Nov6、NOVA6?)の世界ローンチに大きな注目が集まるところです。
PC | PlayStation 4 | Xbox One | Wii U
PlayStation 3 | Xbox 360 | PS Vita | DS
Mobile | Movie | Rumor
Culture | lolol | Business | Other
RSS feed | About us | Contact us
かたこり( Twitter ):洋ゲー大好きなおっさん。最新FPSから古典RPGまでそつなくこなします。
おこめ( Twitter ):メシが三度のメシより大好きなゲームあんまり知らないおこめ。洋ゲー勉強中。