昨晩大きな驚きと共に発表されたIrrational Gamesの「BioShock: Infinite」、公開された映像では目を見張る様な美しい空中都市とBioshock特有の残酷な表現が混じり合い、まさにKen Levine氏の真骨頂とも言える驚きの内容が描かれていました。
リーク騒動の多い昨今にあって、これだけの大作が一滴たりとも漏れる事なく、この発表を迎えた事も驚きでしたが、発表されたBioShock: Infiniteの内容は本当に全ての人の虚を突くようなサプライズだったと言えます。事前情報では新IPとも噂されていたProject Icarusですが、明らかになったBioShock: Infiniteに対してIrrational Gamesを率いるKen Levine氏が何を考え、何を目指しているのか、Joystiqが氏に直接インタビューを行っています。
まずKen Levine氏は本作のモチーフにアメリカ人の優越性をベースにしたアメリカ例外主義の概念が存在している事を明かし、この概念を持ち込んだ事がここ半年ほどの出来事であること、しかし本作の舞台は始めから空中都市を舞台にしていた事を明かし、これが客観主義を突き通したアンドリュー・ライアンの概念が存在しないまま、開発中に多くのプロトタイプが作られた前作BioShockに酷似していると氏は発言しています。
前作BioShockに多くの哲学が盛り込まれていた事を指摘したJoystiqは、BioShock: Infiniteにも同じ雰囲気が感じられると述べ、本作の背景に敷かれた哲学が何であるか、またそれを理解する為にどのような本を読めば良いか質問しています。
この質問に対しKen Levine氏はBioShockは歴史的な物語では無かったが、歴史の文脈に基づいてセットされた物だと述べ、ここにはIrrationalが表現しようと試みたアメリカの雰囲気があったと発言。今回も同様である事を明かし、本作の舞台である世紀の変わり目に蔓延したオプティミズムを挙げ、セオドア・ルーズベルトの著書から学び始める事が良いだろうとアドバイスしています。
1901年のまさに世紀の変わり目にマッキンリーの暗殺に伴って大統領となったルーズベルトについてKen Levine氏は、彼が当時のアメリカのまさに中心的な人物で、当時のオプティミズムが有した、強いアメリカがどんな巨大な事でもできる、或いは全ての技術を持っている、そして法外な民主主義体制を持っているといった世論を象徴しており、実際にこの時代のアメリカ国民が望んでいた希望の指標だと表現。そしてその実際は君主制と独裁者で満たされた世界だったとKen Levine氏は続けています。
こういった背景からBioShock: Infiniteの舞台である空中都市”コロンビア”が生まれ、そして時代背景にコロンビアが基づいた物として自然に感じられる様、多くの方法を用意した事を明らかにしています。
さらに氏は本作の開発チームの規模にも言及、BioShock: Infiniteチームが80人体制で開発に取り組んでいる事を述べ、近年の超巨大な開発体制には及ばないものの、前作BioShockから明らかにスケールが大きくなった事を明らかにしています。さらに氏は前作のBioShockから一切の資産を共有していない事を明言、コードは全て新しくなり、エンジンもUnreal Engine 3へと刷新されたと発言しています。
また、今作ではUnreal Engine 3の利用により、空中都市の建造物が空中を浮遊し、ビルの崩壊が表現され、一度に多くの敵を相手にする事が少なかった前作の戦闘に比べ、今作では15人の敵と一度に戦う様なシチュエーションが存在する事を明らかにしています。
そして、空中都市となった事でエリアがラプチャーに比べ格段に広い物になった事を明かした氏は、長距離武器の重要度が大きく増し、同様に多くの敵が一度に登場する事からエリアエフェクトを持つ武器も有用だと発言、さらにプレイヤーが時速100kmで移動する様なシーンがある事を明かし、やはり武器の選択が大きなカギとなる事を示唆しています。
さらに氏は前回の記事でもお知らせしたBioShock: Infiniteの制作における只1つのルール”神聖にして犯すべからざるものを持たない”事を挙げ、多くのファンがBioshockに望むBioshockゲームが持っていなければならない要素でさえ、自分達が表現したい内容に適合しない物であれば登場させない旨を示し、前作Bioshockの象徴とも言えるビッグダディとリトルシスターが登場していない事を例として挙げました。
ここで、トレイラーに登場した大きな手を持つ頭部に心臓を有した謎のロボットがビッグダディに似ていると質問された氏は、あれはビッグダディでは無いと発言、ビッグダディとリトルシスターは共に前作のパッケージにも登場する主役キャラクターで、概念的に同様の扱いでは無い事を語りながらも、今作がやはりBioshockからのDNAを拡張した物である事を明らかにしています。
ここまで前作との大きな差を強調する氏に対してJoystiqは、なぜこれをBiochokと呼ぶ事にしたのか、マーケティングに拠る物か、それとも芸術的な選択かと質問。これに対して氏はBioShockと言うタイトルがラプチャーを超える物だと考えていると回答し、“Bioshock”とは驚く様な場所を舞台に、Irrationalの俯瞰とヒストリカルなアイデアからなるFPSタイトルだとIPの定義を明らかにしました。
これらは共有の遺産を持っており、それはファイナルファンタジーのそれと同様の物だと氏は発言、しかし続編を作成する場合には通常多くの共有資産やゲームプレイシステムを擁する場合が多く、そういった続編はIrrationalのBioshockには当てはまらない事を示唆、これこそがBioShock 2がIrrational Gamesにとって適切なプロジェクトで無かった理由で、Irrationalの野心にフィットするスケールのプロダクトでは無かったと発言、しかし2K Marineが手掛けたBioShock 2はまさしくBioshockゲームだったとも語っています。
さらにゲームシステムについてBioShockシリーズの特色とも言えるモラル選択について問われた氏は、モラルの選択がシリーズの主成分の1つである事を述べ、今作も同様にモラルの文脈にセットされたタイトルになると明言。但し、それは「悪い奴」と「良い人」に関するゲームになる事を意味しない事を強調しました。
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