大リーグの名投手カート・シリング氏率いる38 Studios初のタイトルとなるアクションRPG大作「Kingdoms of Amalur: Reckoning」、開発メンバーに“Spawn”のトッド・マクファーレン氏、“ダークエルフ物語”のR.A.サルバトーレ氏、“The Elder Scrolls IV: Oblivion”のリードデザイナーを務めたKen Rolston氏などが集うドリームチームによる大作タイトルとして注目を集めていますが、先日開催されたComic-Conでのパネルディスカッションにてこれらスター開発者がどのように本作のデザインや世界観の構築を進めているか、具体的な手法が語られました。
トッド・マクファーレン氏を初め、Big Huge GamesのアートディレクターTim Coman氏、アニメーターのYoung Vo氏、アーティストのSean Murray氏が登壇した会場では、まずビデオゲーム業界において新規IPを開始することがいかにリスクの高い事態であるかが語られましたが、今作の様にベストセラー作家であるR.A.サルバトーレ氏による1万年に及ぶゲーム世界の知識がしっかりと存在する場合には、キャラクターからクリチャーなど生命のアーキテクチャといった全ての要素に背景を持たせリッチな世界観を構築することが可能だと強調されました。
さらにトッド・マクファーレン氏はこれまで手掛けたコミックにおいて最良のエディターがどのように作品のクオリティに寄与したか語り、そこには“全ての事象に理由が存在する”とKingdoms of Amalur: Reckoningでも同様の世界観の構築を進めていることを示唆しています。
(※ Rise of Nationsシリーズなどを手掛けブライアン・レイノルズ氏が共同創設者として在籍した“Big Huge Games”は現在38 Studiosの子会社となっています)
マクファーレン氏とサルバトーレ氏による豊富な世界背景を有するKingdoms of Amalur: Reckoningですが、彼らのアイデアに対しアニメーションチームには自分達の方法でクリーチャー達をアニメーションさせる自由が与えられているとのことで、パネルではその1例として1つ目で赤い巨体が特徴的なクリーチャー“Bolgan”を例に具体的な開発の流れについて解説が行われました。
Young Vo氏によるとBolganはアイルランドに伝わる神話を元に描かれたキャラクターで、前述した世界背景にはなぜ彼の目が1つなのかを含めるBolgan自身の完全な物語が存在しているとのこと。
作業はこういった世界背景を伴うライティングから開始され、その後アーティストとアニメーターが造型と生成を担当。Bolganの場合はデジタルで直接作業が開始されたそうで、スカルプトモデルの製作を経て、インゲーム用のモデルが作られています。その後のアニメーションの作成作業についてMurray氏は、クリーチャーの歩行周期などはそれを見る者にそのクリーチャーの個性について情報を伝えるが、Bolganのような重量級のクリーチャーがその重い体重を調整するために体重を旋回軸上に置きピボット移動を行うなどのディテールはほとんどの人々にとって無意味かもしれないと発言、しかしアニメーションチームのゴールは生き物を(Bolganの場合はビール腹ごと)できるだけ現実的に表現することだったと語りました。
さらにMurray氏は開発チームがゲーム世界に住む人々の文化や生活が統合されたように感じられる街といった、価値のある世界を構築したいと考えていると強調、ゲーム世界における環境と構造物はそこで暮らす人々の物語を伝えるようなものであるべきだとKingdoms of Amalur: Reckoningにおけるリアルな世界感の構築をアピールしています。
また、パネルの終了間際には先日の新スクリーンショットにも登場していた巨大な1つ目のボス“Balor”のアートワークを提示、先日のスクリーンショットでは全体像が描かれていませんでしたが、下半身がカニのような構造をした非常にユニークなデザインのクリーチャーであることが判明、Balorも前述のBolganと同様、アニメーションにかなり力が入れられているとのことで、今後のトレーラーやプレイ映像の登場に期待が高まるところです。
なお、マクファーレン氏はBalorやBolganのアニメーションについて触れ、“ビデオゲーム産業で最高の男のおっぱいを描くよ”と豪語しています。
まだ具体的なリリーススケジュールは明らかにされていないKingdoms of Amalur: Reckoningですが、今回のパネルにおいてマクファーレン氏が遂にリリース時期に言及、EAに問題がなければ2月にリリースされる予定だと発言しました。
当然、公式な発表ではないことから目安程度に考えておくべき発言ですが、過酷な年末商戦を避けた2月の新IP投入は実に良いタイミングと言え、来る正式な発表に期待したいところです。
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