12月1日にIrrational Gamesがワイルドな面持ちの主人公Booker DeWittを大きく配した「BioShock: Infinite」のボックスアートを公開して以降、海外ファンとメディアの間でこのアートワークの是非が大きなトピックとして注目を集めていましたが、昨日公式サイトにてKen Levine氏がボックスアートのリバーシブル化を正式に発表。裏面のアートワークを決めるファン投票を開始しました。
今回の投票にあたって6種類のアートワークが候補として挙げられていますが、さらにKen Levine氏は無料でダウンロード可能な追加の印刷用アートワークを用意することも明言。さらに氏は印刷のスケジュール上、新たなアートワークを早めに決定する必要があることを強調し、早めの投票をファン達に要請しています。
今回は新たに公開された6種のアートワークに加え、The Last of Usにまで思わぬ飛び火を見せたボックスアート問題の背景とKen Levine氏の見解をご紹介します。
今回、海外コミュニティやネット上で紛糾している“BioShock: Infinite”のボックスアート問題は、アメリカ例外主義を象徴する空中都市コロンビアや、エリザベスとSongbirdを巡る陰謀、人種差別問題を含む重い政治的なトピックを内包する本作の重厚な内容に対して、ブッカーを大きく配したボックスアートがビデオゲームにおける最も比喩的な描写である“銃を持った怒れるタフガイ”だったことに起因するものでした。
しかし、初代BioShockがボックスアートにアイン・ランドの客観主義的リバタリアニズムを描かないことと同様に、タフガイとして描かれたブッカーにもビジネス的な意図やジャッジが存在することは容易に想像がつきます。
そんな中、今回のボックスアート騒動についてWiredのインタビューに応じたKen Levine氏は以下の様に語っています。
私はいくらかのファンが失望していることを理解している。Irrationalはそれを期待したんだ。これを聞くことは難しいかもしれないが、その考えを説明しよう。
我々はツアーを行い、様々な場所へと訪れた。そこにはIGNを読む類の人達ではない多くのゲーマがいた。そして彼らに聞いた「君たちBioshockの事は聞いた?」とね、けれど彼らのうち名前を聞いたことのある人は一人もいなかったんだ。
私たちは特別な場所で暮らしている、BioShockがかなり成功したフランチャイズであることは君も知っているね。このゲーミング世界で私たちはとても重要な事を時々忘れてしまう。買うことに多くの考える時間を費やさない大量の製品が存在することだ。
例えば、サラダドレッシング。もし新しいサラダドレッシングが売られていてもわからないだろう。私はサラダドレッシングを使うけれど、サラダドレッシング・ウィークリーは読まない。誰がそれを作ったか気にしないし、サラダドレッシング・ビジネスの著名人が誰かも知らない。
いくらかの人達にとってはゲームはサラダドレッシングのようなものだ。あるいは映画、TV番組もそうだね。これは我々にとって明確な現実の直視だ。確かにゲームが大きく、そして高価であることは明確な事実だと考えている。そして、ざっくばらんに言うと、こういった類のゲームを作る人達の多くが成功しない中で、成功を収めてゲームを作り続けるには財政的な成功を達成しなければならない。
私は自分が深く関与して、そして愛してやまない初代“BioShock”のカバーアートを見た。そしてこれを一歩引いて見て考えたんだ。もし自分が単なる男だったら、フラットな男だったら、ゲームを好むがそれに注意を払っていない人物……もし自分がこのボックスアートを目にしたらどう感じるだろう?
そして私は思った、きっとこれはロボットと小さな女の子に関係するゲームだ。私は自分に正直であろうとした。信用してほしい、私はInfiniteのキャラクター誕生と深く関わりあってきたし、そして彼らを愛している。
自分が60ドルを手にしていて、年に3本のゲームを買うとしたら、そのゲームを私は買うだろうか、箱を手にとるだろうか?
私は初代System Shockの事を思い出した。これはとても重要なことだけど、System Shock 2は私が最初に作ったゲームだし、System Shockは私にとって信じられないほど大きな影響を持っているんだ。しかし、かつて初代System Shockの箱を手に取って見た時、自分はこう言ったんだ「このゲームは何なのかよく判らない」。当時の私は十分なお金を持っていなかった、だからそれを棚に戻したんだ。確かに自分はゲーマーだった。
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