「Evolve」は如何に今年のE3を制したか、2Kジャパンにて行われた4時間に及ぶハンズオンイベントのインプレッション

2014年7月15日 0:01 by katakori
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「Evolve」

今年6月に開催された世界最大のビデオゲームイベント“E3 2014”の優れた出展作品を選出する“Game Critics Awards”において、総合ベストを含む4冠に輝くなど、昨今ますます大きな注目を集める状況となっているTurtle Rock Studiosと2Kの新作「Evolve」。今月上旬には国内向けの12月4日発売と初回限定特典もアナウンスされ、高い評価と期待を集める要因や4人のハンターと1体の巨大なボスモンスターが戦う変則的な対戦のバランスが気になっている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、先週2Kが国内メディア向けにE3ビルドを紹介する待望のハンズオンイベントを開催。当サイトもプレビューに参加し、“Evolve”一色に染まった会場で4時間に渡って新ハンターとモンスターのプレイをチェックしてきました。

という事で、今回は約15マッチほど集中的にプレイしたハンズオンを元に、海外の著しく高い評価が本物であることをはっきりと確信したプレイ感にまつわるインプレッションをご紹介。これまでにご紹介した多数の情報を補足するディテールについては新たな特集記事で改めて詳しくお伝えします。

当初の予想とは大きく異なるプレイ感を提示した「Evolve」

参考:先日公開された4人の新ハンターとモンスター“Kraken”の紹介トレーラー

“Evolve”は、未開の惑星を舞台にプレイヤーが操作する4人の個性的なエイリアンハンターと、同じくプレイヤーが操作する1体の巨大モンスターが激しい戦いを繰り広げるCo-opと対戦を組み合わせたシューター作品で、開発を手掛けるTurtle Rock Studiosが過去に手掛けた“Left 4 Dead”の影響がしばしば語られるほか、国内では比較対象として“モンスターハンター”シリーズの名が挙がるケースもまま見られる作品として知られています。

ハンター側でプレイする際にはFPS、モンスター側でプレイする場合にはTPSとなる“Evolve”は、外観こそ馴染み深いモダンなSci-Fiシューター作品でありながら、実際にプレイした印象は前述したどれとも決定的に異なるもので、身も蓋もない結論を先に述べてしまうと、シューターともMOBAとも違う、Co-opと対戦を組み合わせたとも単純には言い難い予想とは大きく異なる“これまでに見たことが無いめっぽう面白い何か”でした。

今年1月上旬から、連日大量のディテールをご紹介してきた“Evolve”ですが、今回のハンズオンを通じて感じた“面白さ”はディテールの積み重ねに依拠するものではなく、本作を構成するシューターとMOBA、Co-op、対戦要素のどれにも偏らない実に説明の難しい不思議なものだったことから、今回は一旦E3ビルドの概要とゲームプレイから浮上した重要なポイントをご紹介し、ハンズオン中に発生した幾つかの“印象的な試合展開”を挙げた上で、本作が高い評価を獲得したであろう要因にスポットを当ててみたいと思います。

“Evolve”E3ビルドに実装された新キャラクター達の概要とゲームプレイのポイント

「Evolve」
回復能力を抑え、速やかな蘇生に特化したメディック“Lazarus
(※ 以下4名と1体のリンクはプレイ映像と詳細を紹介した過去記事に設定してあります)
「Evolve」
Evolve最強の火力を誇る火炎放射器を装備したアサルト“Hyde
「Evolve」
敵モンスターを執拗に追う忠実な相棒“Daisy”を連れたトラッパー“Maggie
「Evolve」
自分の頭をUAVとして投擲し、攻撃ドローンを射出するサポート“Bucket
「Evolve」
空を自由に舞うクトゥルフ的なプレイアブルモンスター“Kraken
  • 今回用意されたE3ビルドはPC版で、Xbox Oneコントローラーとキーボード/マウスの両方が利用可能だった。
  • E3ビルドは、新ハンター4人とプレイアブルモンスター“Kraken”、新マップ“The DAM”、ハントモードのみプレイ可能で、アナウンス済みの旧ハンター4人と“Goliath”は実装されていなかった。
  • プレイ可能だったハントモードは、マップに存在するジェネレーターの破壊と防衛を争うオブジェクティブ系のゲームモードで、モンスターとハンターの勝利/敗北条件は以下。なお、今回のハンズオンにおける1マッチのプレイ時間は5分から20分程度だった。
    • ハンターは、ジェネレーターが破壊される前にモンスターを発見し倒せば勝利となる。ハンターが敵モンスターや野生動物の攻撃によりダウンし、カウントダウン終了までに蘇生されなかった場合には2分ほど母船でリスポーン待ちを余儀なくされる。
    • モンスターはジェネレーターを破壊、もしくはハンター4人を全滅させることで勝利を得る。ただし、ジェネレーターを攻撃するには野生動物を補食し、LV3に進化する必要がある。
  • “The DAM”のマップの広さは、Call of Dutyシリーズの大型マップよりも広く、Battlefieldシリーズの小規模マップよりも小さい印象。ただし、高低差が激しく、高く伸びる太い岩の柱や洞窟、谷、川などが存在することから、実際よりもかなり広い印象を受けた。
  • ハンター側でプレイする場合、モンスターの索敵が非常に重要で、目視による追跡は想像以上に困難。ここでは敵モンスターを自動で追跡する“Daisy”の存在が非常に重要だった。また、ハンターはメンバーに任意のポイントを指し示すスポット機能(※ 目標地点をAimし、右スティックを押し込むことでマーク)を利用することで、モンスターの発見と目指すべき方向を仲間に知らせることが出来る。
  • ハンター達はPerkとして選択可能な自動回復能力やメディックのヒールスキルにより体力を回復可能。なお、マッチ開始から終了まで、野生動物からまれに得られるBuff以外にプレイヤーを強化する手段は無い。
  • モンスターは野生動物を補食し“進化”(Evolve)することで、マッチ中に自身の基本的な能力と各種スキルを個別に強化可能。また、シールドと体力が別に用意されており、シールドは野生動物の補食により回復可能だが、体力そのものを回復する手段は存在しなかった。
  • ハンターはマッチ中に成長しないが回復可能。一方で、モンスターは進化するが、体力そのものの回復は出来ない。この差がゲームの進行にバランスの変化をもたらし、さらにバリエーション豊かなゲームの展開を生む要因となっている。
  • AI駆動の野生動物はバリエーション豊かで、中には非常に強力な生物が存在する。特に地中に身を潜める“Megamouth”と、罠のように待ち構える食虫植物に捕捉された場合は、仲間の援護射撃により脱出可能だが、単独行動している場合には多くの体力が奪われる。なお、“Megamouth”に食われ、味方の援護射撃が得られなければ数秒のやられモーションを経て1hitダウンとなる。
  • マッチ開始時におけるハンターとモンスターのスポーン地点は近い。ただし、モンスターはハンターよりも20秒前にスポーンすることで、先に行動を開始することが出来る。
  • モンスターは地面を歩行すると容易に追跡可能な光る足跡を残す。また、鳥を驚かせた場合、ハンター達の視界に現在地を示すアラートが表示される。ただし、通常よりも遅いステルス移動時には足跡を残さず、動物達をおびえさせない。また、“Kraken”が飛行する場合も足跡を残さない。なお、初期レベルの“Kraken”は完全な飛行は出来ず、一定距離で着地するが、LV2以降は自由に飛行可能。
  • モンスター“Kraken”はマップ内をかなり自由に移動できることから、ハンター達はモンスター発見後速やかにモバイルアリーナ(トラッパーが設置する巨大なエネルギー状の檻)を展開し、モンスターを閉じ込める必要があった。なお、モバイルアリーナの有効時間は1分。再使用には2分を擁する。

4時間に及ぶ“Evolve”のハンズオン中に発生した印象的な試合展開

  • “Kraken”を何度かモバイルアリーナに閉じ込めたハンター4人が一進一退の攻防を繰り返し、“Kraken”の体力を半分ほど削ったものの、“Kraken”が3段階目の進化に成功。ジェネレーター近くで決戦となり、モバイルアリーナを展開し総力戦に突入したが、ハンター側の蘇生が間に合わず、体力を僅かに5mmほど残した“Kraken”が辛勝。約20分近い長丁場で、終了時に拍手が飛び出すほどの盛り上がりを見せた。
  • マッチ開始早々に足跡を嗅ぎつけられた未進化の“Kraken”がモバイルアリーナに閉じ込められ、試合開始から僅か5分と経たずに為す術なく倒される。ハンター達の勝利。
  • 2段階目に進化した“Kraken”をハンター達が捕らえたものの、スキルを2つ捨て直接攻撃に特化した“Kraken”が到着したハンターを上空から順次倒し、“Kraken”が勝利。
  • 開始早々、ステルスで恐る恐る移動する“Kraken”を追い、僅かに分散したハンター達が離れた場所でほぼ同時に野生動物(Megamouthと食虫植物)に襲われ、一瞬の内に3人がダウン。約2分のリスポーン待ちが発生している間に“Kraken”がLV2、LV3へと進化。生き残ったトラッパーが進化中の“Kraken”を発見するも、1人では太刀打ちできず、撤退。その後ダウンした3人がリスポーンして合流し索敵を開始するが、その間もステルスで行動し、捕食時の戦闘で失ったシールドまで回復した“Kraken”がこっそりジェネレーターに移動し破壊活動を開始。気が付いたハンター達が慌ててジェネレーターへと向かうも、一歩及ばず“Kraken”が勝利。マッチ開始から終了まで、ハンターとモンスターの戦闘が1度も発生しなかった。

こういった展開が僅か15マッチ程度の間に発生し、大きな盛り上がりを見せた今回のハンズオンでしたが、プレイ感は前述した通り、一言では言い表しにくいもので、強力なボスとの戦いをずっとプレイし続けているようなハンター側の緊張感、追い追われる鬼ごっこ的要素、シューターと呼ぶには余りに重要な“射撃”以外の能力(※ クラスによっては激戦時に敵を攻撃している場合じゃないというシーンもしばしば見られる)、MOBAと呼ぶには余りにも手強いAI制御の敵生物、プレイヤーモンスターの進化によって動的に変化する戦闘バランス(※ ハンター達の戦闘能力は終始一定)、個々人のハンターは非常に脆弱ながら、組み合わせで驚くようなシナジーを発揮する濃密なCo-op要素など、驚くほど多彩な要素が歯車のように重なり合い特有のプレイ感を形成しており、いわゆるハイブリッドではない“Evolve”そのものとしか表現しようがない何かだったと言えます。

ただし、ハンター側に緻密なコミュニケーションが必須となるような窮屈さは無く、そもそもE3ビルドにはロードアウトの調整も無ければ、全ての攻撃がクールタイム管理となることから、弾薬の管理や補給も必要なく、モンスターの進化を除けば進行に伴うプログレッションや報償すら存在しない。勝敗は互いを倒すかジェネレーターの破壊以外にないことから、所謂キル/デスやスコアボードの競争も発生しないなど、目の前のマッチに集中出来る敷居の低さと1マッチのコンパクトさ、多彩な試合展開が相まって、ただひたすらに手触りの良い“ゲームプレイそのものが楽しい”というシンプルで力強い訴求力を持つビルドに仕上がっていました。

“Evolve”のハンター4人と巨大なボスモンスター1体による変則的且つ非対称な戦いは、似た勢力がキル/デスやオブジェクティブの達成スコア、ポイントの獲得を争うシューターのいわゆる伝統的なゲームモードには見られないドラマチックな展開を意図して生じさせており、今後導入が示唆されているキャラクタープログレッション(Perkの獲得や各種能力の成長など)や新ハンター/モンスター達がどんな可能性やプレイの組み合わせを提示するのか、ありそうでなかった要素の組み合わせを個性と呼べるまでに磨き上げた“Evolve”のローンチが今から待ち遠しいばかりです。

なお、今回のハンズオンにて判明した各ハンター/モンスターのスキルや仕様、ゲームプレイに関する新たなディテールは後ほど改めてご紹介しますので、続報をお楽しみに。

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