「Evolve」の魅力は格闘ゲームに似た非対称戦闘にある、5時間に渡ってやり込んだ最新ビルドのプレイレポートをお届け

2015年1月19日 23:37 by katakori
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「Evolve」

現在、Xbox One版のオープンベータテストとPC/PS4向けのクローズド(且つ大規模)なテクニカルテストが行われている「Evolve」ですが、先週木曜に2Kが開催した国内メディア向けのハンズオンイベントにスタッフ2人で参加し、オープンベータに先駆けてPC版とXbox One版の最新ビルドを5時間に渡って舐めるようにプレイしてきました。

今回のハンズオンは3体目のプレイアブルモンスター“レイス”と新ハンター4人、さらにダイナミックなキャンペーンモードとして導入される“脱出”(Evacuation)モード、多数の改善や調整を施した最新ビルドのお披露目を行うもので、製品版にかなり近い状態のゲームプレイを確認することが出来ました。

本来であれば、これらの新要素を改めて細かく紹介するべきところですが、当サイトではIGNの独占情報や海外プレビュー、ライブ配信等の公開を含めゲームのフローやディテールについてはある程度の紹介を終えていることから、今回は少々趣向を変えて、従来のファクト寄りなお知らせではなく、個人的な見立てによる“Evolve”の本質的な魅力に迫りたいと思います。

ざっくばらんに言ってしまうと、“Evolve”は高い前評判と“4vs1”と呼ばれる新ジャンルのパイオニアであること、さらに“Left 4 Deadを生んだTurtle Rockが5年ぶりに手掛ける新作”という点において、既に“買う人は迷わず買う”作品です。しかし、その一方でその本質的なコンセプトや魅力は(L4Dの登場時と同じく)やや曖昧模糊としており、購入決定済みのファンから様子を窺っている方、話題作として耳にしているゲーマーまで、“Evolve”が本当はどんなタイトルなのか、そのゲーム性や対戦バランスを含め、今一つ計りかねているのは筆者だけではないはず。

一部内外で報じられるモンスターハンター的という表現は余りにもかけ離れているし、所謂スポーツ系シューター作品のようにキル/デス比を気にするような作品でもありません。大量のコンテンツとアンロック、プログレッションを楽しむ作品かと思いきや、定期的に行われるゲームプレイの公式ライブ配信はe-Sports的なコンペティティブさを臆さず前面に打ち出していて、FPSとTPSまで混在するEvolveの正体は依然不明のままです。

という事で、今回はBig AlphaをLV30を超えるまでやり込んだ上で、最新ビルドをみっちりプレイし、オープンベータも継続する中でようやく見えてきた派手なコンボや置いておく系の連携、1hitキル、ヒット確認に似た要素まで孕む“格闘ゲーム”的な“Evolve”の魅力についてご紹介します。

「Evolve」は従来の対戦型マルチプレイヤーシューターよりも、むしろ“格闘ゲーム”近い

「Evolve」

多彩な要素と新基軸によって構成され、一見してアクションシューターに見える“Evolve”の本質が捉えにくいことの決定的な要因の1つに、戦闘がそもそもアンフェアであることが挙げられます。

アルファとブラボー、或いは東西が勝敗を競う従来の対戦型マルチプレイヤーシューターの多くは、攻守を分かつオブジェクティブルールであっても基本的にフェアでイーブンな戦いを旨とし、バランス的に許容可能な範囲で武器や能力に個性と選択の幅が与えられます。例え舞台が戦争であっても、プレイヤーがビデオゲーム的なルールを予め忖度した上で楽しむシューターの対戦は、(一般的なマッチメイキングを含む)その公平さや自由と選択のさじ加減がゲームプレイの安心と面白さを担保する重要な柱となります。

一方で、同じ“戦い”を扱う“格闘ゲーム”には、キャラクター同士の相性(ある種のアンフェアさ)を包括する対戦ダイアグラムに基づいたバランス取りが存在します。両者のバランスや公平さは全く似て非なるもので、キャラクター全員の能力が等しく平坦な“格闘ゲーム”はやはり退屈でしょうし、“AとBが戦った場合に7:3でAが勝利する”ようなダイアグラム的相性を軸とするシューター作品は(ちょっと面白そうですが)ストレスで大変なことになりそうです。

“Evolve”は、4人のハンターと巨大な1匹のモンスターが戦う“非対称マルチプレイヤー”であることを考慮に入れてもなお、従来のシューター対戦的な枠には収まりきらない強烈なキャラクター間の相性が存在しています。これは、対戦ダイアグラム的な優劣と相性に近く、その表の縦軸と横軸にはLV1からLV3に分類したモンスターと無数とも思えるハンターの組み合わせが並んでいると考えれば想像しやすいでしょうか。(例:LV2“Kraken”対“Markov/Caira/Hank/Griffin”)

“Evolve”が格闘ゲーム的であるという具体的な例を提示しないまま、前置きが長くなってしまいましたが、1つこの論へと至る軸となった要素に本作のモンスターが放つ強力なスニークアタックがありました。

これは、モンスターが足跡を残さないステルス状態で移動する際に敵を攻撃した場合、専用のモーションでのしかかり、マウント状態から連続攻撃を重ねた上でダウンを奪うというもので、通常サイズの野生生物とハンターをこれで捕らえた場合、モンスターが何らかのダメージを被らない限り、敵は無抵抗のままダウンを待つのみとなります。

さらに、この攻撃は予め狙いを定めた上でステルス発動からすぐに攻撃を繰り出すことが可能なうえ、思いの外広いホーミング能力まで持ち合わせ、ハンターや野生動物の視線チェックすら存在しないことから、仲間から距離を置いてはぐれた、もしくは先導するハンターが1人で崖を登り切った直後や着地後はもちろん、直接戦闘中の相手でさえ正面から掴みかかり無力化することが可能です。(※ Left 4 Deadシリーズのファンであればお気付きの通り、これは特殊感染者 “Hunter”の能力をさらに進化させたもの)

言うなれば、これは“小足からのリープ投げで1hitキル”とでも言うような格闘ゲーム的なコンビネーションで、アルファビルドでステルスと足跡をブラフや誘導、陽動としてオフェンシブに活用した場合、LV1で勝負が決まるケースも少なくありませんでした。(※ 投げ抜けが存在しないこのアクションに対する対応策は至ってシンプルで、単独行動をしないことにあります)

この要素は、まさに“Evolve”のアンフェアさを体現するもので、およそ対戦シューター的なフェアとはほど遠いシステムだと言えます。このアンフェアさをフェアなシステムとして解消するには、対象の視線チェックや脱出可能な抵抗の導入が思い浮かぶところですが、Turtle Rockは今回のオープンベータ/クローズドテクニカルベータ/ハンズオンビルド共に、マウントを経て爪で複数回殴る1発1発のダメージを減らすことで、システム的なアンフェアさはそのままに、ダウンまでの時間を引き延ばし、仲間が救出可能な猶予時間を稼ぐ対戦ダイアグラム側寄りな調整を加えてきました。

このほか、Goliathには滅法強いが、Krakenには全く役に立たない幾つかの武器や、驚く程極端な体力とシールド値を設定したWraith、プレイヤーによって極端に分かれるバランスの印象、後ほど改めて紹介する強い技とそれに対する対応作の研究など、これを新作“格闘ゲーム”が発売される前後の状況に置き換えれば少々腑に落ちる箇所がありはしないでしょうか。

「Evolve」が持つ“格闘ゲーム”的な面白さと、常に生じるドラマ的体験

「Evolve」

“Evolve”の対戦ダイアログ的なバランスは、モンスターの進化を軸に3段階で動的に変化することから、格闘ゲーム的な相性や優劣は目に見えて大きく変化します。

また、本作の非対称マルチプレイヤーを構成する大きな要素の1つとして、回復スキルを持つハンターチームは、ダウンさえ奪われなければいつでも立て直し可能である一方、モンスターには進化成功時のゲージ増分を除いて体力を回復する手段が存在しないことが挙げられます。

これは、リソース管理を軸に展開するRTSやシミュレーションにおいて、基本的に一旦開いた差が縮まらない現象がモンスターにのみ適用される状況に等しく、前述した動的なダイアグラムの変化と相まった“イーブンで平坦ではない振り幅の大きなアンフェアさ”は、“Evolve”にぎりぎりの接戦や圧倒的な勝利、長期戦、目を見張るような逆転劇、じりじりと手に汗握る消耗戦といった緩急あるドラマをもたらすのです。

これは、有り体に言えば、凄い攻撃やコンボ、仲間とのコンビネーションが決まった時に文字通りアガる!ことであり、大小の盛り上がりが折り重なる高揚感はやはり“格闘ゲーム”のそれに近いものだと感じるわけです。

LV1モンスターでハンター4人を出し抜く面白さや、LV3モンスターとハンターが真っ向からぶつかる総力戦、巨大なモンスターを沈める爽快感、前述したスニークアタックによる一方的な無力化や趣向を凝らした奇襲、ハンターの組み合わせによる奥深いシナジーまで、4vs1が新ジャンルとして注目を集めるなか、この類の面白さがセットで楽しめる作品は今のところ“Evolve”以外に見あたらず、今回ご紹介した要素でさえも全体の一部(※ 今回は双方の追跡と索敵に全く触れられませんでした)に過ぎないこの作品が一体どこを目指して進んでいるのか、迫るローンチがとても待ちきれません。

もちろん、作品の本質はローンチを経て、プレイを重ねれば自ずと輪郭を成し、開発者とコミュニティがこれを充たすことではっきりとした全体像が出来上がるはずですが、Evolveの“格闘ゲーム”性が気になる方は、僅かながら以下にご紹介するようなプレイを試してみてはいかがでしょうか。

  • モンスターの基本的な戦術の1つとして、常に嗅覚で敵ハンターの位置を把握しながらステルス主体で移動するシチュエーションが挙げられる。はぐれたハンターを発見した場合は、茂みや崖の高さ等を利用し容赦無くスニークアタック。前述した通り、最新ビルドの調整で掴み攻撃が弱体化したことから、ダウンを奪いきる前に味方ハンターが駆けつけるケースも多いが、ダメージソースとして割り切る場合は、多少シールドを犠牲にしてもダウンは奪っておきたい。
  • モンスターのスニークアタックによって発動するマウントからの殴りモーションは、味方ハンターの攻撃によって解除される。故に1人で行動している場合に発見された場合、ダウンは免れないが、プレイヤーがDoT攻撃を持つ場合は、持続ダメージによってマウントを解除することができる。Hydeを使用する場合、火炎放射機(6秒DoT有り)とトキシックグレネード(6秒DoT有り)、ミニガンを順に切り替えながら攻撃することによって、絶えず持続ダメージを付与し、スニークアタックを完全に封じることが可能。さらにDoTダメージによってモンスターのシールド回復を阻止するオマケ付き。余談ながら、Evolveの武器はエネルギー武器だろうが実弾を放つ銃器だろうが、クールタイムで再使用が管理されていることから、武器をジャグリングする間にリロードは一切必要ない(武器持ち替えPerkでさらにジャグリングの効率を上げることも可能)。任意の武器がアクティブではない状態が数秒続くことで自動的にリロードされる。これはハンターにとって多くの局面で有効なテクニックとなる。
  • この応用として、Parnellのドーピング的なスーパーソルジャー能力を発動した後、シールドも発動し安全を確保した上で、ショットガンとロケットランチャーのジャグリングコンボを数セット分モンスターにお見舞いすることができる。CabotのダメージアンプやValの弱点付与まで乗っけた場合、状況によってはこれだけでモンスターが沈む場合さえある。
  • WraithのLV3アブダクション(神隠し)は射程が非常に長い。拉致に成功した場合、スーパーノバ(亜空間)で直接ダメージを与えてもよし、ハンター達が遠ければデコイから落ち着いてスニークアタックを発動するのも手だ。アサルトを拉致してシールドを展開された場合もデコイからのスニークアタック発動が決めやすい。常に嗅覚による索敵を忘れずに。
  • Wraithは、1度に数回発動可能なダッシュを空中に向けて発動することで、一瞬でKraken並の高度に達することができる。落下速度が非常に緩やかなため、空中高くから地上のハンターに狙いを定め、アブダクションで拉致後、亜空間を発動し、共に落下しながらダメージを与えることも可能。要空中制御とエイム。
  • 臨戦時のWraithにとって、逃亡を図る場合、または攻撃に転じるケース、スニークアタックを狙う場合もとりあえずデコイを置いておくのが非常にお手軽で便利。5ゲージしかシールドを持たないWraithにとって逃亡とシールドの補給は生命線とも言える。逃亡時は空中への複数回ダッシュから衝撃波等を併用することで、かなり距離が稼げる。
  • モンスターのシールドは進化時に全て失われる。LV3に進化する前に貯めたシールド分を消費する覚悟でハンターのダウンを1つでも、可能ならばリスポーンまで奪っておけば、リソースが限られているモンスターの戦闘は随分有利になる。シールド分は失っても実質ロスは無いため、多少無理目なスニークアタックも試しやすい。新ビルドの調整で、モンスターは一撃の威力を増すか、スキルの回転を上げるか、スニークアタック後の選択肢としてPerk選びもより意義深くなっている。Wraithはスタミナ速度回復も非常に有効。

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