昨日、“GDC Awards 2016”のGOTYを獲得し、遂にGOTYの累計獲得数(251)が“The Last of Us”(249)を超える規模に到達した「The Witcher 3: Wild Hunt」ですが、本日GDC会場にてCD Projekt Redが“Theory and Practice of Gamer-Centric Brand Development”(ゲーマー中心のブランド開発に関する理論と実践)と題したパネルを開催し、大きな成功を生んだブランド戦略やファンに対する対応について言及。問題が生じている場合の対応において“最悪なことは沈黙だ”と強調しました。
これは、CD Projekt RedのボスMarcin Iwinski氏がブランディングとマーケティング、広報活動について語るなかで、“The Witcher 3”のローンチ直前に海外で紛糾したグラフィックのダウングレード問題(主にライティングや遠景描写、植物や建築物のアセットに絡むもの)について触れ明らかにしたもので、“The Witcher 3: Wild Hunt”に巨大な成功をもたらした要点などを踏まえた上で、興味深い対応の経緯を明らかにしています。
- Marcin Iwinski氏は、“The Witcher 3: Wild Hunt”成功を支えた3つの柱を次のように説明している。
- 良いゲームであること。
- ゲーマーを中心に見据え価値を高めること。
- 開発チームが直接ファンに語りかけること。(※ 氏はこの点において多くの大手パブリッシャーチームが失敗しているとも語っている。)
- これを踏まえたMarcin Iwinski氏は、さらにハードコアなファンに対し、要点を明確に述べるために常に単刀直入な文章やフレーズを考えていると説明している。
- 大手パブリッシャーがファンとの対話に失敗した例として、Marcin Iwinski氏は“Star Wars Battlefront”の高価なDLCにファンが紛糾した問題を挙げ、EAの問題は、DLCそのものではなく、EAがDLCの価格に対するアプローチや見解について、ファンに適切な説明を与えなかったことだとの見解を提示。この例を以て、“最悪な対応は沈黙”だと強調している。
- “The Witcher 3: Wild Hunt”のダウングレード問題について:さらに、Marcin Iwinski氏は、“The Witcher 3: Wild Hunt”のローンチ直前に海外で多くのコアなファンが怒りの声を上げたグラフィック周りのダウングレード問題について言及。CD Projekt Redのマネジメントチームは、ここで問題の回避や軽めの対応を提示するよりも、何が起こったか、その全てを説明することを選んだと明らかにしている。
- 対応をぐずぐずと遅らせるよりも、一部始終をしらみつぶしに提示するだけだと語ったMarcin Iwinski氏は、この対応に失敗した場合、返金対応を望むユーザー全員に(自腹で)返金する旨を伝える声明まで自ら用意していたと説明。その後この対応についてマネジメントチームと議論を交わした上で、個人的な返金対応がかえって大問題を生みかねないとして一先ず、この対応については実行せずにすんだと笑って当時を振り返っている。
Marcin Iwinski氏のアプローチや“The Witcher 3: Wild Hunt”のコンセプト、ひいてはCD Projekt Redの取り組みは、やはりこういった点において(もちろんビジネス的にままならない所はありながらも)常に首尾一貫しており、オフラインのシングルプレイヤーRPG作品ながら、ファンとスタジオの奇妙な一体感や共犯感は他に類をみない独自の特性だと言えます。
今後はさらなる野心作“Cyberpunk 2077”と“The Witcher 3: Wild Hunt”の最終DLCを控えるCD Projekt Redですが、初代“The Witcher”の頃から変わらないこの姿勢が今後さらに強固なものとして進化するのか、スタジオの動向に改めて大きな注目が集まるところです。
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