2016年10月下旬のローンチを経て、幾度かのアップデートと複数の文明・シナリオパックが配信されたFiraxis Gamesの人気シリーズ最新作「シヴィライゼーション VI」ですが、本作初の大規模な拡張パック“文明の興亡”がいよいよ2018年2月9日に発売されます。
連日、リリースに向けた新文明や指導者、解説映像のお披露目が続くなか、発売に先駆けて2Kより“文明の興亡”の先行アクセスを提供いただき、一足先に忠誠心や総督、追加文明、黄金期といった拡張パックの多彩な新要素と大きな変化の一部を実際に確認することができました。
先行アクセスのデモビルドは、プレイアブルな新指導者が6人、進行が150ターンまでと制限されており、中盤以降の展開や勝利レースを含む一部新要素については未確認ですが、今回は発売前のプレビューとして、拡張パックの概要と5周程度のプレイスルーから見えてきた新しい変化についてご紹介します。
Firaxis Gamesは、初の拡張パックとなる“文明の興亡”の重要なテーマとして、(その名称が示す通り)隆盛と衰退からなる“ダイナミックな帝国”、そしてストーリー的な要素の強化を掲げていました。
新要素のディテールについては後述しますが、黄金時代と暗黒時代の導入に象徴される多くの追加要素は、この2つのテーマを体現するために用意されたものであり、必然的に時代をまたぐダイナミズムを表す性質の要素が多く、これらを有機的に紡ぎ合わせることで、一国の歴史を大きなうねりのように感じさせる、これまでにはなかったナラティブ体験を生み出しています。
前述したテーマは、以下のような新要素によって支えられ、バニラの区域マネジメントとはやや赴きが異なる中~長期スパンの運用や想定外の出来事、あるいは思わぬ失敗と恩恵をもたらします。
■ 黄金時代の復活を含む「時代」と「歴史年表」
本拡張のテーマでもある“ダイナミックな帝国の栄枯盛衰”を担う最も大きな要素が(従来の太古やルネサンスといった時代区分とは異なる)“時代”です。この“時代”は、シリーズのプレイヤーにはお馴染みの“黄金時代”に加え、新登場の“暗黒時代”と“英雄時代”からなり、プレイ中の様々な行動から得られる“時代スコア”の累積によって、次に訪れる時代(例:中世ならばルネサンス)が暗黒時代か通常の時代、もしくは黄金時代の何れかに変化します。
輝かしい恩恵が得られる“黄金時代”と苦難に満ちた“暗黒時代”には、それぞれに異なるアドバンテージとリスクが設けられており、厳しい“暗黒時代”にも専用の政策(カード)や“英雄時代”到来の可能性を含む幾つかの恩恵が存在しています。
時代を左右する“時代スコア”は、“歴史的瞬間”と呼ばれる多種多様なアクティビティの達成時に得られ、例えば宗教の創始や偉人の獲得、原住民の集落発見、世界遺産の完成、新たな文明との遭遇など、大小様々な出来事に固有のスコアが設けられています。
こういった“歴史的瞬間”を重ねながら、ゲームが進むわけですが、新たに帝国の歴史を紡ぐ節目となる出来事を味わい深いテキストとイメージでまとめる“歴史年表”が導入され、いつでも好きなときに自国の歴史を振り返ることができます。
■ 都市毎に異なる「忠誠心」
オリジナルで各都市毎の管理に変更となった快適性に続いて、新たに各都市毎に異なる“忠誠心”が設けられました。忠誠心は0から100の数値で表され、各都市の市民達が現在の文明に属していたいか、或いは別の文明に移りたいと考えているか、その帰属意識や文明に対する指示を表しています。
忠誠心の低下は、生産力の低下や反乱といった悪影響を生じさせるだけでなく、自由都市として独立する危険性を孕んでいます。
なお、忠誠心は他文明の近隣都市から受ける文化的な圧力や各種時代、快適性といった要素から複合的に算出されますが、同様に総督の配属や快適性の確保、隣国との文化同盟といった様々な手段でこれを維持することが可能です。
■ 「総督」と新区域「政府複合施設」
それぞれに固有のスキルツリーと特性を備えた7人の“総督”が新たに登場し、配属した都市に様々な恩恵や忠誠心の向上をもたらしてくれます。
“総督”は、それぞれ財務や防衛、宗教、生産といった専門分野に特化した能力を持ちあわせており、各都市の運用と特性と組み合わせることで、様々なシナジーを生み出します。配属先は任意に変更でき、着任まで数ターンを要しますが、情勢に併せた動的な運用が可能です。
また、“総督”の能力と密接に関係する新たな区域“政府複合施設”が導入され、一部“総督”の力をさらに特化させることが可能です。しかし、この区域は文明あたり1つのみ建設可能で、総督と都市を慎重に選ぶ必要があります。
■ 「同盟」の強化
従来の同盟システムが拡張され、研究や文化、経済、軍事、宗教といった異なる分野で個別に同盟を結ぶことが可能となるだけでなく、各同盟に3段階のレベルとリワードが導入され、長期的な同盟の継続に大きなアドバンテージが得られるよう改善されました。
■ その他の新要素と既存のシステムに関する変更点
- 緊急事態:核の脅威や過剰な軍事的侵略、聖都の改宗など、ある文明が突出して力を蓄えた場合、他の文明が外交関係に基づいて団結し、共同で脅威に対抗する機会が設けられました。
- 新文明と新たな指導者:製品版には9人の指導者と8つの新文明が導入される予定で、デモビルドには以下の指導者と文明が実装済みでした。
- 韓国:ソンドク女王
- オランダ:ウィルヘルミナ女王
- モンゴル:チンギス・ハン
- インド:チャンドラグプタ
- クリー:パウンドメーカー
- グルジア:タマル
- このほか、新ユニットや建造物、区域、世界遺産、自然遺産、施設、資源等が追加されます。
- 既存のシステムについて:従来の要素については、以下のような変化が確認できました。
- ソウルやアムステルダムなど、新文明との兼ね合いにより、都市国家の一部が変更となっています。
- 従来の区域に大きな変化はありませんが、新たな区域として前述の“政府複合施設”と沿岸で快適性の維持を可能にする“ウォーターパーク”が登場。区域用の建造物については、近郊部にショッピングモール(観光力+)もしくは食料市場(食料+)が建設可能となっていました。
- 宗教については、パンテオンや崇拝、信者、創始者、エンハンサーを含む各種信仰のラインアップに変更はありません。
- 政策については、暗黒時代専用の政策が新たに9種追加され、いずれも非常に強力ながら大きなリスクを持つ諸刃の剣のようなカードとなっています。(例:ならずもの国家 – 核開発プロジェクトと大量破壊兵器に対する生産力+50%。ただし、新たな代表団を獲得するための影響力ポイントが得られない)
- 技術と社会制度のラインアップに変化はありませんが、新要素向けに細かな調整が施されていました。
- プロジェクトに忠誠心を向上させる“パンとサーカス”が追加。
- 新たな遺跡として、科学力と生産力に大きなボーナスをもたらす“アムンゼン・スコット基地”に加え、“アルテミス神殿”や代表団のアドバンテージを持つ“キルワ・キシワニ”、時代スコアを与える“タージ・マハル”、信仰力と武僧が得られる“高徳院”、忠誠心と開拓者をもたらす“自由の女神”、宗教観光力を大幅に増加させる遺物スロット付きの“聖ワシリイ大聖堂”、総督による別大陸への進出を強化する“通商院”が登場。
一先ず、発売前のプレビューとして、主立ったディテールをご紹介しましたが、全体的なインプレッションについては、150ターンを5周程度のプレイながら、Firaxis Gamesが掲げたテーマ通り、ゲームの流れや自国の運用に様々な変化が見られました。
印象的だったのは、“暗黒時代”が(難易度や早い時代だったこともあって)思ったほど過酷ではなく、むしろ専用の政策によるエクストリームな特化や危機そのものに、ある種の“楽しさ”が感じられたことでした。
“暗黒時代”には固有の大きなリスクとリターンが存在していることから、高難易度をプレイする暦年の猛者達にとっては、その先を見越して計画的に発動させる要素の1つになると思われますが、初心者や中級者にとっては、序盤から中盤の思わぬ失敗を挽回するチャレンジとして、ゲームに大きな変化をもたらす刺激的な要素となりそうです。
また、忠誠度に基づく離反や独立の要素も序盤の展開に大きく影響を与えていました。
オリジナルの“シヴィライゼーション VI”は、区域の導入に伴う柔軟かつ動的な都市管理が重要となる一方で、都市を増やすこと自体のリスクは低く、(意識して縛らなければ)好戦性ペナルティが軽微な早い時代に“とりあえず”他文明の都市を幾つか獲得し、そのアドバンテージを維持するアプローチが盤石だったと言えます。
今回、プレイしたところ、この序盤の“とりあえず数都市”があっさりとは通用せず、早期のラッシュで陥落させた都市を維持する場合、忠誠度の低さや反乱・独立の危険性から、数ターンを対処に費やすケースがまま見られ、有り体に言ってしまえば、以前ほど旨みがないというのが正直なところです。
その代わりに、(同盟レベルの導入もあって)早期から隣国との国境や文化的圧力、戦略資源の獲得を視野に入れた対話や外交が必然的にウェイトを増し、結果として古典~中世あたりの展開がよりダイナミックで豊かに花開いたような印象を受けました。
今回の先行デモは、冒頭150ターンに制限されていたことから、後半の黄金・暗黒時代が一体どのようなものか、前述の都市出しに関する変化と何かを象徴するような“7人”の総督がもたらすもの(つまり、7都市運用とそれ以外/以降の差)、そして何より御しがたい本シリーズのAI文明達と実際に長期的な同盟を結ぶことは可能なのか、デモでは一度も体験できなかった“緊急事態”の脅威がいかほどのものか、新要素が勝利レースに与える影響を含め、“文明の興亡”のポテンシャルはまだ未知数です。
しかし、冒頭の多様化や時代を超えて大きく揺れる展開、そこから生まれるドラマ性が、シリーズの白眉でもある“あと1ターン……”の中毒性をオリジナル以上に研ぎ澄ませたことは疑いようもなく、とにかく“文明の興亡”発売が待ちきれない!というのが率直な心境です。
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