「シヴィライゼーション VI」にダイナミックな変化と奥深さをもたらす大規模拡張パック“文明の興亡”インプレッション

2018年2月13日 15:25 by katakori
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「Sid Meier’s Civilization VI」

先日、当サイトにてデモビルドに基づく150ターン分のプレイレポートをご紹介した「シヴィライゼーション VI」初の大規模拡張パック“文明の興亡”が、遂に発売を迎えました。

2016年10月21日にローンチを果たした、およそ6年ぶりのナンバリング最新作“シヴィライゼーション VI”は、それぞれ2本の拡張を以て完成を見た4作目や5作目とは異なり、これまでのシリーズタイトルとして、最も幅広い要素をローンチ時に導入した作品として高い評価を獲得しました。

そんな“シヴィライゼーション VI”初の拡張パックである“文明の興亡”は、前述したオリジナルの包括的な仕上がりと、ローンチ後に実装された広範囲なシーズンアップデートによる改善に伴い、本編と同じくやはり従来の拡張パックとは大きく趣が異なる1本となっています。

Civilization IVとCivilization Vの拡張パックは、何れもバニラに不足した(或いはオミットされた)要素や問題があった箇所の充当が多くを占めていましたが、こと“文明の興亡”においては、幅広い要素をカバーしたオリジナルに全く新しい要素を多数導入し、これを有機的に既存の要素と複雑に絡み合わせることで、“シヴィライゼーション VI”のコンセプトをさらに深化させる、これぞ大規模拡張といったアプローチをとっています。

今回、製品版の発売に先駆けて、2Kより製品版と同等のレビュー版を提供いただき、前回ご紹介した150ターン以降の展開や勝利レースを通じて、“文明の興亡”の新要素をざっと一望することができました。

という事で、今回は製品版“文明の興亡”のインプレッションをご紹介します。“文明の興亡”の時代や忠誠心、総督といった主要な新要素のディテールについては、前回のプレイレポートにまとめてありますので、そちらをご一読ください。

参考:先日公開された新要素の字幕入り解説映像

初の拡張パックとなる“文明の興亡”のテーマについて、Firaxis Gamesは、その名称が示す通り、隆盛と衰退からなる“ダイナミックな帝国”、そしてストーリー的な要素の強化を掲げていました。

今回、完全な状態の“文明の興亡”を通しで何度かプレイしたところ、最も印象的だったのが前述した“ダイナミックな帝国”の実現とそのアプローチです。これはつまり、全体を通じて、プレイヤーが帝国に歴史ありと、大きな流れや変化が感じられるようなデザインや構造を指していますが、その大きな要因の一つにプレイスタイルの多様化があると考えています。

それぞれ異なる難易度と勝利条件で3回に渡ってご紹介したオリジナルのプレイレポートや、前回の“文明の興亡”プレイレポートでもご紹介した通り、“シヴィライゼーション VI”は都市数の増加に主だったデメリットが無く、あえて自らプレイを縛らなければ、早期の武力侵攻によって都市をある程度確保し、その後のアドバンテージを保ちつつ勝利条件に合わせて運用を調整する手法が高難易度においても有効でした。

これは、つまり都市数で勝利に必要なリソースを確保する方法が最も容易かつ盤石だったことを意味していますが、有り体に言えば、ある程度の都市数と幾つかの必要な要素を揃えた段階でほぼ勝負を決している場合がままあり、前述のテーマを引き合いに出せば、“スタティックな帝国”を運用している感覚に陥る場合があったということです。

対して、“文明の興亡”のプレイを通じて感じられたダイナミックさは、自ら築き上げた巨大な帝国の落日や、小さく一丸となった国家の強さといったドラマチックなもので、これを大きく支えた新要素が黄金・暗黒・英雄からなる“時代”と“時代スコア”、都市毎に異なる“忠誠心”、それぞれに固有の能力を備えた7人の“総督”、そしてこれらの要素が総体として実現するプレイスタイルの多様化でした。

オリジナルで有効だったプレイスタイルとは全く異なる、“文明の興亡”固有の新しい変化は、平和的なプレイを重ねることで国家の拡大が可能になったこと、そして戦争が必ずしも常に有効な繁栄の手段ではなくなった点にあると言えます。

これは、主に新要素の1つである“忠誠心”がもたらした変化で、都市毎に管理が異なり、ターン毎に変動する“忠誠心”は、0から100の数値で表され、各都市の市民達が現在の文明に属していたいか、或いは別の文明に移りたいと考えているか、その帰属意識や文明に対する指示を表しており、主に周辺に存在する他文明の都市市民からの圧力によって、その数値が上下します。

「Sid Meier’s Civilization VI」
忠誠心は都市間の圧力として可視化される

都市の忠誠心が75を下回ると、リソースの算出や成長が低下しはじめ、0に達すると反乱を起こし、自由都市として独立するわけですが、独立した都市は、その後最大の圧力と影響を与えていた文明への参加を目指します。

忠誠心は、幸福度や総督の存在、一部プロジェクトによっても上下しますが、これは詰まるところ都市そのものを奪取する文化爆弾的要素であり、好戦性ペナルティを被ることなく、文明の拡大を可能にしました。

「Sid Meier’s Civilization VI」
レンズ上で、忠誠心の内訳を確認することもできる

この忠誠心システムに大きなシナジーを与えるのが、黄金・暗黒・英雄からなる“時代”です。黄金と英雄時代は様々なボーナスをもたらす“公約”が目を引く一方で、忠誠心と市民の圧力にも大きなボーナスを付与しており、黄金時代を迎えた文明は、文字通り周辺の都市の羨望を集め、より効果的に他文明の都市を平和裏に取り込むことが可能となります。

この“時代”は、従来の太古やルネサンスといった各期間に累積させた“時代スコア”の総合点で変化します。“時代スコア”は、“歴史的瞬間”と呼ばれる多種多様なアクティビティの達成時に得られるもので、例えば宗教の創始や偉人の獲得、原住民の集落発見、世界遺産の完成、新たな文明との遭遇など、大小様々な行動からスコアが得られます。

ここでも戦争と軍拡は全く必須でなく、武力紛争を避け、内政の充実や世界の探索に注力するだけで、無理なく黄金時代を迎えることができるだけでなく、ひいては自国都市の圧力と忠誠心に基づく国家の拡大が、十分に有効な成長計画の1つとして機能するわけです。

これは、スタティックかつ指数関数的になりがちだった勝利の道のりに、全く新しい手段とクリエイティブなアプローチをもたらすもので、文化あるいは宗教的圧力にも新たなシナジーを与え、付随的にスパイや外交の有用性と役割にも変化をもたらす“シヴィライゼーション VI”最大のゲームチェンジャーだと言えるでしょう。

一方で、ダイナミックを掲げるからには、隆盛と対をなす衰退が必要となるわけですが、件の“忠誠心”を基盤とするシステムは、当然他の国家にも適用されることから、自身の都市が離反しないための防衛も必要となります。

バニラで有効だった拡大スタイルの都市スパム的なプレイは、現在もある程度実現可能ながら、前回のインプレッションでもご紹介した通り、以前ほど有用ではない選択肢の一つとなっており、巨大化した国家の辺境や武力侵攻で手に入れた忠誠度の低い都市が、周囲の豊かな国によって徐々に疲弊していくさまは、ある意味で国家の華々しい隆盛よりもドラマチックな歴史の一部を垣間見るような体験で、Firaxisが掲げたストーリー性の強化をまざまざと感じることができました。

逆に、こういった“文明の興亡”の調整は、拡大スタイルのプレイをより能動的な楽しみの1つに押しあげたようにも感じられます。拡張の新文明・指導者には、シャカ率いるズールーやインドの新指導者チャンドラグプタ、チンギス・ハン率いるモンゴルなど、非常にアグレッシブな拡張系文明が揃っており、今回プレイには至りませんでしたが、複数の文明が結託する新要素“緊急事態”を含む高難易度の制覇勝利に強い興味を抱いています。

なお、文明の衰退を象徴する大事な新要素として“暗黒時代”が導入されています。今回レビュービルドのプレイにおいて、時代スコアを意識して取りに行かなければ、“暗黒時代”に突入してしまう、という危機的状況が実際に何度か生じました。

暗黒時代は、前述の黄金時代とは逆に、忠誠心に悪影響が出ることから、特に国境や新しい都市が離反するリスクが高まりますが、最大の恩恵を得られる英雄時代は暗黒時代からのみ突入できること、そして暗黒時代専用のリスキーな特化型政策が複数用意されていることも相まって、正直暗黒時代をもっとプレイしたいと思わせるほど、苦しくも楽しい一時代を体験することができました。

都市管理のさらなる深化

「Sid Meier’s Civilization VI」
都市運用の新たな鍵を握る7人の“総督”

オリジナルの“シヴィライゼーション VI”における最大の変化は、区域の導入によるパズルのような都市管理/運用の柔軟さと多用性にあったと言えます。

これには、幸福度が都市毎の管理となった点も上手く重なり、文字通りプレイや状況毎に異なる都市の運用やカスタマイズ、特化、位置取りを楽しむことができました。

“文明の興亡”は、このコンセプトをさらに強化しており、都市毎に異なる“忠誠心”や多彩な能力と特性を持つ7人の“総督”によって、以前にも増してプレイヤーの思い描く理想の都市を作り上げることができるほか、“総督”を任意の都市や都市国家に派遣するシステムは、より流動的で臨機応変な都市運用を実現しています。

同盟の改善について

かようにダイナミックさを増した“文明の興亡”には、この他にも多数の新要素が盛り込まれています。

大きな要素としては、“同盟”の強化が挙げられますが、こと文明と指導者のAIについては、当然ながら(バニラのシーズンアップデートを経て重ねてきた修正や更新を含め)様々な改善が用意されているものの、前述した幾つかの要素ほど抜本的な刷新には至っていない様子で、アジェンダ周りの挙動を含め、現段階における“同盟”のプログレッション要素には、(効果は非常に強力ながら)平和的なプレイスタイルにおける追加リソースといった役割以上の何かを見出すことはできませんでした。

AIの挙動については、ローンチ時からの課題として改善が続けられていることもあり、今後も続くであろう大型のシーズンアップデートに期待が掛かるところです。

“シヴィライゼーション”シリーズのおもしろさとは

膨大かつ多層的な新要素と変更、調整を用意した“文明の興亡”を本気でレビューするには、さらに数百時間のゲームプレイが必要になると感じていますが、総じて“文明の興亡”のプレイはFiraxisが掲げた通りドラマチックで面白いものだったという他ありません。

ただし、もとより要素が多い“シヴィライゼーション VI”に膨大な新要素を導入する“文明の興亡”は、シリーズの初心者に対する障壁となりはしないだろうかという懸念もありますが、一方でプレイヤーとしてこの疑念にある種の矛盾を感じていることも事実です。

シリーズのタグラインとしてしばしば用いられる“あと1ターン……”の文言ですが、この言葉は本当にシリーズの核心を突く見事な一言だと言えます。

しかし、この言葉に象徴される“シヴィライゼーション”シリーズのおもしろさの実体はどこにあるのでしょうか。

今回、筆者がレビュービルドをプレイしたのは僅か20時間強で、正直なところ新要素を十分に理解し、シナジーを活かしたプレイには到底至っていないばかりか、一部のルールさえ把握しきれておらず、シヴィロペディアとにらめっこしながら進めている状態でした。

にも関わらず、思い起こせば“文明の興亡”のみならずオリジナルの“シヴィライゼーション VI”のどちらも、何故か初回のプレイからずっと楽しかったわけです。

詰まるところ、本作のおもしろさには幾つかのフェーズが存在しており、暗中模索でわけもわからず低難易度を進めている頃、幾つか有用な手順のようなものを理解しはじめる段階、トライ&エラーを通じてプレイの問題や課題を知る時期、ある目標に向けてプレイを組み立て始める成長、全体を一望しながら臨む高難易度のプレイに至るまで、全ての時期に適合する楽しさが存在しており、数ヶ月から数年、人によっては十数年もの長きに渡って続くシーケンシャルな成長や理解、楽しさを切り取った最小の単位こそが“あと1ターン……”の文言であり、全ゲーマーの琴線を横殴りにする楽しさの源泉にほかならないのかもしれません。

ということで、迷っている方は何も恐れることなく、最初の1ターンに足を踏み出してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、今回は全く触れませんでしたが、“シヴィライゼーション VI”にはソロキャンペーンを超える中毒性と熱さを持つ(シリーズ随一の)対人マルチプレイヤーという沼が存在しています。この恐ろしい沼が“文明の興亡”でどう変わるのか、興味がある方はそちらにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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