発売直前!旧FalloutやNew Vegasのクリエイター達が手掛ける期待作「アウター・ワールド」のあれこれを聞いたObsidian開発者インタビュー

2019年10月21日 12:37 by katakori
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「The Outer Worlds」

先日、素敵なローンチトレーラーがお披露目され、日本語版を含む2019年10月25日の発売日がいよいよ目前に迫るObsidian Entertainmentファン待望の新作「アウター・ワールド」(The Outer Worlds)ですが、先だって東京ゲームショウ2019の会場で本作の日本語版デモビルドをプレイした際、Obsidianのキャリー・パテル氏に最新作の気になるあれこれを聞くことができました。

キャリー・パテル氏はリコレッタ三部作(国内では1作目の“墓標都市”が発売中)で知られる小説家で、White Marchを含む“Pillars of Eternity”のライターを務めた後、“Pillars of Eternity II: Deadfire”のナラティブリードとして傑作の忘れがたいストーリー開発を率い、最新作「アウター・ワールド」においては、シニアナラティブデザイナーとして活躍しています。

という事で、今回はキャリー・パテル氏のインタビューをご紹介。初代Falloutをはじめ、数々の傑作CRPGを生んだ黄金コンビTim Cain氏とLeonard Boyarsky氏が開発を率い、“Fallout: New Vegas”や“Pillars of Eternity II: Deadfire”の開発者達が多く参加する注目作が気になっている方は、発売に向けて「アウター・ワールド」の概要を改めて確認しておいてはいかがでしょうか。

参考:“アウター・ワールド”のローンチトレーラー

■ 「アウター・ワールド」について

RPG デベロッパとして名高い Obsidian Entertainment が生み出した「アウター・ワールド」。そのストーリーはダークでウィットに富んだプレイヤー主導型で、舞台は銀河の最果てにあるコロニーだ。企業の冷たい官僚制支配の陰謀を解き明かしてくのは、未知の訪問者であるプレイヤー。君の作り上げるキャラクターが、ストーリーの展開を決定付けていく。プレイヤーの選択はストーリーの進み方や、キャラクターの成長、仲間のストーリー、そしてゲーム終盤のシナリオにも影響する。

「アウター・ワールド」はゲームを通して、プレイヤーに様々な選択肢を提示する。幅広く揃った SF 戦闘兵器を思うままに使える他、古き良きスタイルの言葉による外交で問題を解決することもできる。あるいは、仲間に向けてリーダー主導の委任を行うことさえ可能だ。

「The Outer Worlds」
Obsidianのシニアナラティブデザイナーを務めるキャリー・パテル氏、リコレッタシリーズを生んだ小説家としても知られる

―― 個人的に敬愛するTim CainさんとLeonard Boyarskyさんが開発を率いる新作として「アウター・ワールド」が発表されて、本当に嬉しく思っています。

LeonardさんがObsidianに参加したころから、一体どんな新作が登場するんだろうかと。Troika作品のファンでもあったので、とてもワクワクしていました。

キャリー・パテル氏:ありがとうございます。

―― まず、開発チームの規模についてお伺いできますか?

キャリー・パテル氏:時間の経過と共に開発チームの規模は変化しましたが、最も多かった時期は90人程度でした。

―― 想像よりもかなり大きいですね。

キャリー・パテル氏:そうなんです。「アウター・ワールド」はとにかくコンテンツの量が多いですね。

―― では、1つのチームとしてずっと固定されている感じではなく、時期的に“Pillars of Eternity II: Deadfire”と「アウター・ワールド」を行き来する方もいらっしゃったような状況でしょうか。

キャリー・パテル氏:そうですね。“Deadfire”の開発サイクルが終了に近付くころには、既に「アウター・ワールド」の開発が始まっていました。

その後、“Deadfire”が完成して、私を含む多くの“Deadfire”チームのメンバーがまだ開発中だった「アウター・ワールド」の計画に参加しました。

―― 実際にデモをプレイした感じ、欠点のシステムやアナーキーなキャラクター達、ビジュアルのスタイルを含め、正直なところ予想以上に“Fallout”感、ひいては“Fallout: New Vegas”の存在を端々に想起させる内容でした。

この“Fallout: New Vegas”っぽさというのは割と意識したものなんでしょうか。

キャリー・パテル氏:まず、「アウター・ワールド」の開発チームには、“Fallout: New Vegas”に取り組んだ多くの開発者が参加しています。

「アウター・ワールド」はNew Vegasのような完全なオープンワールド作品ではなく、広大なマップの端から端まで歩いて横断することはできません。

ただし、例えオープンワールド環境ではなくとも、戦闘やダイアログに多くの選択肢があり、非常にオープンで探索可能な世界を作り上げることは可能だと考えています。これはObsidianが最も楽しみながら取り組む領域であり、それこそが「アウター・ワールド」で証明したかったものでした。

そういう観点で見ると、“Fallout: New Vegas”と「アウター・ワールド」にはある種の共通点と共に明確な方向性の違いがあるんです。

―― なるほど、良く分かりました。

Obsidian作品の一部に共通する要素として、“Pillars of Eternity”がはっきりと持つBaldur’s Gate/Infinity Engine作品感、今回の「アウター・ワールド」における初期Fallout/New Vegas的テイストなど、常に一定のニーズがありながらも、その時々に不在で決して替えの効かない穴を心地よく埋めてくれる。そういった印象があります。

先ほどの質問と似た内容になってしまいますが、こういった他にないフィットは意図したものなんでしょうか。

キャリー・パテル氏:そうですね。RPGにはとても長い歴史とルーツがあります。

例えば、Baldur’s GateやFalloutのようなクラシックRPGの何がファンを魅了し、楽しませたか。Obsidianはそれを常に思い出そうと試みつつ、それを現代の聴衆に伝えるために、メカニクスをアップデートし、ゲームの世界を刷新して、皆が楽しめるような作品を作り上げています。

―― 最高です!

では、少し「アウター・ワールド」そのものの話題に戻して、ゲーム世界の構造についてお伺いしていいでしょうか。今回、オープンワールド作品ではないですね。

キャリー・パテル氏:そうです。本作の舞台になるコロニー“ハルシオン”には、プレイヤーが探索可能な2つの惑星に加え、宇宙ステーションや小惑星といった他のロケーションも存在することから、一続きのマップで全てを繋げることはできませんでした。

しかし、世界を幾つかに分割し、プレイヤーに探索するための様々な場所を提供することで、全く新しい星系にたどり着いた誰かとして、見知らぬ場所とそれぞれに全く異なる環境を探索する感覚を維持しています。

―― 今回、デモでプレイしたのは惑星テラ2のエメラルドヴェールと呼ばれる場所で、エッジウォーターという町があり、幾つかローディングが必要となるエリアで構成されていました。

惑星テラ2には、エメラルドヴェールのような複数のオープンな屋外環境が存在するのでしょうか。

キャリー・パテル氏:そうですね。テラ2には、デモに登場した企業都市エッジウォーターに加え、裕福な市民が暮らし、企業が本社を置くビザンティウム、その他にも幾つかのオープン環境が用意されています。

―― 今回プレイしたデモには、イエスマンを思わせるようなとても可愛い宇宙船のAI“エイダ”が登場していましたが、彼女は今後も登場するのでしょうか。

もしかして、あの船はプレイヤーの宇宙船ということですか?

キャリー・パテル氏:そうなんです。パーツを入手して修理するとゲームの早い段階でプレイヤーの宇宙船になります。彼女は船の一部としてその後も登場しますよ。

―― 全体的なボリュームはどれくらいでしょうか。

キャリー・パテル氏:「アウター・ワールド」には2つの異なる惑星と訪問できる幾つかのロケーションがあって、プレイヤーの遊び方しだいで大きく変化するので難しい質問ですね。

同じ目的を達成するにしても、正攻法でいくか、それともステルスで進むか、遠回りするか。プレイヤーが置かれた状況をどう打開していくか、その方法があまりに多いことから、プレイヤーが個々の目標にどれだけの時間を掛けるか、その予測が難しいんです。

―― では、サイドクエストの量はいかがでしょう。

キャリー・パテル氏:そうですね。Obsidianはコンテンツの単純なバリエーションではなく、プレイヤーに全く異なる種類の体験を提供することで、「アウター・ワールド」の世界を満たそうとしています。

正確な数は覚えていませんが、相当な量のサイドクエストが存在していますよ。

―― もう1つ規模についてお伺いします。近年のObsidian作品で言えば“Fallout: New Vegas”は一度のプレイスルーが非常に長大で、その気になればあたかもゲーム世界で暮らしているかのようにずっと遊んでいられます。

一方、続編を含む“Pillars of Eternity”もプレイスルーそのものは長いですが、非常にリプレイ性が高く、繰り返し挑戦することで魅力が大きく増すタイプの作品だと思います。

「アウター・ワールド」については、プレイスタイルも豊富ですし、Pillars of Eternityを想起させるような最高難易度“Supernova”(参考:過去記事)も用意されていますが、本作は何度もプレイするタイプか、長く作品世界に留まるタイプの作品か、どちらに近いでしょうか。

キャリー・パテル氏:コンテンツという点において、「アウター・ワールド」は“Fallout: New Vegas”ほど巨大な作品とは言えないですね。そのため、Obsidianは「アウター・ワールド」をよりタイトで磨き抜かれた作品にしたいと考えています。

ご存じの通り「アウター・ワールド」には、プレイ方法に様々な選択肢があり、多彩なプレイスタイルを選ぶことができます。Obsidianは本作が皆に高いリプレイ性を提供できるよう望んでいます。

“Fallout: New Vegas”ほどオープンではありませんが、凝縮された経験とストーリーを楽しんでもらえればと思います。

―― 最初にPrivate DivisionとObsidianの提携を聞いた時は本当に驚きましたが、翌年にはMicrosoftによるObsidianの買収が報じられ、二度驚きました。「アウター・ワールド」が十分に成功して、続編を……といった場合、Obsidianは独立性は今後も保たれるでしょうか。

キャリー・パテル氏:具体的な取り組みについては、まだ想像が及ばず、言えないところもありますが、Private DivisionはObsidianにとって素晴らしいパートナーで、「アウター・ワールド」の計画を進めるにあたって、私たちのクリエイティブなビジョンと自由を支援し、ゲームの開発を進めるために必要な力を与えてくれました。

Microsoftも同様に素晴らしいパートナーで、将来の計画に関する具体的な内容や推測は言えませんが、Obsidianには明るい未来が見えています。

―― 個人的に「アウター・ワールド」は、“Tyranny”に続いてObsidianの新しい方向性を示す重要な位置付けの作品だと考えています。これからも濃厚で尖った、他にはないタイトルが生まれることを楽しみにしています。

キャリー・パテル氏:(日本語で)ありがとうございます!

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