先日、ビデオゲーム開発を含むクリエイティブなメディアや文化の支援を行う欧州委員会の“Creative Europe”プログラムから、3種の未発表プロジェクトが浮上し話題となった「Bloober Team」ですが(参考:過去記事)、海外ではコナミデジタルエンタテインメントとの提携が発表された直後の出来事でもあり、前述したプロジェクトの内容に(Bloober Teamが参加或いは開発を担当するのではないかとまことしやかに噂される)サイレントヒル新作のヒントが含まれるのではないかと注目を集める状況となっていました。
そんな中、Bloober TeamのCMO Tomasz Gawlikowski氏がIGNの確認に応じ、件の3種のプロジェクトに関する動向を報告。さらに、“The Medium”よりも大規模な2つのプロジェクトに取り組んでいることが明らかになりました。
再掲:Creative Europeから浮上した未発表プロジェクト3種のラインアップと概要
■ H2O
“Layers of Fear”の成功と続編に対するプレイヤーの関心の高さから始動した“Layers of Fear”シリーズの新作。
“H2O”は、高品質で洗練されたゲームプレイを提供するホラーゲームで、開発チームは初代“Layers of Fear”の厳選された要素やアイデアを基にした、ゲーム世界の構築を目指している。
過去作の芸術や狂気を扱うテーマ、謎に満ちた雰囲気、特異なキャラクターを中心に構成される親しみやすいストーリーといった要素を継承するとのこと。
■ BLACK
探索とサバイバル、戦闘の要素を組み合わせた一人称視点の新作サバイバルホラー。
2つの以上のエンディングのいずれかへと繋がる曖昧なモラル選択によって、信仰や人間性の暗部を描く大人向けの物語を形成する。
本作は中世の時代とエイリアンの登場を組み合わせた独自の世界を舞台としており、ステルスと激しい近接戦闘を併せ持つ挑戦的で緊張感のあるゲームプレイが楽しめる。
また、親しみ易い歴史的な設定が用意されており、他の時代を舞台にしたスピンオフ作品の可能性も模索されているとのこと。
■ Dum Spiro
“Dum Spiro”は、ラテン語の“dum spiro, spero”(息をする限り、希望を持つ事が出来る)に由来し、たとえ確実な死に直面したとしても、人は自分の人生を自ら決め、最後に向かう行動で意義を得て、悪に勝利できるという作品のメインテーマを表現している。
1941年から44年の出来事を描く物語の舞台は、第二次世界大戦においてドイツ占領下のヨーロッパで2番目に大きなゲットー(ユダヤ人隔離居住区)だったリッツマンシュタット・ゲットー。
プレイヤーは監禁された少年となり、妹を匿い救うため、あらゆる困難に立ち向かう。一見すると一人称視点で描かれているように見えるが、本作の最も大きな目標と特徴は、プレイヤーを出来事の参加者ではなく受け手にしてしまうことによって描かれた歴史から隔ててしまう“第5の壁”を破壊することにあり、プレイヤーにゲーム内の全ての選択肢を選ぶ自由を与えると同時に、その影響を提示することで、キャラクターの行動に対するプレイヤーの責任感を醸成させ、没入感を高めることでこの実現を図る。
本作は3つの章で構成され、章の最後にプレイヤーは次にプレイするエピソードを選択する必要がある。この利点は、プレイヤーが自らプロットを形成しているのだという現実的な感覚を喚起するためのもので、プレイヤーはこの選択が続く章で生むジレンマに対する責任を負うことになる。
また、広範囲な対人関係システムを特色としており、主要な出来事を変更することなく、主人公の身近な人々の状態に細かな影響を与える、より小規模で頻繁な決定が用意される。
Tomasz Gawlikowski氏によると、これらの出願と資金提供は比較的古いもので、“Layers of Fear”の新作と明記されたプロジェクト「H2O」は、その後「Layers of Fear 2」となり2019年に発売済み。
二つ目の「BLACK」は当初のアイデアが棚上げされ、現在も同名のコードネームで開発は進められているものの、Creative Europeに掲載されたサマリーとは大きく異なる作品になっているとのこと。
最後の「Dum Spiro」については、何度も繰り返し熟考した結果、現時点でテーマに適切な配慮と商業的な成功を同時に両立することはできないとの結論に達し、現在は開発を中止していることが判明しています。
また、Tomasz Gawlikowski氏は現行のプロジェクトについても言及しており、何れも“The Medium”を超える規模のプロジェクトが二つ進行中とのこと。このうち、一つは開発フェーズに、残る一つはプリプロ段階にあり、どちらもこの数日ネット上で話題になっているテーマや事前情報に基づくものではないと強調しています。(※ “Black”がこの二つのどちらかどうかについても具体的な言及は無し)
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