「ディスコ エリジウム」を生んだ“ZA/UM”がRobert Kurvitz氏やAleksander Rostov氏の解雇に関する声明を発表

2022年11月14日 9:20 by katakori
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「Disco Elysium」

先日、傑作「ディスコ エリジウム」のIPとスタジオ“ZA/UM”を巡る問題について、Robert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏が連名で発表した声明をご紹介しましたが、新たに“ZA/UM”側が今回の騒動について声明を発表。特定の個人を挙げず、“ZA/UM”と“ディスコ エリジウム”IPに何があったのか、スタジオ側の見解を明らかにしています。

前述の通り、今回の声明は特定の個人名を挙げていませんが、内容は明らかにRobert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏、Helen Hindpere氏(※ Hindpere氏については先だって2人が公表した声明に名を連ねていませんが、声明の発表直後に自身のInstagramを通じてシェアしていました。現在は削除済み)を指すものであり、エストニアのEstonian Ekspress紙の確認に応じたZA/UMのCEO Ilmar Kompus氏は声明と同様の内容でRobert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏(※ 記事内では“Saandar Taal”と表記されていますが、これはRostov氏の別名)を批判しています。

本日、ZA/UM Studioは訴訟や不正確なメディアの報道を招くことになった直近のスタジオメンバーに対する解雇について声明を発表しました。我々はすべての事実が明らかになれば、法廷で勝利を収めることは間違いないと確信していますが、ZA/UMを適切に守り、従業員を保護するために、根拠のない主張と虚偽に対処することが必要だと考えています。

現在進められている訴訟に伴い、公にできることには限りがありますが、かつての従業員達が取材やブログ、公の場で重要な事実を述べなかったことから、追加の情報がより正確な状況を明らかにするだろうと信じています。

そこで、ZA/UM Studioの元チームメンバーが解雇された理由を明確し、正確さを期すため以下の情報を公表します。

  • 自身の責任と業務にほとんど関与せず、スタジオから給与を得ながら2年近く全く働かず、自身の不手際を同僚に補わせた。
  • ZA/UMのスタジオ文化やチームの生産性を損なうような有害な職場環境を作り上げた。
  • 暴言や性差別を含む同僚とのやりとりにおける不適切な行為。
  • 他のチームメンバーを貶めるために、他のゲーム企業にZA/UMのIPを売却しようと試みた。

ZA/UMは、たとえ我々が誇りに思い、人々の関心を刺激し続けているゲームに貢献してきた個人であったとしても、重大な不正行為を容認することはできず、するつもりもありません。ZA/UMはクリエイティブとイノベーションに加え、プロフェッショナルとしての精神や誠実さ、良識、公平性を重んじており、これはすべての社員に求められます。ゲーム開発という高度な共同作業には、チームプレイが不可欠であり、これらにそぐわない行為を受け入れることは短絡的です。

問題となっている個人の契約解除に関する決定が、金銭的な利益を目的としたものであるという噂には、全く根拠がなく、一切の事実を反映していません。この決定は、集団の安寧を優先するために下さなければならなかった決定でした。加えて、ZA/UMは財務上の不正行為および詐欺に関するいかなる主張も否定します。ディスコ エリジウムから得た利益の大部分は、現在開発を進めている次期プロジェクトのためにスタジオへ還元されています。

我々は声高な数名の行動やコメントによって、スタジオの重要な取り組みから目をそらすことはありません。ZA/UMはディスコ エリジウムの開発に携わったチームメンバーのほとんどを維持したまま、1年前に比べて3倍の100名近い従業員を抱えるまでに成長しました。我々はビデオゲームを発展させ、ジャンルを再定義すべく、ストーリーテリングとアート、テクノロジーを調和させ続ける驚異的な才能を持つ情熱的でクリエイティブなチームを作り上げました。我々は胸に抱くすべての愛と輝きをもって、この活動を続けていくことに喜びを感じています。まだまだお見せしたいものがたくさんあるのです。

今回の問題は既に係争中であることから、幾つかの事実は裁判を通じて明らかになるものと思われますが、正確を期すためと記された声明の告発が誰を指すものか分からず、個々の告発すべてがHelen Hindpere氏を含む3人、もしくはRobert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏を指しているのか、それとも個別に該当する人物が異なるのか、かなり曖昧な印象を受けます。

また、この告発にある、件の数名が2年間全く働いていなかったという指摘が事実だった場合、3人が解雇された時期を考慮すると、Robert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏はオリジナルの発売から僅か1ヶ月後の2019年12月から職務を放棄していたということになり(※ Helen Hindpere氏はファイナル カットのリードライターであるため一先ず除外)、幾つか記録が残っているインタビューや映像等を鑑みると、こちらも若干説明不足な印象を受けます。

余談ながら、Estonian Ekspress紙のインタビューとGamesIndustry.bizの確認に応じた匿名開発者の発言には、上記の声明にはない幾つかの情報が含まれていますので、記録的な意味で内容をまとめておきます。

  • ZA/UMのCEO Ilmar Kompus氏は、Robert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏が同僚への中傷を繰り返し、何度説得しても状況が改善されなかったことから、スタジオ側が彼らを解雇せざるを得なくなってしまったと説明。こういった行為を容認するのは、成長中の国際企業として、極めて短絡的だと強調している。
  • さらにIlmar Kompus氏は、Robert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏がディスコ エリジウムを含むZA/UMの知的財産を独占したいと企んでいたと主張しており、2人が既存の契約に背き、秘密裏に別の著名なビデオゲーム企業にIPを売り込みにいったが、だれも興味を示さなかったとのこと。
  • 先日Robert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏が発表した声明には、かつての盟友であるKaur Kender氏がTütreke OÜによるZA/UM株の取得を導いたと記されていたが、Estonian Ekspress紙のインタビューにて、Ilmar Kompus氏は彼らの解雇がKaur Kender氏の要求によって実現したものであることを明言している。なお、Kaur Kender氏は健康上の理由で今年8月から休職中とのこと。
  • GIの取材に応じた情報筋は、匿名を希望した上で、白黒はっきりするような状況ではないと説明。長年勤務しているスタッフはRobert Kurvitz氏を尊敬しており、恩義を感じているため、Robert Kurvitz氏の行動については話したがらないとのこと。また、後から採用された開発者については、こういった状況を正確に把握していないと伝えている。

先日ご紹介したRobert Kurvitz氏とAleksander Rostov氏による連名の声明と、ZA/UMが新たに公表した声明それぞれの主張を比較すると、(細かな食い違いはさておき)両者のあいだには「ディスコ エリジウムは誰の作品なのか?」という点で決して相容れない大きな隔たりがあります。強烈な作家性によって支えられたフランチャイズには、しばしば見られる問題ですが、今後行われる裁判を通じて、エリジウム世界にどんな未来がもたらされるのか、さらなる続報に改めて注目が集まるところです。

情報元及びイメージ:PC Gamer, GamesIndustry

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