未公開株式の取引やシェアなどを行うSharesPost社のレポートから、FarmVilleやFrontierVille等の運営で知られるソーシャルゲームデベロッパ「Zynga」の株式評価額が55億1000万ドルに到達し、ナスダックで51億6000万ドルの評価額を持つ有力ゲームパブリッシャーの1つElectronic Artsを超えたとBloomberg Businessweekが報じました。
4年前にMark Pincus氏により企業されたZyngaですが、Facebookのソーシャルネットワークを利用した急成長が、小売販売を行う世界で2番目に大きなゲームパブリッシャーであるEA(※ 1位は139億ドルのActivision Blizzard)を僅か4年で超える規模になった事には驚きを隠せません。
この評価は仮想アイテム等の販売市場の成長に基づいた物で、現在このバーチャル市場は16億ドル規模とも言われ、Zyngaはこの市場の3分の1を占めているとの統計も発表されています。さらにサンフランシスコThinkEquity LLCの経済アナリストはこのバーチャル市場があと3年で36億ドル規模に達する可能性があると推測しており、まだソーシャルゲームや仮想通貨、マイクロトランザクションビジネスの勢いは成長過程にあると言えそうです。
さらに昨日、Zyngaによる仮想通貨に絡む未承認の特許申請も発見、今年の4月にZyngaの仮想アイテムやインゲーム通貨のリアルマネーでの売買用フォーラムを起ち上げたPlayerauctions.comへの訴訟や、中国の所謂”ゴールドファーム”問題、Facebookクレジットによる30%のロイヤリティなどに対する対抗手段の準備を進めているとも考えられます。
また、Farmvilleのクリエーターとして、そしてかつてはElectronic ArtsでCommand & Conquerタイトルを手掛けていた事で知られるZyngaプロダクト開発のVPを務めるMark Skaggs氏は、PCゲーミングが根底から変化を伴う過程の中にあると述べ、PCゲームが今後5年程度のスパンでモバイルとユーザークリエイトコンテンツ、ソーシャルとデジタル流通に向いて進む事になると分析しています。
さらに、Skaggs氏は強いソーシャルコンポーネントを持たないゲームが全て、ジョイスティックでプレイするシングルシューターのようなオールドファッションなゲームに感じられる様になると述べ、新しいソーシャルゲーム技術はより多くの人々を繋ぐ社会的な結合剤としての意味を持つ事になると明言。続けて「世界中の拡大家族といつでもゲームが楽しめるのに、なぜあなたのパパとママとモノポリーをする必要がありますか?」と述べています。
そしてより賢くなるゲームがシステムと管理ソフトウェアと共に、プレイヤーのゲーム進行をモニタリングしながら、ゲーム経験やゲームの難易度をプレイヤーにマッチさせる時代になると、今後のソーシャルゲームの方向性を示唆、こういった技術が今後プレイヤーの好みやスタイルに一致するゲームを自動的に提示するプレゼンスを産むかもしれないとも語っています。
Skaggs氏はゲームの未来について自身を永遠の楽天主義者だと述べ、世界中に存在するゲーム開発の天才から生まれる技術やゲーム力学等の画期的なブレイクスルーを楽しみにしていると発言しています。
果たしてSkaggs氏が楽天的と自身を表現し描くこの未来に私たちがプレイしている”物”はゲームか、未だ見ない変化がゲーム産業に起こりつつある事だけは間違いありませんが、巧みにデザインされた没頭の代替えやコミュニケーションの代用、或いはインタラクティブなポルノグラフィーの消費では無く、”ゲームをプレイする事”を楽しむ1人のゲーマーとして、この未来が全く影のない不自然な、見事に整った世界を見ている様な錯覚に似た何かを感じずにいられません。
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