OnLiveを始めとしたクラウドゲーミングサービスの実現や、PS Vitaなどに見られるハイスペックな携帯機の登場にiPhoneやAndroid、iPadを始めとしたスマートフォン端末の普及、そしてマイクロトランザクションなどの決済手段の普及など、凄まじいペースの進化を見せる昨今のゲーム関連技術ですが、先日gamescom会場で行われた“PlayStation: 次の10年”と題されたクローズドパネルにSCEの吉田修平氏が登場、今後10年以内にゲーム機がカメラ技術の発展に伴ってプレイヤーの感情を理解するようになるだろうと語りました。
このパネルは吉田修平氏を始め、SCEEのディレクタMick Hocking氏、マーブル・マッドネスやクラッシュ・バンディクーシリーズのデザイナーとして知られるMark Cerny氏、デザイナーとしても活躍するthatgamecompanyのボスKellee Santiago氏などがディベートを行いながら、今後10年のPlayStationが目指すビジョンについて各人が様々な意見を交わすものでした。
今回の吉田修平氏の見解は、いくつか登場した議題の中で、モーションコントロールの今後10年におけるゲーミング体験の基礎部分は現在のままだろうかという問題について語った際に示されたもので、氏は現在のモーションコントロールがビデオゲームの歴史における8bit時代に似たもので、多くの制限があると発言。
そして、近年より重要性が増している各種センサーについて触れ、最終的にゲームはプレイヤーのことをもっと知ろうとするだろうと述べ、今後10年でゲーム開発者たちは単なるプレイヤーの動作では無く、プレイヤーが何を見て、どう感じているかなど、プレイヤーの情報にリアルタイムでアクセスするだろうと考えていると発言。私たちは本当に危険な類のインタラクションを実現することが出来る……と、危険性も認識した見解を明らかにしています。
この見解に対し、Mick Hocking氏はプレイヤーのバイオメトリクスを学習するカメラ技術が、プレイヤーの表情などからより多くの情報を検知すると述べ、各種の知覚データを組み合わせ、いずれゲーム開発者はプレイヤーの感情マップを形成することが可能になるだろうと発言。このマップがより正確になるほど、Sonyはもっとプレイヤーに適した経験を提供できるだろうと語りました。
なお、会場でこういった技術について研究を行っているかと訪ねられたMick Hocking氏はPlayStationグループがこの分野に対する実に多くの研究開発を進めていると発言しています。
さらにJourneyの開発で注目を集めるthatgamecompanyのボスKellee Santiago氏もこの意見に同意、thatgamecompanyのゴールは人間の目の様にアクセシブルなインタラクションを持ち得ることだと発言、プレイヤーの表情の観察や、胴体の微妙な反応の読み取りからゲーム経験に関するデータの抽出を行いたいとの意欲を明らかにしました。
こういった生態データの取得についてはValveも既に視線トラッキングや肌の電気反応、心拍数、発汗などのデータ取得に関する研究を開始しており、マーケティングやプロモーションに活かしたいとの見解を明らかにしています。
こういったセンサー技術の解像度と処理能力向上により実現されるインタラクションをベースにしたゲームがもたらす臨場感や刺激は確かに考えるだけで凄まじいものになることは容易に想像付くところですが、冒頭で吉田氏が述べたとおり非常に恐ろしい技術であることに違いなく、ともすれば本来のGameとは、或いは娯楽とは何なのか、そんな有史以来の根源的なテーマにすら抵触する技術になりかねません。
こういった技術が当たり前に利用可能になった時代に、現在のソーシャルゲーム界隈を筆頭に多く存在する“Fun”(楽しみ)と“Addict”(中毒)を巧みかつ作為的に奮う無邪気な方達が手にしたらと想像すると、技術の発展も良い事ばかりではないと本気で考えてしまう難しい問題だと言えそうです。
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