かつてMaxisで“Spore”のリードデザイナーを務め、EA時代には“Army of Two: The 40th Day”の開発を率いたAlex Hutchinson氏がクリエイティブディレクターとして開発に携わっているUbisoftの人気シリーズ最新作「Assassin’s Creed III」ですが、昨日GDC会場にてHutchinson氏が“Designing Games to Sell”(売るためのゲームデザイン)と名付けられたパネルディスカッションを行い、来る最新作のデザインに絡むシリーズのゲーム力学や方向性、近年激化するAAAタイトル開発競争などに関する興味深い見解を示しました。
氏は来る新作Assassin’s Creed IIIの物語がアメリカの独立前に開始され、革命を達成した後に終了を迎える30年の物語が描かれると改めて紹介し、「新しいキャラクターと新しい世界を手掛ける喜びの1つは、私たちがそれらを裸にし、基本に立ち戻ることができることだ」と新作で改めて再スタートを迎えることを強調しています。
Hutchinson氏は、Ezio三部作の開発において開発チームが“ゲームの明快さ”と“アクセシビリティの向上”に奮闘したと語り、ゲームからゲームへと受け継がれる物語において何かの要素を削除することは非常に困難だと説明しました。
とかくタイトルを重ねる毎に肥大化する傾向が見られるフランチャイズのゲームデザインにおいて、氏は広いオーディエンスに販売を促進するために求められるデザインの本質が“妥当性”と“直接性”、“一貫性”だと発言しています。
判りやすさに関係する“直接性”について語った氏は、これがAssassin’s Creed IIIにとっても大きな問題であり、同時にフランチャイズや広く一般にもこれが当てはまると説明、Assassin’s Creed IIのゲーム構造とゲームプレイにおける複雑なチャートを例に挙げ、ゲームが複雑で多用な特徴を持ち、長いゲームである場合、プレイヤーに必要な情報を出来るだけ早く与えることは大きなチャレンジだと紹介しました。
それらを踏まえ、新しいゲーム力学を導入する必要が明確に存在するAssassin’s Creed IIIでは“暗殺”までの時間を短縮する予定にあると明かし、「Assassin’s Creed IIIにおいて私たちはトレイにディスクを入れて30秒以内にあなたが実際に誰かを暗殺するであろうことを約束する。これは約束です。」と、スムースな導入を示唆しています。
これらと同様にAssassin’s Creedユニバースの物語も複雑化していることを挙げた氏は、新規プレイヤーに向けデッキを一旦綺麗にし、新しい舞台設定に新しいヒーローを可能な限り速く導入すると強調しました。
新たに18世紀のアメリカを舞台に独立戦争を通じてイギリスとアメリカの衝突を描くこととなるAssassin’s Creed IIIの背景について語った氏は、新作が歴史上のイベントと、荒野でのサバイバルにフォーカスしたと明かし、何度か「The Elder Scrolls V: Skyrim」と「Red Dead Redemption」への傾倒を語りました。
また、Hutchinson氏はEzioが都市で主にその卓越した能力を活かしたのと同様に、新ヒーローは荒野において能力を発揮すると述べ、新要素の重要さをアピール。さらに季節サイクルを導入した今作では極端な寒さに立ち向かう必要があることを強調し、Ubisoftがかなり刺激的で完全に新しい降雪システムを構築したと明らかにしました。
さらに、アメリカ独立戦争が様々なオーディエンスにとって適切で刺激的な物語だと発言。アメリカ人にとって明確に重要な歴史上の出来事ながら、同時にイギリス人にとっても重要な事件だと語り、フランス人にとってはフランスがアメリカ独立戦争時に行った財政援助が後のフランス革命に直結する出来事でもあると(※ ルイ16世にとっては皮肉な結果ですが)説明しています。
これまでもレオナルド・ダ・ヴィンチなど歴史上の著名な人物が魅力的に描かれたAssassin’s Creedシリーズですが、Assassin’s Creed IIIの新たな登場人物としてジョージ・ワシントンとベンジャミン・フランクリンの存在を紹介した氏は、本作の開発にあたって2つのファンタジーを想定していると明かし、1つが“暗殺者”であること、そしてもう1つが“異なる時代”に“異なる場所”を訪れるバーチャルな観光としてのファンタジーだと述べ、この2つを1つのゲーム構造に落とし込むことを目指していると強調しました。
さらにHutchinson氏は近年ますますそのスケールを肥大化させるAAAタイトルについて言及、それらが“まさに恐竜の最後”だと語りました。
スタジオがグラフィカルな忠実度と、巨大なスケールのゲームを要求することを“苛烈な軍拡競争”と評した氏は、この潮流を悪性腫瘍の類だと考えていると述べ、いずれこういった潮流から去ることになるだろうと示唆。
氏は自身が描くビデオゲームの理想を次の様に提示し、その講演を終えました。
「私の考えでは、ビデオゲームは人々を教育すること、人々を楽しませること、或いは少なくとも芸術的であろうとするゴールを持つ必要があります。」「これらの物のどれも訴求しなければ、それは私たちが“困難な時代”に向かっていることを示していると考えて居ます。」
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