本日、FPSやMOBA、格闘アクションなど、様々なジャンルを融合させた野心的な新作「バトルボーン」の日本語版が遂に発売を迎えました。
“ボーダーランズ”シリーズを生んだGearbox Softwareが開発を手掛けた“バトルボーン”は、絶滅の危機に瀕する宇宙を救うヒーロー達の活躍を描く作品で、エピソード形式のCo-opキャンペーンとマルチプレイヤーの両方を併せ持つスタジオ史上最大規模の新IPとして注目を集めています。
今回、日本語版の発売に先駆けて、2Kよりコンソールの製品版を提供頂き、キャンペーンとオンラインマルチプレイヤーを十二分にプレイすることが出来ました。
ということで、本日はアナウンス時からディテールの紹介を続けてきた“バトルボーン”のインプレッションやプレビューを総括する製品版の最終的なプレイレポートをまとめてご紹介します。
“バトルボーン”は、FPSやMOBA、格闘ゲーム、アクション、RPG的な要素を融合させ、複数のプログレッションを軸に、多彩なゲームモードとヒーロー、天文学的なキャラクタービルドを導入するという規格外の作品であることから、その概要をご紹介するだけで、相当な情報量が必要となります。こういった背景から、まずは筆者が時間の許す限り製品版をプレイした結果至った結論を先に挙げておくと、“バトルボーン”は旧態依然としたオールドスクールで荒削りな面を持つ一方で、現行の“ボーダーランズ”シリーズを大きく超える、他に代えがたい“最高の瞬間”をしばしば見せつける荒馬のような作品だったと言えます。
まずは、簡単に“バトルボーン”というじゃじゃ馬の作品的な概要を紹介しておきます。“バトルボーン”は、宇宙の星々を呑み込む謎に満ちた敵ヴァレルシの出現と侵略によって絶滅に瀕する宇宙を舞台に、唯一残された最後の星ソーラスを守るために戦うヒーロー達の活躍を描くタイトルで、5つの勢力に所属する個性豊かな25人のヒーローを軸に展開する、エピソード形式のストーリーCo-opキャンペーンと、3種のマルチプレイヤーモード(5vs5)を主なコンテンツとしています。
宇宙に残された最後の星を巡る壮大なストーリーと、これを裏打ちする緻密な設定に基づく豊かな世界を描く一方で、この悲壮な戦いに望むヒーローは、殺人鬼のロボットやルチャリブレのマスクマン、氷の塊、キノコ、実は敵じゃないかと思うほどに清々しいサイコパス、やさぐれたペンギンなど、Gearboxらしいユーモアと冗談、シニカルさに満ちた実に個性的なキャラクター達で、妙に憎めない敵や驚くほどハイテンションなNPCと併せて、どこまで行っても深刻にならない、(良い意味で)ボーダーランズ以上に軽やかなテイストを特色としています。
しかも今作には、こういったGearboxならではのユーモアに加えて、80年代後半から90年代前半に掛けてカルト的な人気を誇ったピーター・チョンのTVアニメ作品的な成分や精神が盛り込まれており、近年の大作にはあまり見られない類いのアクセントを本編に添え、プレイヤーを楽しませてくれるでしょう。
ただし、一見してカジュアルでお気楽なテイストは、“バトルボーン”の印象をライトに決定付ける一方で、表層的なレイヤーの1つに過ぎません。
最大で5人プレイ可能なCo-opキャンペーンは、個別に機能する8つの独立したエピソードによって構成され、それぞれに固有のメカニクスを持つ強大なボスとの戦いやウェーブ形式の防衛パート、一撃死の罠を用意したプラットフォーマーアクションなど、多彩なアプローチのゲームプレイを用意しています。
防衛対象が破壊された場合には容赦なくミッションそのものが失敗となるなど、難易度は思いのほか高く、幾つかのミッションは、クリアに何度かの挑戦を必要とするでしょう。
一方、対戦型のマルチプレイヤーパートには、3つのゲームモード(熔解と侵入、占領)が用意されており、熔解と侵入については、1マッチの尺が長く、MOBA的な要素やマップ構成、プレイヤー間のシナジーと協力を理解するための反復と学習を求める複雑で骨太なシステムを特色としています。
■ 対戦型マルチプレイヤーモード3種の概要と特長
- 占領:マップ上に用意された3地点の制圧を争ういわゆるドミネーション系ルールで、1マッチが10分程度で終了することから、本作に実装されたコンテンツの中で最も手短にプレイできるモード。時間が無いときはこれ。
- 侵入:ミニオンの侵攻を軸に、敵チームのセントリー破壊を目指すMOBA要素の強いモード。攻守のバランスや資源管理など、占領に比べてルールはやや複雑で、1マッチがおよそ30分規模となるが、MOBAとして見ればシンプルな1レーンの綱引きゲームとなっており、一進一退の熱い戦いが楽しめる。筆者はこのモードが最も楽しくプレイできた。
- 熔解:ミニオンを祭壇までエスコートし得点させるMOBA系のオブジェクティブモード。こちらは2レーン構成となっており、より戦略的なプレイや協力、ヒーローのビルドや選択が重要となる。
Gearboxは予てから、“ボーダーランズ”シリーズの大きな魅力の1つが膨大な武器バリエーションにあったとして、これに相当する“バトルボーン”の魅力が、メカニクスレベルで異なる25人もの多彩なヒーローと、そのキャラクタービルドに込められていると説明していました。
筆者が前段で掲げた“最高の瞬間”も、まさにこのキャラクタービルドやプログレッションにまつわるもので、Gearboxが心血を注いだヒーローのバリエーションや柔軟なキャラクターカスタマイズ、複数のラインを持つプログレッション、段階的なフェーズに分かれた学習と熟達は、これまでの(バランス的な意味でやや大味な)Gearbox作品には決して見られなかった非常に繊細な仕上がりとなっており、プレイを重ねるなかで、何度か感嘆の声を上げる瞬間がはっきりとありました。
有り体に言えば、これはゲームプレイ中にはだかる壁を、試行錯誤やひらめきで突破するような際、もしくはふとした発見時に訪れるものですが、これは“バトルボーン”の複合的なプログレッションによって(恐らく意図して)生成されるもので、プログレッション単位当たりの短さ、変化を伴う繰り返しが生む、本作固有の魔法のようなものだと言えます。
なお、“バトルボーン”のプログレッションは、主に3つの要素から構成されます。
- コマンドランク:アカウント全体を通じて上昇する言うなればプレイヤー本人のランク。これによりヒーローやその他様々なコンテンツがアンロックされる。
- キャラクターランク:各ヒーロー毎に用意されたキャラクターそれぞれのランク。最大15で、新たな能力を使用可能にするヘリックスのミューテーションやスキンのアンロックに用いられる。これを上昇させることでキャラクターのビルドが大きく広がりを見せる。
- ヘリックス:1マッチ、1セッション毎にリセットされる所謂MOBA的なマッチ内レベル。最大10レベルで、上昇するたびに新しい能力が選択可能となる。また、5レベルでアルティメットが解禁される。
“バトルボーン”の複合的なプログレッションが生む面白さは、同じヒーローでも、Co-opキャンペーンで慣らしをはじめ、その後マルチプレイヤーで対戦を楽しみ、キャラクターランクの上昇でミューテーションを解除し、装備が充実しはじめるといった大枠のフェーズで、ビルドがみるみる変化しながら拡大する点にあり、ここにフレンドとのシナジーやチームにおけるロールまで考慮しはじめた場合、あるポイントでキャラクターの可能性が爆発的に拡大する瞬間が訪れます。
また、この変化や拡大は1マッチ毎にリセットされるヘリックスの選択を通じて、絶えずプレイヤーの身体と意識に直接その存在を示し働きかけることから、発見や変化が体感しやすく、従来の(いわゆるRPGのレベリング的な)長大かつ長期的なプログレッションには決して見られないダイナミックさが、“バトルボーン”のゲームプレイにプリミティブで新鮮な楽しさをもたらしています。
さらに、この変化は本作の多彩なギアによって指数関数的に拡張され、さらなる特化やロールを意識したビルド構築が可能となります。また、複数のレアリティ(しかも単なる上位互換ではない)を持つギアはエンドゲームの一翼も担っており、ここでは詳細を伏せますが、固有の効果を持つヒーロー専用レジェンダリを幾つか入手すれば、これを軸とするビルドとロードアウトの新たな可能性が眼前に現れるでしょう。
待望のローンチを果たした“バトルボーン”には、前述した通り、今後改善の余地を残すレガシーなデザインやシステム、UIが幾つか見られるのは事実ですが、実際のプレイを通じて得られる“最高の瞬間”は、これを補って余りあるもので、初代“ボーダーランズ”が登場した時に感じた新しい胎動に通じる抗いがたい輝きを放っています。
既にGearboxは、本作の改善や修正を毎週Hotfixとして適用するウィークリーアップデートに加え、無料の追加ヒーローやDLCを含むクライアントアップデートの開発を進めているほか、2Kは専門チームを用意し本作の調整やテストを進めていることが報じられています。
スタジオ史上最大規模の投資と労力を費やし誕生した“バトルボーン”が、今後の拡張と改善を通じてどういった変化を見せるのか、“ボーダーランズ”に代表されるGearbox作品に興味がある方は、およそ7年ぶりに訪れたスタジオの新たな胎動をその手に取り、強烈なヒーロー達のカオスな活躍と育成を楽しんではいかがでしょうか。
■ 商品情報
- 名称:バトルボーン
- 発売元:2K / テイクツー・インタラクティブ・ジャパン
- 発売日:2016年5月19日
- ジャンル:FPS (ヒーローシューター)
- 対応機種:PlayStation®4、Xbox One、Windows PC
- 価格:
- パッケージ版(PlayStation®4、Xbox One) : 7,700 円+税
- ダウンロード版(PlayStation®4、Xbox One): 6,930 円+税
- ダウンロード版(Windows PC): 7,485 円 (税込)
- CERO:C (15 才以上対象)
- プレイ人数:1~10 人(オンライン専用)
- 公式サイト:https://battleborn.com/jp/
PC | PlayStation 4 | Xbox One | Wii U
PlayStation 3 | Xbox 360 | PS Vita | DS
Mobile | Movie | Rumor
Culture | lolol | Business | Other
RSS feed | About us | Contact us
かたこり( Twitter ):洋ゲー大好きなおっさん。最新FPSから古典RPGまでそつなくこなします。
おこめ( Twitter ):メシが三度のメシより大好きなゲームあんまり知らないおこめ。洋ゲー勉強中。