2013年10月にCD Projekt REDとDark Horseがコミックシリーズ化を正式にアナウンスし、今年7月には第3弾“Curse of Crows”が海外で発売されたお馴染み“The Witcher”シリーズですが、今月10日に第1弾コミックの邦訳版「ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASS」が遂に発売を迎え、G-NOVELSより本作の見本誌を頂きました。
“ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASS”は、旅の途中で狩人と出会い意気投合した主人公ゲラルトが、狩人の死んだ妻に導かれ、暗い森の中で不気味な屋敷へと迷い込む事件を描いたコミックで、いわゆる大きな物語を扱う作品ではありませんが、ゲラルトの生業である怪物退治に焦点を当て、人間の闇を深く掘り下げるアプローチや大人向けの重厚かつビターなストーリーといった“ウィッチャー”シリーズの魅了をぎゅっと凝縮した作品に仕上がっています。
また、本作には群像劇のような壮大な物語と世界観を誇る“ウィッチャー”シリーズ固有の勢力や登場人物、専門用語は一切登場せず、全てが作品内で完結していることから、全く予備知識を持たない方でも十分に楽しめる、“ウィッチャー”入門に最適な一冊だと言えます。
一方で、シリーズのプレイヤーには、初代の沼地におけるダゴン崇拝やウィッチャー3 ワイルドハントの“血まみれ男爵”、或いは“沼地の魔女”絡みの重々しいサイドクエストを追体験するような、と言えば分かりやすいでしょうか。作品のテイストは非常に重厚ながら、相変わらず巻き込まれ体質なゲラルトさんの、アクションあり、節操ないロマンスあり、小粋なジョークに痴情のもつれ、人情話までカバーする活躍と、ダークファンタジー“寅さん”ぶりが存分に楽しめる、懐深いウィッチャー世界の豊かさを象徴するような中編といって間違いありません。
今年は“エルフの血脈”に続いて、原作シリーズ第2巻“屈辱の刻”が国内で刊行され、“グウェント ウィッチャーカードゲーム”においても期間限定イベントによる愉快なエピソードが展開しているほか、今後は女王メーヴの物語を描くグウェント初のストーリーキャンペーン“奪われし玉座”も控えており、国内のウィッチャーファンにとっては大団円を迎えたゲラルトさん三部作の終了後も、続々とウィッチャー世界が拡がる幸せな状況が続いています。
海外のコミックシリーズについては、様々な人物を乗せた船が舞台となるサスペンス色の強い第2弾コミック“The Witcher Vol. 2: Fox Children”、そしてシリとイェネファーが登場する第3弾“The Witcher Vol. 3: Curse of Crows”が既に発売済み。さらに、今年5月にはPlatige ImageとNetflixによる“The Witcher”のTVシリーズ化プロジェクトまで始動しました。
今後のさらなるシリーズ展開を楽しみしている“ウィッチャー”ファンは、マイク・ミニョーラによる素敵なカバーアートや海外版と同じく巻末にまとめられた注釈付きの多彩なスケッチやデザイン案、さらに翻訳監修を務めたCD Projekt Redの本間覚氏によるあとがきまで収録した豪華な“ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASS”をチェックしておいてはいかがでしょうか。
■ ウィッチャー 1: HOUSE OF GLASSについて
累計販売本数2500万本突破の傑作RPG『ウィッチャー』シリーズのコミック第1巻が遂に邦訳化!
重厚なストーリーと徹底的につくりこまれた世界観、個性あふれる登場人物で、世界中のゲームファンを熱狂させた『ウィッチャー』シリーズ――その世界を元に、アイズナー賞受賞作家のポール・トビンと、新進気鋭のコミックアーティストのジョー・ケリオがオリジナルストーリーでコミック化。ゲームシリーズの熱心なファンはもちろんのこと、すべてのRPGファン、ファンタジーファン必見の一冊!怪物たちがうごめく〈黒き森〉に差し掛かろうとしたとき、名を馳せたモンスタースレイヤーであるゲラルトは、妻に先立たれたという狩人に出会う。怨念を抱いた妻の死体は、〈ガラスの館〉と呼ばれる不気味な邸宅に住みついていた。そこは、誰もいない空の部屋がどこまでも続き、そこかしこに恐怖が潜む館だった…
ヘルボーイなどのアーティストとして知られるマイク・ミニョーラが手がけたカバーアートに加え、デイヴ・ジョンソンとダン・パノジアンが描いたリーフ版1巻のカバーアート、さらには巻末収録のダンカン・フィグレド、スタン坂井、サイモン・ビズレーが描く“白狼”ことゲラルトの雄姿も注目の一冊です。
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