傑作の新世代向けリマスターとして、2020年9月にアナウンスされ、本日遂に国内外で待望のローンチを果たした新世代機版「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」ですが、本日迎えたリリースに先駆けて、CD PROJEKT REDよりPC版のプレビュービルドを提供いただき、見事な進化を果たした新エディションのビジュアルとゲームプレイを一足先に体験することができました。
という事で、今回はPC版「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」のプレイレポートとインプレッションをまとめてご紹介します。
「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」は、オープンワールドRPGとビデオゲームにおけるストーリーテリングの新たな地平を切り開いた、今なお燦然と輝く傑作の完全版にあたる新エディションで、大量の新要素と改善を導入していますが、新しい要素を大きく分けると、1)グラフィックスの大幅な強化、2)現世代向けにリファインされた最新のQoL改善、そして新クエストを含む3)多彩な新コンテンツの導入、この3つに分類できます。
■ レイトレーシング対応を含むグラフィックスの強化
「ウィッチャー3 ワイルドハント」は、2015年5月に発売されたオリジナルの頃から、今も色あせない非常に優れたビジュアルとグラフィックスで知られていますが、最新の新世代機版には、待望のリアルタイムレイトレーシングが実装され、光と影の表現が大幅に進化しています。
本作のリアルタイムレイトレーシングは、グローバルイルミネーションとアンビエントオクルージョンに用いられ、屋内外で実写のようにリアルな環境光とその光の遮蔽を実現しています。
PC版については、リアルタイムレイトレーシングによる反射とシャドウにも対応しているほか、影の品質や草の密度、テクスチャー品質を含む8種のオプション項目に従来の最高を超える“最高+”品質の設定が追加されており、全てを最高品質で描写するRTウルトラプリセットによる4K解像度の屋外環境(特に深い森の中や植生の豊かな浅瀬、トゥサンの丘陵地帯といった絵画的な美しさのロケーション)では、もはや別物と思えるほどの神々しい景観が楽しめます。
さらに、キャラクターのセルフシャドウや髪の毛、アーマー等のクリッピング等にも改善が加えられたほか、景観の背景や追加の天候タイプ、建築メッシュの改良、植生周りのテクスチャ改善に加え、非常に高品質なメッシュと4kテクスチャを導入するHalk Hogan PL氏による“The Witcher 3 HD Reworked Project”やDenroth氏のモンスター用テクスチャ改善“HDMR – HD Monsters Reworked Mod”、さらにはCD PROJEKT REDのシニアゲームプレイデザイナーを務めたAndrzej Kwiatkowski氏が自ら開発した大規模バランス調整“FCR3 – Immersion and Gameplay Tweaks”など、定番のユーザーMODまで統合されているのも嬉しいところ。(新たに追加されたフォトモードで装備品や建築物のディテールを眺めはじめると無限に時間が溶けていくのでオススメです)
また、グラフィックス周りの広範囲な強化と改善に伴い、DLSSやFSR対応を含むパフォーマンスの最適化もかなり進化しており、DX12で従来の(RTなし)ウルトラ設定を動作させたところ、アップデート以前よりも遥かに安定した高fps動作でゲームプレイが楽しめ、以前にときおり感じていた僅かなスタッタリングや一瞬のもたつきが解消されたのも印象的でした。
■ 広範囲なQoL改善
「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」には、グラフィックス周りの強化だけでなく、新世代機版に相応しい様々な機能的改善も導入され、ゲームプレイそのものの快適さが大きく向上しています。
最も顕著で大きな効果を上げているのが、新しいダイナミックカメラで、ゲラルトさんを中央より左に立たせ、従来よりも近い距離で肩越しに世界を見るような視点は、(画面のど真ん中に立つゲラルトさんが邪魔でしばしば視点の調整が必要だった)プレイ中のインタラクションを格段に楽にするだけでなく、新生“God of War”シリーズを思わせるような素晴らしい臨場感と映画的な没入感を向上させ、ゲームプレイに新鮮な印象をもたらしています。
この新たな視点のカメラを用いる戦闘は非常に見栄えがいいのですが、後方や視界外からの攻撃に対して脆弱で、戦況の把握には若干慣れが必要かもしれません。ただし、このカメラについては探索中と戦闘時、乗馬中の設定が個別に変更可能(※ 設定はオプションのゲームプレイ内、デフォルトは何れも“寄り”)となっていますので、実際にプレイしながら幾つかの設定を試してみるのがよいかと思います。
加えて、これまではホイールメニューから選択する必要があった“印”の切り替えと使用を便利に簡略化するクイック発動機能が実装され、戦闘中にラジアルメニューを開くことなく、5種類の印を自由に使い分け、発動することが可能となっています。
さらに、インベントリを開くことなく、ホイールメニュー上で爆薬や矢、ポケットアイテムの変更が可能となったことで、前述した印のクイック機能と併せて、戦闘のフローを大きく向上させた点も大きな見所の一つと言えるでしょう。
また、コントローラーによる移動が改善され、スティックによる歩行速度の調整、左スティック押し込みによるダッシュが導入されたほか(オプションで設定変更可能)、しばしば致命的だった落下ダメージや軽減や、新規にウィンドウを開かない薬草のクイック収集機能まで実装され、広大なオープンワールド環境の移動もかなり快適さが増しています。
■ 多彩な新コンテンツも導入
「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」のお楽しみは、ビジュアルやゲームプレイの改善だけに留まらず、大小様々な追加コンテンツや新要素にも及びます。
まず、GOGと連携するMy Rewardsプログラムに登録すると、ドル・ブラサンナ製の美しい装備6点とグウェント用の“ローチ”カードが入手可能。
さらに、移動可能なカメラをはじめ、視野角や被写界深度の調整、露出や色温度、色収差等を含むエフェクト調整、ビネットといった基本的な機能を備えた待望のフォトモードも登場。
加えて、Netflixのドラマシリーズにインスパイアされたニルフガード兵の鎧(余りにも個性的すぎるデザインだったことからシーズン1で消えたあのしわしわ鎧!参考:過去記事)やダンディリオンの衣装。さらに、ドラマのシーズン1とシーズン2に登場した装備をモデルにした新しい鎧セットに加え、新たな剣まで入手可能です。
また、ネタバレを避けるため詳細は伏せますが、本作にはオリジナルに存在したとある大規模な未使用エリアを活用した新クエスト「〈永遠の炎〉の影で」まで用意されており、文字通り“ウィッチャー3”品質の見事なサイドクエストに仕上がっていますので、是非あちこち探索してみてください。
新エディションのインプレッションをご紹介する前に、当サイトではオリジナルのレビューを行っていなかったため、「ウィッチャー3 ワイルドハント」そのものの評価を簡単にご紹介しておくと、筆者は発売から7年もの歳月が経った今も、本作はCRPG史上最も優れたAAAタイトルの一つだと考えています。
オリジナルの戦闘バランスやゲーム内経済、難易度カーブ、操作性等については、他にも優れた作品が数多く存在し、特に戦闘周りについては初代から伝統的に続くややいびつなバランスや操作性に難があると言えますが、極めて高品質で野心的なストーリーテリングと濃密なオープンワールド環境、奥深いキャラクター描写が織りなすノンリニアで有機的な体験は唯一無二であり、この一点において本作は他の追随を許さず、これに匹敵する大作は今も登場していません。
血まみれ男爵を初めとする幾つかの象徴的なクエストをプレイした際の衝撃は、オブジェクティブやタスクベースのシンプルなクエストに基づくRPGのストーリー体験を過去の物にし、「ウィッチャー3 ワイルドハント」がAAARPGにおける新しいストーリーテリングの基準を作り上げたと確信しています。
つまり、筆者は「ウィッチャー3 ワイルドハント」のダイアログやボイスアクト、作品世界、ストーリーテリングが渾然一体となる本作の物語的体験こそが最も優れた要素だと考えているのですが、これまでにご紹介した「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」の多彩な新要素や改善は、どれもが本作の白眉である没入感の高い物語的体験を直接的に向上させるものであり、オリジナルの問題点を大きく緩和することで前述した本作の見所をより際立たせることに成功しています。
既にオリジナルをプレイした方には、本作の凄みを改めて味わうことができる再訪を、そしてまだこの傑作を体験していない方には、格段にプレイしやすく進化した完全版「ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション」のプレイを強くオススメします。
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