Firaxis GamesのXCOMチームが開発を手がける新作として、12月2日に待望のローンチを果たした「マーベル ミッドナイト・サンズ」ですが、昨晩遂にシーズンパスコンテンツの第1弾となる「善人と悪人とアンデッド」DLCの配信が開始され、一人目のDLCヒーローとなるお馴染み“デッドプール”がミッドナイト・サンズ入りを果たしました。
今回はリリースに先駆けて2Kより提供を受けた「善人と悪人とアンデッド」DLCと“デッドプール”のプレイレポートをご紹介します。
「善人と悪人とアンデッド」(The Good, The Bad, and The Undead)は、“続・夕日のガンマン”の原題をもじった名称の通り、本編で描かれた従来の戦いに新しい敵勢力“アンデッド”(実際は新種のヴァンパイア)を導入するDLCで、プレイアブルな新ヒーロー“デッドプール”に加え、彼がとある人物から受けた依頼を巡る新しいストーリー展開が含まれています。
このほか、本DLCには“デッドプール”の導入に伴う(専用のチャレンジと強力なミッドナイト・サンズスキルを含む)デッドプール用の多彩なアビリティカード、さらに複数の研究、デッドプール用の可愛い衣装とカラー、デップー考案の消費アイテム、大聖院を可愛く飾るチミチャンガのフードトラック、レッドスカル絡みの新スーパーヴィラン、ヴァンパイア達が使用するやっかいなメカニクスなど、単なるヒーローの追加に留まらない、多数の新要素が用意されています。
なお、デッドプールや新たなストーリーミッションを含む追加コンテンツは、本編アクト1のストーリーミッション“スイングは正義”をクリアし、スパイダーマンが大聖院で正体を明かす箇所まで進めると、ミラーテーブル経由でアクセス可能となるほか、アクト2以降をプレイしている場合は、ミラーテーブルのニューヨークエリアに直接DLCミッションが追加されます。
DLCとデップーのインプレッションをご紹介するまえに、今回のインプレションに関係する前置きとして「マーベル ミッドナイト・サンズ」本編の評価について言い訳めいた説明をさせてください。
当サイトでは、本作のプレビューと2度に渡るジェイク・ソロモン氏のインタビューをお届けしましたが、肝心のレビューをまだご紹介していませんでした。これは、遅れに遅れた前回のプレビューと同じく、筆者が製品版のプレイに熱中しすぎた上、年末年始のあれこれで未だにレビューが完成していないという体たらくによるもので、レビューが出来上がる前に第1弾DLCが出てしまうという状況を大変面目なく思っています。
とりあえず、完成に至っていない「マーベル ミッドナイト・サンズ」レビューにおける筆者の評価は、全面的に大絶賛!なのですが、ことデップーの導入に限っては、ちょっと大丈夫かな?という懸念をうっすらと抱いていました。
この懸念は、「マーベル ミッドナイト・サンズ」本編における全年齢向けのややマイルドながら、しかし滅法面白いキッチュなユーモアや多幸感に満ちた人間関係、外連味溢れる王道のストーリーと全体的に軽妙なトーンに対して、はなから“面白い”変な人枠のくせが強すぎるデップーがどう絡むのか、思わぬギャップが楽しかった本編のユーモアと、最初から面白さやある種のどぎつさ、第四の壁を突破する滅茶苦茶さが期待されるデップーが本当に馴染むんだろうか……というものでした。
端的に言えば、ストーリー重視のストラテジーRPGでリアリティラインを過剰に破壊するような描写を盛り込むのは難しいだろうし、既に変人だらけの大所帯に本物の変人が来て、期待通りの“面白い”ことをやって果たして楽しいのだろうかという疑問であり、かといってデップーが“面白く”仕上がっていなければ世界中のファンが納得しないだろうという極めて難易度の高いハードルだと考えていたわけです。
これについては、Firaxis Gamesが実に巧みなアプローチとテクニカルなさじ加減で、デッドプールのミッドナイト・サンズ加入を実現していて、デップーに求められる愉快なメタ発言や愛嬌のあるハチャメチャさ、善悪の境界が曖昧な人物像をしっかり担保した上で、ギャグやユーモアよりも、むしろデッドプールのかわいらしさに重点をおき、デッドプールのように厄介な(つまり場を乱す)人物の出現に対するメンバー達の反応や多面的な人間関係、そしてデッドプールの出自や複雑な人物像を深く反映した驚くような友情の瞬間まで描く、予想外のアプローチと僅かにビターな隠し味で、コンパクトながらも見事な味わいの“デッドプール”コンテンツを作り上げています。
唯一、本DLCで物足りない箇所を挙げるとすれば、吹き替えの品質でしょうか。これは日本語版の品質がどうこうというよりも、(長年デップーのボイスアクトを担当している)ノーラン・ノースがお馴染みの超絶技巧で軽口をまくし立てる英語版の品質が異常に高すぎる故の贅沢な物足りなさで、英語版本編の超豪華キャストを思うと英語音声・日本語字幕でプレイできないものかと改めて感じた次第です。
また、特筆すべき点として、本DLCには(本編エンディングのアレに関する答え合わせ?と思しき)大きめのサプライズもあり、恐らく今後のDLCストーリーを通じてさらに広がるであろう風呂敷に大きな期待が掛かるところ。DLCヒーローで最もハードルが高いと思われるデッドプールを優れた手腕でミッドナイト・サンズ入りさせたXCOMチームならば、残るヴェノムとモービウス、ストームについても、きっと胸躍る体験と物語をもたらしてくれることでしょう。
■ 「善人と悪人とアンデッド」DLCとデッドプールのゲームプレイについて
DLCのプロットやストーリー、キャラクター描写は前述の通り満足度の高い仕上がりでしたが、ゲームプレイについても多くの見るべき点があります。
まず、ヒーローとしての“デッドプール”は(アクが強すぎる本人の変人ぶりとは打って変わって)非常に扱いやすいダメージヒーローとしてデザインされています。本編に登場するアタッカーと言えば、ブレイドやゴーストライダー、キャプテン・マーベル、ハルクなど、一癖あるヒーロー達が揃っていますが、デッドプールは彼らと比較してもメカニクスやヒロイズムコスト周りの癖が少なく、独自のカード供給アビリティや使いやすいエリア攻撃、ヒーリング・ファクターによる自動回復能力まで備えた本作で最もオーソドックスなアタッカーと言えるでしょう。
また、デッドプールには“エン・フエゴ”と呼ばれる専用のリソース/メカニクスが用意されており、デッドプールのアビリティで敵をノックアウトすることで、“エン・フエゴ”のスタックが蓄積し、その数に応じてダメージ増やヒロイズムコスト減、カード取得数増といった効果が得られます。“エン・フエゴ”を蓄積することで、非常に強力な単体ダメージを与えることが可能になるのですが、このスタックは敵の攻撃を受けることで減少するため、攻撃回避や挑発に必要なサポート役とセットで運用することが重要になります。
今回の先行プレイで専用チャレンジのレジェンダリースキルは入手したものの、まだ全てのアビリティを獲得しておらず、レベルも育ちきっていないため断言はできないのですが、敵単体に特大ダメージを与えるアタッカーとしては、ゴーストライダー(の“贖罪の目”)に次ぐ大ダメージを叩き出す一方で、コスト面やその他アビリティの使い勝手においてはデッドプールにアドバンテージがあり、ヒロイックやアルティメット難易度でも十分活躍できるトップTier層のアタッカーという印象を受けました。
また、デッドプール関連の研究には、戦闘中に1度だけ“カードを破棄することで移動回数と移動攻撃がそれぞれ1回復する”という、素晴らしい効果を持つものが用意されており、あと一手あれば!という状況を何度も助けてくれることになるでしょう。
ゲームプレイのボリュームについてもまとめておくと、前述した“デッドプール”用のストーリーは3ミッション構成のコンパクトなものながら、カットシーンを含む見所は非常に濃密で十分な満足感が得られます。
ストーリーパートだけを見ると、ボリュームは比較的少ないように感じますが、アビリティや各種MOD、チャレンジ報酬を揃える育成を考慮すると、デッドプールに対するプレイそのもののボリュームはかなり多く、平時の大聖院やスーパーリンクでもデップーと他のヒーロー達がしっかり絡むほか、もちろんハンターとの交流(デート)やヒーロー任務に就くことも可能なので、思う存分デップーとの大聖院ライフが楽しめることうけあいです。
という事で、「善人と悪人とアンデッド」は、単にプレイアブルなヒーローとしてデッドプールを導入するだけでなく、本編とは異なる新たなストーリーアークを用意し、今後の何かまで示唆する必見のDLCとなっていますので、本編をクリアしてDLCの購入を迷っている方は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。
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