先月上旬にAIを利用した16言語のリアルタイムチャット翻訳機能を導入し話題となった人気オンラインゲーミングプラットフォーム「Roblox」(ロブロックス)ですが、本日ロブロックスが国内向けのプレスリリースを発行し、前述のチャット機能に続いて、AI技術を活用する2つの新機能“アバター自動設定”と“テクスチャ生成”をアナウンスしました。
“GDC 2024”向けにアナウンスされたAI技術の詳細は以下からご確認ください。
ロブロックス、AI を活用したアバターとテクスチャ作成技術を導入し、3D 制作時間を短縮化
~「アバター自動設定」と「テクスチャ生成」の 2 つの新技術を発表~
- ロブロックス上で全世界のクリエーター向けに、アバターと 3D モデルの作成時間を短縮する新しい AI 技術を提供開始
- クリエーターたちは、ロブロックス・プラットフォームの生成 AI ツールを使用することで、生産性が大幅に向上することを強調
- ロブロックスは、ゲーム開発者会議 Game Developers Conference 2024(以下、GDC)での発表に加え、年間を通じて、3D 制作の AI 化を推進
Roblox(以下ロブロックス)は、サンフランシスコで開催中の GDC において、「アバター自動設定」と「テクスチャ生成」の 2 つの新技術を発表しました。これらの新しいツールは、時間のかかるアバターのセットアップとテクスチャ作成の工程を削減することで、クリエーターによる反復作業と高速な規模拡大を支援します。
- アバター自動設定は、3D ボディ・メッシュを動くアバターに自動的かつ即時に変換することで、アバター作成プロセスを簡素化します。たった1回のクリック操作で自動的に 3D モデルのリグ、ケージ、セグメント、スキンを作成します。これまで多数の人日がかかっていたプロセスが、わずか数分で完了します。最初のアルファ版リリースは、クリエーターに Roblox Studio(ロブロックス・スタジオ)上でこのワークフローを提供し、何時間もかかっていた手作業を削減することを目的としています。
- テクスチャ生成では、テキストプロンプトを使って 3D オブジェクトの外観を素早く変更することができます。この機能を使用することで、クリエーターは、開発中のバーチャル空間において、新しい外観のプロトタイプや、新しいテクスチャを素早く簡単に作成し、ワークフローを最適化することができます。例えば、クリエーターが木製の宝箱のテクスチャを作成するよう指示すると、テクスチャ生成は宝箱の角の鋭さを強調し、木の板や鍵のような特徴を考慮したテクスチャを作成します。あるいは、クリエーターは、様々な色やテクスチャで複数のバージョンのアセットを簡単に生成することができます(例:金、銀、銅のトロフィーを作成)。
ロブロックスのクリエーター・エンジニアリング担当 VP ニック・トルノーは、次のように述べています。
「GDC では、当社のビジョンである『どこでも、誰でも、何でも制作できるようにする』の実現に向けて、ロブロックス・プラットフォーム上で、制作、事業規模拡大、収益化するための新しい技術や事業機会を紹介しています。当社の新しい AI 技術は、インディーゲーム開発者から大規模ゲームスタジオまで、誰もがロブロックス・プラットフォーム上で魅力的なコンテンツを素早く制作できるようサポートします。アイデアの段階から、実装後の共有に至るまでをこれまでなかったほどに素早く行うことができるのです。これらのツールを使うことで、クリエーターはクリエイティブなアイデアの発案に集中し、実装の手間を省力化できます。これにより、開発したバーチャル空間のエンゲージメントを上げて、最終的には、事業を成長させることができます」
受賞歴のあるロブロックス空間開発スタジオ「Toya Play」の最高執行責任者(COO)であるガイ・デ・ビア氏は、次のように述べています。
「生成 AI は前例のない方法で開発をすでに効率化しており、当社が考える AI の最大の適用機会は当社で行っているアートワーク関連の業務です。当社は毎月多数のカスタマイズ可能なキャラクターを作成していますが、アバター自動設定は当社が制作可能なキャラクター数の生産性を劇的に向上させる可能性を秘めています。当社が構築しているような、無数の特注アバターが登場するバーチャル空間において、AI は制作による経済活動に変革をもたらし、クリエーターに創造的なビジョンを実現する無限の機会を提供します。ロブロックスや業界全体で起こっているイノベーションにより、今後 10 年間で制作のプロセスは完全に変化するでしょう」
アバター自動設定はアルファ版、テクスチャ生成はパブリックベータ版として提供されており、ロブロックスの高度な開発環境である Roblox Studio からアクセスすることができます。
■ ロブロックスの AI イノベーションへの継続的な取り組み
今回の新しい AI 技術は、2024 年 2 月にリリースされたコードアシストとチャット自動翻訳を含む、ロブロックスによる一連の AI イノベーションの一環として発表されました。
- コードアシストは、クリエーターがコードを入力する際に行や関数を提案するツールで、11 カ月間のベータ版の利用を通じて、クリエーターはコードアシストが提案した約 3 億文字のコードを採用しました。Toya Play によると、同社のソフトウェア開発チームは、コードアシストを使用することで、すでに効率が 5%向上し、全社的に数カ月分の業務が効率化されています。
- ユーザーが話す言語に関わらず、世界中のユーザーと簡単にコミュニケーションを取ることを可能にする、チャット自動翻訳の提供開始から 30 日間で、クリエーターが提供するバーチャル空間においてロブロックス独自サービス、TextChatService(プロパティの設定でチャットウィンドウの位置やサイズ、外観を変更するサービス)の使用量は 2 倍以上になりました。ユーザーのエンゲージメントが増加したことでこれまでにロブロックス上で 197 億通のメッセージがチャット自動翻訳で翻訳されており、これはロブロックスで送信されるメッセージの約 3 分の 1 に相当し、翻訳されたメッセージには世界の市場のユーザーからのクリエーターへの貴重なフィードバックが含まれます。
ロブロックス空間の開発を手掛ける Neura Studios のリード・エンジニアである、ジュニパー・ハーヴィー氏は次のように述べています。
「AI は、私たちが自らの想像力を超えるものを制作し、世界中の人々をつなげることをサポートする力を持っています。今週、GDC において、ユーザーをクリエーターに変えるロブロックスの新しいバーチャル空間の提供開始を発表します。ロブロックスのバーチャル空間機能の中核である「世界中のユーザー同士をつなげること」は、チャット自動翻訳などの機能によってさらに簡単になりました。ロブロックスでは、クリエーターとユーザーの明確な境界線がなくなりました。当社は、AI と今後の新機能リリースによって、クリエーターとユーザーの区別をなくしたいと考えています」
GDC でのロブロックスのイベント情報
ハーヴィー氏とデ・ビア氏は、3 月 21 日(木)午前 10:00~11:00(現地時間)にサンフランシスコで開催される GDC のステージで、Roblox Studio の責任者であるステフ・コラッツァとロブロックスのディスカバリー責任者であるチェン・ ゼンと共に、「How Generative AI is Transforming Game Development, Discovery and UGC(ゲーム開発、ディスカバリー、UGC において生成 AI が起こす変革)」のセッションで登壇し、ディスカッションを行います。
ロブロックスについて
ロブロックスは人と人とのつながりとコミュニケーションのための没入型プラットフォームです。毎日 7000 万人以上のデイリーアクティブユーザーがロブロックスにアクセスし、制作したり、遊んだり、働いたり、学んだりしながら、国際的なクリエーターコミュニティが作り上げたバーチャル空間の中で互いにつながっています。当社のビジョンは、安全性とマナーを基盤とした楽しい環境で、人々の繋がりの在り方を変革することです。そのために、ロブロックスコミュニティと共に、社会基盤を強化し、世界中の人々の経済成長を支援する革新的な企業を構築しています。ロブロックスの詳細については、CORP.ROBLOX.COM をご覧ください。
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