本日待望のお披露目を果たし、コンソール版(PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch)のリリースや日本語字幕/ボイス対応、3Dビジュアルへの刷新といった興味深いディテールが報じられた“Diablo II”の現世代向けリマスター「ディアブロ II リザレクテッド」(Diablo II Resurrected)ですが、その後BlizzConlineにてリマスター版のDeep Diveパネルが放送されたほか、大手メディアのインタビューも解禁され、待望のリマスターに関する具体的なディテールが多数判明しています。
今回の新情報には、PC版のコントローラー対応やMOD対応、オリジナルのコードを利用した忠実なリマスターに関する徹底したアプローチ、幾つかの追加機能に関するディテールが含まれていますので、2021年後半の発売を楽しみにしている方は、一度 確認しておいてはいかがでしょうか。
■ ディアブロ II リザレクテッドの主な改善点
- オリジナルの「Diablo II」と「Lord of Destruction」拡張のコンテンツを同梱。
- ビジュアルと動作の改善:4K解像度と144hzの高リフレッシュレート動作に対応。オリジナルの2Dグラフィックを3Dに刷新し、新たに物理ベースレンダリングを実装。新規アニメーションやダイナミックライティング、高解像度テクスチャ、エフェクト等によりビジュアルを強化。
- シネマティックの刷新:27分に及ぶ全カットシーンを高解像度フッテージに再調整。
- クロスプログレッション対応:コンソール対応に伴い、PCとコンソール間のクロスセーブ機能を導入。
- マルチプレイヤー対応:最大8人でプレイできる協力プレイに加え、街の外れで行われるPvPにも対応。
- オリジナルとリマスターの切り替え機能:ボタン1つでオリジナルとリマスターが自由に切り替え可能。ただし、日本語対応はリマスター環境のみとなる。
- Dolby Surround 7.1サウンドでオーディオをリマスター。
- PC版が従来のキーボード/マウス操作に加え、コントローラーに対応。(※ コントローラー使用時のテレポには一定の移動距離が適用される)
- 新たに詳細な統計情報用UIが追加される。
■ リメイクではなく、リマスター
- 上記の通り、“ディアブロ II リザレクテッド”は様々な改善や強化を特色としているが、グラフィックや一部機能改善以外のゲームプレイやロジック、装備データ、ストーリー、作風、ボイスアクト、各種判定はオリジナル通りで、(リバースエンジニアリングによりゼロから作り直したわけではなく)ベースには旧作のコードが用いられている。これにより、オリジナルで愛されたエクスプロイトに加え、AIやパス経路、装備品のドロップ率など、ほとんどの要素がオリジナルと同じように動作する。(なお、Diabloの父David Brevik氏は、D2のAI半径やスキル範囲が4:3比の画面用に作られているため、ワイド対応にあたって少々変更が必要だろうと推測している)
- リマスターは高リフレッシュレート動作に対応するが、内部処理はオリジナルと同じ25fpsで動作している。またAIパス探査やヒット検知を含む各種判定も従来のグリッドモデルを維持している。
- サウンドはDolby Surround 7.1でリマスターされるが、これもオリジナルと同じ音源を使用している。
- 開発は、“Warcraft 3 Reforged”の発売時に問題となったチーム1ではなく、事前情報通り先日Blizzard Entertainmentに統合された名門“Vicarious Visions”のチームが担当している。
- オリジナルのソースについて
- 前提として、2019年にオリジナルのクリエイターであるErich Schaefer氏とMax Schaefer氏、David Brevik氏がDiablo IIのアセットとソースコードを含むバックアップが失われ、取り返しのつかない致命的な状況にあると語ったことから、予てからD2のリマスターは再構築を必要とするリメイクになるのではないかと懸念されていた。
- 今回の発表に併せて、コードやアセットの損失に言及したお馴染みRod Fergusson氏とプリンシパル・デザイナーRob Gallerani氏(元Vicarious Visionsのベテラン)によると、状況はそれほど酷くなく、Blizzardの各所からあらゆるものを集めたところ、コードだけでなくオリジナルのアセットまで残されていたとのこと。
- 再発見されたアセットの中には、D2の開発段階で2Dスプライトに加工される前の3Dモデルも存在し、その復元に成功したとのこと。
- Rod Fergusson氏によると、D2のコードの深部には、初代Diabloのコードが存在しており、古いコードの動作がD2に個性を持たせていたとのこと。氏はエンジンを変更してD2を再現したとしても、この古いコードによる複雑な動作がなければ、決して同じ作品のようには感じられないだろうと強調。“ディアブロ II リザレクテッド”の登場によって、プレイヤーは本物のD2を体験することができると伝えている。
- また、Rob Gallerani氏は、少ないインベントリやスタミナ管理、ポーション管理、巻物や書の扱いなど、普通のゲームではボタン1つで済むような手間こそがD2のゲームとループの中核を担う要素になっていると説明している。
- オリジナルを尊重するリマスターには、一部の著名なエクスプロイトも含まれ、アイテム増殖等のクリティカルなもの以外でゲームそのものを損なわないエクスプロイトについては、残される可能性が高い。残されるものには、ボス戦の安地やLoDを利用した進行スキップなど、スピードランナーに喜ばれるものが含まれるとのこと。
■ 収納箱の拡張とインベントリについて
- 収納箱の容量が増加するほか、(ラダーキャラクターを除く)複数のキャラクター間でアイテムの受け渡しができる共有収納箱タブが導入される。
- ただし、キャラクターのインベントリのサイズそのものはオリジナルのままで変更なし。
- インベントリのサイズに言及したRod Fergusson氏によると、インベントリのサイズ増については何度も議論されたものの、最終的に断念したとのこと。氏はインベントリのサイズ増が一見QoL改善に見えるかもしれないが、本作の限りあるインベントリが、チャームの数と持ち物の量を吟味する際などに顕著な特有の緊張感をもたらす構造の一部そのものであり、サイズ増がQoL改善をもたらさず、ゲームの仕組みそのものを壊しかねないと説明している。
■ 幾つかの選択可能な追加機能
- QoL改善の一環として、ゴールドの自動拾得や自動で参加や招待が行われるオートパーティシステムが導入される。
- これらの機能はオリジナルの体験を損なわないよう、何れもオプションで設定を変更可能。手動のゴールド拾いやチャットを利用した昔ながらのパーティ募集も楽しめる。
■ 唯一のリメイクはカットシーン
- “ディアブロ II リザレクテッド”において唯一リメイクとなるのが、計27分のカットシーンとなる。
- カットシーンはオリジナルをアップスケールせず、当時のカットシーンを手掛けたスタッフ達が参加し、現代の技術とCGIによって全て作り直している。
■ MOD対応について
- “ディアブロ II リザレクテッド”は、オリジナルと同様にMOD対応を果たす。
- ただし、現在のBattle.netがよりストリクトでセキュアなことから、全てがオリジナルと同じように動作するわけではない。
- 今のところ、この詳細は不明ながら、Rob Gallerani氏は以前に出来て、新たに出来ない項目の一例としてDLLインジェクションを挙げている。
■ コンソールとPC間のクロスプログレッションについて
- “ディアブロ II リザレクテッド”は、PS4とPS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、PC向けに発売され、PCとコンソール間のクロスセーブ/プログレッションに対応するが、Rod Fergusson氏によると“どの”コンソールがこれをサポートするか、まだ議論が進められているとのこと。
- クロスプレイに関する検討は進められているが、ローンチ時に実装されることはない。
■ オンラインプレイとマルチプレイについて
- ラダーはラダーのままで、シーズンには置きかえられない。
- デフォルトのオンラインプレイはDedicatedサーバ上でホストされるが、ローカルでホストし、Batlte.netを介して従来のようにTCP/IP接続でオンラインプレイを楽しむこともできる。
- コンソール対応に当たって、ローカルCo-op対応が検討されたが、UIやコードに多くの変更を加える必要が生じることから実装は見送られた。
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