昨晩、ドイツのbitComposer Entertainment AGが「S.T.A.L.K.E.R.」ブランドのゲーム化権を原作者の1人ボリス・ストルガツキー氏から取得したと発表し、トリプルAタイトル市場への進出を明らかにしましたが、昨年末に巻き起こった閉鎖騒動も記憶に新しいお馴染みGSC Game Worldが1年2ヶ月ぶりに公式サイトを更新し、GSCのボスSergey Grigorovich氏が“S.T.A.L.K.E.R.”のゲームシリーズと商標、ゲーム化権、技術等に関する全ての権利を保持する唯一の所有者だと強調しました。
閉鎖騒動時のあれこれや現在の運営実態、Vostokとの関係については一先ず置いておくとして、Vostokのスタッフ達も強調していた通り、確かに今も“S.T.A.L.K.E.R.”のIPはSergey Grigorovich氏が所有しており、米国特許商標庁でも各タイトルの商標以外に“S.T.A.L.K.E.R.”全般に関わる商標が現在も有効であることが確認できます。
今回bitComposerが発表した“S.T.A.L.K.E.R.”のゲーム化権は原作者のボリス・ストルガツキー氏から取得したと発表されており、今後はビデオゲームの“S.T.A.L.K.E.R.”が小説の“ストーカー(路傍のピクニック)”をゲーム化したものなのか、それともタルコフスキーの映画“Stalker”をゲーム化したものなのか、(※ GSCのS.T.A.L.K.E.R.は当初ストーカーを原作としない単なるオマージュだった)その出自と権利の有効な範囲が争点となりそうです。
なお、bitComposerの発表にも幾つか不透明な点が見られ、まず今年11月19日に逝去したストルガツキー兄弟の弟ボリス・ストルガツキー氏(※ 兄アルカジイは1991年に亡くなっている)から取得したというゲーム化権は“誰”から取得したのか。
そして、広く一般に認知されている“Stalker”の名称はタルコフスキーの映画作品を指すもので、ストルガツキー兄弟の原作“Roadside Picnic”(原題は“Пикник на обочине”)には“Stalker”の文言が使用されていない点を鑑みると、bitComposerがピリオド付の“S.T.A.L.K.E.R.”新作を発表し、同シリーズを継続するというのはいささか無理があるようにも感じられます。
Sergey Grigorovich氏は今回の声明において、“Roadside Picnic”のゲーム化権も“S.T.A.L.K.E.R.”フランチャイズに属すると主張しており、具体的な続報が近いとされるbitComposerの発表に改めて注目が集まるところです。
余談ながら、“Roadside Picnic”のゲーム化に対し、体よく“S.T.A.L.K.E.R.”の後継という下駄を履かせたい感がちらつくbitComposerの思惑にも疑問を感じるところですが、現実的にGSCが今後“S.T.A.L.K.E.R.”の権利を売る以外に新作を手掛けるとも考えられず、何れにしろこういった権利関係の醜い争いはS.T.A.L.K.E.R.ファンにとっても(ひいては原作ファンにとっても)もどかしい話題でしかありません。唯一、Vostokが早々にこの争いから距離を置き、多くのファンが“S.T.A.L.K.E.R.だ!”と感じられる精神的な後継タイトルを元気に開発していることが残された明るい希望だと言えるのではないでしょうか。
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